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『龍が如く8』は過去イチ話題になると思う──『龍が如く 維新! 極』インタビューで飛び出した、龍スタ代表の最新作への自信

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──きわみ【極】きわまるところ。限り。はて。──

 「極」という言葉を広辞苑で調べると、上記のような説明がある。「きわまるところ」とはつまり「ぎりぎりの限度に達する」ということだ。「極」と聞いたときに、ゲーマーならばまっさきに『龍が如く 極』シリーズ(以下、『極』)が思い浮かぶだろう。

 『龍が如く 極』は『龍が如く』シリーズの「10周年記念作品」としてプレイステーション2で発売された1作目『龍が如く』をリメイクした作品からスタート。オリジナルを下地にしながらも、グラフィックやアクションが一新されているなど、オリジナルのファンはもちろん、新規層を獲得している。『極』シリーズは『龍が如く 極』(以下、『極1』)、『龍が如く 極2』(以下、『極2』)が発売されたあと、2023年2月22日に『龍が如く 維新!極』(以下、『維新 極』)が発売となった。

『龍が如く8』は過去イチ話題になると思う──『龍が如く 維新! 極』インタビューで飛び出した、龍スタ代表の最新作への自信_001

 発売を直前に控えた2月下旬、電ファミ編集部は『維新 極』の開発を手掛けた龍が如くスタジオ代表の横山昌義氏と、『龍が如く』シリーズチーフプロデューサーの阪本寛之氏に話を聞く機会を得た。

『龍が如く8』は過去イチ話題になると思う──『龍が如く 維新! 極』インタビューで飛び出した、龍スタ代表の最新作への自信_002

 『維新 極』に関することはもちろん、『極』シリーズの定義やこれからの展開など、ここでしか聞けない内容になっているので、ぜひ一読していただきたい。

聞き手・文/豊田恵吾


──本日はよろしくお願いいたします。『維新 極』は『極』シリーズ3作目となりますが、ここまでシリーズを積み重ねてきて「『極』シリーズに欠かせないこと」というのは、開発チーム内で言語化・共有化されているのでしょうか?

横山昌義氏(以下、横山氏):
 いや、今回『極』ってつけるにあたって、「『極』とは何ぞや?」となりまして。『極』シリーズは、『極1』と『極2』でそもそも思索が違うから難しいんですよね。

阪本寛之氏(以下、阪本氏):
 じつはこれまで、我々は『極』シリーズの定義付けをしていなかったんです。

横山氏:
 だから今回『極』とつけるにあたって「『極』とは何ぞや?」と議論しました。「『極』シリーズとは追加ストーリーがあることだ」という人もいれば、「音声を再収録していることだ」という人もいる。ほかには「描かれていない過去があることだ」とか。今回の『維新 極』の立ち位置は「海外に出そう」というところからスタートしていたので、『極』化というのは最初は決めていなかったんですよね。

『龍が如く8』は過去イチ話題になると思う──『龍が如く 維新! 極』インタビューで飛び出した、龍スタ代表の最新作への自信_003

──「『龍が如く 維新』の『極』化をしよう」ではなく、「海外へのアプローチ、『極』として『龍が如く 維新』を」という考えがあったというわけですね。

横山氏:
 そうなんです。追加ストーリーを入れたとしても、海外の方にとっては「全編が追加ストーリー」なんですよ。海外ではオリジナルの『龍が如く 維新!』は発売されていませんから「すべてが新しいもの」となるわけです。『維新 極』にも新しいサブストーリーは入れていますけれど、そもそもストーリーを追加して入れるってことに、あまり意味がないというか。

 たとえば『極1』のときに錦山の新たな話を描きましたけど、あれは『龍が如く』という長い歴史があり、「錦山の裏側が見たいよね」と期待されていることがわかっていたから入れたのであって。1作目(オリジナル版)から敵キャラの裏側なんか見せないじゃないですか。いわば『極』シリーズはファンブック的な要素としてやってきたわけです。

──なるほど、よくわかります。

横山氏:
 だから『極』シリーズって、オリジナルがあるからこそできていることなんですよね。そう考えたときに、海外では『維新 極』のオリジナルが発売されておらず、そこに向けて出そうとしているわけですから、いきなり裏側を見せてもしょうがない。そうなると「そもそもこれまでの『極』とは違う」と切り替えて進んできたんです。

 以前のインタビューで話しましたっけ? 最初は『ドラゴンサムライ』というタイトルでいこうと考えていて……。

──え? それは冗談ですよね?(笑)

横山氏:
 いや、ガチで『ドラゴンサムライ』という名前にしようと思っていて。

──(笑)。どこまで本気なのかがわからないのですが。

阪本氏:
 商標登録を調査するところまでやりました(笑)。

横山氏:
 進めていく途中で、セガが昔『サムライ&ドラゴンズ』というタイトルを作っているのが話に上がって。「あ、たしかに似てるね」という考えもありつつ、まあ「ドラゴン」と「サムライ」が逆だし、と(笑)。もともと『龍が如く』は海外では『YAKUZA』というタイトルで、『ヤクザ 維新』ってタイトルにしてしまうと「ヤクザじゃないじゃん」となるわけです。「ヤクザ」を取って『ISHIN』というタイトルにしたとしても意味がわからない。だったら、もう今回は『龍が如く』シリーズと切り離れてもいいから「『ドラゴンサムライ』でいこう」と言ったら、海外のチームから「お前らはブランドを汚す気か?」と怒られて(笑)。

阪本氏:
 最後にめちゃくちゃ怒られましたね。

横山氏:
 海外のマーケティング担当者が、海外の担当者に怒られるという。

──(笑)。

阪本氏:
 『龍が如く7』で『Yakuza: Like a Dragon』と、『YAKUZA』単体からタイトルを変えて受け入れられたのに、と。

横山氏:
 そういったいきさつで、ひとまず『Like a Dragon: Ishin!』とストレートなタイトルにしたんです。

 ただ、直訳すると『龍が如く 維新!』となるわけですから、ワールドワイド共通の名前にするかどうかの最後の議論になったときに、やっぱり国内の営業担当やプロモーションチームから「『極』とつけたい」と。

 ここで最初の話に戻るのですが、このときには何が『極』の定義なのかというのが定まっていなかったわけです。でも、我々が「いいものだ」と言えるものに対しては『極』とつけていいだろうとなり……。要するに、自信があるものにつけようということで、「じゃあ日本は『極』で」となりました。我々がリメイクしたときに、ちゃんと『極』クオリティーと言えるかどうかなんじゃないの? というところに落ち着いたって感じですね。

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阪本氏:
 結果的に世界中のファンが喜ぶ組み合わせを『極』と言ってもいいんじゃないか、となりました。『極1』も『極2』もそうですし、今回も一部のメインキャラクターを一新した内容になっています。

横山氏:
 議論にあたって『龍が如く 極』のCMを見返してみたら、映像の中で「これがゲームの極」と言っていて、まさにそうだなと。『極』シリーズはそれが言いたいわけですよね。

──初心に戻った感じですね。

横山氏:
 そのときのCMはスケジュールがタイトで制作費も少なかったときに作ったものだったので、当時は「じゃあ、これでいいよ」と、とくに意識することもなく進めたのですが、いま振り返ってみると「そういうことなのかな」と。これから過去作のリメイクを作るとして、毎回捉え方は違うと思いますが、我々が自信を持っているものは『極』シリーズになっていくんでしょうね。

阪本氏:
 とはいえ、対応ハードは変わっていますからね。『龍が如く2』まではプレイステーション2で発売していたわけですから。

──『極』シリーズは単純にリメイクを行うものではなく、『維新 極』まで発売されたからといって「つぎは『龍が如く3 極』、ゆくゆくは『龍が如く6』まで『極』化されるでしょ」というわけではないということですね。

横山氏:
 「全部『極』化するぞ」と思っているわけではないんですよね……。

阪本氏:
 ただ、「これまでのオリジナルをすべて『極』化して」と、すごく言われますね。

──ファンからすると、その意見が出るのはわかります(笑)。

横山氏:
 『維新』は海外で発売されていなかったというのがデカかったわけですが、今後も大きなアプローチができるのであればやるとは思いますけどね。ただ、『極』シリーズは予算がたいへんなので……じつは新作を作るのと大差ないですから。

 当たり前ですが我々はエンターテインメントをビジネスとして成立させるのが仕事ですから、裏ではかなり綿密に繊細な市場調査やシミュレーションを重ねたうえで製品化するか否かを決めています。ゲームメーカーとしては当たり前のことですが。でも表向きにはノリで作っているような雰囲気を感じさせたいし、クリエイターとしてはあまり数字の話はしたくないので、これから公開予定の「密着動画」でも、そういった類の会議シーンはすべてカットしています。音声収録の裏側も、予算を編成する会議もどちらもゲーム作りという意味では同じではあるのですが。

──そうなると開発する立場としては、予算を考えたときに『極』化されていない過去作を発売する意義が問われますね。

横山氏:
 『維新 極』でも同様の悩みはありました。エンジンをアンリアルに変えていますし。『龍が如く 見参!』を『極』化しなかった理由は現状の「龍が如く」ブランドのポジションと潜在顧客、『極』化する際の開発費を照らし合わせると、ビジネスとして成立しない結果が出ていたからでもあります。『見参!』をいま我々が想定する手法でリメイクするとしたら、下手すると『龍が如く7』よりもコストがかかると思いますし。

阪本氏:
 プレイステーション3時代のデータは何ひとつ使えないんです。流用もできませんし、そもそもゲームシステムから何からなにまで変える必要があります。『見参!』の場合は『龍が如く』シリーズで初めて文字だけのカタカタ会話から音声が鳴る会話シーンを導入しましたが、そのあたりの演出方法や制御も、それ以降のシリーズ作とは大きく変わっていますので、そもそものシナリオの1シーンの尺感覚を変える必要もあるでしょう。

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横山氏:
 時代劇特有の布制御なども含めると、かなりクオリティを上げる必要がありますね。

──……たしかに、着物を作るのもかなりたいへんだというのはわかります。

阪本氏:
 大人数の布制御とか考えたら頭が痛いですね……。

横山氏:
 それをやるんだったら、「新作を作りたい!」という思いがやっぱりありますからね。

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──『極』への考え方がよくわかりました。『極』シリーズの開発チーム編成について聞きたいのですが、『極』シリーズをこれまで作られてきたことで、洗練されていった部分はどういったところなのでしょうか?

横山氏:
 『極』シリーズは初動が早いんですね。なぜならすでにシナリオがあるから。初めにメインシナリオがある。そして、『極』とするうえでの目標がある。このふたつが整っていることで、初動が早いという利点があります。

 また、『維新 極』では、これまで使ったことのないゲームエンジンを使うというのが最大の壁だったわけですが、この壁はあえて用意したものというか、自社エンジン以外の技術に触れたい、ほかのエンジンで『龍が如く』を作ったらどうなるのかを見てみたい、というメンバーでチームを編成していったんです。チャレンジしたい、積極的にやりたいという若いスタッフがとくに多くて。そこで得た知見がドラゴンエンジンでの制作に反映されていて、いま『龍が如く8』のグラフィックのクオリティーが異常に上がっているんですよ。

阪本氏:
 アンリアルエンジンでのゲーム制作で培った経験が、ドラゴンエンジンを扱ううえで活きてきているんです。

横山氏:
 たとえば、アンリアルエンジンのライティングを見て、「あ、こういう表現のしかたをすると、これだけキレイになるんだ」というのが理解できるとか。

 ひとつのスタジオがふたつのエンジンで開発することは、あまり意味がないことだって最初はよく言われていたんですけど、そんなことはぜんぜんなかったですね。結果として、お互いのエンジンのいいところを吸収していけるようになっています。アンリアルエンジンで『維新 極』を作ったことにより、ドラゴンエンジンで制作している『龍が如く8』のクオリティーがガーッと上がっている、というのが実状ですね。

──「なぜアンリアルエンジンを採用したのだろう?」と疑問に思っていたので、腑に落ちました。なるほど、そういったメリットがあったわけですね。

阪本氏:
 タダでは転ばないです。いや、転んだわけではないですが(笑)。

横山氏:
 『維新 極』を作っていた技術屋が『龍が如く8』の現場に入り、「アンリアルではこうできたから、ドラゴンエンジンではこういったことができるんじゃないか?」と検証・実装していくので、どんどんクオリティーが上がって、どんどん改善されていく。そこはアンリアルエンジンを扱ってよかったな、とすごく感じる手応えですね。

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副編集長
電ファミニコゲーマー副編集長。

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