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【バイオ9】『バイオハザード レクイエム』先行プレイレポート。『バイオ7』恐怖路線をさらに強化、つまり本気(マジ)で怖い。敵が迫る中、聖域だった安全地帯がまさかの消滅。白状します、正直ビビりました

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シリーズのナンバリング第9作となる、カプコンの新作『バイオハザード レクイエム』。30分に満たない短い試遊時間ではあったが、「ホラーゲームが苦手な友人に、あの手この手を尽くして絶対に新しい『バイオ』をプレイさせてやろう」と固く誓うに至るほどの仕上がりだった。

筆者は、ホラーに対する苦手意識が一切ない。なので、ゲームでビビることもあまり無い。それでも「うわ、マジか」と思わされる展開が短いパートの中に詰まっていた。

このタイミングで起こってほしくない、という事がしっかり起こるし、安心できるタイミングもちゃんと用意されているので、打開による達成感も強い。でも安心が裏切られるのはホラーの常で……。という、この緊張と緩和の入れ替わるテンポがとても小気味良かった。

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さながら、ホスピタリティにあふれるホラーのテーマパークだ。ただ怖いだけではないので、『バイオハザードシリーズ』としての魅力がしっかり詰まっている。

今回の体験では、とにかくホラー演出に手が込んでいるという印象を強く受けた。担当者の方からも『バイオハザード7』を意識しているという点には言及をいただいているが、演出面はより恐怖感を煽るように「強化されている」と自分は感じた。

これが、それが没入感の高い最新世代の超美麗なグラフィックで展開されるのが本作だ。

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つまり、ムリな人は本当にムリで、怖いのが好きな人は本当に好きだろうという作品に仕上がっていると感じられた。

“レクイエム(鎮魂歌)”というタイトルに、シリーズを象徴する惨劇の舞台である“ラクーンシティ”に立ち返るという点もしっかりと不穏だ。そして、今回のプレイではグレースの置かれた状況に化け物の正体にと、謎がさらに増える結果となった。ストーリーとしても先が非常に気になる。

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しかし、それ以上に演出の計算高さに、“あらゆる側面”でユーザーを満足させようというコダワリが感じられたため、ゲーム体験としても序盤以降でどう進化・変化していくのかが楽しみというのが総合しての感想になっている。

いかにしてそう感じるに至ったか、実際のプレイを通して本稿ではお伝えしよう。

文・取材/囲図囿図囲
編集/anymo

何もわからない。全てが謎。とにかくシチュエーションが恐ろしい幕開け

本作の主人公は、廃ホテルで起こった変死事件の捜査を命じられたFBI分析官のグレース・アッシュクロフト。彼女は8年前に同じホテルで母親を失っているわけだが、このあたりも「レクイエム」というタイトルに絡んでいるかもしれない。

「生者に恐怖を。屍者に鎮魂(レクイエム)を」
「”レクイエム”はプレイヤーの精神(こころ)を激しく揺り動かす」


公式ページの紹介文を抜粋するのであれば以上のようになっており、本作では誰(あるいは何)を鎮魂するのかというところも気になる部分だ。しかし先述した通り、今回の先行体験はただただ謎が積み重なってとてつもなく先が気になる結果となった。

まず始まり方が異質だ。

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逆さにされた状態でベッドに縛り付けられているのが、本作の主人公グレースである。腕には針が刺され、血が抜かれ続けている。

グレースが内向的で怖がりというシリーズとしては新しいタイプのキャラクターとして設定されていることは、カプコンスポットライト(JP)|2025.6.27でも語られている。しかし、こんな目に遭わされたら誰でも怖いのでは……?密室からの脱出劇を軸としたグロテスクなサスペンスホラー『SAWシリーズ』思わせるようなスタートだ。

シチュエーションも不明。場所も実のところ情報がない。ただただ脱出しなければヤバいということだけはわかる。そんなところから、『バイオハザード レクイエム』のプレイは始まる。

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個人的にはこのグレースのキャラクターは気に入っていて、恐怖を感じる彼女に感情移入はできるので、代わりにビビってくれるのがシンプルにありがたいという側面があった。

しかし、開幕のムービーからリアリティがあって緊迫感が高まったように、やはり目に付くのはグラフィックの美しさだ。そして、音響もリッチで総合的にみて没入感は高い。意味不明なシチュエーションに、仕草や息づかいから伝わってくるグレースの心境……。

怖がりな人からすれば、歴代主人公のクリスやレオンのような存在がいてほしいと思うかもしれない。どうか、気を強く保ってほしい。

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『バイオハザードシリーズ』の魅力は恐ろしいクリーチャーに立ち向かうところにあると個人的には考えているので、ただ理不尽に暗いだけではないのが嬉しい。明るくても、恐ろしげな雰囲気は満点だ。

『バイオハザードシリーズ』の例に漏れず、本作でも先に進むためには探索や謎解きが必要となってくる。ゲートを開けて先に進みたいのだが、なぜか電源のヒューズが抜かれているため代わりを探さなくてはいけない。これが序盤の課題だ。

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この展開、むしろ旧友と再会したときのような親しみすら感じる。

デカイクリーチャーとの衝撃の出会いから、衝撃の恐怖体験の連続でテーマパークに来たみたい(歓喜)

ヒューズを探す過程では心許ないながらも明かりとなるオイルライターを入手できたり、投げて敵の気をそらすことができる空き瓶などを手に入れることができる。ただ先にお伝えしておくと、今回の先行体験ではまともな武器になるアイテムを手に入れる機会はなかった

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ゾンビ化ウィルスに感染している死体をむさぼるという登場演出がおぞましく、行動原理も不明でしっかりとヤバい雰囲気を醸し出してくれている。

本作の序盤ではいきなり大型のクリーチャーに遭遇して追い回されることになる。こちらは徒手空拳であり、とにかく逃げるしかない。

ただ、どうやら明るい場所には入れないらしく、いくつかの場所が安全地帯となっていた。このクリーチャーはあの手この手を尽くして様々な場所から襲いかかってくるので、うまく躱しながら安全地帯を経由し、探索を進めていくことになる。

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スタート地点である最初の部屋は煌々としているため、このクリーチャーは入ってこれない。しかし、天井裏に隠れるだけで、物音などに反応して再び襲い来る。

この、いつ襲われるかわからないプレッシャーと、安全地帯に入れたときの安心感の入れ替わりにはテンポの良さを感じた。

しかし、ホラーゲーム全然大丈夫マンである筆者でもヒリヒリとしたプレッシャーを感じる内容になっているのだから、怖いのがムリな人にとっては、本当に恐ろしいものになるだろう。だからこそ、是非ともこの体験は味わっていただきたい。

このクリーチャー、見た目のおどろおどろしさに反して実のところかなりトロい。そう、ちゃんと序盤なのだ。気づくまでは出現タイミングや出現位置がやっかいで困らされたが、撒き方さえわかってしまえば苦労させられることはなかった。『バイオハザードシリーズ』のプレイ経験に関係なく、ゲームに慣れた人なら「そういうことね、なるほど!」となるのも早いかもしれない。

でも、それだけで終わらなかったので、本作は面白い。

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先ほどの画像と同じスタート地点だが、何かが壊れたのか真っ暗になってしまっている。

ある程度ゲームが進行すると、突然安全地帯が機能しなくなる局面が訪れる。まさにクリーチャーに迫られている最中で、部屋の電灯のスイッチを入れようとしてもウンともスンとも言わないので、さすがに焦った。思わず「カチカチカチカチカチッ」と連打してしまったが、状況は何も改善しない。

幸い、クリーチャーに殴られても即死ではなかったので、障害物も活かしつつごり押しでなんとか逃走は継続できた。しかし、このシチュエーションに関しては「ビビった」ということをちゃんと白状するしかない。

本当にガチでホラーゲームが苦手という友人が二人いるのだが、よく画面共有でプレイを観戦させてもらっている。もし彼らがこの場面に遭遇したとしたら、間違いなく『Discord』のノイズフィルター(叫び声などの異常な音声をシャットアウトしてくれるようになっている)が発動するだろう。

安全地帯があるという安心感、クリーチャーの行動パターンも攻略して慣れた頃合い。絶対安全のスカイダイビングに挑んだつもりだったのに、なんとパラシュートが開かないというまさに急転直下に陥る。

しかも、この流れは、序盤のゴールたるヒューズの入手が近づくに従って加速していく。筆者が本作を「ホラーのテーマパーク」になぞらえたのはこのあたりのフェーズで受けた印象が強く作用している。

本作はプレイヤーを「恐怖で楽しませる」やる気で満ちている。

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安全地帯がどんどん奪われていくわけだが、クリーチャーが急に強くなるわけではない。冷静なら打開できる。


一人称視点も三人称も自由に選べるようになったが、最高の恐怖体験に目減りはないのでお好みで

筆者が本作の情報で気になったポイントは三点あり、「レクイエム」というタイトルに、「ラクーンシティ」という舞台、そして「視点の切り替え」だ。

実のところ手前の二つに関しては、先行体験では謎と興味が深まるばかりだった。この先が楽しみだ。

一方、視点の切り替えに関してはわかったことがある。そして、少し思い違いをしていた点もあった。

たとえば、『PUBG: BATTLEGROUNDS』のTPP(三人称視点)モードでも一人称視点に切り替える操作ができる。なので、肩越しカメラだと制約を受ける狭い室内などではあえて一人称に切り替えるといった攻略が有用になっている。

ただ、本作における視点に関してはオプションで変更が可能というものであり、ワンボタンで切り替えができるというものではなかった。つまり、筆者は「視点を切り替えながら攻略するものと勝手に思っていた」のだが、実際は「好きな視点を選んで遊べる」という趣のモノだった。

もちろん、オプションでいつでも切り替えることができるので、攻略的に切り替えるのもアリだ。

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三人称視点の方が当然視野が広くみえる。ちなみに、筆者は一人称でも三人称でもちゃんと高いところにある工具を見逃してしばらくウロウロしたので、探索は丁寧にやるに越したことはない。
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同じシチュエーションでも一人称視点では雰囲気がガラッと変わる。

後にDLCでTPSモードが追加された、第8作にあたる『バイオハザード ヴィレッジ』や、リメイクにあたる『バイオハザード REシリーズ』のことを考えると三人称視点の需要はやはり高いのかもしれない。

ただ、筆者は根っからのFPSゲーマーなので、一人称視点で遊べるのは非常にありがたいと感じた。当然、TPSやアクションアドベンチャーが好きな方からすれば、筆者とは逆のことを思うだろう。

これまで述べてきた部分でもあるが、本作の恐怖体験は綿密に設計されたシチュエーションの変化が軸にあると筆者は感じている。いつ襲われるかわからないプレッシャー、追い続けられる恐怖、与えられた安心が奪われる転落……と、30分に満たないプレイでも味わいは密で多彩だった。

何度か視点を変えながらプレイしてみたが、本質的な怖さは今回プレイした範囲では視点に強く依存しないというのが個人的な結論だ。

なので、怖いのが苦手すぎるという人はノータイムで三人称を選んでいいと思う。大丈夫。また、一人称の方が没入感があるのは言うまでもないが、三人称視点では逆に恐怖するグレースの姿もはっきり見えるので、また違った相乗効果を味わうことができるだろう。

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ちなみに、今回体験した環境のデフォルト設定は一人称であり……つまり公式のオススメ一人称ということになる。こちらはご留意いただきたい。

筆者はどうしてもホラーでは恐怖感を抱きにくい人間なのだが、ジャンプスケア(文字通り、いきなり驚かせる系で、耐性がある人の方がマレ)以外でビビったのは本当に久しぶりだった。

冒頭でも話題に出した、本作が意識しているという『バイオハザード7』はシリーズの“ホラー”の側面を強く押し出した一作だった。当初プレイしたときはリブート作かと思うほどの異色の出来映えだ。しかし、終わってみればナンバリングのバイオハザードとしてふさわしい内容だったと言える。

一方の『バイオハザード レクイエム』に関していえば、今の時点で『バイオハザード7』の序盤よりも圧倒的に純粋な怖さは上回っていた。『7』は個人的には、どちらかというと得体のしれない人間と相対する気持ち悪さが強く印象に残っている。

プレイした中では、本作は「真摯に怖く作られている」というイメージだ。怖くなるように、丁寧に真心が込められている。そんな恐怖を攻略して克服する体験はもちろん無上のものとなるはずだ。

また、怖がりの主人公であるグレースが成長を果たし、シリーズに隠された大きな闇が晴らされるのだとしたら、とストーリーに想像を巡らせても、非常に楽しみな一作になっている。

ライター
ストア派とシカゴ学派の観点から人生をゲームとして生きている。ライターとしてはクラス選択したばかり。esportsは嗜む程度で、ほとんど追う専・観る専。好きなゲームジャンルは、ハクスラ・放置ゲー・宇宙ゲー・工業ゲー。特に、『Factorio』には無上の喜びを感じ、クリアまでに1000時間かかるMODを完遂することが夢。趣味は漫画を読むことと、書籍とゲームを積むこと。3度の飯ほど『弐瓶勉』作品が好き。
Twitter:@abaranche
編集者
3D酔いに全敗の神奈川生まれ99’s。好きなゲームは『ベヨネッタ』『ロリポップチェーンソー』『RUINER』。好きな酔い止めはアネロンニスキャップとNAVAMET。
Twitter:@d0ntcry4nym0re

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