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『FFVIIリバース』では「オープンフィールドを探索する楽しさ」も「『FF』ならではの王道ストーリー体験」も両方味わえる。「100時間は簡単に超えてしまう」ボリュームと世界の広さを表現する制作手法とは

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「本当にあの物量で序盤だというのか……!?」

2月29日に発売を迎える『ファイナルファンタジーVII リバース』の先行体験会にて、「グラスランドエリア」にフォーカスしたフィールド探索諸々を味わった翌日。筆者の脳裏にはあの規模への驚きと、「あれと同じぐらいの規模マップが他にもある」との情報に対する戸惑いが残り続けていた。
また、「オリジナル版の時はあのエリア、どんな感じだったのだろう?」とも気になり、調べてみた結果、出てきたのはいかにも昔ながらのRPGらしいワールドマップ。

「これがあのようなオープンフィールドに!?」と驚いたのは言うまでもなかった。同時に勢いのまま、PlayStation Storeへとアクセスして、オリジナルのHDリマスター版を”ポチッ”としたりしたのだが、それはさておき。

そんな先行体験の後日、今作『ファイナルファンタジーVII リバース』でディレクターを務められた浜口直樹氏、プロデューサーで『ファイナルファンタジー』シリーズ全体のブランドマネージャーも務める北瀬佳範氏へのインタビューが実施された。

特に今回の体験会で大きな関心を抱いたのは、あの規模のオープンフィールドがどのような流れで作られていったのか、そこに込められた多くの新要素・システムにまつわる意図、そして前作から一新されたゲームデザインの方向性にまつわることだ。

ゲームの根幹部分にまつわる話が主体になったため、多くは浜口氏が回答する形になったが、どのようにして今回の『ファイナルファンタジーVII リバース』のフィールド探索にフォーカスしたゲームデザインは構築されていったのか、いろいろとお聞きできたその模様をお届けする。

聞き手/シェループ実存


操作キャラクターの”難題”にも向き合いつつ、広さと位置関係優先で構築されたオープンフィールド

──本日はよろしくお願いいたします。まずいきなりなのですが……確認させてください。先行プレイで遊べたChapter 2はメインストーリーの「序盤」なんですよね?

浜口氏:
はい、序盤も序盤です(笑)。

──「このボリュームで序盤!?」と一通り体験して驚きまして……。「ワールドレポート」に「サブクエスト」、そしてメインのストーリー部分と、どのコンテンツも全部やり尽くすだけでもChapter 2の時点で10時間を余裕で超えそうで、全部のエリアをコンプリートしながら進めていった場合、どうなってしまうんだ!? と戦慄しました(笑)。やはり100時間は余裕で超えてしまうのでしょうか。

浜口氏:
本当に全部のエリアをコンプリートしながら進めていくとなれば、100時間は簡単に超えてしまうと思います。

『FFVIIリバース』「100時間は簡単に超えてしまう」ボリュームと世界の広さを表現する制作手法とは_001

あと、グラスランドエリアのボリューム感が他のジュノンエリアなどでも同じように展開されていくと想像してもらっていただいて大丈夫です。グラスランドエリアだけが作り込まれていて、他のエリアに行ってみたらスカスカでした、みたいなことにはなっていませんので!(力説)

──その規模感に少し恐怖しつつも楽しみにしています(笑)。実のところ私自身、『ファイナルファンタジーVII』は前作のリメイク版が初体験でして、オリジナル版のプレイ経験はないんです。それで今回、先行プレイの後に「原作のグラスランドエリアってどんな感じだったんだ?」と気になってちょっと調べまして。

それで「純粋なRPGのワールドマップだ」と知ると同時に、「これがリバースでこうなるのか……?」と驚いたのですが、実際にオリジナル版では本当にエリア間の中継地点に過ぎなかったワールドマップを今回のような起伏のあるオープンフィールドに一新するに当たっては、どのようなことに気を遣ったのでしょうか。

浜口氏:
一番は広さの定義ですね。前作は「道だと思うところだけ歩ける」というゲームデザインでしたが、今回はワールドマップで、いろんなところを歩けるようになるので、そこは制作において最も気を遣った部分です。

『FFVIIリバース』「100時間は簡単に超えてしまう」ボリュームと世界の広さを表現する制作手法とは_002

ただ、我々の住む現実世界規模でのワールドマップをゲーム内で表現するというのは、スケール的に難しいとは思うんです。それでもなお、「大陸を移動しながら冒険する」という体験として、「広いな」と思ってもらえて、なおかつ遊びのコンテンツもたくさんあると感じてもらえるものを目指したいと思い、ゲームとして作りきれる現実的な広さを突き詰めていきました。

──あの規模のオープンフィールドを作り切れた、というのはスクエニさんの開発規模感で考えてみてもけっこう大変だったのではないかと思うのですが、その「広さ」を突き詰めるに当たって細かく検討されたのでしょうか。

浜口氏:
そうですね。一番最初は見た目のデザインよりは位置関係、広さを優先的に決めていきました。

その時点ではフィールドにどんなコンテンツを設けるかは決まっていなかったのですが、ひとつのエリアに30から40ぐらいのポイントがあって、これぐらいの広さであれば少し歩くだけでも頻繁に見つかるし、ユーザーさんも「広い」と思ってくれるだろうな、と詰めていきました。
あと、いろいろなオープンワールド的なゲームも世間では出ていますので、それらを広さの参考にしたりもしましたね。

──見た目のデザインとなりますと、オリジナル版を体験されているユーザーの方々にはそれぞれのグラスランドエリアのイメージがあると思うんですが、その辺りはスタッフの間で議論があったのでしょうか。

浜口氏:
そこは遊びを考える側とアーティストの双方で方向性を確認し合って、よい落としどころを目指すという感じで進めていきました。アーティスト側はオリジナル版の資料を基にコンセプトアートを描いて雰囲気や世界観を定め、遊び側は遊びとして考える感じですね。

特に遊びの側では、「新しいエリアに訪れたら、前のエリアとは違う探索が楽しめる」ということを目指したんです。今回の先行プレイでもチョコボが出てきますけど、グラスランドエリアのチョコボは一番スタンダードなチョコボと言いますか、基本的には早く走ることしかできないんです。

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ただ、他のエリアに行くと「山チョコボ」という山を登れるチョコボが出てきたり、「空チョコボ」という空を飛べるチョコボが出てきて、違った探索が楽しめるんですね。そういったエリアごとに違った手触りを実現させるという方向から、アーティストとやり取りしつつ、フィールドの構造が決められていった感じですね。

──なるほど……。ちなみにその他のエリアのチョコボというのは、別のエリアにも連れてこられるようになっているのですか?

浜口氏:
基本的には生息地ごとの生態ということで、エリアごとに固有の特徴を持ったチョコボが使える感じです。

ただ、それぞれのエリアのチョコボを仲間にしていくことで、「ゴールドソーサー」の「チョコボレース」で選択肢が増えるという風にはなっています。

──エリアごとに違う探索が楽しめる方向性を踏まえた設定なのですね。その探索に関しては今回、段差を越えたり、崖を登るといったパルクールのアクションが可能になっています。これはどんな経緯から実装されることになったのでしょうか。

浜口氏:
今回はワールドマップ、オープンフィールド上でのプレイ時間がすごく長くなっているんですね。なので、そこに対していろいろなリアクションがないと、フィールドとコンタクトしている感じが出ないんです。その手応えを出す狙いからパルクールが導入されました。

また、バリエーションも豊かにしないと似たようなゲームのクオリティにも届きませんので、段差や崖ごとに数種類用意したり、クライミング、泳ぐといったものも入れるなりして頑張りました。

ただですね……それをやったことで、ものすごく苦労したことがありまして。オープンワールドのゲームって基本、プレイヤーが動かすのは主人公ひとりじゃないですか。いるとしてもゲストがひとり、ふたりぐらいで。一方でうちの場合は7~8人もいるんですよ(笑)

──言われてみれば、たしかにオープンワールドゲームでそれだけの人数の仲間を連れた状態で探索するのは珍しいですね。

浜口氏:
ですから、アクションをひとつ付けると人数分の掛け算になりますので、デザイナーからは「こんなにモーション作るんですか!?」と、すごく嫌な顔をされました(笑)。

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とはいえ、キャラクターがたくさんいて、ワイワイ賑やかにやるのがこのゲームの特徴でもありますからね。それに今の時代、アセットのコストなども含めて実現しにくいことに挑んでいるのも売りであると思いますから、そこはもう、デザイナーに全キャラクター分を頑張って作ってもらっています。

バトルも基本的には参加メンバーは3人なんですが、それ以外のメンバーも離れた場所にいるとか、バレットであれば「援護射撃してくれる」といったように戦闘に参加している感を出しています。あれも本当に賑やかしで、その分の負荷とメモリも割いているんですけど、そこは「このゲームの特徴なんだから」と、コストをかけています(笑)。

──お話を聞いていると、「ジャンプ」を入れるのも大変そうに思いましたが、実際に開発中にジャンプは検討されたことがあったのですか?

浜口氏:
それは開発の初期に議論がありましたが、早い段階でオートラン方式に決定しました。任意ジャンプがあると、結果として操作と探索が複雑になってしまうんですね。

その複雑さをユーザーさんに求めるよりは、基本的にはダッシュボタンを押していれば気持ちよく走って動き回れるようにして、探索とその中のミニゲームでアクションを求める方に振った方が遊びやすいだろうということで、現在の形になりました。

──むしろ、ジャンプできるようにするとアクションをさせたくなってしまう感じでしょうか。

浜口氏:
そうですね。また、ジャンプできるようにすると、それはそれで3Dアクション的な自由度、探索度を想像してしまうことがありますので、そちらに振るよりかは操作のしやすさに持っていきました。

空を飛べるとか、そのようなアクションはチョコボでもやらせたかったので、探索の拡張性の部分に関してはそちらに振り分けた形です。

前作のようなストーリーを追う体験にも“プレイヤーが選んでいる”感覚が出る

──今回体験したChapter 2は、『クイーンズ・ブラッド』というカードゲームのスターターセットが手に入るというところから始まって、「あれ? カードゲームが始まるの?」という驚きと戸惑いがあったのですが、『クイーンズ・ブラッド』は今回のミニゲームの中でも特に推しているものなのでしょうか。

浜口氏:
『クイーンズ・ブラッド』は推しているミニゲームのひとつであることは間違いないです。他にもチョコボレースとか、同じレベルで作り込んでいるミニゲームは複数ありますので他のミニゲームにも期待してほしいです。

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あと、あそこにカードゲームを置いたのには明確な意図があるんです。今回の先行プレイではChapter 1もその範囲に入っていますが、Chapter 1というのは前作と同じ、ストーリー体験にフォーカスした”ストーリードリブン”な内容になっているんですね。

それを経てのChapter 2ではオープンフィールド、ワールドマップの探索が始まるのですが、その冒頭に本編とは違うものが入ってくると「あれ?このゲーム、どう広がっていくんだ?」という期待感と、いい意味での違和感を抱くだろうと思いまして。そういう変化球的な意味合いで設けています。

それで『クイーンズ・ブラッド』が気になった方は「カーム」の街中にカードプレイヤーが居ますから、対戦を楽しんでもらうのもいいですし、早くグラスランドエリアに出たい人はそちらに向かってもらうという選べる感じにしているんですね。

──『クイーンズ・ブラッド』のサブクエストに専用のストーリーが用意されていたことも気になっていまして。ボリュームも大きめなのでしょうか。

浜口氏:
結構大きめです。ユーザーさんの知っているネームドのキャラクターが対戦相手として出てくることもありますよ。また、それとは別に本編であるメインストーリーにも『クイーンズ・ブラッド』は関係してくるんです。

──えっ、メインストーリーにも関係してくるんですか!?

浜口氏:
はい、関係してきます(笑)。なので、気に入っていただけた方にはすごく楽しんでいただけるかと思います。

また、今回はどのコンテンツもそうなのですが、それぞれを楽しみたい人もいれば、逆にメインストーリーをサクサク進めていきたい人もいると思うんですね。そのことも踏まえまして、どれもいつでも中断したり、リタイアできるようにしていまして、「攻略しないと進めません」みたいな縛りは絶対に設けないようにしています。

──そのメインストーリーを進めていく過程で気になったのですが、今回の先行プレイのゴール地点として設けられたイベントは、難易度「ノーマル」だと、ある程度キャラクターのレベルを上げたり、寄り道をしてアイテムやギル(お金)を集める必要があるバランスに感じられました。これが今回は体験しなかった難易度なのですが、仮に「イージー」ですと寄り道せずにストーリーの流れに沿ったまま進めていけるバランスになっているのでしょうか。

浜口氏:
そうですね。基本的にイージーはストーリーだけを楽しみたいユーザーさんのためということで、寄り道をしなくても行けるようになっています。ただ、ノーマルでも頑張ればなんの寄り道もせずに乗り越えられるバランスになっています。基本はワールドレポート、サブクエストをこなしてレベルを1~2ぐらい上げると楽に進められるという感じです。

メインストーリーにしてもサイドコンテンツにしても、すべての要素に推奨レベルが分かるようにしているのでそちらを参考にして進めてもらうことをお勧めします。

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今回はユーザーさんに進め方を委ねたいので、昔ながらの『ファイナルファンタジー』らしく、単純に敵を倒してレベルを上げるという攻略法もあるのですが、他にもサブクエストをクリアするだけでも多めの経験値が得られるようになっているんです。

なので、1~2個サブクエストをクリアしてメインストーリーを進めるというやり方でもいいですし、ワールドレポートの討伐拠点を数個クリアしてレベルを上げるみたいなやり方でもいいんです。大体、レベルが1~2ぐらい上がったら次に進んでみようかなと受け取ってもらえるようなバランスを心がけた感じです。

──難易度については「ノーマル」以上のもので「アドバンスド」というものが用意されていましたが、この難易度はどんな経緯から実装されたのでしょうか?

浜口氏:
今回、ワールドマップのコンテンツがすごく多いんですが、中にはそのコンテンツ全てを埋めるまで進めたくないという人も一定数居ると思うんです。そうすると、キャラクターがどんどん強くなってしまい、コンテンツ全体を適度なバランスで遊ぶのが難しくなってしまうんですね。
ワールドマップをぐるぐる回って本編に戻ってみたら、敵を全員瞬殺できるようになって、すごく簡単になってしまったり。あと、先のエリアを進めて、またグラスランドエリアに戻って探索し直したい時もキャラクターがすでに強くなっていますから、簡単になってしまったりして。

まあ、そういう力押しが好きな人は全然そのまま楽しんでいただいていいのですが(笑)、歯ごたえのあるバランスでストーリーを進めたいユーザーさんもいるでしょうから、プレイヤーのレベルに応じて調整されていく難易度として実装しています。なので、緊張感を味わいながら遊びたいという方は「アドバンスド」で遊んでいただければと思っています。

王道のストーリー体験とフィールド探索の両立に挑んだ『ファイナルファンタジーVII リバース』

──しかし、Chapter 2の時点でこれほどたくさんのコンテンツがあり、難易度でも色んな楽しみ方ができるように作られていて。なおかつこれが三部作の2作目となりますと、逆に3作目はどうなるのか、こんなにいろいろ詰め込んでしまって大丈夫なのかと気になってしまうのですが(笑)。

浜口氏:
(笑)。まあ、このリメイクプロジェクトが1、2、3と来る中で、2作目が1作目の延長線として作ってしまうと、3作目の着地点がユーザーさんに見えてしまい、期待感が保てないじゃないですか。なので、1作目からの2作目はゲーム体験も含めて大きく進化させて変えるということが3作目への期待感にも繋がると思いますから、本当に今回は思いっきり振り切りました

また、3作目に関してはある程度ではありますが、こういう感じにしようというビジョンが頭の中にできつつあります。ですから、2作目以上に期待してもらって大丈夫なものにしたいと思っています(笑)。

──それはボリュームやゲーム性もガラリと変えるほどのイメージなんでしょうか?

浜口氏:
両方ですね。今作も1作目を遊んだことのあるユーザーさんなら「おっ!?」と感じていただけると思っていますが、また今作から3作目と遊んでいただいた時にも「おっ!?」と感じていただけるものにしたいと思っています。

──気が早すぎるかもしれませんが、楽しみにしております! そんな今回の『リバース』から新たに『ファイナルファンタジーVII』に触れるというユーザーの方も少なからずいると思うのですが、そのような方々に対して注目して欲しいところはありますか。

浜口氏:
前作『FF7リメイク』はストーリーを重点的に体験するストーリードリブンな内容でしたが、最近は自由度が高く、自分で選択しながら遊んだり、どんな風に遊ぶかを決めて楽しむユーザーさんが多いように感じているんですね。

『ファイナルファンタジー』は比較的ストーリーが主軸のゲームというのもありまして、なかなかそういうユーザーさんはストーリーを重点的に楽しむゲームには手を出さない傾向があるように思うんです。その点で今回は非常に自由度が高く、ユーザーさんが自由に遊び方を選ぶ体験が楽しめる『ファイナルファンタジー』になっています

なので、これまで『ファイナルファンタジー』を遊んだことがなかった方にも、新しい形の『ファイナルファンタジー』を体験いただけるタイトルになっていますので、ぜひ遊んでみていただきたいというのが作り手としての思いですね。

──逆にオリジナル版『FF7』や前作『FF7リメイク』を遊ばれた方に注目して欲しいところはありますか?

浜口氏:
今回、最もこだわっているのが『ファイナルファンタジー』ならではの王道ストーリーを楽しみたいユーザーさんと、自由な選択が好きなユーザーさんの「双方の願いを叶えたい」ということなんです。

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オープンワールドのゲームって、ストーリーが主軸のゲームとの相性が良くないというのはユーザーさんからもよく言われますし、我々としてもどんな落としどころがいいのかを日々考えているんですね。今作はそこに挑戦しています。ですから極端な例で言えば、ワールドマップをまったく探索せずにまっすぐ進んでいけば、前作と同じくストーリードリブンな『ファイナルファンタジー』が楽しめるようになっています。

ただ、今作が前作と明確に違うのは“ストーリーを選んでいる”感覚が出ていることですね。前作は1章が終わったら2章という感じに、次に行きたくなくても勝手にストーリーが進んでいく作りで、自分で選んでいるというよりは選ばされている感覚があったと思うんです。

今回はワールドマップ内に用意されたコンテンツの中からストーリーを自分で選んでいく感じで、プレイヤーの意志が介入してくるようになっています。なので、ストーリードリブンな遊び方であっても、前作とは違う納得感のある体験をしていただけると思っていますので、そこはアピールしたいところですね。

──オリジナル版から参加されている北瀬さんは今回の『リバース』の仕上がりをどう感じられていますか? また、北瀬さんから見た注目してほしい部分はどこになりますでしょうか。

北瀬氏:
『ファイナルファンタジー』には、「作り手が用意したリズム感で、緩急のある骨太なストーリーを楽しむ」という特徴があると思うんです。逆にオープンなフィールドでプレイヤーが自分のペースで自由にコンテンツを楽しんでいく遊びとは食い合わせが良くなく、両立させるのは難しいという事情があったと思うんです。

今作はその2つが上手く両立されていまして、ワールドマップの探索と『ファイナルファンタジー』王道のストーリー部分を自分のペースで進められて、なおかつ一旦休んだりすることもできるようになっています。そこが今までの『ファイナルファンタジー』とは違った感じになっていますので、じっくり楽しんでいただければと思いますね。

──いまおっしゃられたように、オープンワールド的な作り方と骨太なストーリーを合わせるのはやはり難しいと言いますか、うまくバランスを取るのはかなり難度が高い試みだったのではないかと思います。それを仕上げていく過程での試行錯誤はどのようなものだったのでしょうか。

浜口氏:
私の中では最初から、融合させるというよりも“明確に分ける”というビジョンがありました。この段階ではストーリーを体験させる、そしてそれが一区切りしたらワールドマップの探索を体験させる……という切り分けですね。

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今回、野島さんから最初にストーリーの脚本を受け取った時にも、ここではワールドマップを探索させたい、ここではストーリーを盛り上げるという感じに一回、調整していただきまして、それが現在の最終的な形となっています。
なので、チーム全体がその試みを試行錯誤したというよりは、目指すべきところをハッキリさせた感じです。

──他のエリアの探索も含め、本編全体を体験できる時を心待ちにしております。本日はありがとうございました!(了)

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前作と同じようにストーリーを追いかける体験であっても、プレイヤー自身が選んでいるという手応えが出るようになっている。そのことに関しては、先行体験会でも確かに感じられた。実際、筆者は今回のゴール地点とされたイベントが発生する場所へといつ向かうか向かうまいかと、タイミングを測り続けることがあったのだ。

このようなタイミングを測ること自体は前作の一部のChapterにも存在していたが、今回はメインストーリーへと進んで終わらせた後にも、ワールドレポートやサブクエストの続きに挑めるようになっていたのは明らかに違うところで、プレイヤーに進め方を委ねる方向性を物語っている部分と言える。

また、難易度ノーマルでもストーリー主導で進めることは可能というが、例のゴール地点のイベントを体験した限りではけっこう手ごわそうな印象だ。そもそも、レベルを1~2ほど上げてから挑んでも割とギリギリだったことから、アクションと戦術に自信のあるプレイヤー向けかもしれない。ただ、そのような突撃も試せるほど今作には懐の広さがあるようで、本当にプレイヤーそれぞれで違った攻略法というものが生まれてきそうだ。

2作目にしてここまで物量と規模の大きなものを作られたとなると、3作目はいったいどうなってしまうのだろう? と心配になってしまうが、その辺りも踏まえ、期待以上のものを目指すと浜口氏からは力強いコメントがあった。2作目が発売というタイミングでは気が早すぎる話ではあるが、ここから今回の『ファイナルファンタジーVII』のリメイクプロジェクトがいかなる進歩を見せるのか、注目したいところだ。

ライター
新旧構わず、色々ゲームに手を伸ばしては積み上げるひよっこライター。アクションゲーム(特に『メトロイド』、『ロックマン』)とストラテジーが大好物。フリーゲーム、VRゲームの動向もひっそり追いかけ続けている。
Twitter:@shelloop
デスク
電ファミニコゲーマーのデスク。主に企画記事を担当。 ローグライクやシミュレーションなど中毒性のあるゲーム、世界観の濃いゲームが好き。特に『風来のシレン2』と『Civlization IV』には1000時間超を費やしました。最も影響を受けたゲームは『夜明けの口笛吹き』。
Twitter:@ex1stent1a

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