「この規模と物量で“序盤”って、本気で言っているのか……!?」
それが2月29日に発売される『ファイナルファンタジーVII リバース』(PlayStation 5)の先行体験会における目玉、「グラスランド」のフィールド探索とイベントなど諸々を体験した筆者の脳裏に過ぎった一言であった。
1997年の発売から25年以上が経った今もなお、根強い人気を誇る名作RPG『ファイナルファンタジーVII』。そんな『ファイナルファンタジーVII』のフルリメイク作品として誕生したのが、2020年発売の『ファイナルファンタジーVII リメイク』だった。
前作は発売の当初から分作による展開が告知されており、後に全3部作になることが公式に発表。今回の『ファイナルファンタジーVII リバース』は、そんな3部作の2作目に当たる作品で、フィールドマップの探索要素が大きなセールスポイントになっているという。
……と、基本情報を書きはしたが、実は筆者、『ファイナルファンタジーVII』に関してはドが付くほどの初心者である。1997年発売のオリジナル版を遊んだ経験はなく、前作のリメイク版も同様であった。
そんなこともあって、いい加減“直接”体験せねばとの思いもあったことから前作のリメイク版を一通り遊んで、体験会参加を決意したのだが……それでもストーリーやオリジナル版由来の小ネタにまつわる事柄はレポートできそうにない。
よって、今回の『ファイナルファンタジーVII リバース』最大のセールスポイント、探索周りを実際に体験してどんな感じだったのかを本稿では中心的に取り上げたいと思う。
「それで実際、どうだったのよ」と言えば、冒頭の通りだ。本当にこれが序盤……だと!?
文/シェループ
※今回の体験会では4K画質による高解像度を重視した「グラフィックモード」の設定でプレイしています。
フィールド探索が本格的に解禁されるリメイク第2弾『ファイナルファンタジーVII リバース』
最初に『ファイナルファンタジーVII リバース』の基本的なゲーム内容を紹介しておきたい。基本は前作『ファイナルファンタジーVII リメイク』と同じで、敵との戦闘(バトル)、クエストといったイベントをこなしながらストーリーを進めていくアクションRPGだ。
オリジナル版『ファイナルファンタジーVII』との大きな違いはバトルシステムで、3Dのフィールド上でリアルタイム進行するアクションゲームスタイルになっている。ただ、『ファイナルファンタジー』シリーズお馴染みのコマンドバトルの要素もあり、×ボタンを押すとコマンドメニューが開き、周囲の時間が遅くなる「ウェイトモード」に移行。
この時、キャラクターそれぞれの「ATBゲージ」が溜まっていると「アビリティ」「まほう」「アイテム」のコマンドが使えるようになり、いずれかを選んで決定すると、キャラクターがそれに準じた行動を取ってくれる。
「ATBゲージ」は時間経過や、□ボタンで繰り出す通常攻撃「たたかう」などのアクションをするたびに溜まっていく。一度行動を取るとその種類に応じてゲージが消費され、すべて空になると各種コマンドは使用不可に。再度、使えるようにするには前述の方法を行ってゲージを溜めていくという形だ。
『ファイナルファンタジー』シリーズでは、4作目の『ファイナルファンタジーIV』にて初登場し、オリジナル版『ファイナルファンタジーVII』にも採用されていた通称「ATB」こと「アクティブタイムバトル」の要素をアクションゲームのスタイルに落とし込んだ感じである。
このようなコマンドバトルとアクションを融合させたものにリメイク版のバトルシステムは完成されている。他にも「リミット技」、「バースト」といった要素が存在するのだが、その辺は解説すると長くなるので割愛する。
『ファイナルファンタジーVII リバース』でもこのバトルシステムは健在。新たに「ATBゲージ」を溜める必要もなく繰り出せる「連携アクション」、2人のキャラクターが協力して繰り出す強力な攻撃「連携アビリティ」なる要素が追加され、戦術の幅が広がっている。この辺の詳細に関しては、2023年9月に開催された体験会のレポートで紹介されているので、そちらを参照いただきたい。
なお、前作の『ファイナルファンタジーVII リメイク』は、ストーリーを重点的に体験させるゲームデザイン、いわゆる“ストーリードリブン”とも称される作りになっていた。どのような作りかを端的に言えば、ストーリーで決められた流れ(一本の道)に沿って遊ぶ感じだ。もっとかみ砕けば、マップに表示された目的地に向かうことを繰り返しながら進めていくというものである。相応にフィールドも狭くされ、行動範囲もある程度絞られたり、次の章(CHAPTER)に進むと後戻りできなくなるといった制限も設けられていた。
今回の『ファイナルファンタジーVII リバース』も前作と同じく、章単位でストーリーを描くスタイルが採用されている。特に今回の体験会における目玉、「CHAPTER 2」の前座としてプレイした「CHAPTER 1」は、ほぼ前作通りの“ストーリードリブン”な作りとなっている。この「CHAPTER 1」の一部も前述のレポートに記されているので、詳しくはそちらを参照いただきたい。
そんな「CHAPTER 1」を経て始まるのが「CHAPTER 2」だ。前作のラストで「魔晄都市ミッドガル」から脱出したクラウドたちが行き着いた街「カーム」と、その外に広がる草原地帯「グラスランド」を舞台にした章である。ここから今回の『ファイナルファンタジーVII リバース』最大のセールスポイント、フィールド探索が本格的に幕を開けるのである。
■思った以上に広くて盛りだくさんのグラスランド。その探索開始直前にもいろんな要素が……
ただ、「CHAPTER 2」もその始まりはある程度ながら、前作を踏襲している。具体的にどんなストーリー、イベントが展開されるのかは見てのお楽しみということで伏せるが、ひとつだけ紹介すると、この章の始まりはカードゲームのチュートリアルとなっている。
章の開始間もなく、クラウドは『クイーンズ・ブラッド』なるカードゲームのスターターセット(「カードゲームスターター」)を入手。それと共にこのカードゲームのチュートリアルが始まり、練習を兼ねたバトルをすることになるのだ。
「あれ?『ファイナルファンタジーVII リバース』を遊んでいるんだよな?」「このゲームって、カードゲームじゃなくてアクションRPGのはずだよね?」と戸惑う展開だが、実際、本当にこんな始まり方をする。しかも、ちゃんとカードを集めて自分だけのデッキを構築したり、詳細は後述するが、街中のカードプレイヤーと対戦することもできるようになっている。
なお、具体的なルールに関しても実際にゲームをプレイして確かめていただきたい。仮に解説でもしたら、本稿が『ファイナルファンタジーVII リバース』ではなく、『クイーンズ・ブラッド』の記事になりかねないからだ。「どういうことだよ」と言われても、本当にその恐れがあるのだから仕方がない。そんな変化球に等しい展開から「CHAPTER 2」は始まり、諸々を経て「グラスランド」のフィールドへと出ることになる。
前作は割と行動範囲が限られていたし、「CHAPTER 1」もそういう感じがあった。どれだけ広がるのだろう、そして規模感はどうなのだろうと気になりながら、いざその場へと飛び出してみると……
ひ、広い!思っていた以上に広い!
しかも、バッチリしっかり歩き回れる。範囲が限られているみたいなこともなく、自由に動ける。新たに追加された「パルクールアクション」を使えば、段差も軽々と飛び越えられる。
フィールド上にも複数の宝箱が隠されている探索可能なトレジャースポット、素材アイテム、そしてRPGお馴染みのモンスターといった要素がある。なお、素材アイテムは今作初登場のシステム「アイテムクラフト」で用いるものとなっている。
「アイテムクラフト」はその名の通り、「ポーション」を始めとするアイテムを素材アイテムから作り出せるというものである。今作ではお店での購入以外に、自分で作り出すということも可能になったのだ。また、クラフト専用のレベルも存在し、上昇すると特別なアイテムも作れるようになる。
このような新要素が導入された関係で、フィールド上には素材アイテムがあちこちに落ちている。なので、フィールドを積極的に探索すればするほどたくさん手に入り、クラフトによる所持アイテムの充実も図りやすくなる。フィールド以外にバトルなどの入手経路も用意されているが、そこにも探索が関係してくるのもあってか、プレイヤーの自主性が問われる感じだ。
少々脱線したが、グラスランドに出て早々にこういった“できること”が出てくる。もちろん、それとは別にメインストーリーを進めるというのもあり、そのままマップ上で目的地とされた場所まで真っすぐ向かうのもありだ。ただ、前作と違うのはメインストーリーであっても向かうか否かを選べることであり、その辺が今作の探索にフォーカスしたゲームデザインを象徴するものになっている。
ただし、念のため言っておきたい。これでまだ“序の口も序の口”である。
そもそも、実はカームの街からグラスランドのフィールドへと出る合間にも、パーティメンバーと交流を深める好感度イベント、「連携アクション」などの新要素の習得やステータスの強化に関係した「スキルブック」といった新要素が解禁されていたりする。
この「CHAPTER 2」をすべてやり尽くすだけでも前作の中盤並みの時間を要するのは確実!?
そして、グラスランドを舞台にしたストーリーをある程度進めると、『ファイナルファンタジー』シリーズお馴染みのマスコットキャラクターの「チョコボ」を呼び出して、フィールドを高速移動できるようになる。同時に「ワールドレポート」なる新要素が解禁。
この「ワールドレポート」がどんなものか、簡単に言うならば「フィールドの全容を明かすことに挑むミッション」である。基本的にミッションことレポートはフィールドのどこかに建てられた「通信塔」の起動、レアで強力なモンスターに挑む「討伐拠点」など数種類あり、それぞれを攻略するたびに「解析ポイント」が手に入る。
この解析ポイントが溜まれば溜まるほど、「まほう」の習得やステータス向上を図る装備アイテム「マテリア」の新種が開発できるようになっていく。前作のリメイク版を遊ばれた方なら想像がつくかもしれないが、要は前作における「バトルレポート」が置き換わったものである。実際にこの「ワールドレポート」のガイド役を務めるのも、「バトルレポート」でも担当したチャドリーとなっている。
しかも、どのレポートを進めている最中にもチャドリーからの通信が入るため、前作よりもその露出機会が増えている。
そして、これはもしかするとネタバレになるかもしれないが……既に2023年9月の体験会レポートでも“謎の音声”として言及されているどころか、上記の通り動画にもなってしまっていることから紹介してしまうことにしよう。
「討伐」のレポートに限り、チャドリーは女の子になる!
厳密には新キャラクター「MAI」(正式名称:Monster Assessment Instrument)がそのガイド役として登場し、戦闘中にその情報をリアルタイムで伝えつつ、実況してくれるのだ。なお、チャドリーとどんな関係にあるかは語られていない。登場も通信時に限定されていて、現実側に本体が存在するかも不明である。どことなく今で言うところのVTuberというか、筆者的にはネット上のナビというか、ウィザーなんとかが脳裏をよぎるというか。
そんな新たなイベントが「チョコボ」と共に解禁される。ちなみにグラスランドエリアだけで30個ある。もちろん、これとは別に前作にもあった「なんでも屋の仕事」ことサブクエストもあり、ストーリーを進めていくと同時に複数解禁される。中には『クイーンズ・ブラッド』に特化したカードバトルゲームなサブクエストもあったりする。
また、フィールドには『ファイナルファンタジー』ではチョコボに次ぐマスコットキャラクターでもある「モーグリ」が住まう「モーグリハウス」もあり、これにちなんだイベント、ミニゲームも用意されている。そして、小さなものではあるが遺構に隠された宝箱を探し出すといったものもあるほか、前作にもあった仮想空間上で「召喚獣」とのバトルに挑む要素もある。
大体、体験した範囲内でピックアップしたが、前述の序の口も序の口というのは察せたと思われる。とにかく「できることが……多い!」。特に「ワールドレポート」が解禁されて以降は一気にそれらの要素が増えるのみならず、そちらでしか描かれないストーリー、探索も体験できるだけあって、何ができて、何が得られるのか気になって進めたくなってしまう。
その結果、プレイ時間もどんどん伸びていき、気づけば10時間に届きかけていた。前作をストーリー中心に進めていった場合なら、大体「CHAPTER 9」辺りに到達しているぐらいの時間である。どういうことなのかはお分かりいただけただろうか。
なので、「この物量で序盤って、本気か……!?」と言いたくなったのである。今回のペースで進めていくとしたら、最終的に一区切り着くまでにどれほどの時間を要しているのか。想像するだけでも恐ろしい。
ただ、単純にストーリーを追いかけることに徹する、前作に近い遊び方も可能だ。実際、一連の要素を無視した場合、チョコボが使用可能になる辺りで、今回の体験会のゴール地点として設定されたイベントまでは行けるようになっていた。
おそらくだが、難易度を「イージー」にしてプレイした場合であればもっと早く進められるだろう。ただ、基本の「ノーマル」ならそのイベントまで行くといろいろと大変なことになるかもしれない。これも何がそこで待っているのかは伏せさせていただくが……。
しかし、前作と同じ遊び方をしたとしても、今作ではプレイヤーがその遊び方を“選んでいる”と、ゲーム側に引っ張られていない感じになっているのは大きな見所だろう。ある意味、昔ながらの『ファイナルファンタジー』に近い遊び方ができるようになっている。
「ワールドレポート」にまつわるミッション、そして「ファストトラベル」などの機能などで現代的に設計されてはいるものの、自分のペースでストーリーもサブクエストも進められる設計は、そのような『ファイナルファンタジー』が好きだった人ほど刺さると同時に、「待っていました!」という思いに浸れるだろう。
そんなプレイヤーが遊び方を選べる作りになっているということを、今回の先行プレイではヒシヒシと筆者は実感させられた次第だ。とりわけ前作のリメイク版の経験があったことも、その決定的な違いをより強く抱かせることに繋がっている。なので、前作のリメイク版をプレイしていた時に「もっと探索したい!」という欲求不満を抱いた人ほど、今作はそれを解消してくれるはずだ。
物量が物量だけに「もう食べきれません……!」となる可能性もあるが。
いろんな意味で製品版の発売とその総スケールに戦々恐々のこの頃
いや、実際に序盤も序盤とされる「CHAPTER 2」がこの物量となると、今作の全てを遊び込もうとした場合、どんなことになるのかと戦慄してしまうものがあるのだ。100時間超えでは済まされない気がしてならない。
物量の大きさで驚かされたが、細かい部分でも「そんなことまで……!?」と驚かされる場面がいくつかあった。
例えばバトル。基本的に参加は3人までになっているが、その参加しないメンバーも外側で動き回っていたり、バレットに至っては援護射撃をしてくれるようになっている。これからストーリーが進めば、おそらく仲間の数は増えると思われるが、そうなるとこの辺りの表現がどうなってしまうのか、いろんな意味で気になってしまう。
また、カームの街とグラスランドはシームレスに繋がっている。それは他の洞窟や、オリジナル版を遊ばれたことのある人なら、何かが頭の中に浮かぶであろう「湿地帯」も同様だ。これと全く同じ作りのエリアが他にもあって、なおかつ探索可能になっていると思うと、本当にこれは「大作」という表現では言葉が足りないのではないかと思ってしまう。
それと同時に2作目でこの規模となると、3作目はいったいどうなってしまうんだ!? と思ってしまうのだが……。この辺りの話題は体験会の後日に行われた開発スタッフへのインタビューで伺っているので、気になればそちらをご覧いただければと思う。
何にせよ、『ファイナルファンタジーVII リバース』は前作の『ファイナルファンタジーVII リメイク』とは、まるで遊びの方向性の異なる作品になっていることは存分に思い知らされた。同時に自分なりのペースで遊べるRPG、探索に重きを置いたRPGを求めているプレイヤーの欲求にやり過ぎなぐらい応えてくれる内容になっている。
ただ、ストーリー的に見た場合は前作から地続きになっているため、ある程度の知識は必要になる。そのようなプレイヤーも踏まえて、ゲーム内には前作のストーリーをダイジェストで見れるメニューも用意されているほか、YouTubeのスクウェア・エニックス公式チャンネルにもその動画がアップロードされている。
また、ダウンロード版限定になるが、前作のPlayStation 5版『ファイナルファンタジーVII リメイク インターグレード』と『ファイナルファンタジーVII リバース』を『リバース』1本分の価格で購入できるお買い得なツインパックも展開される。純粋にストーリー以上に探索だけを楽しむスタイルでも今回の『ファイナルファンタジーVII リバース』は存分に遊べそうと思うが、ちゃんとストーリーも含めて体験したいとなれば、そちらを検討してみるのも選択肢だろう。
気が付けば、製品版の発売まで1ヶ月を切った。繰り返しになるが、序盤の時点でこんなに盛りたくさんなら、製品版は本当にどんなことになってしまっているのか。いろんな意味で戦々恐々かつ、ワクワクするこの頃だ。