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初代をリメイクした最新作『魂斗羅 オペレーション ガルガ』は、ランス・ビーンの復活で「本当の魂斗羅」へ。3Dグラフィックで蘇るラン&ガンアクション【『魂斗羅 オペレーション ガルガ』インタビュー】

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1987年よりアミューズメント施設にて稼働を開始した横スクロールラン&ガンゲーム、『魂斗羅』。第1作となる同作から、『スーパー魂斗羅 エイリアンの逆襲』『魂斗羅ザ・ハードコア』『真魂斗羅』と多くのシリーズ作品が展開されており、昨年9月に最新作として初代『魂斗羅』のリメイク作となる『魂斗羅 オペレーション ガルガ』が発表された。

初代『魂斗羅』の持つハリウッドの世界観を復活、発展させたという本作は、懐かしくも新しいサウンドトラックや、原点回帰した横スクロールのシンプルな操作、そして「ランス・ビーン」の復活と初代ファンを大いに喜ばせる仕様の数々を携えて登場した。

しかしながら、オリジナルキャラや武器固有のパワーと解き放つという新要素「オーバーロード」の追加、難易度オプション、そして3Dグラフィックでの描写によって新たなファンも取りこぼさない一作に仕上がっているようだ。

今回は3月12日(火)に発売が決定したばかりの本作について、コナミデジタルエンタテインメントのプロデューサー多田正平氏、コナミデジタルエンタテインメントのディレクター長曽我部明義氏、そして開発を手がけたWayForwardのディレクターTomm Hulett氏にインタビュー。プロジェクトのスタートからこだわり、新要素についてなど、初代愛に応えながらも新しい風を吹き込むその過程に迫る。

聞き手/久田晴


■『魂斗羅』シリーズをリブート(再構築)する

──『魂斗羅 オペレーション ガルガ』は初代『魂斗羅』のリメイク作となりますが、リメイクを決断された理由をお聞かせください。リメイクに踏み切るきっかけのような出来事はあったのでしょうか?

多田 正平氏(以下、多田氏)
KONAMIでは、数年前から「魂斗羅」シリーズのさまざまな可能性を検討してきました。そんな中、私とディレクターの長曽我部は、原点である第1作目の『魂斗羅』に戻り「魂斗羅」シリーズをリブート(再構築)するというアイデアを話し合っていました。

というのも、初期のタイトルに愛着を持っている『魂斗羅』ファンの方々がいまも多くいることを感じていたからです。KONAMI社内にも『魂斗羅』ファンは多かったことから幸いにもこのアイデアが支持され、プロジェクトがスタートすることになりました。

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──『魂斗羅』は1987年にアーケードで登場し、以降はさまざまな家庭用ゲーム機で移植・シリーズ作が発売されています。オリジナルの『魂斗羅』の魅力をどのように捉えていらっしゃいますか? また『オペレーション ガルガ』制作にあたり、とくに意識されたことがあればお聞かせください。

長曽我部明義氏(以下、長曽我部氏)
ゲームプレイに関しては、シンプルな操作で誰でも遊べる懐の広さと、ギリギリのところで敵を倒す緊張感。それが魂斗羅の魅力だと思います。

『魂斗羅 オペレーション ガルガ』では、そういった魂斗羅の本質的な面白さを取り戻すと同時に、ただ昔に戻った古いゲームではなく、現代的なゲームにアップデートすることに注力しました。

また、初期の魂斗羅はハリウッドのアクション映画を連想させる世界観を持ったゲームだったので、今作では初期タイトルが持っていた世界観を復活、発展させることも目指しました。

──昨年9月の発表時、当時のファンやシリーズファンを中心に「懐かしい」「またやりたい」といった声がたくさん見られました。発表の反響についてはどう受け止められましたか?

多田氏
まずは安堵しました(笑)。

私たちの狙いが魂斗羅ファンの方々にも伝わったようで、『魂斗羅 オペレーション ガルガ』で目指した方向性が正しかったことを確信できました。

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■「ランス・ビーン」を復帰させることにこだわった

──初代のリメイク作ということもあり、いわゆる“原作再現”的なところや、根強い人気を誇る楽曲面に注目されているユーザーさんも多いかと思います。当時からのプレイヤーに向けて、「ここは特に見て欲しい!」というこだわりのポイントなどもお聞かせください。

長曽我部氏
“原作再現”という点で、まず私たちは往年の魂斗羅ヒーローである「ランス・ビーン」を復帰させることにこだわりました。というのもランスは長い間、KONAMIの『魂斗羅』シリーズから引退していたからです。

『魂斗羅』シリーズは初期の作品から、2人カウチプレイ(協力プレイ)が特徴でした。魂斗羅はいわば「バディーゲーム」ともいえるタイトルだったと思います。ビル・ライザーとランス・ビーンの二人がそろった本作は、本当の魂斗羅と呼べるものになったと思います。ぜひ、この2人を使ったカウチプレイを楽しんでください。

また楽曲面では、現代のアクションゲームに相応しいサウンドを目指すと同時に、そこに過去作の印象に残る楽曲を融合するというアプローチを行っています。新しさと同時に、懐かしさも感じる楽曲を楽しんでいただきたいです。

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──シリーズ初期は洋画のパロディ要素があり、以降はいい意味で「バカゲー」要素のあるタイトルだと感じています。とくに海外のファンには響く要素だと思いますが、『オペレーション ガルガ』でも踏襲している”ケレン味”(褒め言葉です)はあるのでしょうか?

長曽我部氏
魂斗羅はいい意味で「バカゲー」という解釈をされることがあります。それも間違いではないのですが、私たちは魂斗羅の本質はそこではないと考えていました。

というのも、初期の魂斗羅開発者は、おそらくハリウッドのアクション映画のようなゲームを作ることを目指したのだと思っています。それが当時のドット表現によってコミカルさを感じさせてしまった。コミカルさやいい意味でのバカゲーっぽさは、いわばドット表現による副作用だと私たちは考えたのです。

そこで、本作ではビルとランスをただ単にバカげたことをする人たちではなく、初期の開発者が思い描いていたであろうアクションヒーローとして蘇らせることを目指しました。もちろん迫力のあるアクションはシリーズの特徴です。

本作は多彩なステージで、ビルとランスがさまざまなアクションを展開します。そこをぜひ楽しんでもらいたいと思います。

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──昨今ではオンラインやローカルで協力プレイを楽しめるゲームの需要がかなり高まっていることもあり、『魂斗羅 オペレーション ガルガ』は原作と離れた世代のプレイヤーにも「ちょっとレトロ風な協力ゲーム」として魅力的に映るのではないかと感じております。こうした新規層のプレイヤーに向けて、本作で注目してほしいポイントなどがありましたらお伝えください。

長曽我部氏
本作は原点回帰を目指したこともあり、横スクロールのシンプルな操作が特徴です。加えて、難易度に関しても様々なオプションを用意しています。魂斗羅と聞くと激辛ゲームを連想されるかもしれませんが、初めて魂斗羅に触れる方にも楽しんでいただけるゲームに仕上がっていると思います。

ぜひ魂斗羅未経験者の方にも手に取って遊んでいただきたいと思います。もちろん、筋金入りの魂斗羅ファンのために激辛難易度も用意しています!

──このたび『魂斗羅 Dual Spirits』のWayForwardさんとタッグを組んだ背景や、この布陣によって生まれた『魂斗羅 オペレーション ガルガ』の強みをお聞かせいただけますでしょうか。

多田氏
本作は、企画の初期段階から横スクロールのラン&ガンゲームにすることを決めていました。そのため、このジャンルで実績のある開発会社に制作を依頼しようと考えていました。

そんな中でWayForward社は最有力候補でした。同社に開発を打診したところ強い関心を示してくれたので、今回のタッグが実現しました。KONAMIとWayForwardは、プロジェクトスタート時から果てしない議論を続けながら本作を完成させました。

これからの「魂斗羅」シリーズに対するKONAMIのビジョンと、WayForward社の横スクロールゲーム開発力が融合した結果が本作です。ラン&ガンゲームの魅力が詰まった作品になっていると思います。

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■『魂斗羅』の爽快感は「即興性」にある

──『魂斗羅』シリーズと言えば、走りながら次々に現れる敵を蹴散らしていく「ラン&ガン」スタイルの爽快感が代表的な魅力だと思います。その“爽快感”を表現するにあたり、どんなところに力を入れられていますか?

Tomm Hulett氏(以下、Tomm氏)
私もそれが魅力だと思います。私にとって魂斗羅の爽快感は即興性にあります。プレイヤーの武器の選択だけでなく、プレイヤーが新しいことに挑戦したり、一瞬集中を切らしたときに、敵のパターンがどのように影響を受けるかもそれにあたります。

私たちは、プレイヤーが完全にリラックスすることがないように、敵の攻撃がうまく連動するようにしました。ボスの場合、プレイヤーが彼らの行動を覚える必要があるのは当然ですが、ボスたちが厳格なルーティンを持たないように配慮しています。毎回完全に同じ流れで技を繰り出すことはありません。

私は『BEMANI』シリーズのゲームをプレイするとき、よく遊ぶ曲を前もって覚えておくことはしません!その曲が出てきて初めて反応したいんです。魂斗羅も同じようにプレイするのがベストだと感じています。

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──新要素の「オーバーロード」は上記の爽快感の一助となる存在ではないかと思いますが、どんなアクションが可能なのでしょうか?お話しできる範囲内でお聞かせください。

Tomm氏
「オーバーロード」は、『魂斗羅 オペレーション ガルガ』で導入された主な新要素です。『魂斗羅スピリッツ』(および他のシリーズ作品)のスマートボムやバリアのようなアイテムにインスパイアされています。プレイヤーにはこれらのアイテムをとても気に入っていただいていますが、実際の使い道はやや限られているため、我々はそれらを「オーバーロード」に拡張したのです。

プレイヤーはいつでも持っている武器の一つを犠牲にすることで、そのような効果を得ることができます。レーザービームやミサイルの連射など攻撃的なものもあれば、シールドや敵の動きを鈍らせるものなどもっと戦略的なものもあります。

どの「オーバーロード」がボスに最適か、あるいは厄介な配置の敵を克服するために「オーバーロード」を使うなど、プレイヤーはそれぞれ戦略を練ることになると思います。ぜひいろいろな場面で試してみてほしいです!

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──ビル、ランス以外の新たなプレイアブルキャラクターの存在も気になりますが、現時点でお話していただけることはありますか?スクリーンショットや動画では女性キャラクターふたりと、ロボット兵的な姿も見受けられましたが……。

Tomm氏
はい。これらのキャラクターはストーリー中に何人か登場します

重要な場面で彼らが仲間に加わりプレアブルキャラに、その時点からアーケードモードでも使用できるようにアンロックされます。プレイヤーはビルとランスをよく知っていて彼らの性格もよく理解しているかと思いますが、新キャラクターを通してストーリーの新要素を構築できるだけでなく、ビルとランスをさまざまな視点から見ることができます。

どのキャラクターが活躍するかによって、ちょっとしたセリフの場面もたくさん用意し、ストーリーをリプレイする動機付けにもなっています。もちろん本作はアクションゲームなので、こうしたストーリーの場面はアクションの邪魔にならないように注意深く配置されています。

魂斗羅ファンにとっては意外な要素のひとつかもしれませんが、より深い魂斗羅の世界を楽しんでもらいたいと思っています。

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──『魂斗羅』は初代作から横スクロール、縦スクロール、3Dシューティングとさまざまなゲームプレイを織り交ぜた内容が特徴的でした。公開されている映像ではバイクで走りながら戦闘を繰り広げるシーンや、画面いっぱいに広がるボス戦などが映し出されていましたが、今作にもそうした角度を変えた多彩なゲームプレイが用意されているのでしょうか?

Tomm氏
本作では縦スクロールなどのステージはありません。

その代わり、高速でスクロールするホバーバイクのステージを加えました。環境や敵の反応など、前進し続ける感覚にこだわっています。通常のステージとはキャラクターのアビリティの挙動が若干異なるので、ぜひ試してみてください。

■15年ぶりのKONAMIとWayForwardのタッグが生む新しい『魂斗羅』

──KONAMIとのタッグは、2008年の『魂斗羅 Dual Spirits』に引き続きとなります。ふたたび『魂斗羅』シリーズ作品を手がけることが決まったときの感想をお聞かせください。また、いま『魂斗羅 Dual Spirits』を振り返ってみるとどのような印象を抱かれますか?

Tomm氏
魂斗羅に戻ってくることができて、とても光栄に思っています。私だけでなく、チームの何人かは『魂斗羅 Dual Spirits』にも携わっていましたし、15年という歳月はとても長く、私たちは皆、当時から進化しています。業界自体も大きく変わり、多くのプレイヤーが難しいゲームに挑戦するようになりました。

『魂斗羅 Dual Spirits』を振り返って特に印象に残っているのは、その難しさ(特にハードモード)と、プレイするとゲームの終わりが見えなくなってしまうことです。これらのディテールは、開発時には非常に重要だと感じていたのですが、振り返ってみると、当時としては古すぎたのかもしれません。

このような気付きが、私たちが魂斗羅の真の表現として『魂斗羅 オペレーション ガルガ』を作る動機となったのです!

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──『魂斗羅』シリーズは日本のみならず、北米、欧州でも人気のタイトルだと思います。ファンが楽しんでいるポイント・要素は、国・地域ごとに異なっているのでしょうか? 各国の反響での違いがあればお聞かせください。

多田氏
北米、欧州はもちろん、日本を含むアジア地域にも多くの魂斗羅ファンがいます。魂斗羅ファンの楽しみ方は国・地域によってそんなに差は無いように感じます。ラン&ガンゲームは全世界の共通言語なのかもしれません。

──WayForwardさんは『魂斗羅』シリーズのほか、『シャンティ』を代表に近年では『River City Girls』や『RWBY: ARROWFELL』などを手がけられてきました。いずれもキャラクターの魅力を存分に打ち出した作品ですが、こうした作品を手がけるにあたり、意識されていることがありましたらお伝えください。

Tomm氏
WayForwardのディレクターたちは皆、8ビット時代にビデオゲームに夢中になりました。当時は業界が非常に新しかったため、野性的な実験が行われ、非常に情熱的なチームが『魂斗羅』シリーズや『悪魔城ドラキュラ』シリーズなど、今日でもよく知られている素晴らしいタイトルを数多く生み出しました。

WayForwardの指針のひとつは、「べてのゲームは、誰かの最初のゲームかもしれない」というものです。私たちは、自分たちがプレイして育ってきたゲームへの情熱と献身を新しい世代のプレイヤーにも伝えていきたいと思っています。

──発売を楽しみにされている方へメッセージをお願いします。

多田氏
『魂斗羅 オペレーション ガルガ』は、KONAMIとWayFoward社が全力で魂斗羅のエッセンスを詰め込んだ作品です。魂斗羅ファンはもちろん、初めてプレイする方々にも楽しんでいただける内容になっていると思います。体験版もご用意しましたので、ぜひ一度プレイしてみてください!

ライター
1998年生まれ。静岡大学情報学部にてプログラマーの道を志すも、FPSゲーム「Overwatch」に熱中するあまり中途退学。少年期に「アーマード・コア」「ドラッグ オン ドラグーン」などから受けた刺激を忘れられず、プログラミング言語から日本語にシフト。自分の言葉で真実の愛を語るべく奮闘中。「おもしろき こともなき世を おもしろく」するコンピューターゲームの力を信じている。道端のスズメに恋をする乙女。

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