もし本当にゾンビアポカリプスが起きたら、一緒にいたいのは「ウィル・スミス」
──ここからは少し趣向を変え、「もし、本当に『Undying』のような世界になってしまったら……」というようなイメージで、いろいろとお聞きしていければと思います。
さっそくですが、仮に『Undying』のようなゾンビアポカリプスが発生した世界に放り込まれたら、何日くらい生き延びられると思いますか? また、生き残るためにどんな準備をして、生き残るためにどんな戦略をとられるでしょうか。
Wang氏:
これは面白い質問ですね! 実は、私たちも開発中にそのようなことを自問してみた経験があります。でも正直なところ、開発チームのほとんどは長く生き続けるのは難しいでしょうね……1~2か月ももてば上出来だと思います(笑)。
もしゾンビアポカリプスに直面したら、できるだけ早く田舎に行くことを優先すると思います。人口密度が低いのでゾンビに出会う可能性も下がりますし、自給自足のための道具や環境を手に入れるチャンスもありそうなので。
なので、そんな事態に直面したら、まずは家族や信頼できる友人を集め、武器と食糧・水を準備して田舎に向かおうと思います。燃料も満タンにしておきたいですね。
──アポカリプス世界で、家からひとつだけ何かを持っていけるとしたら何を選択されますか?
Wang氏:
うーん……難しいところですが、包丁とかですかね。少なくとも自分を守る手段は必要だと思います。
ちなみに『Undying』には強力な武器がいろいろありますが、皆さんには短剣を試してみることをオススメします。ステルスと組み合わせれば、多くの戦闘をローコストでこなすことができますよ。もちろん、家で強化しておくのはお忘れなく!
──ゾンビアポカリプスの世界のお話に戻りますが、仮に崩壊した街や拠点の周辺を探索しなければならないとなったとき、ひとりで行動しますか? それともチームで動く方が良いと考えられますか?
Wang氏:
これに関しては、せめてひとりかふたりは連れて行くべきだと思います。ひとりで行くのは危険ですし、孤独すぎます。例えば数人のチームを組むなら、ひとりは基本的なサバイバル・スキルの持ち主で、何が有用で何が危険かを見分けることができるといいですね。もうひとりは、自分だけでは持っていけないもの、動かせないものを扱えるだけの体力がある人が必要だと思います。
──もし、誰か有名人が一緒にいてくれるとしたら、誰がいいでしょう?
Wang氏:
(笑)。そうですね、ウィル・スミス【※】を呼ぼうかな。彼はたくさんのエイリアンやゾンビと戦ってきたし、秘密諜報員としてスーパーヒーローを演じたこともありますよね。ゾンビの世界で生き残るため、彼とチームを組むことをノーと言うのは難しいです!
──これは少し哀しい仮定ですが、もしも『Undying』のようにお母さまがゾンビに噛まれてしまったとしたら、どうなると思いますか?
Wang氏:
もし、私がコーディのような少年だったら、たとえ自分に力がなくともケガをした母を守らなくてはいけないと思うでしょう。そしてもちろん、母にはいつもそばにいてほしいし、そうすればお互いに支え合って、一緒に生きていけると思います。
「お母さんへの愛を伝えて欲しい」──日本プレイヤーへもきっと深く“刺さる”『Undying』の物語
──もし『Undying 2』を制作するとしたら、どのようなストーリーを考えられていますか? 成長したコーディが登場するようなものになるのでしょうか。
Wang氏:
『Undying』のアンリンのような、“ゾンビになりかけ”というハーフゾンビという設定が中心になることは間違いないと思います。が、それが治療法を見つけるストーリーになるのか、あるいはコーディの青春物語になるのか、その答えは我々の間でもまだ出ていません。
もしかすると、『Undying 2』の物語は予測可能な結末ではなく、もう少し変化するものになるかもしれませんね。
──いまの『Undying』に何かを付け足すとしたら、どんなものが考えられるでしょうか。
Wang氏:
マルチプレイヤーモードを追加したいですね。プレイヤーは親子のコンビか、あるいは異なる能力を持つ他の生存者を選び、よりオープンなゾンビの世界で一緒に生き残ることができるようにしたいです。
──仮に『Undying』が映画化されるとしたら、アンリンとコーディにはどんな俳優を起用したいと考えられていますか?
Wang氏:
これは嬉しい質問ですね! たしかに、本作は映画化にぴったりな作品だと思います。
実はアンリンについては当初からある人物を想定していまして、その人物と言うのがレネ・リウ(刘若英)【※】です。アンリンのキャラクター造形に際しては、彼女を参考にしていました。
コーディはぜひ、ハーレイ・ジョエル・オスメント【※】に演じてもらいたかったですね。映画『A.I.』で母親に恋するロボットの息子を演じた彼の演技は本当に素晴らしいものでした。あの映画を見直すたびに涙が出てきます。
※レネ・リウ:台湾の歌手・女優。代表作に「少女シャオユー」など。
※ハーレイ・ジョエル・オスメント:アメリカの俳優。『フォレスト・ガンプ/一期一会』などで子役として活動し、『シックス・センス』では11歳ながらアカデミー助演男優賞にノミネートされた。
──それでは最後に、日本のプレイヤーに向けたメッセージをお願いいたします。
Wang氏:
まず最初に、『レディ・プレイヤー1』のセリフを引用して……「私たちのゲームをプレイしてくれてありがとう!」。『Undying』は、生死をかけた息子への母の愛を描いた、特別なサバイバルゲームです。この感動は、東アジアの文化圏に住む皆さんにもきっと深く刺さるはずです。『Undying』をプレイした日本のプレイヤーの皆さんが、お母さんにお茶を淹れてあげたり、ハグをしてあげたり、「お母さん、愛してるよ!」と伝えてくれることを願っています。
“母と息子”というのは分かりやすく、多くの人に伝わる普遍性を持ったテーマだ。しかし、それを“ゾンビもの”と結びつけることによって、『Undying』はオンリーワンの魅力を備えた作品として完成した。冒頭で紹介した設定を聞いただけでも「ちょっと気になる」となる方も少なくないだろう。
そして今回のインタビューからも分かる通り、本作ではこの“母と息子”というテーマを最大限に活かすよう手が凝らされており、故に多くの人に突き刺さる魅力を持つ。同時に、世にあふれる“ゾンビもの”をしっかりと研究しているからこそ、物語の世界へとスムーズに入り込める没入感もあわせ持っている。
『Undying』はPC(Steam)版がすでに発売中、Nintendo Switch版は7月25日(木)の発売を予定している。すでにBeep公式ストア、Amazonにてパッケージ版も予約受付中だ。このインタビューを読んで気になった方は、ぜひゲーム本編でアンリンとコーディの物語を体験してみてはいかがだろうか。