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『ストII』や『ファイナルファイト』の“家庭用アーケード筐体”登場。3/4スケールの公式ライセンス商品──1/6スケールのレプリカ筐体やバンナム作品が20タイトル遊べるミニ筐体も

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 近年、レトロゲームハード・アーケード筐体の復刻版が人気を博している。

 「ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ」(以下、ミニファミコン)や「ニンテンドークラシックミニ スーパーファミコン」は言うまででもないが、2018年7月24日発売の「NEOGEO mini」は5月の発表当初から注目を集め、6月22日にAmazonで予約が始まるや否や、ゲームカテゴリーのランキング1位を獲得。2位3位には「NEOGEO mini」専用のコントローラーがランクインした。
 また、2018年6月28日から「ミニファミコン」の再販がスタートし、7月7日には「ミニファミコン 週刊少年ジャンプ創刊50周年記念バージョン」が発売される。

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「E3 2018」の「NEOGEO mini」ブース

 興味深いことに、このムーブメントは世界最大規模のゲームイベント「E3」からも感じることができた。というのも、今年6月にアメリカ・ロサンゼルスで開催された「E3 2018」では「NEOGEO mini」を始め、さまざまな復刻版レトロアーケード筐体が出展されていたのだ。「E3」は最新ゲームの披露がメインであるため、復刻版レトロアーケード筐体を置いているブースは異色と言えるが、それゆえにこの懐古は大変興味深い現象だ。

 そこで本稿では、「E3 2018」への出展作品をもとに、海外の復刻版レトロアーケード筐体の最新情報をお届けしよう。

文/クリモトコウダイ


手軽に楽しめる「MICRO PLAYER」

 じつはレトロゲームモチーフのハードや周辺機器は、過去の「E3」でもちらほら出展されていた。ただその多くは、外のデザインも中のゲームも、メーカーからライセンス提供を受けているわけではなく、あくまでも海賊版的なモチーフ止まりのイメージがあった。

 しかし今年は違った。実際に取材した各メーカーは、いずれもライセンス提供を受けてアーケード筐体を作っていたのだ。

 たとえば単独でブースを構えていたMy Arcade「MICRO PLAYER」シリーズ。今年初めにバンダイナムコとのパートナーシップを発表した同社は、過去のアーケードゲーム体験を再び、そしてより手軽に体験できるように『パックマン』『ギャラガ』『ギャラクシアン』『ディグダグ』のアーケード筐体を手のひらサイズで作り上げた。

 バンダイナムコ作品以外では、『Heavy Barrel』『JOE&MAC 戦え原始人』『Bad Dudes Vs. DragonNinja』『BurgerTime』といったデータイースト作品の筐体もラインナップとして挙がっている。

 価格はいずれも34.99ドル。細かなサイズは公開されていないが、高さは6.75インチ(約17センチ)で、スクリーンは2.57インチのものを使用している。

 「MICRO PLAYER」シリーズは1筐体に1タイトルしか入っていないが、同社は1筐体で数十タイトル遊べる「MINI PLAYER」シリーズも展開。

 第一弾の「DATA EAST MINI PLAYER」は99.99ドルですでに発売されているが、「E3 2018」ではその新作として、バンダイナムコ作品を20タイトル収録した「BANDAI NAMCO MINI PLAYER」がお披露目された。こちらは従来のデザインと異なり、縦長のスクリーンを搭載。発売時期や価格はまだ明かされていない。

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■BANDAI NAMCO MINI PLAYER収録タイトル


・パックマン
・パックマニア
・パックパニック
・ハロー!パックマン(Pac-Man 2: The New Adventures)
・ディグダグ
・ディグダグII
・ギャラガ
・ギャラクシアン
・ローリングサンダー
・ローリングサンダー2
・ローリングサンダー3
・スプラッターハウス
・スプラッターハウス PARTII
・スカイキッド
・ゼビウス
・マッピー
・ドラゴンスピリット
・ドルアーガの塔
・フェリオス
・バトルシティー

再現度をより重視した「RepliCade Amusements」

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 インディーブースにて展示を行っていたNew Wave Toysは、アーケード筐体のレプリカとして「RepliCade Amusements」シリーズを展開している。

 Kickstarterで167,281ドル(約1800万円)を集めたこのシリーズは、ハイエンドなコレクターアイテムという位置づけで、オリジナルのデザインを1/6のサイズで忠実に再現。約160ドルとやや値は張るが、コインボックスの開閉やそこでクレジットを追加できる仕組みまで再現しており、ゲームのROMにもオリジナル版を使用しているという徹底ぶり。

 現在のラインナップはATARIハードで人気を博した『センティピード』『テンペスト』のふたつ。

 1筐体につき1タイトルしか入っていないが、それは再現度を高めるためであり、ひとつひとつ集めていくこともまたコレクターアイテムとしては必要な要素だと考えたからだという。なお、サイズは筐体によって若干異なるが、『センティピード』の場合は横4.5×奥行き5.2×高さ11.8インチで、スクリーンは3.5インチだ。

 「E3 2018」では新たなラインナップも発表に。カプコンからのライセンス提供が決まり、『ストリートファイターII’ CHAMPION EDITION』の筐体が登場する。専用のコントローラーを筐体に接続すればふたり対戦も可能で、発売日はまだ明かされていない。

 会場でこの2メーカーに話を聞いて感じたのは、溢れんばかりの“レトロゲーム愛”だ。それゆえに彼らは、「あのころの興奮を、いまのテクノロジーを使ってもっと手軽に体験できないか」と考えた。
 仮に当時のアーケード筐体を購入できたとしても、それはあまりにも高価であり、自宅に置くには場所を取り過ぎてしまう。結果、彼らはそれぞれの発想で、アーケード筐体を小型化することにしたのだ。

 ところが「E3 2018」には、レトロゲーム愛や基本的な考え方は同じだが、小型化とは真逆な発想でアーケード筐体をリリースしようとしているメーカーの姿もあった。
 その名はTastemakers。E3会場の中でも商談向けのスペースが並ぶコーナーの一角にブースを構えていた。

3/4スケールの家庭用アーケード筐体「Arcade1Up」

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 Tastemakersが私に見せた「Arcade1Up」というシリーズは、レトロゲーム筐体を3/4で再現したもので、いわば家庭用アーケード筐体だ。

 小型ではなく“あのサイズ感”でプレイすることが重要だと考えた彼らは、通常の状態だと椅子に座った状態でプレイし、別売りの台に載せることで立った状態でプレイできるように設計。通常状態の場合、サイズは幅19×奥行き34×高さ45.8インチ、重さは約29キロ、スクリーンは17インチで、価格は399ドルだ。

 筐体デザインはオリジナル版のアートワークを使用し、当時のプレイ感を限りなく再現できるよう、コントローラーやサウンドは何度もチューニングしたそうだ。なお、ジョイスティックはいわゆるナスビ型ではなく、日本の筐体でよく見られるタイプのものだった。

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左が自宅に届くパッケージ、右が完成したもの

 また面白いことに、この筐体はコンパクトなパッケージで届き、IKEAの家具のように自分で組み立てるようになっている。だいたい45分~1時間程度で完成するらしく、女性でも問題なく組み立てられるのだとか。

 ラインナップは以下のとおりで、ゲームはカスタムエミュレータで動作。1筐体に複数タイトルを収録している。

【収録ゲーム】

 


■ファイナルファイト筐体
・ファイナルファイト
・1944 THE LOOP MASTER
・魔界村
・ストライダー飛竜


■ストリートファイターII筐体
・ストリートファイターII’ CHAMPION EDITION
・スーパーストリートファイター II X- Grand Master Challenge -(海外版の名称は『Super Street Fighter II Turbo』)
・スーパーストリートファイターII The New Challengers


■RAMPAGE筐体
・RAMPAGE
・ガントレット
・ジャウスト
・ディフェンダー


■アステロイド筐体
・アステロイド
・メジャーハボック
・ルナーランダー
・テンペスト


■センティピード筐体
・センティピード
・ミサイルコマンド
・Crystal Castles
・Millipede

 このほかにもいくつかライセンス提供を得たタイトルがあり、同社のブースには今後リリース予定の筐体が黒い布を被った状態で複数展示されていた。
 詳細を聞くと、彼らはタイトーともビジネス上で良い関係を持っていること、そして、まずは1980年代から1990年代のゲーマーに向けてラインナップを充実させていくという方針を語ってくれた。現状発表されている筐体は、アメリカでは9月に発売される予定だ。

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 今回話を伺った3メーカーには、「レトロゲームハード・アーケード筐体の復刻がムーブメントとなっているのか」という共通の質問を投げかけた。答えはいずれも「Yes」

 「外国人が日本にやってきてレトロゲームを買いあさっている」という話は数年前から聞くようになったが、そういったことを含めたレトロゲームコミュニティの活性化や、「ミニファミコン」のヒットなどにより、彼らは“レトロゲームの需要が高まっている”と考え、およそ2016年から2017年にアーケード筐体の復刻を思いついていた。

 それが今年、形となって一斉に出てきたのだ。冒頭でも解説したとおり、7月には「ミニファミコン 週刊少年ジャンプ創刊50周年記念バージョン」や「NEOGEO mini」も発売されるため、これまで以上にレトロゲームハード・アーケード筐体の復刻は盛り上がっていくのかもしれない。
 なお、今回紹介した筐体たちは、いずれも日本展開は未定。だがどのメーカーも日本での発売に意欲的であり、最後に紹介したTastemakersは2018年末から2019年頭に、日本でリリースすることの可能性を示していたこともお伝えしておこう。

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著者・インタビュアー
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新聞配達中にトラックに跳ね飛ばされたことがきっかけで編集者になる。過去に「ロックマンエグゼ 15周年特別スタッフ座談会」「マフィア梶田がフリーライターになるまでの軌跡」などを担当し、2017年4月より電ファミニコゲーマー編集部のメンバーに。ゲームと同じぐらいアニメや漫画も好き。
Twitter:@ed_koudai
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