ユニティ・テクロノロジーズジャパン合同会社は、ゲームエンジンのUnityを使用して開発されたゲームの作品コンテスト「Unityインターハイ2019」の本選を、秋葉原UDXにて12月15日(日)に開催した。
本イベントは、西暦2001年4月2日以降の生まれ、すなわち高校・高専生や・小・中学生を対象とした、Unityで開発したオリジナルゲームのクオリティを競う、「ゲーム開発の甲子園」とも呼ぶべき全国大会で、2014年から毎年1回開催されている。
エントリーは個人、複数人によるチームのいずれも可能で、今回は全158チームがエントリーした。
各チームが応募した作品は、同社のスタッフをはじめ、ゲームメーカーや大学教授などの有識者で構成された審査員によって選考が行われ、まず11月に1次審査の通過作品が発表された。翌12月上旬には、本選に出場する2次審査を通過した全12作品が発表され、本選会場にて優勝チームを決定するという流れで行われた。
取材・文/鴫原盛之
若き才能あふれる学生たちの作品は、どれも秀作ばかり
本選の会場では、まず全12作品を開発したチームの代表者が登壇してプレゼンテーションを行い、作品は審査員によって「オールマイティ」「プログラミング」「インタラクション」「グラフィック」「サウンド」「ゲームデザイン」「レベルデザイン」の全7項目を審査する形で行われた。
出場した12チームのうち10チームは高校生で、何と中学生のチームも2チーム選ばれていた。プレゼンテーション中は緊張しつつも、時にはジョークを交えながら作品を説明するなど、発表の出来自体は選考対象外であったにもかかわらず、それぞれ工夫した発表をしていたので大いに関心させられた。
とりわけ、筆者が最も驚かされたのは、登壇したほぼすべての学生が、「プレイヤーが操作をわかりやすいようにした」「飽きさせないようにした」などと発言していたこと。社会あるいは商売を経験したことがないのに、まるで市販することを前提にしたかのようにUI、UXあるいはレベルデザインを意識したうえで開発をしていたのだからスゴイ!
本選出場チームのプレゼンテーション
審査の結果、見事に優勝、すなわちUnityによる学生ゲーム開発日本一の座に輝いたのは、函館ラ・サール高校チーム「Kats」の松田活さんの開発した『Overturn』。準優勝には、東京都の戸山高校チーム「トロコイド」の阿部悠希さんの作品、『mathmare』が選ばれた。
筆者も両受賞作品をプレイさせていただいたが、『Overturn』はプレイヤーに対して、ステージをクリアするためにはギミックをいかに動かして手順を考えさせるのか、とてもよく考え込まれたうえで作られているという印象を率直に受けた。
また『mathmare』は、三角関数などの数式を用いて描いた弾幕の軌跡の美しさと、それを避ける面白さを融合させ、作者の数式愛がプレイヤー側にも伝わってくる作品に仕上がっていた。
また、上記2作品のほか、優秀と認められた『虚構ノ世界』『朝を知らぬ星』『SeaRoad』『かえるはかえる』『TheStackerOnline』の各作品にはゴールドアワードが、『自己防衛軍 -Immune System Simulator-』『森のじゅうみん』には審査員特別賞が、『コロボット』『Nodes』『CastingShadows』にはシルバーアワードがそれぞれ贈られた。
取材を終えて
繰り返しになるが、まさかこれほどまでに学生のゲーム開発レベルが高いとは思っていなかったので、本当に驚かされた。休憩時間に、ゲーム開発の経験を豊富に持つ、とある審査員に「レベルの高い作品ばかりですね」と筆者が尋ねたところ、「いやあ、審査がたいへんですよ。本当に参っちゃいますね」と舌を巻いていたのだから、その実力は本物だ。
また、これだけ優秀な学生が集まったのは、ユニティ・テクロノロジーズがUnity(Unity Personal)を無料で公開し、なおかつ同エンジンが学生にも使いやすいように設計され、より手軽にゲーム開発ができる環境を提供しているからこそだろう。
近年のゲーム業界の大きなトレンドのひとつにeスポーツがある。日々ゲームに熱中する若者にとっては、ゲームの腕で賞金が稼げるプロゲーマー、あるいはユーチューバーは憧れの職業になっていると思われる。
これとは別に、ゲーム開発のプロを目指す道もあることを学生たちに示すことができているのも、本イベントの素晴らしいところだ。
来年も「Unityインターハイ2020」の開催がすでに決定しているが、翌々年以降もぜひ、「Unityインターハイ」の実施を継続し、今後も若き才能あふれる人材を輩出する場として機能することを大いに望みたい。
なお、本選の模様は公式サイトで動画が公開されているので、興味を持たれた方は下記リンクよりぜひご覧になっていただきたい。
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