2022年4月27日(水)、『星のカービィ』シリーズが30周年を迎える。
シリーズ最初の作品は、1992年4月27日にゲームボーイ向けに発売された『星のカービィ』。初めて「プププランド」に訪れたカービィが住民たちの食べ物を取り返すためにデデデ大王と戦う、という物語だ。今でこそカービィを代表する「コピー能力」はまだ無く、吸い込んだ敵を吐き出して攻撃するというアクションがメインとなる。
開発元はHAL研究所で、ディレクターは『大乱闘スマッシュブラザーズ』シリーズでも知られる桜井政博氏。「初心者でもその気になればエンディングまでたどり着ける」とうたっているように、当時主流であった高難度の2Dアクションゲームとは一線を画すライトユーザー向けのゲームデザインが原点にあった。
初代『星のカービィ』から1年ほどの期間をおいた1993年3月23日には、ファミリーコンピュータ向けに『星のカービィ 夢の泉の物語』が発売。カービィの代名詞ともいえる「コピー能力」がはじめて実装され、その数は24種類におよぶ。のちにゲームボーイアドバンス向けにリメイク作品『星のカービィ 夢の泉デラックス』が制作されている。
その後『カービィのピンボール』や『カービィボウル』など、カービィの「丸み」に着目した作品を経て、1995年3月21日にゲームボーイ向けに『星のカービィ2』が発売。「リック」、「カイン」、「クー」の3匹の仲間と合体して一緒に戦うシステムを採用し、コピー能力の種類こそ減少したものの、合体状態ではそれぞれ異なるアクションが可能となった。同年の12月には『カービィのブロックボール』もリリースされている。
1996年の3月21日、スーパーファミコン向けに発売されたのが『星のカービィ スーパーデラックス』。コピー能力から「ヘルパー」と呼ばれる仲間を生み出すことができ、シリーズで初めてふたり協力プレイが可能となった。
7種のアクションモードと2種のサブゲームを収録し「メタナイトの逆襲」や「激突! グルメレース」など、今なお語り継がれるキーワードを数多く生み出した作品でもある。
1997年のゲームボーイ向け『カービィのきらきらきっず』を経て、1998年3月27日に『星のカービィ3』が発売。「ナゴ」、「チュチュ」、「ピッチ」といった新たな仲間が登場し、『星のカービィ2』のものとあわせて6匹となった。くわえて、カービィとは若干異なる性能を持つ「グーイ」を用いたふたり協力プレイも可能である。
以後、スーパーファミコン向けにゲームの種類をボリュームアップした『カービィのきらきらきっず』が1999年に発売。そして2000年の3月24日、シリーズ初の3D作品である『星のカービィ 64』が発売された。
アクションの形式としては従来通りの横スクロールであるものの、そのグラフィックは大きく向上。くわえて、ふたつのコピー能力をミックスするシステムが実装され、基本能力7種類と組みあわせ28種類、計35種類の能力を使用することができる。
その後、2000年にはゲームボーイカラーの「動きセンサー」搭載カートリッジの機能を利用した『コロコロカービィ』。2002年には、通信ケーブルを使うことで4人同時プレイも楽しめるようになった『星のカービィ 夢の泉デラックス』がそれぞれ世に送り出されている。
2003年7月11日、番外的な作品でありながら現在でも高い人気を誇るゲームキューブ向けタイトル『カービィのエアライド』が発売。4人対戦が可能なレースゲームで、スティックとAボタンのみを使うシンプルな操作性が特徴だ。
一般的なレースゲームの視点に近い「エアライド」と見下ろし視点の2Dレース「ウエライド」、そして自由に街中を駆け抜けてアイテムを集め、スタジアムでの最終決戦に臨む「シティトライアル」の3モードで構成されている。
2004年4月15日には、ゲームボーイアドバンス向けに『星のカービィ 鏡の大迷宮』がリリース。こちらも通信ケーブルを用いた4人協力プレイに対応しているほか、「セントラルサークル」を基点としたマップ構成によるゲーム進行の自由度の高さが特徴である。
ハードウェアがニンテンドーDS(以下、DS)に移り、2005年にはタッチペン機能を活かした『タッチ!カービィ』が、2006年11月2日には『星のカービィ 参上!ドロッチェ団』が発売されている。同作ではDSの下画面にアイテムやコピー能力のシャボンをストックし、いつでも好きな時に使えるという「コピーパレット」システムが採用された。
2年ほどの時を置いた2008年11月6日には、同じくDS向けに『星のカービィ ウルトラスーパーデラックス』が発売。スーパーファミコンで発売された『星のカービィ スーパーデラックス』のリメイク版で、ワイヤレス通信による協力プレイに対応した。現在はシリーズの総合ディレクターを務める熊崎信也氏が、はじめてディレクターを担当したシリーズ作品でもある。
ニンテンドーDS向けにはこの後、10人に分けられてしまったカービィを集めて攻略していく『あつめて!カービィ』が2011年8月4日に登場している。
2010年10月14日には、Wiiに向けた初めての作品として『毛糸のカービィ』がリリース。タイトルの通り、布地を背景にキャラクターを毛糸で描いたようなアニメーションが特徴の作品だ。
コピー能力は用いず、毛糸を引っかけて敵を倒すといったアクションを中心に、消防車や巨大なロボットに変身する「メタモル能力」を使う。のちにはボタンやマチバリを用いる「さいほう能力」などを追加した『毛糸のカービィ プラス』がニンテンドー3DS向けに登場した。
2011年10月27日には「スーパー能力」が登場した『星のカービィ Wii』が発売されている。こちらはカービィのほかデデデ大王、メタナイト、ワドルディや色違いのカービィを選んでの4人協力プレイにも対応した。
シリーズの20周年となる2012年には『星のカービィ 20周年スペシャルコレクション』として、初代『星のカービィ』を筆頭に6作品を収録したタイトルが発売。ゲームだけでなく、テレビで放映されたアニメや雑誌で連載されたコミックの一部なども収録した、当時までの歴史を振り返ることのできる一作だ。
2014年1月11日には、シリーズ初めてのニンテンドー3DS(以下、3DS)向けの作品として『星のカービィ トリプルデラックス』がリリース。奥行きを活かしたステージや謎解きが多数採用されたとともに、3DSのジャイロセンサーを使って仕掛けを解くシーンも用意されていた。
その後、2016年4月28日に『星のカービィ ロボボプラネット』が発売された。変形する乗り込み型のロボット「ロボボアーマー」など、SFのテイストをふんだんに取り入れた作風が特徴だ。ロボボに乗った状態でも相手をスキャンすることでモードチェンジするという、カービィらしいアクションを楽しむことができる。
3DS向けにはこのほかサブゲームを拡張した『デデデ大王の デデデでデンZ』や『カービィ ファイターズZ』、『みんなで!カービィハンターズZ』、『カービィのすいこみ大作戦』にくわえ、対戦アクションゲーム『カービィ バトルデラックス!』がリリースされている。
時期をさかのぼった、2015年1月22日にはWii Uに向けて『タッチ!カービィ スーパーレインボー』が発売。Wii U GamePadにタッチペンを用いて「虹のライン」を引く、というゲーム性で7つの世界を冒険。一部には「カービィタンク」や「カービィロケット」など、乗り物に変身して進むステージも登場している。
Nintendo Switchに向けた初めてのカービィは、2018年3月16日に発売された『星のカービィ スターアライズ』。ハートを投げて敵を仲間にくわえる「フレンズヘルパー」システムを採用し、従来のコピー能力とかけあわせることで発動する「フレンズ能力」も登場した。
条件を満たすことで呼び出せる仲間キャラクターには、デデデ大王やメタナイト、バンダナワドルディらの顔ぶれが揃う。のちに無料アップデートによって「リック&カイン&クー」や「グーイ」、「ドロッチェ」、「マホロア」といった歴代の人気キャラクターたちが追加されていった。
以後、2019年の『スーパーカービィハンターズ』、2020年の『カービィファイターズ2』といった作品を経て、2022年3月25日にシリーズ最新作であり、初の3Dアクションゲームとなる『星のカービィ ディスカバリー』が発売。新たに採用された「ほおばりヘンケイ」によって、これまでにないような姿になったカービィにも注目が集まった。
Nintendo Switchのおすそわけプレイによって、2P側が「バンダナワドルディ」を操作するオフライン協力プレイに対応。また、冒険の拠点となる「ワドルディの町」はさらわれたワドルディを助けることでどんどん発展していき「はたらく!ワドルディカフェ」、「ドキドキ!せつなのつりぼり」といったミニゲームで遊ぶこともできる。
ファミ通が4月6日(水)に公開した情報によれば、3月期には発売3日間で38万本を販売し、家庭用ゲームソフトの月間売上本数ランキングの首位に輝いた。
現在にいたるまでゲーム以外にも小説やコミック、グッズ、テーマカフェなど幅広く展開してきた『星のカービィ』シリーズ。30周年を迎えてもなおその人気は色あせることなく、多くのファンを惹きつけ、また新たなプレイヤーを獲得している。今回ひとつの節目を迎えたシリーズの今後にも注目していきたい。