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「PS Plus プレミアム」は加入すべき?しないべき? 「アクション」「格闘ゲーム」「RPG」の名作をそれぞれプレイしてその魅力を分析してみた

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 6月2日(木)、新たなPlayStation Plus(以下、PS Plus)のサービスが開始された。

 その中でももっとも高価な「PS Plus プレミアム」では初代PSやPS2、PSPのクラシックタイトルがプレイ可能になるとして注目を集めているが、月額1550円という値段設定もあり、加入を迷われている方も少なくないのではないだろうか。

 そこで本稿では、筆者が実際に同サービスに加入し、何タイトルかを遊んでみたうえで感じたこと、思い浮かんだことを紹介していく。ラインナップにくわわっているタイトルへの思い入れや所持しているハードウェアなど、人によって大きく感じ方が異なる点はあるかと思われるが、ひとつの参考としていただければ幸いだ。

文/久田晴


『サルゲッチュ』で味わった巻き戻し機能によるストレスフリーな体験

 筆者が本サービスで最初に手を付けたのが、1999年に初代PS向けに発売された『サルゲッチュ』。今回紹介するクラシックタイトルの中では唯一、過去に遊んだ経験のある作品である。

 『サルゲッチュ』はアナログスティック付きの振動コントローラー「デュアルショック」に対応した最初期のタイトルだ。そのためか、ふたつのスティックを重点的に使用する操作性となっており、右スティックは「メカボー」や「ゲットアミ」といった装備アイテムの使用を担う。右スティックを視点移動に用いる現代の一般的な3D作品とは大きく操作感が異なるため、懐かしいと同時に苦戦させられた。

『サルゲッチュ』プレイ画像
トロフィー機能も収録

 昔懐かしいポリゴンの雰囲気はそのままPS5上で表現されており、3種類のフィルターで画面の色合いを変更することもできる。特に「レトロクラシック」は顕著に画面に効果が現れ、さながらブラウン管テレビで遊んでいるような趣も醸し出してくれる。決して画面が見やすくなるフィルターではないが、クラシックタイトルを遊ぶうえでは欲しくなる気持ちも分かるところだ。

 また、新たに実装された機能のひとつである「巻き戻し」はアクションゲームを遊ぶ上でのストレスを大きく軽減してくれた。やはり操作に慣れないこともあって足場から落ちてしまうことも少なくなかったが、いちいち真面目に登りなおさなくとも数秒間巻き戻してリセットしてしまうことができる。

『サルゲッチュ』巻き戻し機能の利用
お手軽リスタート

 『サルゲッチュ』では、筆者自身にプレイ経験があることもあり「こんなステージあったな」「ここ苦労したな」と遠い昔の記憶をたどる、ノスタルジックな楽しみを味わうことができた。反面、巻き戻し機能を使うたびに「人は一度楽することを覚えると戻れないんだな……」と複雑な想いを抱き、真っ向勝負でプレイしていた当時の自分を少し誇らしく思ったものである。

20年以上の時を超え果たした『鉄拳』シリーズとの出会い

 次に手を付けたのが、当時のナムコ(現:バンダイナムコエンターテインメント)から発売されていた『鉄拳2』だ。筆者は格闘ゲームについては『ストリートファイターV』以外はほとんど触った経験がないため、『鉄拳』シリーズも名前と一部キャラクター程度しか馴染みが無かったが、遊んでみるとこれが思った以上に楽しい体験となった。

 選んだキャラクターは、シリーズでも特に有名なキャラクター「三島平八」『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』に参戦を果たした「カズヤ」こと三島一八の父親にあたる。

 「ボタン連打でもアーケードの一面くらいはクリアできるだろう」と踏んでいきなりアーケードモードに挑戦してみたところ、見事に一面で惨敗。さすがに悔しく、またこのままでは記事のネタにもならないので、一旦トレーニングモードを起動する。コマンドリストをチェックした筆者は、ずらりと並んだ複雑なコマンド技から「奈落払い」に目を付けた。

『鉄拳2』トレーニングモード
やけにコマンドも難しそうで箔がある

 とある場所でその名は耳にしていた「奈落払い」。高速で回転する動きのかっこよさもさることながら、連続ヒットした際の攻撃力も中々のものがある。筆者はコンボもセオリーも知らないまま「奈落払い」を放ち続け、ついに最終ステージらしき「デビル」の攻略までを達成したのである。

 3D格闘ゲームの体験自体が筆者にとって新鮮なものだったというのは一因としてあるが、それを抜きにしても『鉄拳2』の体験は非常に快いものだった。トレーニングモードやコマンドリストといった基本的な機能がそろっているため「練習して実戦で使ってみる」というシンプルなルーチンから生まれる自分の成長をしっかりと感じられる。

『鉄拳2』プレイ画像

 「PS Plus プレミアム」のように昔のゲームを遊べるサービスでは、リマスター版やリメイク版、続編などが発売されていない作品に注目が集まりやすい。もちろんそのような作品が遊べるようになるのは非常に喜ばしいことだが、『鉄拳』のように現在までシリーズが継続しているタイトルの旧作に触れられるというのも、また価値あることだと再認識させられた。

 何より、筆者にとっては今まで動画や知識で知るだけだった『鉄拳』が一気に身近になったようで、とても嬉しい。『鉄拳2』のような20年以上前に発売された作品との「新しい」出会いが生まれる可能性も「PS Plus プレミアム」は秘めていると言えるだろう。

『ワイルドアームズ』で感じたセーブ機能の進化

 その後に触れたのが『ワイルドアームズ』。もともとは初代PS向けに1996年に発売されたRPGで、「PS Plus プレミアム」のサービス開始時には『サルゲッチュ』と並んでTwitter上でのトレンドに名前を見せるなど注目を集めていた作品である。

 RPGというジャンル上、まだ短いプレイしか経ていない筆者が語れる言葉は少ないが、本作で強く感じたのは「セーブ機能」の圧倒的な利便性だ。

『ワイルドアームズ』プレイ画像
本来であれば既定のポイントでしかセーブはできない

 当時の作品は、まだ多くが特定のセーブポイントでのみセーブが可能という仕様が主流であったため、ある程度まとまった時間が無ければゲームを進めることが難しかったように思う。予想外に終了しなければならなくなった際の、あの歯噛みしながら冒険をぶつ切りにしてしまう悲しみ、夕飯が邪魔で仕方なく感じる瞬間は筆者の中に色濃く残っている。

 ところが「PS Plus プレミアム」を用いたプレイならば、どこでもセーブでき、また一瞬でロードすることができる。どんな中途半端なシーンでも中断でき、もちろんゲームの電源を落としたり別のタイトルで遊んでいても失われることはない。当時のセーブシステムでは不可能だった、隙間の時間にRPGを遊ぶ、というプレイングが実現されているのだ。

 筆者としてはオンラインゲームなどを一緒に遊ぶメンバーがそろうまで、ひとりでゆったりと遊べる点が非常にありがたい。いつでもセーブできるという機能は、かつての名作RPGを極めて現代的に、ノンストレスに遊べる環境を整えてくれているように思われる。

『ワイルドアームズ』プレイ画像2

「PS Plus プレミアム」の持つ、かつての名作を現代に広めるという可能性

 「PS Plus プレミアム」で遊べるのは、今回ご紹介したタイトルのような初代PS作品だけではない。『ICO』『SIREN: New Translation』に『バイオハザード』『ラチェット&クランク』『ゴッド・オブ・ウォー』などの名作シリーズのPS3版もプレイすることができる。

PS3タイトルラインナップ

 しかしながら、こちらはいずれもストリーミングサービスによるものであるため動画やスクリーンショットの撮影の撮影が行えない。そのため、本稿では初代PSタイトルが中心となってしまった形だ。

 実際にPS3版『デモンズソウル』などでストリーミングを通したプレイも試してみたところ、筆者の環境ではアクションゲームも充分遊べる仕上がりになっていた。なお、クラウドストリーミングには5Mbps以上の高速なインターネット接続が必要と公式で定められている。

 もうひとつの「PS Plus プレミアム」限定特典であるゲームトライアル機能では『Horizon Forbidden West』『サイバーパンク2077』などの人気タイトルを制限時間付きでプレイ可能。こちらについては、今後発売される新作タイトルがどの程度追加されるのか、注目していきたいところである。

ゲームトライアルラインナップ

 「PS Plus プレミアム」のサービスは、思い出を懐かしむ体験を提供するのはもちろん、新たな作品との出会いを生み、かつての名作も手軽に遊ぶことを可能にしてくれる。月額1550円と決して安い価格設定ではないが、ストリーミングタイトルもふくめれば筆者としては充分に価値を感じるサービスだ。

 惜しむらくは、ダウンロードできるタイトル数が控えめである点だろう。これらはPS4、PS5の機能を使って録画やスクリーンショットを行えるため、ゲーム実況などでの運用がたやすい。かつての名作を快適に遊べるだけでなく、現代風にシェアし、その魅力を新しい世代へ広めることにも繋げられるのだ。そんな可能性を感じさせるがゆえに、どうしても現状のタイトル数では物足りなく感じられてしまう。

 幸いなことに、ソニー・インタラクティブエンタテインメントは今後さらに多くのタイトルを本サービスに追加していく姿勢を示している。新しい「PS Plus」がさらに成長し、より多くの作品の魅力が世に知れ渡ることに期待したい。

ライター
1998年生まれ。静岡大学情報学部にてプログラマーの道を志すも、FPSゲーム「Overwatch」に熱中するあまり中途退学。少年期に「アーマード・コア」「ドラッグ オン ドラグーン」などから受けた刺激を忘れられず、プログラミング言語から日本語にシフト。自分の言葉で真実の愛を語るべく奮闘中。「おもしろき こともなき世を おもしろく」するコンピューターゲームの力を信じている。道端のスズメに恋をする乙女。

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