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豪華クリエイター陣集結の90年代風RPG『聖塔神記 トリニティトリガー』。体験版を遊んで気になったところをディレクターにぶつけてみたら、改善されることがわかって安心した話

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 未来を築く、希望の光! トリニティ……トリガ───ッ!!!

 ……ではなく、今回紹介するのはフリューの新作RPG『聖塔神記 トリニティトリガー』です。『聖剣伝説3』菊田裕樹氏結城信輝氏『ゼノブレイド』のキャラクターデザインでお馴染みの風間雷太氏『OCTOPATH TRAVELER』のシナリオ久保田悠羅氏などの豪華クリエイター陣が集結し、「90年代の王道RPGを現代によみがえらせる」というコンセプトで作られたらしいよ、マナカケンゴォ!

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 「いや、いくら何でもタイトルまんますぎるやろ」と思わなくもない本作。本当に90年代の王道RPGは現代によみがえっているのか、本当にリスペクトもと以上の面白さがあるのか。今回の記事は5月26日より配信が開始された体験版から得られた情報で、今作のそういった点に迫っていこう。

 加えて、記事の最後には『聖塔神記 トリニティトリガー』のディレクターを務める礒部たくみ氏に、今回の体験版で挙がったユーザーの声などについてお聞きしたメールインタビューも掲載されている。そちらもぜひ読んでいただけるとありがたい。

文/ジスマロック


豪華クリエイター陣によって織りなされる世界観とキャラクター

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 改めて今作に参加しているクリエイター陣をおさらいしよう。

 世界観ビジュアルは『クロノ・クロス』のキャラクターデザインを担当している結城信輝氏、音楽は『聖剣伝説2』でも楽曲を手掛けていた菊田裕樹氏。続いてキャラクターデザインは『ゼノブレイド』や『パズル&ドラゴンズ』でお馴染みの風間雷太氏。シナリオは『OCTOPATH TRAVELER』の久保田悠羅氏。

 ……改めて見てもなかなかに豪華なメンバーである。これだけの布陣を揃えただけあって、やはりキャラクターのデザインは魅力的だし、音楽も中々にいい感じ。特に体験版のラストで聞くことができるボス戦のBGMはかなりかっこいい。実際少し懐かしさを感じるし、ボス戦を盛り上げるには十分すぎるくらい熱い曲に仕上がっている。

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 さらに今作に登場する「トリガー」というマスコットキャラクターのデザインも、『ポケットモンスター』シリーズにてデザインを担当しているにしだあつこ氏北風友裕氏水谷恵氏が手がけている。

 主人公の「トリガー」でもある「フラム」はあの世界的大人気キャラクター「ピカチュウ」のデザインを担当したにしだあつこ氏によって描かれており、実際めちゃくちゃかわいい。いや何か改めてピカチュウさんのこと「ピカチュウ」ってカッコ内に入れるとちょっと面白いですね。

 しかもにしだあつこ氏は私がいつも個人的に利用しているスーパーマーケット「ライフ」のマスコットキャラクターの「ララピー」【※】もデザインしているらしく、今なんか勝手に嬉しさを感じている! ララピー、めっちゃかわいいですよね……。

※「ララピー」
近畿地方と関東地方を中心に展開されているスーパーマーケット「ライフ」のマスコットキャラクター。出身はライフ島。種族はハッピー族。誕生日は4月28日。好きな食べ物は「ライフの小麦の郷のクロワッサン」……らしい。本当にめっちゃかわいいので、気になった方は「ララピー」で検索してみよう。

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公式サイトではにしだあつこ氏が描いたフラムを見ることができる。かわいい。コメントも必見。
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 この「トリガー」に命を吹き込む声優陣も豪華で、飛行技が序盤・中盤・終盤と3段進化で隙のない活躍をしてくれそうな「ウィズ」は、ファイルーズあいさんが担当している。そう、あの『トロピカル~ジュ!プリキュア』にて夏海まなつ役や『キラッとプリ☆チャン』にてアリス・ペペロンチーノ役を担当しているファイルーズあいさん。

 そして私激推しの「フラム」の声優を担当するのは小原好美さん【※】!!!
 おい! やってくれたな!! めっちゃかわいいんすよ、フラムが!!!

 具体的に言うとユニちゃんみたいな感じの小原好美さんです。
 おい!! やってくれたな!!!

※小原好美氏
『ブルーアーカイブ』アロナ役、『あそびあそばせ』野村香純役、『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』藤原千花役、『無職転生 ~異世界行ったら本気だす~』ロキシー・ミグルディア役、『ワッチャプリマジ!』ぱたの役……挙げられるだけ私の好きな小原好美氏が演じたキャラを挙げました。あのはにゃ~~~んって感じの声が良い。いや、だから、はにゃ~~~んって感じの声です。

難易度まで90年代?なアクション

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  今作はお馴染みの見下ろし型アクションRPG。いやあんまりお馴染みとか言っちゃダメなのかな……いやいやでもどう見てもお馴染みのアレだしな……。

 と、とにかく今作はそのタイトル通り、武器に変身する「トリガー」を駆使して世界各地の「聖塔」を探査するストーリーが展開される。

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 たとえば先ほど私が激推ししていた「フラム」は「剣」へと変身することができる。しかし、たった1種の武器にしか変身できないのかというとそんなことはなく、ストーリーを進めていけば「弓」などの新たな武器種も解禁される。

 武器の変更は「リングチェンジ」というシステムによって行うことが可能。ZRボタンを押すことによってリングが展開され、その場で直感的に武器を切り替えることができる。このシステムは回復アイテムなどにも適用されており、ZLボタンからポーションやエリクシールなどの回復アイテムを開いて即座に使用できる(ボタン表記はNintendo Switch版)。

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 今作は攻撃をする際に「スタミナ」を使用する。画面下部の水色のバーが「シンクロゲージ」を表しており、攻撃する度に減少する。シンクロゲージの値が低いと、そのまま攻撃力も下がり、相手に上手くダメージが通らなくなってしまう。

 そこで使えるのがキャラのチェンジ。戦闘中にLRを押すことで即座に操作キャラクターを変更できる。つまり、ひとりのキャラが連続で攻撃してシンクロゲージが切れてしまったら即座に別のキャラに操作を変更。シンクロゲージが残っているキャラで攻撃を叩き込んでいる隙にまた他のキャラのシンクロゲージが回復……というメリハリとスピード感のあるバトルを楽しめる。

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 さらに今作は敵が普通に強い。この難易度すら90年代RPGを意識しているのかと思うほど普通に強い。いや、『エルデンリング』ぐらい特段難しいというわけではないのだが、適当にプレイしていると思ったより死にかけるため、ここは「普通に強い」というなんとも煮え切らない表現が的確かと思われる。

 ここでもやはり「キャラの入れ替え」と「リングチェンジ」が重要になってくる。今作の敵は普通に強い……のだが、ちゃんと「弱点」が設定されている。体験版の最後で訪れることができる「長柄の塔」という雪原地帯のダンジョンでは「弓」が弱点の敵が多く登場するため、リングチェンジで弓を装備し、適切なタイミングでキャラを入れ替えながら戦えば、しっかりと優位に立てる。

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体験版のボス「アイスタイタン」は「槍」が弱点。ボス戦の直前に「槍」が解禁されるため、弱点をうまく突くことができれば容易く倒せる。

 しかし、この「難しさ」の部分があまりゲームの面白さに繋がっていない点もいくつかある。たとえば「回復アイテムの供給の少なさ」。

 今作の回復アイテムはポーションやエリクシールなど、体験版の時点では村のショップにて購入するかクラフトを行えば入手できる。一応それ以外にも入手方法はいくつかあると思われるのだが……おおむねそれがメインだ。だが、今作には「ファストトラベル」のシステムは現時点では確認できていない。

 これがつまりどういうことかと言うと、村から出てフィールドを攻略、ダンジョンを攻略……と長丁場の冒険を繰り広げている最中に回復アイテムが尽きた場合、わざわざ村まで歩いて戻る必要がある。一応セーブポイントで回復を行うことはできるのだが、基本的にダンジョンの攻略中に回復アイテムが尽きた場合……アイテムの補給はもうどうにもならない。

 しかもセーブポイントの間隔が結構長い! まあ実際ハラハラ感には繋がっているため一概に全部が悪いとは言い切れないのだが、もう少しユーザーフレンドリーな感じが欲しいとは思わなくもなかった!

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 もうひとつ敵の強さと噛み合っていない点を挙げるとすれば、「味方CPUの頭がちょっと悪い」という点だろう。今作の敵は普通に強い。だから的確に弱点を突き、味方キャラ同士でシンクロゲージを管理しつつ戦わなければならない。

 しかし、残念なことに味方キャラの操作を一任するにはCPUの行動がちょっとだけ悪い。いや、そこまで絶望的なほどではないのだが、たとえば敵に突っ込んで行って普通に敵の攻撃を食らって死にかけていたり、ダンジョンに設置されているダメージ付きのギミックに何度も引っかかって自滅していたり……なんともまあ愛らしい倒れ方をしてくれる。

 一応味方を蘇生させる回復アイテムはそこまで貴重品ではないため、味方キャラが勝手に死ぬこと自体にそこまで壊滅的な被害がある訳ではないのだが……明かな凡ミスで何度も死んでいる味方を見るのは……なんというかこう……いたたまれない気持ちになる。製品版での改善を期待しよう。

そもそもこれは『聖剣伝説2』より面白いのか?

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 単刀直入に言ってしまおう。この『聖塔神記 トリニティトリガー』、かなり『聖剣伝説2』である。タイトルとか、開発陣とか、色々な部分に「意識」を感じはするのだが、実際に触るアクションの部分まで含めるとかなり『聖剣伝説2』である

 こういう方針のゲームに立ちはだかる問題、それは「リスペクトする分には構わないけど、もとのゲーム以上の面白さになり得るのか?」という点だ。さらに単刀直入に言ってしまえば、「だったら普通に『聖剣伝説2』を買えばいいのでは?」というハードルがこのゲームの前には立ちふさがっている。

 果たしてどうなのか、『聖塔神記 トリニティトリガー』は『聖剣伝説2』よりも面白いのか。私個人の感想として正直に言ってしまうと……体験版ではなんとも言えない感じだ。アクションがそんなに悪いわけでもない。音楽は良い。キャラクターデザインや声優のキャスティングも魅力的。しかし……総合的に見て、「これは『聖剣伝説2』より面白い!」と断言できるかと言うと、体験版の時点では何とも言えない

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 もうひとつ体験版で残念だったと感じた点を挙げると、メインストーリーが大きく進行する場面、他のゲームではムービーシーンなどに相当する部分が静止画だけで進行……いわゆる「紙芝居」だったのが結構寂しかった。せっかくキャラクターデザインの出来が良いのに、これではなんとも……。いやしかしこれはあくまで「体験版の時点で」だ! 製品版ではちゃんと差し変わっているかもしれない! 製品版に期待しよう!!

 実際、読者のみなさまには実際に体験版を遊んで判断してみてほしい。決してつまらないゲームではない。キャラクターデザインも、世界観も、音楽も、ちゃんと出来が良い物に仕上がっている。ただ……こう……何か……何かが……いや、よそう……。RPGどうしが戦ってもしょうがない。私が欲しいのは90年代RPGの心だった。

 とにかく、『聖塔神記 トリニティトリガー』の評価は、実際に体験版を遊んでから判断してほしい。1~2時間ほどでサクッと遊べる体験版となっているので、そこそこ気軽にクリアできちゃうしね。私は決して貶したいとかではなく、あくまでこのゲームに真正面から向き合ったうえで原稿に記している。だからみなさまも、ぜひ一度このゲームの体験版に触れて、自分自身の目で見極めて欲しい。

 本当に90年代の王道RPGは現代によみがえっているのか?

 そもそもリスペクトもとを超えることはできるのか?

 『聖塔神記 トリニティトリガー』の製品版は2022年9月15日にPS4、PS5、Nintendo Switchで発売予定だ。

体験版で気になった点をディレクターの礒部氏にメールインタビュー

 ここからは『聖塔神記 トリニティトリガー』のディレクターを務めている礒部たくみ氏に、今回の体験版を遊んだユーザーの反応や、気になった点についてお聞きしたメールインタビューを掲載しています。

 全体的に「今回の体験版を遊んで気になったユーザーへの回答」という方針の質問となっているため、少し踏み込んだ質問もいくつか含まれているのですが、このインタビューは決して今作の出来や完成度について責めたいわけではない……ということを念頭に置いていただけるとありがたいです。

──『聖塔神記 トリニティトリガー』の体験版を配信した反響はいかがだったでしょうか? また、ユーザーの反響をどのように分析していますか?

礒部氏:
 『トリニティトリガー』ディレクターの礒部たくみです。よろしくお願いいたします。

 配信開始から、かなり多くの皆様に遊んでいただき、開発一同大変嬉しく、そして、ありがたく思っております。おかげさまで、かなりの反響を頂いております。

 今回配信しました体験版は、開発途中のゲームを皆様にいち早く遊んでいただき、ゲームの雰囲気を感じてもらいつつ、皆様からの率直なご意見をいただくことで、開発途中のゲームにできるだけ反映させていこう、という試みのものでした。ちなみにですが、遊んでいただいた体験版、中身的には2022年3月あたりの物になっております。

 ──なぜ体験版を出すことしたのでしょうか?

 本作は90年代のRPG体験を現代に。という企画コンセプトがございます。あえて誤解を招く恐れのある言葉で表現させてもらうと、当時のアクションゲームや、RPGは理不尽が多いゲームでした。一撃、二撃で死んでしまう横スクロールアクションや、セーブポイントまでが遠いRPG。ひたすらレベル上げをしないと進めないなど。
 私が子供のころはそんなゲームを友達と情報交換したり、一緒にプレイしながら、アイディアを出し、工夫してクリアしていきました。

 あの頃の工夫を現代でも表現したい。という考えが、このゲームの根底にはあります。そのため、何も考えずにボタンを連打するだけでは、苦戦しますし、ダメージもしっかり受けます。しかし、弱点を見極め、シンクロゲージを管理しながらキャラチェンジを駆使することで、3人分のシンクロゲージをアクティブに使用し、ノーダメージでクリアすることも可能です。実際にそういった遊び方をされている方もTwitter等でお見受けしております。

 しかしながら、そのバランスを現代によみがえらせるのは至難の業でした。ストレスにしか感じられない理不尽は悪でしかないですしね。このバランスを、実際にユーザーのみなさんに体験していただき、声を聞こうと考え、発表と同時に体験版を配信させていただくことを決めました

──体験版をプレイしたユーザーに向けてのアンケートも実施していましたが、そのフィードバックの中で多かった声などはありましたか? 良かった点、悪かった点など、どちらも教えていただけるとありがたいです。

礒部氏:
 アンケートのご協力、大変ありがとうございます。開発含め、チーム全員で隅々まで読んでおります。

 いただいた意見の中でも、世界観やキャラクター、そして音楽は、かなりの好評を頂いております。コンセプトにもありますが、当時を彷彿させるようななつかしさもしっかり感じていただけてたので、安心しております。

 今回の体験版では、ほんの一部しかお見せしておりませんが、製品版では、もっとたくさんのキャラクターや音楽がありますので、楽しみにしていただけると幸いです。また、発見をテーマにしていることもあり、体験版のフィールドには、たくさんの隠された道や、宝箱、隠しボスなんかも配置しておりました。宝箱を見つけられたときは嬉しいという声もたくさんいただいております。

 隠された道は、闇雲に探す必要がないように、「違和感」などのヒントを実装しておりましたが、体験版ではうまくお伝えすることができませんでした。そこは製品版でしっかり調整していく想定です。

 たとえば、フィールドにある雪だるまですが、雪だるまは宝箱の近くにある、というルールで設置しておりました。しかし、雪だるまの先に隠し通路がある、と受け取れるような配置にもなっており、うまく発見した気持ちよさをお伝えすることができませんでした。一方で、アクション周りに関する事、AIに関する事、マップに関する事、は改善要望として多くありました。

 AIについては別途ご質問がありますので、そちらで回答するとし、まずはアクション周りにフォーカスしますと、回避に関することが一番多かったですね。反応が遅いことや、攻撃を回避でキャンセルできないなどです。こちらは開発中のスタッフからも意見が出ており、皆様からの意見を真摯に受け止め、今現在自分の手元にあるROMでは攻撃の回避キャンセル、ジャスト回避、などがすでに実装されております。

 引き続き、さらに気持ちよく回避ができるように、絶賛調整中ですので、ご安心いただければと思います。もちろん攻撃アクションに関するご意見も、前向きに検討しております。
 武器の切り替えも、テンポの改善という観点から、時間を止めずに瞬時に切り替えられるショートカット機能も追加で実装いたしました

 その他、ダッシュに関するご意見も非常に多くいただいております。こちらもすでに、シンクロゲージを消費しない形での、オートダッシュを実装しておりますので、製品版ではより遊びやすく、より探索しやすくなります。

 探索に関わる部分ですと、拡大されたマップを要望する声も多くいただきました。じつは先日、こっそり最新版の実機画面を撮影し、Tweetしています。拡大マップの画面だけでなく、マップ上でのUIの追加や目的地の情報、また、そのエリアで入手できる宝箱の数も一緒に表示されるようになったので、かなり探索しやすくなっています。

──インターネットを中心に、味方AIの挙動など、ゲーム全体の出来栄えを不安視する声も一部ありました。この意見をどう受け止め、製品版の発売までに、どのように改善される予定ですか?

 まずは、ご心配おかけし申し訳ございません。味方AIの挙動に関するご意見は、かなりの数頂いており、開発一同、認識しております。体験版と同じ状態で出ることはまずない、という認識で頂けると幸いです

 今回いただいた意見から、AIの挙動の中でも、どこに意見が集中しているのかが、より明確になりました。特に「味方がすぐに死んでしまう」問題は一番に対応しております。まだまだこれから調整はいたしますが、すでに改修は進んでおり、AIが理不尽な動きをして勝手に死ぬようなことはありません。しかしながら、気を抜いていると死ぬこともあります。くらいにはなっております。もちろん、AIの攻撃頻度もすでに調整が入っております。それらすべてを含め、できるかぎりの調整はギリギリまで行ってまいります。

 また、体験版の性質上、製品版では物語を通して徐々に開放されるシステムや、操作をぎゅっと詰め込んだため、どうしてもわかりにくい箇所などが出てきてしまいました。ご不便をおかけしたかと思います。製品版では、順を追ってシステムが解放され、チュートリアルもしっかりしていますので、ご安心ください。

 ひとつ前の質問でも、すでに答えてしまっておりますが、いただいた意見の中でも、特に多いものから、順に意見の反映をできる限り行っております。体験版と同じものが出ることはありませんので、ご安心いただければと思います。

──「エリス」などのメインキャラクターが加入するシーンが静止画とナレーションによるメッセージだけで済まされてしまっているのが、少し寂しく感じました。これは体験版での仕様なのでしょうか? また、製品版の発売までにこの点が改善される予定はありますか?

礒部氏:
 こちらは体験版限定の仕様なのでご安心ください。製品版では、このような静止画ナレーションは存在せず、2Dや3Dイベントになります。メインシナリオはフルボイス、また随所でアニメーションをはさみつつ物語が進行します。

 実は、体験版で遊んでいただいたホープラードは、製品版では序盤から少し進んだあとに訪れる街になっています。つまり、物語のかなり途中を切り取っているイメージですね。しかし、そのまま体験版にしてしまうと、それこそ何の話かわけがわからない。だからといって、1時間程度の体験版では、本作の壮大な物語を一から説明することは難しい。ですので、ここまでの簡単なあらすじとして静止画を導入いたしました。製品版では、シアンがトリガーのフラムに出会う前からスタートしますので、しっかりとストーリーに入り込めるようになっています。

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──体験版を通して、全体的に「難易度の高さ」が少し気になりました。製品版の発売までに難易度調節機能の追加など、何か救済措置や施策などが行われる予定はありますか?

礒部氏:
 特に雑魚敵に関して、理不尽に難易度が高いとの意見を多数いただいております。そちらも製品版では調整される認識で問題ありません。アンケートを拝見している中で、シンクロゲージを意識せず戦っている方が多く見られました。

 本作は、ゲージがない状態で攻撃すると、威力がなくなり、まともに敵にダメージを与えることができません。つまり、ひたすら攻撃ボタンを連打すると、ほとんどダメージを与えることができていない状態になります。そうすると、通常なら3コンボで倒せる敵も、まったく倒せなくなり、敵が倒せない、難度が高いと思うユーザーも少なからずいらっしゃいました。

 これは、UIの問題だと分析しております。というのも、バトル中は、画面中央の操作キャラクターを常に見ているので、画面下にあるシンクロゲージに目をやることが難しいんです。
 そこで、シンクロゲージの表示調整を行っております。具体的には、シンクロゲージの形状を変更し、邪魔にならないデザインとサイズで、操作キャラの頭上に表示するようにしております。こちらは、常に表示されているわけではなく、ゲージが消費されると表示されるものになります。これにより、バトル中でも邪魔にならない程度に、常に視界に入りますので、よりゲージを意識したバトルが可能になるかと思います。

 もちろん、雑魚敵のパラメーターや、出現位置、数など、全マップで調整中です。味方AIも強化中ということもあり、そうそう簡単に死ななくなりましたので、理不尽な難度は改善されております。

 また、製品版ではホープラードを訪れるまでに、装備品であるマナタイトなどがきちんと入手、装備できている状態になりますので、マナタイトがフルで装備できない体験版の方が、圧倒的に難しいかと思います。ただ、今作はきちんと攻撃や回避をし、マナタイトをクラフト装備する前提での調整をしておりますので、近年のARPGよりは、難度が高めになるようにしております。

──参加スタッフなどからも本作は『聖剣伝説2』をリスペクトしているタイトルであることがわかります。「聖剣伝説シリーズ」と比較したときに、『聖塔神記 トリニティトリガー』の独自性でこだわった点などを教えてください。

 本作は、「発見」をコンセプトにしており、そこに力を入れております。日常生活でも、怪しい雰囲気の場所だったり、おかしな物があったりすると、その先に何があるんだろう?とワクワクしませんか? それを違和感や隠し通路、隠しアイテムとして、ゲームに落とし込んでいます。

 ですが、闇雲に隠し通路を設置してしまうと、壁に向かって走る、所謂、壁走りで隠し通路をみつける遊びになってしまいます。それだと、感じていただきたい発見とは違ってきてしまいます。

 そこで、本作では隠し通路や、なにかがある場所には、かならず他とは違う「違和感」を置いています。この違和感ですが、ただ単純になにかが置いてあるというわけではありません。たとえば、特定の場所だけ規則性が違って物が置いてあったり、他の物と色や速度が違っていたりなど。通常だと素通りしてしまいそうですが、それに気が付いた人だけが、その違和感の先を探していただくことで、隠された“なにか”をみつけることができる作りになっています。

 ただ、体験版ではそこまでの導線を丁寧に説明できていませんでしたので、あまり「発見」と感じていただけませんでした。製品版では、エリアでゲットできる宝箱の個数などもミニマップに表示されるようになっていたり、特別なSEやボイス、収集要素もあるので、もっとわかりやすく発見のカタルシスを味わっていただけるかと思います。

 そのほか、サブストーリーも非常に力を入れています。現時点で、50個以上のサブストーリーが実装されていますね。いわゆる「お使い」のようなものはあまりなく、きちんと世界観やキャラクターの深堀を感じられるストーリーになっています。体験版クリア後に、サブストーリーがひとつ楽しめたかと思います。ホープラードの悲しい実態を知れる「雪山の怪」ですね。あちらもサブストーリーのひとつになります。

 また、サブストーリーで初めて行けるようになるエリアや聖塔、ボスなども数多く存在しているので、メインストーリーを進めながら、同時進行でサブストーリーも遊んでいただけるとより深くトリニティアの世界に浸れるかと思います。

──『トリニティトリガー』に期待されているゲーマーたちへ、メッセージをお願いします。

礒部氏:
 『トリニティトリガー』の体験版を遊んでいただき、また、アンケートにご協力頂き、
 大変ありがとうございました。皆様からの熱いご意見や要望は、自分含めて、開発全員で拝読し、製品版にできる限り反映できるよう検討しておりますので、どう変わったのかを、正式にお伝えするまで、今しばらくお待ちください。

 また、体験版では、詳しい物語を体験いただくことができなかったのですが、神々の争いに巻き込まれた主人公シアンを中心に、広大な物語が展開されていきます。
 自然美豊かな町を巡り、情報を集め準備をする、そして人々を助け、ボスを倒す。まっすぐなRPGの面白さをベースにしつつ、トリトリらしいコンセプトやシステムを取り入れ、そして、多彩なキャラクターの思惑が絡み合う重厚な物語へと転換していきます。こちらも楽しみにしていただけますと幸いです。

 開発一同、皆様からの意見を真摯に受け止め、クオリティアップを図っております。
 発売まで、もう少しお時間を頂きますが、どうぞよろしくお願いいたします。

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ライター
転生したらスポンジだった件
Twitter:@yomooog

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