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シューティングジャンルに特化した「アストロシティミニ V」。自宅をあのころのゲームセンターにするミニハードをひと足先に遊んでみた

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 全22作品の古き良きクラシックタイトルが収録された「アストロシティミニ V」がセガトイズより7月28日に発売となる。

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 80年代から90年代にかけて人気を博したゲームに焦点を当てたプロジェクトは盛んに行われているが、本ハードはあえてアーケードゲーム、そしてその中でも“シューティング”ジャンル中心のラインナップとなっているのが大きな特徴だ。

 収録タイトルの顔ぶれだけではなく、ハードの設計やディスプレイ出力に至るまで、シューティングを楽しく遊ぶことにこだわった商品となっている。

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古き良きシューティング+『レッスルウォー』が遊べる夢のミニハード!(画面は『疾風魔法大作戦』より)

 本稿では、このユニークで尖ったハードを発売に先駆けてレビューする。

文/電ファミニコゲーマー編集部

※本記事は、発売前にセガトイズさんより「アストロシティミニV」の製品版をお借りし、そちらをプレイして記事化したものとなります。


アストロシティミニ Vの特徴

 まず、本作に収録されているタイトルは以下の通り。シューティング中心のラインナップかつ、実に濃厚なタイトル群となっている。「アストロシティミニ V」は、セガトイズからの発売だが、他社メーカーの作品を大量に盛り込んだ、シューターのためのハードとなっている。シューティング以外のタイトルが『レッスルウォー』って渋すぎる……。

■タイトル(発売年)
ムーンクレスタ(1980年)
ZAXXON(1982年)
テラクレスタ(1985年)
コスモポリス ギャリバン(1985年)
アクションファイター(1986年)
TATSUJIN(1988年)
レッスルウォー(1989年)
鮫!鮫!鮫!(1989年)
雷電(1990年)
アウトゾーン(1990年)
ソニックウイングス(1992年)
達人王(1992年)
ドギューン‼(1992年)
デザートブレイカー(1992年)
BATSUGUN(1993年)
V・V(ヴイ・ファイヴ)(1993年)
戦国エース(1993年)
疾風魔法大作戦(1994年)
ガンバード(1994年)
ストライカーズ1945(1995年)
アームドポリス バトライダー(1998年)
バトルバクレイド アンリミテッドバージョン(1999年)

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『達人王』など、さまざまなシューティングタイトルが収録されている。デモをループする機能や、一部のBGMを視聴できる機能も簡易的にだが搭載されている。
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収録タイトルの中で異彩を放つ『レッスルウォー』。ディスプレイで見るとその描きこみに驚かされるタイトル。

 注目は、アーケード版初の忠実移植を謳った『アウトゾーン』、『達人王』、『ドギューン!!』、『アームドポリス バトライダー』、『バトルバクレイド アンリミテッドバージョン』。こうしたタイトルが、家庭用環境で快適に遊べるようになるというのは感涙ものだ。さらに、その他のタイトルに関しても、遊ぶための環境にひと手間かかるようなものも目立つ。「アストロシティミニ Ⅴ」が1台があれば、電源を入れるだけで、これらの古き良きタイトルを好きなだけ遊べるのはうれしい限り。

 ソフトウェア部分では、ほとんどのタイトルに“かんたんセーブ機能”が搭載されている(『アームドポリス バトライダー』のみ、かんたんセーブには非対応だが、こちらはポーズメニューからセーブ&ロードが可能)。
 かんたんセーブ機能は、進行中のゲームをボタンひとつでセーブできる機能。直感的にセーブが行えるため、集中力が求められるシューティングゲームとの相性は抜群だ。難度の高いゲームであっても、この機能を活用することでクリアーまで辿り着きやすくなる。また、難所やスコアアタックの肝となる部分でセーブしておき、その部分を重点的に練習するという使いかたもできる。「よーし『達人王』をやりこむぞ!」という方にも、もってこいのハードとなっている。

 また、ゲームを遊ぶ前にDIPスイッチメニューを起動でき、ゲームごとにさまざまな設定を変えることができる。たとえば『達人王』の場合は、難度やエクステンド、プレイヤーの残機、サウンドのモノラル/ステレオなどを変更可能だ。

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『アームドポリス バトライダー』は、かんたんセーブには非対応だが、ポーズメニューからのセーブには対応している。こちらはセーブにひと手間あるが、攻略や練習には十分役立つ。
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“DIPスイッチ設定”では、ゲーム設定を変更可能。ゲームによって設定可能な項目は異なっており、エクステンドの数を変えられるものが多い。

 ハードウェア部分の特徴として、4.6インチの縦型液晶モニターを採用。「アストロシティミニⅤ」の設計からして、縦スクロールのシューティングを強く意識した設計になっているというわけだ。ジョイスティック&操作ボタンのサイズは小さめだが、触ってみると意外にも操作は快適。ふだん、アーケードでジョイスティックの“かぶせ持ち”をする方であれば、「アストロシティミニ V」は違和感なくプレイできるだろう。HDMIケーブルによる外部モニターへの出力にも対応しており、こちらは720Pの画質となっている。HDMI出力時は、縦画面出力にも対応しているのもうれしい。

 そのうえ、レトロなゲームを遊ぶうえで、人によっては欲しくなる“連射”機能にもこだわっており、オリジナル版に連射機能や連射ボタンが未実装だったタイトルも連射ボタンが設定できるようになっている。この連射ボタンは「アストロシティミニ V」の制作に協力した「ゲーセンミカド」の監修によるもので、店舗側での設定や筐体改造のノウハウを活かして配置されているそうだ。

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ボタン配置は各ゲームのポーズメニューから確認できる。ボタン配置は設定されたものから選ぶようになっている。

 また、「アストロシティミニ V」には、「アストロシティミニ」と同時に発売された「アストロシティミニ コントロールパッド」「アストロシティミニ アーケードスティック」が接続できる。これらの外部コントローラーは操作感に優れており、「アストロシティミニ V」でゲームをやりこむ際に強くおすすめしたい商品なのだが、現在はやや品薄状態。これらのコントローラーとの同時購入を検討している方は要注意だ。

オリジナル版と比べて、「気にならない」遊び心地

 ここで、クラシックゲームを収録した、この手のハードで誰もが気になる移植度と遅延について触れておきたい。まずは、移植度に関して。限られた試遊時間ですべてのタイトルを遊ぶことはできなかったため、あくまでもプレイできたタイトルに限った話とはなるが、アーケード版と遜色なく楽しめたと報告しておこう(『バトライダー』に新曲が収録されていたり、『ドギューン!!』のバグ修正などが行われているという変更点もある)。

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『ドギューン!!』はいま遊んでも大迫力!サウンドも超いい!
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『アームドポリス バトライダー』は、一部サウンドが新曲になっているが、遊び心地はそのままで移植されている。

 遅延に関してはいくつか検証してみたのでその結果を記しておこう。まず、いくつかのタイトルを検証した結果、アーケード版と比べるとごくわずかな遅延がある。遅延はあるものの、プレイに支障をきたすようなことはなく、むしろ十分に楽しく遊べるレベルで移植が成されていると感じた。「アストロシティミニ V」からHDMIケーブルでディスプレイに出力すると、「アストロシティミニ V」本体のモニターで遊ぶよりもわずかに遅延が増加したが、こちらの環境でも弾避けを楽しみつつ、プレイに没頭することができた。

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 遅延への鋭敏さというのは、プレイヤーによって異なるため、すべての人が同じ感覚になるとは思わないが、1、2フレームの遅延すら気になるという方以外は、「アストロシティミニ V」で幸せな体験ができるだろう。

一早く名作シューティングたちに触れたいという方、購入はお早めに

 移植度や遅延について、より詳しい情報が欲しいという方は発売後の口コミやレビューなどを待つのもいいだろう。「アストロシティミニ」のときは、発売後に発覚した情報がいくつかあり、この手のハードはオンラインでのアップデートが難しいためか発売時点のものが「仕様」となる場合が多い。ちなみに、「アストロシティミニ」公式サイトのQ&Aコーナーでは、こうした仕様の違いを「原作のゲーム内容を本品に合わせ再現したものです。原作とは動作や表現などが異なる場合があります」と説明していた。

 電ファミ編集部が「アストロシティミニ Ⅴ」のようなクラシックゲームを移植したプロジェクト自体が好きというのもあるが、この価格で、モニター付きのこのハードウェアで、22タイトルもの古き良きゲームが遊べるのは破格だと声を大にして伝えたい。

 とくに80年代から90年代のシューティングゲームは、ゲームセンターでプレイできる環境を求めようにも、いまやこれだけのものをずらりと並べている場所はほとんどない。個人で遊べる環境を作るといっても、おもしろさが色褪せないためか、中古で揃えようとしても高価なタイトルばかりだ。実際、「アストロシティミニ V」に収録されているタイトルの中には、基板の市場価格が10万円を優に超えるものなどもある。

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 それらをアーケード基板の環境でプレイしようとした場合、ソフトの値段だけではなく、筐体そのものを手に入れる必要があったり、コントローラーボックスやコンバーターを揃えなければならなくなる。このように、「オリジナル版の体験をそのままにいま遊ぶ」ということを追求すると大変な手間と費用がかかるわけだが、「アストロシティミニ V」ならこの価格で「精度の高い移植版がお得に楽しめる」

 移植の精度たるや、オリジナル版を遊んでいたプレイヤーでも、笑顔でプレイできるレベルというのだから、セガトイズの本気度には脱帽せざるを得ない。往年のシューティングファンはもちろん、Z世代にとっても刺さるアイテムになっているはずだ。

 最後に、「アストロシティミニ V」の制作に協力した、ゲーセンミカドのYouTubeチャンネルでは、アーケード基板に日頃から親しんだ出演者たちが、「アストロシティミニ V」でかつての名作を楽しみ、思い出話をしたりしている。これは羨ましい……! と感じる方はぜひ一度ご覧いただきたい。

ライター
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