日本のゲームデベロッパーであるトイロジックから8月の海外ゲームイベント「gamescom」にて突如発表されたのが、100人対戦マルチプレイ戦争ゲーム『Warlander』。
本作で描かれるのは、ロボットから巨大隕石、魔法までさまざまな要素が混在する、カオスな中世ファンタジー世界を舞台にした攻城戦。体験会でプレイしたところ、「100人」という大人数マルチプレイの圧倒的な迫力を見事に描写しており、またそれに見合った巨大な規模の作品となっていることが伺えた。
実際、規模の大きな作品なだけあって、トイロジックも「社運を掛けた一大プロジェクト」かつ「オリジナルゲームで先陣を切りたい」と、体験会では意気込みを見せた。。
トイロジックは世界累計ダウンロード数が1500万を超えるヒットとなった『Happy Wars』やスクウェア・エニックスの『NieR Replicant ver.1.2247448713』の開発を過去に手がけているゲーム会社。最近は協力プレイシューター『グリッチバスターズ:スタックオンユー』を発表し、ゲーム業界の中でも勢いのある会社のひとつとして知られている。
本稿ではそんな大迫力の100人マルチプレイを見せてくれた『Warlander』のメディア体験の感想を紹介していく。
文/tnhr
編集/ishigenn
【基本ルール】前線を押し上げて敵城のコアを破壊せよ
本作の最大の特徴は、最大100人のプレイヤーがひとつの戦場で攻城戦を繰り広げるというコンセプトだ。マップ上で互いのチームは本拠地として「城」を所有しており、その中には「コア」と呼ばれる球体が鎮座している。このコアに一定のダメージを与え、先に破壊したチームが勝利となる。
ただしすぐに互いの城を攻撃・防衛し合うわけでなく、まずはその間にあるフィールドで自軍の前線を押し広げていかなければならない。平野や森に山岳などさまざまな地形があるフィールド上には、各所に「タワー」が設置されている。このタワーは占領することで自軍の死んだプレイヤーがリスポーン地点として利用できる。
タワーを占領し、前線を押し上げて味方の戦力をどこかの城門近くに集結させ、機を見て攻城戦を仕掛けるというのが本作の基本的な流れだ。城壁や城門近くの戦いでは、攻城兵器や梯子を利用しながら敵の熾烈な攻撃をかいくぐり、相手の城内へと侵入しコアの破壊を目指すことになる。
なお、こちらが城を攻めている間、もちろん敵もこちらの城を攻めてくるため、本作では防衛も重要だ。この点については先に補足しておくと、攻撃役と防衛役どちらをやりたいかはマッチ開始前に挙手制で決定することができるので、誰もいない城を攻め落とされるといった心配はないように設計されている。
3つのクラスと多彩なカスタマイ要素
『Warlander』はカスタマイズの柔軟さによってさまざまな立ち回りが可能で、攻撃や防衛、あるいは得意な戦術やシチュエーションにあわせた戦い方を選べるようになっている。
マッチが開始されると、まずプレイヤーは戦士・僧侶・魔法使いの3つのクラスのキャラクターからひとりを選択することになる。戦士は体力と火力が高く近距離に特化。僧侶は回復や妨害を行うことができる。魔法使いは体力は低いが火力が高く、遠距離から攻撃を行うことが可能だ。
それぞれのクラスのコンセプトの傾向に加え、使用できるキャラクターは装備品やスキルなどで幅広くカスタマイズすることができる。、たとえば戦士に遠距離攻撃ができるボウガンを装備させ、シチュエーションごとに近距離だけでなく遠距離でも戦わせることが可能だ。
このほか、キャラクターの見た目を変更するカスタマイズパーツやカラーリングも存在しており、自分好みに自由に調節することができる。。
さらに本作にはRPG要素もあり、カスタマイズしたキャラクターで遊んでいると経験値が蓄積されていき、またさまざまなアイテムが解放されたり、ショップで利用できる通貨を獲得していく。それを利用してキャラクターを育成していくことになる。
装備の見た目を変えることのできるアイテムや、対戦中にキャラクターが使用する新たな武器、魔法を獲得することができ、見た目も戦法も自分の好みのスタイルに変えることができる。
なおトイロジックによれば、このゲームにおいてのキャラクター育成要素は、「遊び方が増える」という点に特化しているという。キャラクターがレベルアップすればゲームで有利に戦うことができるという単純な設計ではない。詳しくは後述するが、柔軟にゲーム中に立ち回るための手段を増やしていくために育成要素は存在すると考えてよさそうだ。
なおマッチ前にプレイヤーは、カスタマイズしたキャラクター5人を「デッキ」として組むことになる。プレイヤーはマッチ開始時やリスポーン時にこのデッキの中にあるキャラクターを戦況を見ながら使い分けることになるそうだ。
ただしここで忘れてはならないのが、「コスト」の概念だ。強力なコストが高いキャラクターは使用できるまでのクールタイムが長く、逆にコストを低く設定したキャラクターはクールタイムが短くなる。強力な重量キャラクターで戦線を突破するのか、あるいは小回りの効く軽量キャラクターで回していくのかは、プレイヤーのデッキとその場での判断次第となる。
「圧倒的な戦場の混沌」が描写される100人対戦
デッキを組んだらいよいよ戦場へ向かうことになる。ゲームルールは体験会でふたつ確認することができた。ひとつは50人と50人の軍勢が戦い合うモード、そしてもうひとつが5つのチームに分かれて互いの城を攻め合うというモードだ。どちらのモードでも、プレイヤーは軍勢の中で4人単位のチームに別れ、その中でボイスチャットをしながら連携を取っていくこととなる。
マッチングは過去のプレイ成績をみて、偏らないようにマッチングするようになっているそうだ。なので初心者とやりこんだ人のパワーバランスについては調節されている。
『Warlander』をプレイしていて楽しかったのは、なんといってもワチャワチャ感、「戦場での圧倒的な混沌感」だろう。メディア体験会はAIも含めた戦いで最大数100人プレイヤーでの対戦を行うことはできなかったのだが、それでも十分に大規模な戦いを楽しむことができた。
戦場で多数の兵士たちが駆け巡り、そこかしこで小競り合いや死闘が繰り広げられている。城門を挟んだ戦い、コア周辺での戦い、裏とりから城の背後を突く者たちも。攻撃のエフェクトもとにかく派手で気持ちが良い。自分のチームの魔法使いが一か所に集まって、協力して強力な大魔法を撃つことができるシステムが存在し、まるで厄災のように人々の頭上に巨大隕石が降り注ぐ光景は圧巻だった。
また、各プレイヤーが好き勝手に行動してもそれほど上手くいくことはなく、やはり4人パーティーが協力して戦うことで敵軍に致命の一撃を与えられる点も忘れてはならない。
たとえば筆者のチームが戦士3人賢者1人という近距離脳筋スタイルで城に攻め入ろうとしたとき、城の上からの遠距離攻撃になすすべなく攻撃され、チーム内でクラス編成の見直しを進めることになった。前述のデッキシステムのお陰で、プレイ中は気軽にいろいろと試すことができるのも、このゲームの良い点だろう。
めまぐるしく変化していく戦況
また本作では、すさまじいスピードで戦況が目まぐるしく変化していく点も楽しい。死亡したとしても、その場で賢者クラスの兵士に蘇らえさせてもらうこともできるし、そもそもリスポーンの回転率がよいので、プレイ中に復活するまで待ち続けるといった時間はかなり短い。それゆえ、マップ上の兵士の数は敵味方含めつねに多数いるように感じた。
ステージのギミックも多様で、ギミックをうまく利用できるようになれば、より有利に攻めていくことができる。また試合後の演出もユニークで、マップ上に残っている敵の残党を狩り磔(はりつけ)にすることができる。祝杯を上げながら笑うのは最高だ。
1時間弱のプレイ時間があっという間に過ぎ去り、もっとプレイしたく名残惜しいと感じるほどに楽しくプレイできた本作。少しプレイしただけでも、さまざまな魅力を感じることができた。
『Warlander』は2022年9月12日からSteamにてオープンベータも開始されるので、気になった方はぜひ参加していただきたい。