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もう自分の手を見て描けない……見ているだけで手の理解が加速する「ARTIST SUPPORT ITEM ハンドモデル/R」は絵としての“正解”を見せてくれる唯一無二のアイテムだった

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 手を描くのって、難しい。

 イラストを学んだ経験のある方なら、誰もがそう思ったことがあるのではないでしょうか。手なんて、毎日みずから使い、見ているものだというのに……

 いざ描くとなると、まるで描けない……

 まるで「挨拶」という漢字のように。なぜか書けないんですよね、アレも。

 しかし昨年、そんな悩める絵描きのタマゴたちの救世主となり得るかもしれない”あるアイテム”が発表され、大きな話題を呼ぶことになりました。

「A.S.I ハンドモデル/R」レビュー:もう自分の手を見て描けない……_001

 そう、コトブキヤの1/1ハンドフィギュア「ARTIST SUPPORT ITEM ハンドモデル/R」です。

 ふだんはゲームメディアの電ファミニコゲーマーですが、本製品は『遊☆戯☆王』のアニメーターである加々美高浩氏が製作に関わっているということで、昨年そこにこじつけて本製品の発表記事を取り扱わせていただきました。

 すると、うっかりツイッターで3.2万リツイートもされるという大反響に……

 話によると、ゲームアワードなどのショー系の記事を除いた、単体の製品を扱った記事ではこれが昨年で一番伸びた記事になってしまったそうです。いったい、電ファミってなんのメディアなんだ……

 そんな訳もあって、このたびはコトブキヤさんより本製品のサンプルをご提供いただくことになりました。というわけで今回は、当時はまさかそんな事態になるとは思っていなかった絵描きのタマゴでもある筆者から、本製品の先行レビューをお送りさせていただきたいと思います。

 これはまさに、絵としての正解を見せてくれるアイテムだ……!

※本記事内で扱うモデルはすべてサンプル品のものです。製品版とは異なる場合があります。

文/司破ダンプ
編集/実存


1.想像より軽い!しかしこの軽さは正義だ!

「A.S.I ハンドモデル/R」レビュー:もう自分の手を見て描けない……_002
まずは1枚。美しいです。適当にポーズを決めても、しっかりと絵になります

 さてサンプル品を手にしてみて最初に思ったことは、想像していたよりもずっと軽い!ということ。本製品は1万円以上する製品なので、勝手にそれなりのズッシリ感があると思っていたのですが、思っていたよりはずっと軽量です。

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重さを量ってみると、重量は約147g。卵2個よりちょっと重いくらいでしょうか

正直、イメージとの違いから「1万円以上の重みか、これが……?」とも一瞬思ってしまいました。しかし実際のところ、この軽さには利点があります

 というのも筆者は以前、ずっしりめの人体模型フィギュアを机においていたら、うっかり倒してPCモニタを割ってしまったことがありまして……そう、机に置くものってヘタに重いと危険なんですよね!

 しかし、この軽さであればうっかりモニタを割ってしまうような心配はまずないでしょう。よって、この軽さは正義の軽さといえるのではないでしょうか。

2.まるで美術品のような美しさ、自分の手が見たくなくなる……

 あらためて、外観を見ていきます。人間の手の可動域を再現しているので、極端に関節が曲がりすぎてしまうこともなく、簡単にポージングが決められます。

 とくに指先を少し反らせてやると、ケレン味のあるポージングとなり絵的にかなり映えます。

 

 本製品の製作の話を持ちかけたという加々美氏は、『遊☆戯☆王』などでも見られる細身かつしっかりとした手の作画が有名ですが、本製品はあの美しい絵の特徴をしっかりと再現していますね。

 正直、ここまで美しいモデルが手に入るなら、かの手を愛好する殺人鬼でも殺人をやめるレベルなのでは?1/1スケールなので、サイズも十分ですね。

 筆者の手と比較してみるとこんな感じ。余計な肉がついておらず非常にスタイリッシュなデザインとなっているのがわかります。

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自分の手が見たくなくなってしまう……

 手首部分には「KAGAMI TAKAHIRO | KOTOBUKIYA」の文字が。これがまるで石像の土台のようで、飾っておくだけで絵になる本製品の迫力を、さらに演出しています。

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※画像は試作品です。実際の商品とは異なります。

3.世界が嫉妬する可動域。実際の手以上に躍動感のあるポージングも

 さて、ここからはすこし細かく可動域を見ていきます。

 本製品はその可動域を最大の売りとしていますが、実際のところ抜群によく動きます。人間の手の可動域を、ほぼそのまま再現していると言っていいでしょう。

 こちらの写真では、指の閉じ開きを限界まで試してみました。指の第一関節の可動域などは、壁に押し付けるなどの外からの力がかかった時の曲がりまで想定して作られているそうで、最大まで反らせると左端の写真のようになります。

 さらに下の写真では、人差し指と中指を左右の可動域ギリギリまで傾けてみました。こちらも実際の指では、外からの力がないと傾けられないところまで動かしています。

 人を絵に描く場合には、少しオーバーに、ハッタリを効かせて描いた方が躍動感が増す感じが出るので、こういったポーズを決めやすいのは、実際の手を見て描く以上の利点があるといえそうです。

 さらに手のひらの微妙な丸め具合や、親指を開いているときと内側に寄せているときの筋肉の伸縮なども違和感なく再現できます。芸が細かい。

 さらに手首も前後左右、そして斜めにグリグリと動きます。 あまりに違和感なく動くので、撮影中に嫉妬が限界値に達し「私もそれくらいならできるぞ!」と謎の張り合いをしそうになる始末。

4.ものを持たせるには、コツがいる。両面テープが必要?

 せっかくなので、なにか物も持たせてみましょう。

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 まあこの手があれば持たせたいですよね、カードを。しかしこれを持たせるのはなかなかコツが必要で、うまく挟み込んでギリギリ持てるという感じでした。

 軽めで大きめのものなら、そのまま持たせることもできると思いますが、基本的にヒトの手のように摩擦力の強い素材ではないので、細いものや薄いものなどをそのまま持たせるのは難しそうです。小さなものを持たせたい場合には、両面テープなどを使うのが無難でしょうか。

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見るがいい!

 こちらは両面テープを使って無理やり二本指持ちを再現してみました。カードゲームアニメではよく見かける持ち方ですが、この持ち方はそのまま再現しようとするとカードがずり落ちてきてしまい、さすがに両面テープが必要でした。

 なお今回使用した両面テープですが、自宅にあったもののうち、木・ガラス・金属・プラスチック用のものはハンドモデルから剥がれてしまい、うまく貼れませんでした。

 本製品の素材はABS・POM・PVCとのことなので、こちらの素材にあった両面テープが必要になるかと思います。

5.可動域優先の構造のため水かきはなし。参考にするときは気をつけて!

 本製品を見ていて気になった点ですが、指の間の水かきが再現されていないという点が挙げられます。

 ヒトの指の第三関節は水かきの部分よりも手の内側にあり、硬質な素材で手の構造を再現するとなるとデザイン上やむをえなかったのだと思いますが、実際のヒトの手では、下の写真の赤線の部分に水かきがつくことになります。

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 本製品をモデルに絵を描く場合には、手の形を間違って描いてしまわないように、この点には気をつけておく必要があるでしょう。

 ちなみにこの点は、コトブキヤの公式サイトで本製品のレビューを行っている浅井真紀氏も指摘されており、浅井氏は「水かきのある部分に輪ゴムをかけておくことで、目安とする方法」をおすすめしています。

https://twitter.com/masakiapsy/status/1600434433882222592

 このほかに気になった点は、ほぼありませんでした。いちおうは各指の第2関節がほとんど反らないとか、指を曲げた際の肉の盛り上がりがないといったものはありますが、この辺りは自分自身の手との比較でも補完できる部分のため、それほど大きな問題ではないと考えます。

6.総評

 というわけで、ここまで見てきた「ARTIST SUPPORT ITEM ハンドモデル/R」ですが、あらためて実物を触ってみると実際の手を見る以上の価値があると感じました。

 本製品の発表があった際には「自分の手を写真に撮って見ればいいじゃないか」というような意見も見られ、「その手間を惜しまないのなら、そうかもしれないけれど」という気持ちもあったのですが、実物を見て思い直しました。

 それはこのモデル自体が「理想的な手」のデザインをしているためか、人間以上にケレン味のあるポージングをさせやすいためか、あるいはグレートーンで情報が理解しやすいためか。いずれにせよ、実際の人の手を見ているよりも、情報が脳にスッと入ってくるのです。

 絵というものはゲームとは違って、描いていてもそれが正解か、不正解かというレスポンスがなく、正解は自分の中で見つけるしかない、とても大変な世界だと感じます。

 しかし本製品はそんな複雑な世界の中で、その正解へたどり着く道をいち早く示してくれる、非常に優秀な「攻略本的アイテム」であると筆者は思いました。

 本製品が実際にはどのようなクリア画面を見せてくれるのか、それはぜひ製品版で確かめてみてください。

 以上、「ARTIST SUPPORT ITEM ハンドモデル/R」のレビューでした。


 「ARTIST SUPPORT ITEM ハンドモデル/R」(グレー/ホワイト)は一般販売価格1万3200円(税込)で、2024年3月頃にコトブキヤより発売予定です。

 また本製品は現在、一般販売に先駆け応援購入サイト「Makuake」でも応援購入(予約)を2月末まで受付中です。本製品を1万円(税込)で購入できるお得なコースは予想を上回る人気のため完売となってしまいましたが、まだいくつかのプランが受付中です。

 応援購入ではリターン品の発送も2023年8月末頃と一般販売より早めの予定となっていますので、気になった方はあわせてご覧ください。

ライター
85年生まれ。『勇者のくせになまいきだ。』シリーズの代表的プレイヤーとして名を馳せたツルハシの化身。 10代の頃、メックシューターゲーム『ファントムクラッシュ』とその続編『S.L.A.I.』の世界にハマり、 ディスプレイ越しに見た2071年に帰るべく日々を生きる。TCGとボードゲームも好物。
Twitter:@Dump29

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