こんにちは。福田ナオです。
突然ですがこちらの画像をご覧ください。
皆さんは、こちらの画像を見て何を思うでしょうか?
私はこのように思いました。
「これ、『ロックマンエグゼ』の世界ならプラグインできそうだな……」と。
親の顔より見たあのひし形のマップが広がって……ミステリーデータにHPメモリとかが入っていて……
プログラムくんがせっせと働いていて……!ウイルスはキオルシンあたりが出てきそうだよなぁ!?
上の写真を見て「プラグインできそうだ」とは思わなかった人でも、
かつてエグゼシリーズを楽しんだことがある人ならば私の言わんとすることを分かってくれるのではないでしょうか。
そんな同胞たち……ロックマンエグゼ直撃世代なら垂涎のタイトルが4月14日(金)に発売されます。
『ロックマンエグゼ アドバンスドコレクション』(以下『アドコレ』)です。
『エグゼ』シリーズ10作品が収録された本作。
シリーズ直撃世代の筆者(今年で28歳)が電ファミ編集部に頼み込んで、発売に先だって遊ばせていただきました。
その感想はひとつ……
「このゲーム、やっぱめちゃくちゃおもしれぇ~~~!!!」
思い出補正なんてレベルではなく、今なおしっかり面白い!
そんなエグゼシリーズをイッキ食いできる本作の魅力をレポートしていきます。
文/福田ナオ
初代エグゼから『グレイガ/ファルザー』まで遊べる!
本作は2001年から2005年にかけて発売された『ロックマンエグゼ』シリーズの本編10作品をまとめて再録したものです。
1本に全10タイトルを収録しているパッケージと、1から3までと4から6までに分割したパッケージが用意されています。
Nintendo Switch版・PS4版・Steam版があるので手にとりやすいのがいいですね。
イラストなどの閲覧モードやBGM再生モードなど愛蔵版としてうれしい機能もあり。
また、痒いところに手が届く素晴らしい機能も実装されています。
・オンラインでの通信対戦・チップ交換が可能
・リアルイベント限定で配信していたバトルチップやカードeリーダーなどの周辺機器が必要だった「改造カード」などもゲーム内で入手可能
・ロックバスターの威力を100倍にできる(!?)「バスターMAXモード」搭載
これらの機能も本記事ではレポートしていきます。
ロックマンが……生きてる!!
というわけで早速ゲームを起動すると……
「やあ!ボクはロックマン。今日からボクが君のナビだよ。これからよろしくね!」
あの~、ほかのロックマン系列のコレクション作品をやったことがある人なら分かると思うんですけど、これは相当うれしいサプライズなんですよね。他はこういう演出がなくて普通に遊ぶタイトルの選択画面が出てくるだけですから。エグゼの世界設定を踏襲したニクい演出に感激……!
そしてこの記事に貼り付ける画像を撮るためにスクリーンショットをするとロックマンがまさかの発言。
「スクリーンショットを撮るの?……さぁ、シャッターチャンスだよ!」
”実在感”すご!!!!!!!!!!!!
カプコンの粋なはからいを食らい、まだゲームを初めてもいないのに目頭が熱くなってしまいました。
そうだよ……ロックマンエグゼシリーズの魅力のひとつには、こういう細かい作り込みもあったよな……。
エグゼの世界に酔いしれよう
遊びたいタイトルを選んでいよいよゲームスタート!!
私は一番好きな『2』から着手することに。初めて触ったエグゼ作品で思い入れがあるし、シリーズ第二弾作品らしい素朴な作りなのでエグゼの感覚を取り戻すにはちょうどいい気がしました。
ワァ~~~!!!OP画面だけでワクワクする!!!
ああああ!!懐かしのプラグイン口上!!!
3×6マスの戦闘フィールド!!!
毎回おなじみのエリアスチール+ワイドソードでメットール2体を倒すチュートリアル!!
ロックマンエグゼだ……!!私の小学生時代を彩ったロックマンエグゼの世界に帰ってきたんだ……。
「時代を先取りした世界設定」を20年ごしに味わうと……面白い!!
『アドコレ』を遊ぶ上で興味があったのは、「エグゼシリーズの世界設定を今見るとどういう気持ちになるのか?」でした。遊んでいた当時は近未来なエグゼ世界にめちゃくちゃワクワクしてたものですが、あれから20年ほどが経過した今プレイするとどんな気持ちになるのでしょう……?
さて、『ロックマンエグゼ』はインターネットが高度に発展した世界を描いた作品で、人々は「PET」と呼ばれる情報端末を使い便利に生活をしています。ゲーム内でのPETの説明がこれ。
これって、まんまスマホのことじゃん!!!!!
エグゼの世界と違ってネットナビは現実にはいませんが……SiriとかGoogleアシスタントとかが近いでしょうか?AIチャットがもうちょっと発達すれば類似の存在は出てくるのかも……。
ウラインターネットって昔は某巨大匿名掲示板とかのことかな~って思っていましたが、今にして思えば深層Webの方が近いですね……。
……といった具合で、改めて遊んでみると思うところがたくさんあって面白かったです。
掲示板のデマ情報を見つけて憤慨する伊集院炎山くんのセリフなんて、Twitterの画像リプに現役で使われていたとしても全然違和感がないなと思います。
そして、エグゼシリーズはフレーバーテキストの数が尋常じゃなくて、モブキャラに話しかけたりオブジェクトを調べまくるのも楽しいです。
個人的にちょっとグッときたのは、秋葉原電気街をモチーフにしていると思われる「電気街」にある、閉店の張り紙がされた路面店のテキストでした。
……エグゼシリーズはこんな感じで調べられる場所がめっちゃ多いわけですが、これだけの密度で作りこまれているゲームが年に1~2本リリースされていたの、めちゃくちゃ驚異的じゃないですか!?
エグゼシリーズに慣らされてしまったせいで、子供のころ「なんでエグゼ以外のゲームは続きが出るのに何年もかかるんだろう?」ってヤバい思考になっていましたからね。
……と、世界観の話はこれくらいにして、
続いては本作唯一無二の要素「ウイルスバスティング」の戦闘システムをレポしていきます。
「ガッツマン」と「ブルース」が頼りだった幼い自分にサヨナラ
ロックマンエグゼと言えばやっぱり3×6マスのフィールド上で繰り広げられる独創的な戦闘システム。
30枚のバトルチップフォルダを作り、ロックマンに読み込ませて戦うわけですが……リアタイで遊んでいた当時の私は1ミリも頭を使わずにプレイしていました。
コードの繋がりを一切無視して強そうなチップをパンパンに詰め込んだフォルダだったり、初手に「ガッツマンV3」や「ブルースV3」のような攻撃範囲の広いナビチップが来ることを天に祈るだけのオペレーションだったり…………
もちろんおなじみのプリズムコンボも常用していました。
しかし!!!私も今年でもう28歳…………アホな小学生の頃とは違う!!
今度はちゃんと頭を使って、自分なりのウイルスバスティングを楽しみたい!!!!
やるぞ~~~!!
序盤でチップの火力不足に悩んでいるのなら、補助系チップや誘爆系チップを集めたフォルダにすればいい!
フルカスタムでチップを回せばプログラムアドバンスが作りやすくなる!
さらに『4』以降の作品なら、フルシンクロを利用することで火力をマシマシにできる!!
た、楽しい……!!
きちんと考えてプレイするウイルスバスティングってこれほどまでに楽しいものだったのか……!
少し話が逸れますが、電ファミニコゲーマーさんの殿堂入り記事に「ロックマンエグゼはなぜ面白かったのか?」という面白い記事があって、この記事の筆者は「答え探し」こそがその本質であると述べています。
「答え探し」の面白さとは、一見すると難易度が高いと思える状況を打開しうる「答え」……すなわち「適切な武器」を見つけ出したときに感じるパズル的な面白さのこと。原点である『ロックマン』から通底しているこの「答え探し」ですが、エグゼシリーズにはその「答え」が無数に用意されているのが特徴です。
多種多様な性能を持つバトルチップ、スタイルやソウル・クロス、そしてナビカスの構成によって、プレイヤーは千差万別の「答え」を3×6マスの盤上に見出すことができる……。つまり、エグゼシリーズは「答え探し」の楽しさを極限まで高めたゲームだと筆者は述べているんですね。
今の私がこんなにも新鮮に楽しさを感じているのは、あの頃見つけ出せなかったたくさんの「答え」を探そうとしているからなのでしょう。
ちなみに私が『アドコレ』で最初に迎えたスタイルチェンジの結果は……
カスタムスタイル!!小さい頃はガッツスタイルとブラザースタイルにばっかりなっていた私が、初手カスタムスタイル…………。
ロックマン……私、まだまだこのゲームの「答え」、探せそうだよ……。
この記事を読んでいる皆さんにも、ぜひ『アドコレ』で「答え探し」の冒険を改めて楽しんでほしいです。
おつかいゲーをサクサクゲーに変える「バスターMAXモード」
さて、戦闘システムにはまだ見ぬ無数の「答え探し」の楽しさが広がっているとしても、目の肥えたゲーマーの皆様にはエグゼシリーズを再度遊ぶにあたってひとつの懸念事項があるのではないでしょうか。
その懸念とは、
「ロックマンエグゼって相当おつかいゲーだった記憶があるんだよな……」
というものです。
たしかにエグゼシリーズのメインストーリーはキャラクターの要望を聞いてフィールドを駆けずり回る「おつかい」の場面が多いです。というかほぼおつかいです。
すでにエグゼシリーズをやりこんでいるのであれば、既プレイのおつかい要素をまた繰り返すことにしんどさを感じる人もいるかもしれません。特に『4』はほぼ同じストーリーを最低3度はクリアしないとソウルユニゾンをコンプリートできない周回制を採用していたので、「もう遊園地で絵本の穴埋め作業したくないよ~」とアレルギーを発症しかけている人もいるのではないでしょうか。
私もレッドサン/ブルームーン両方合わせて8周していたので「『アドコレ』で『4』をまた遊ぶの、さすがに億劫かもしれない……」と思っていたんですよ。
しかし!同時にあることに気づきました…………
「あ!『アドコレ』に搭載されているバスターMAXモードってこういう時に使うんじゃないか!?!?」と……。
「バスターMAXモード」とはロックバスターの威力をいつでも100倍にできるという新機能。ひゃ……100倍!?
しかもこのモードはバスターの威力を”100”ではなく”100倍”にするものなので、バスターUPやナビカスでアタックのレベルを2にすれば威力は200に、3にすれば300になります。
これを使えば戦闘はあっという間に終わる!
試しにバスターMAXモードを使ってそこそこ足早に『4』をプレイしてみたところ、ストーリーの核となる3つのトーナメントのうち最初の「デンサンバトルトーナメント」優勝まで3時間であっさり到達することができました。
こんな機能があったらゲーム性が崩壊してしまうのでは?と最初は懸念していたのですが、実際に触ってみると案外「このモードはゲームの面白さをスポイルするものではないな」という感想を抱きました。
そう感じた理由は3つほどあって、1つ目はいつでもON/OFFの切り替えが可能だからです。ゲームやバトルの進行に一切関係なく切り替えできるので、ボス戦が始まってから「あ、ここではバスターの威力戻しておくか」というような運用ができます。
2つ目の理由は、いくらバスターの威力が高かろうとそれだけでバスティングレベルSを出すのは難しいから。チョコチョコ移動してバスターを一発一発当てる戦い方ではバスティングレベルが7から10くらいになりがちで、Sを安定的に取ろうとするとバトルチップが必要です。
3つ目の理由は……やっぱりバトルチップの組み合わせを工夫して勝つのも楽しいからです。
そんなわけで、いくらバスターの威力をブッ壊れ調整にしたとてバトルチップを使った正攻法に軍配が上がる瞬間がたくさんあり、ここでも「答え探し」の面白さの妙を感じることができました。
バスターMAXモードはストーリー攻略中に「このフォルダでこのエリアのウイルスと戦うのはいい加減飽きちゃったな……」と感じたときや、立てた戦略が失敗して「あ~じゃあもうこの戦闘は泥仕合だ……」となったときにこそ真価を発揮します。『5』のリベレートミッションで使ってもいいかもしれません。
余計なストレスを軽減してサクサク進行できるようになるので、うまく利用すれば「あれ?おつかいが記憶に残ってた印象よりもだいぶラクだな……」と思えるはずです。
「あの頃欲しかったけどどうにもできなかったアレ」を回収できる機能
『アドコレ』にはバスターMAXモード以外にも神機能が搭載されています。
まずはこの画面をご覧ください…………。
ここではリアルイベント限定で配信していたバトルチップやカードeリーダーなどの周辺機器が必要だった「改造カード」などをボタン一つでゲーム内に読み込むことができます。
例えばこの「ゴスペル」なんて……もともとは2002年に幕張メッセで開催された「次世代ワールドホビーフェア」とかに行かないとゲットできなかったんですよ!!!
欲しかったけど当時の私にはどうしようもできなくて、コロコロコミックの特集ページを見ながら涙を飲むことしかできなかった……。だが今は違う!!
そして『4』以降の作品では「改造カード」を読み込むこともできます。となるとやっぱりやりたくなるのは……『5』と『6』の「フォルテクロスロックマン」ですね。
でも当時これを再現しようと思ったら、アニメのロックマンの劇場版(デュエルマスターズと一緒にやってたやつ)の早期来場者特典の改造カードを手に入れたり、とにかくめっちゃ大変だったんですよ。
しかし『アドコレ』ならその夢の強化フォームが1ボタンで手に入る!!あの頃満たされなかった欲求が充足されていくのを感じる……!!
消えていく……渇きも……飢えも……(鷹岬諒先生版の『ロックマンエグゼ』コミカライズでフォルテがロックマンブルースソウルに倒される時のセリフ)
ネットバトラー待望の「オンライン通信機能」
さて、ひとりプレイでも十二分に楽しめる『アドコレ』ですが、オンライン通信機能も大きな魅力。当時の通信機能をオンライン上で楽しむことができる上、ネットバトルではランク制にも対応しているようです。
エグゼシリーズは唯一無二のゲーム性ゆえにいまだに通信対戦を楽しむ猛者がいるゲーム。とくに『6』は戦闘システムの完成度の高さからオンライン対戦が可能なリメイクを待望する声があったので、これを実現してくれたカプコンさんには足を向けて眠れません。
通信対戦をしないと手に入らないチップがあるバージョンも存在するので、バトルチップのフルコンに大いに役立ちそうな機能です。
これで遠方のお友達とも通信ができるし、お友達がいなくてもフリーマッチングで遊べますね!!
なお異なるハード間でのクロスプレイには対応していないそうなのでご注意を。
まとめ
というわけで、今遊んでも……いや、今遊ぶからこそより一層面白いと思える『アドコレ』の素晴らしさをご紹介しました。
私は「15時間くらいプレイして記事を書き始めよう」と思ったのに、面白すぎて執筆前に40時間遊んでしまいました。
「シリーズのうち1つだけやったことがないタイトルがあるからそこだけやりたい」というモチベーションの人でもお釣りが来る満足度だと思いますので、ぜひ気軽に遊んでみてくださいね!!
最後に私のエグゼ思い出話をさせてください。
個人的にはエグゼシリーズにはすごく思い入れがあって、この作品がきっかけで初めて親友と言えるような友達ができたんですよ。小学一年生のころでした。
それまでは友達がぜんぜんいなくて、学校に行くのもメチャクチャ嫌で、夏休み中に現実逃避でやりこんだ『ロックマンエグゼ2』だけが心の救いでした。
ところが夏休みが明けた二学期、クラスで一番の陽キャが突然「きみロックマンエグゼ2やってる?」って話しかけてくれたんですよね。
「クイックマンが倒せないんだよ」と嘆く彼の家にその日のうちに上がりこんで、一緒にクイックマンを倒しました……。クイックマン、小学1年生の認知能力をはるかに凌駕するスピードで立ち回るからメチャ手ごわいんですよ。
それ以来彼と仲良くなって、彼を通じて他にも友達ができて、私の性格も徐々に明るくなっていったのでした。
あの時彼と出会わなかったら、いや、ロックマンエグゼ2を遊んでいなかったら、今の私はいないかもしれない……。だから私はロックマンエグゼに人生を救われたと思っています。
その彼は遠くに行ってしまいもう会うことはできなくなってしまったのですが、
『アドコレ』のキャッチコピーにまたも心を救われた心地がしました。
そのキャッチコピーとは……
最後まで読んでくださりありがとうございました!!