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『ティアキン』でもゲルドの街に “壮大なドラマ” が隠れているに違いない──ゲルド族ひとりひとりに話しかけてみたらそれぞれの「人生」が『ブレワイ』からしっかりと引き継がれていた

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 ついに発売された『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』(以下、『ティアキン』)。本作は前作『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』(以下、『ブレワイ』)の続編にあたります。

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 『ティアキン』にはゲルド族のガノンドロフが登場するとあらかじめ発表されていたため、筆者は確信していました。

 「今回もゲルドの街に “壮大なドラマ” が隠れているに違いない」と。

 もちろん本編のことではありません。『ゼルダの伝説』シリーズといえば、通行人や商人などプレイヤーが操作しないキャラクター(いわゆるNPC)の設定がやたら細かいことも特徴です。

 『ブレワイ』ではハイラルにいるすべてのゲルド族に話しかけ、「名前」「髪型」「服装」「役職」「出現場所」「特性」「ほかのキャラクターとの関係性」など調べてみたところ、本編では語られることのないさまざまな事実が判明しました。

 そこで、『ティアキン』ではマップもろくに解放させずにゲルド地方へと直行。するとそこには、ゲルドの街に住む人々の「人生」が描かれていました。

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 古くから伝わる風習「ヴォーイハント」に繰り出す人失恋によってすっかり卑屈になってしまった人娘を連れてゲルドの街に戻ってくる人など、ゲルド族ひとりひとりにしっかりと背景があります。『ブレワイ』から『ティアキン』へとゼルダやリンクの物語が続いているように、ゲルド族の人々もまた物語が続いていました。

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 本稿では、『ブレワイ』の続編にあたる『ティアキン』でのゲルド族の様子をお届けします。それらは本編どころかミニチャレンジ(サブクエスト)にすら影響がなく、ハイラルを救うような派手なものではありません。しかしながら、それもまた「人生」なのではないでしょうか。

文/柳本マリエ


ゲルド族は100年にひとりしか男性が生まれない

 まずはゲルド族の特徴をおさらいしておきましょう。

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 ゲルド族の特徴は「褐色の肌」と「赤い髪」、そして「100年にひとりしか男性が生まれない」という点です。つまりゲルド族であるガノンドロフは100年にひとりの男性ということ。

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ガノンドロフ(画像はゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム:CHARACTER | Nintendo Switch | 任天堂より)

 さらにゲルド族には男子禁制の掟があり、同族以外の男性はゲルドの街に入ることができません。

 この掟は「成人になる前に男性と話すと災いが起こる」という言い伝えによるもの。そのためゲルドの街に住む女性は、男性と接点を持つ機会がほとんどないまま成長します。

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街にいるゲルド族すべてが女性

 しかしながら男性と接点がないままでは子孫を残すことができません。そこでゲルド族の女性は年頃になると「ヴォーイハント」と呼ばれる風習に従い、男性との出会いを求めて外の世界へ旅に出ます。

 とはいえいきなり男性とコミュニケーションを取ることは至難の業。そのためゲルドの街には「恋のABCレッスン」が受けられる恋愛教室も存在します。そういった事情から、ゲルド族は小さな子どもからお年寄りまで恋愛の話が絶えません。

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 バッキバキに割れた腹筋を持つ見た目とは裏腹に恋愛においては奥手なところがゲルド族の魅力のひとつではないでしょうか。

『ブレワイ』でひどい振られ方をしたデルタンが、すっかり卑屈になっている

 さて、ここからは『ブレワイ』後の世界が描かれている『ティアキン』でのゲルド族の様子をお伝えしていきます。

 『ティアキン』でも「恋のABCレッスン」を受けられる恋愛教室は存在していました。『ブレワイ』と同様に講師はワーシャ。しかしながら生徒は新しい顔ぶれになっています。それがネリッシュとプレスタ、そしてデルタン。

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 そう、あのデルタンです。
 『ブレワイ』では、意中の男性がほかの女性と結婚してしまうため酒場「Pure Love」から一歩も動かずにひたすら酔いつぶれていました。しかもその男性はデルタンに「好き」と言っておきながら容姿を理由に振ってきたとのこと。

 おそらく、ほかの女性と結婚するために適当な理由をつけてデルタンを振ったのではないでしょうか。そりゃあデルタンもこんな姿になってしまうでしょうよ。

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『ブレワイ』で酔いつぶれているデルタン

 そんなデルタンが、『ティアキン』では恋愛教室に通っていました。『ブレワイ』での失恋の傷を時間が癒してくれたのかと思いきや、

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「私みたいな 運にも縁にも見放されたヴァーイ… 練習なんかしても 無駄よ…」
「アナタも 私みたいなのに当たっちゃって 災難だったわね」

 めちゃくちゃ卑屈になっている…!

 デルタンには申し訳ないですが、筆者はこのとき失恋のエピソードが『ブレワイ』から『ティアキン』に引き継がれていることに震えました。

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「前の恋」は『ブレワイ』でほかの女性と結婚してしまったあの男性との恋愛を指していると考えられる
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「前のヴォーイ」は『ブレワイ』でほかの女性と結婚してしまったあの男性を指していると考えられる

 繰り返しますが、デルタンは『ブレワイ』においても『ティアキン』においても本編はもちろんミニチャレンジ(サブクエスト)にすらまったく絡んでいません。たくさんいるゲルド族のひとりです。

 そのデルタンにこんなにもしっかりした背景が設定されていることに驚きました。

 そしてそれはデルタンだけではありません。同じく恋愛教室に通うプレスタは『ブレワイ』からお酒好きのエピソードが引き継がれています。プレスタは記憶を失うほどお酒を飲んで朝帰りするため、同居人のネリッシュが愚痴をこぼしていました。

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『ブレワイ』で記憶を失いながら朝帰りをするプレスタ

 『ティアキン』では酒場「Pure Love」の看板メニュー「ヴァーイミーツヴォーイ」の力を借りて、恋愛教室の実践レッスンを乗り越えています。

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 このようにゲルド族ひとりひとりに「人生」が描かれているため、だれからも目が離せません。

 『ブレワイ』では75人のゲルド族を確認しているのですが、『ティアキン』では初めて見る名前のゲルド族を数名ほど確認しているので、彼女たちの行動やほかのゲルド族との関係性も『ブレワイ』のときのように探っていきたいと思っています。

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『ブレワイ』で恋愛教室に通っていた3名がついに「ヴォーイハント」へと繰り出す

 先ほど書いたとおり『ティアキン』での恋愛教室の生徒はネリッシュ、プレスタ、デルタンです。しかしながら、『ブレワイ』での恋愛教室の生徒はリッスン、ディショーナ、プシャンでした。

 ではその3名は『ティアキン』でどこにいるのかというと、どうやらゲルドの街を出てヴォーイハントをしているようです。

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 しかしそこで「ハンカチを落とす」「足をくじく」など恋愛教室で学んだことを実践しようとするものの、ことごとく失敗。

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 彼女たちのそんな様子はすでにゲルドの街にも広まっているようで、恋愛教室の講師ワーシャが心配をしていました。さらにヴォーイハントに行こうとするプレスタを止めるための見本にもなってしまっているようです。

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恋愛教室を卒業してヴォーイハントに行った「先輩たち」の話をするネリッシュとプレスタ

 果たして恋愛教室を卒業したリッスン、ディショーナ、プシャンの3名はヴォーイハントで男性と出会えるのでしょうか。やはりどのゲルド族からも目が離せません。

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編集者
幼少期からホラーゲームが好き。RPGは登場人物への感情移入が激しく的外れな考察をしがちで、レベル上げも怠るため終盤に苦しくなるタイプ。自著『デブからの脱却』(KADOKAWA)発売中
Twitter:@MarieYanamoto

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