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大量のヒヒイロカネを、全員で運ぶ……?格ゲーなのになぜかパーティーゲームも遊べる『グランブルーファンタジーヴァーサス -ライジング-』が面白い

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 私には、「グラブル狂い」の友人がいた。

 彼は初代の『グランブルーファンタジー ヴァーサス』(以下、『GBVS』)を、特典のヒヒイロカネ欲しさに購入していた。そしてそのまま私は「ヒヒイロカネはもらったから、せっかくだしこのゲーム遊ばない?」くらいのノリで、彼と『GBVS』でちょこちょこ対戦していた。普段ガチガチに格ゲーを遊ばない私なのだけど、そういう意味で『GBVS』はメチャクチャ印象に残っているゲームである。

 「ゲーム内アイテム欲しさに格ゲーを買う」とは……凄まじい現象だと思う。ちなみに私は『グラブル』はカジュアル勢である。どちらかというとキャラやストーリーを楽しんでいるタイプ。流石にヒヒイロカネのためにゲーム1本買うレベルには到達できていない。そして格ゲーもカジュアル勢。でも、『GBVS』は結構楽しんでいた。格ゲーも『グラブル』もカジュアルスタイルなのに、かなり楽しめた。

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(画像はグランブルーファンタジーヴァーサス -ライジング-(GBVSR) | Cygamesより)

 たしか私はメーテラがやたらと好きで、ひたすら画面端から弓ばかり撃っていた気がする。『GBVS』の合間に「決戦!星の古戦場」を周回して気がイキり立っている彼の神経を逆撫でするかのように、ひたすら画面端からメーテラで弓を撃っていた。『GBVS』はワンボタンでいろいろな技が繰り出せるから、私のような格ゲーカジュアル勢でもこんなに酷いプレイができるのだ。

 そして今回『グランブルーファンタジーヴァーサス -ライジング-』(以下、『GBVSR』)のプレスイベントでの試遊に行けると聞いた時、真っ先に感じたのは「うおお、懐かしい……」という気持ちである。夏休みに彼の家で遊んでいた記憶が、ありありと蘇ってくる。また……またメーテラで画面端から弓を撃てるのか! チクショウ、グラブル狂いの彼がいてくれないのがちょっと寂しい!!

 ……ここまでの冒頭を読んでいてなんとなく察せるかもしれませんが、この記事は「グラブル、格ゲーのカジュアル勢が『GBVSR』を遊んできた」記事となっています。なので、もしかしたら……ガチガチの格ゲー勢の方には「なんやもっと細かい情報教えんかワレ」みたいな内容かもしれません! すみません!!

 その代わり、「グラブル・格ゲーカジュアル勢目線でのレポート」をお届けします。なんかすごい初心者目線になるので……何卒よろしくお願いします。そして、記事の最後には『グラブル』総合Dと今作のクリエイティブディレクターを担当している福原哲也さんへのインタビューも掲載されています。格ゲーをあまりプレイしない人も、『グラブル』カジュアル勢の方も、良かったら読んでいってください。

聞き手・文/ジスマロック
編集/実存


『グランブルーファンタジーヴァーサス -ライジング-』ってどんなゲーム?

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 まず、「『GBVSR』がどんなゲームなのか」というところから紹介しましょう。

 Cygamesとアークシステムワークスが共同開発した対戦型格闘ゲーム『GBVS』。『グラブル』を原作とし、その3Dモデルの完成度や、ワンボタンで技を繰り出せる敷居の低さが評価されたタイトルです。そこからさらにパワーアップした最新作が、この『GBVSR』というわけです!

 そして、プレスイベントの当日には福原さんから今作のプレゼンテーションが行われました。

 まず真っ先に「キャラを動かす楽しさ」を重視していたという『GBVS』は、なんと今作で一部のシステムを前作からオミットしました。その上で、新たなシステムを追加して「キャラを動かす楽しさ」をより強化したのが今作というわけです。格闘ゲームは足し算的にシステムが増えていくタイトルもいくつかある中で、前作のシステムをオミットする今作は中々珍しいケースなのだとか。

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 さらに、前作から大きくアップデートされた部分として「グラフィック」が挙げられました。前作の時点でハイクオリティなモデルやグラフィックを表現できていた『GBVS』ですが、今作でよりその美麗さに磨きがかかったとのこと。「劇場版のアニメ」を意識したポストエフェクトやシェーダーを使うことによって、2Dアニメ風のグラフィックの中でもトップクラスのものを実現しました。

 そして『GBVSR』では前作の24人に加え、新キャラクターとしてアニラ・ジークフリート・ニーア・グリームニルの4人が参戦決定! え、グリームニル出んの!? とにかくこの4人が初期の追加キャラとして参戦決定ということです! 今回の体験会ではジークフリートを使用できたので、触った感覚などを後ほどお伝えします。

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 前作でもお馴染みだった「RPGモード」は「ストーリーモード」として刷新され、『GBVS』シリーズ独自のストーリーが展開されます。『GBVSR』におけるストーリーモードは全3部で構成されており、その内の2部が前作『GBVS』とアップデートで追加されたシナリオ、最後の3部が完全新規のストーリーとなっているそうです。今作からの新規キャラクターたちも加わり織りなされるストーリーも、お楽しみに。

 さらに今作は「ロールバックネットコードとクロスプレイ」にも対応!
 オンライン対戦でのラグを軽減する技術として話題(?)の「ロールバックネットコード」ですが、とうとう今作にも実装されました。『GBVSR』では、よりスムーズで快適なオンライン対戦を楽しめます。

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 そしてオンライン対戦と言えば……今作では新たに「パートナーシステム」というものが追加されています。オンライン対戦時、『グラブル』のキャラたちが勝利を褒めてくれたり、慰めてくれたりするシステムだそうです。なにこのほのぼのしたシステム……。

 ちなみに福原さん曰く、「オンライン対戦の孤独を埋めるために用意したシステム」だそうです。

 いや、これだけではよくわからないかもしれない。もう少し詳しく書きましょう。自宅で黙々と『GBVS』のオンライン対戦をしていた福原さんは、ある時……「戦いが孤独である」ことに気がついたのだとか。オンライン対戦は顔が見えない。ひたすら黙々と戦い、何度か負けてしまうと流石に孤独な気持ちになる。

 そんなオンライン対戦の辛さを埋めるべく登場したのが、この「パートナーシステム」。どんなにオンラインで孤独な戦いをしていても、パートナーに選んだキャラが応援してくれる。褒めてくれる。つまり、格ゲーにおいて最近流行り(?)の「プレイヤーを褒める」要素だということです。

 もちろんパートナーに選んだキャラはそれぞれ専用のセリフが用意されており、十賢者のニーアなんかは勝利時に「この調子で消していこう……」という応援コメントをしてくれます。パートナーが物騒すぎるんですけど

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 前作で好評だった「オンラインロビー」も、『GBVSR』では大幅パワーアップ。そもそものロビー自体が大きくなり、よりゆったりとロビーでくつろげます。ちなみに福原さん曰く、「MMORPGのボーっとしているだけで楽しい街」をイメージしたとのこと。そもそもが「MMORPG」を意識している『グラブル』だから、ある種の原点回帰と言えるのかもしれません。

 そしてオンラインロビーで楽しめる新たな要素として、「ぐらぶるレジェンドばとるっ!」というパーティーゲームが登場! 数十人の規模で、さまざまなパーティーゲームに挑戦します! 中にはなんと「大量のヒヒイロカネを全員で運ぶ」という騎空士が卒倒しかねないゲームも用意されているとのこと。こちらが具体的にどんなものなのかは……続報をお楽しみに!

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 そんな『グランブルーファンタジーヴァーサス -ライジング-』は、PS4、PS5、Steamにて11月30日に全世界同時発売! グランとジータの「十天の極みに至りし者」のコスチュームが入手できるデラックスエディションや、無料プレイの「フリーエディション」など、さまざまなバージョンを取り揃えています。各バージョン、お見逃しなく!!

 ……あれ、紹介しきっちゃった?

 いやいや、そんなことはありません。
 ここから実際の試遊に移ります!

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奥義ゲージによるバトルの駆け引きが強化

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(画像はメーテラ | Characters | グランブルーファンタジー ヴァーサス(GBVS) | Cygamesより)

 よし、じゃあメーテラを使います。

 「いやとっととジークフリート見せろや」というみなさまの気持ちもよくわかるのですが……私が一番使い慣れてるのはメーテラなんです! まずはメーテラから!!

 やはり『GBVS』と言えば、アビリティボタンを入力することで簡単に必殺技が繰り出せるところ。PS5用コントローラーでは「R1」に相当するボタンと、方向キーを組み合わせることでいろいろなアビリティがお手軽に繰り出せちゃいます。

 その「アビリティ」に関して新たに追加されたのが、「アルティメットアビリティ」!

 アビリティ発動時に特殊ボタンを同時押しすることで、「奥義ゲージを50%消費するアビリティ」を発動できるのです! もちろん判定や効果も強化されており、この「アルティメットアビリティ」の使い分けが勝敗を左右するかも? メーテラの場合は、より弾速の早くなった矢を放ったりします。

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 さらに「レイジングストライク」という新システムも登場。これは奥義ゲージを25%消費して放つ技で、「ガードを打ち破り、相手をガードクラッシュ状態にしつつBPを1減少させる」といった効果を発揮します。このシステム……ヤバいんじゃないか。

 なんとなく私にもわかる。ひたすらメーテラで弓を撃ったり、ひたすらパー様で火を飛ばして近付いてきたら昇竜してたような私にもわかる。奥義ゲージ25%でガードクラッシュを狙えるのは多分ヤバい。前作と比べて「奥義ゲージを消費するシステム」がいくつか増えた今作ですが、その中でもレイジングストライクは特筆してバトルのカギを握っているかもしれません。

 しかもレイジングストライクはヒット時に「レイジングチェイン」という技にもつなげられます。奥義ゲージをさらに25%消費し、ガードを削った相手に強力な攻撃を繰り出します! ストライク→チェインで合計50%の奥義ゲージを消費する分、かなりの痛手を負わせることができるはず。

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 とはいえ、ちゃんとレイジングストライクにも守備側の対抗策が用意されています。それが「ブレイブカウンター」。ガード中もしくはガードクラッシュ状態から反撃を繰り出し、ヒットした相手を吹き飛ばすことができるシステムなのです!

 発動時にBPを1消費する代わりに、バトルの流れを大きく変えられちゃいます。レイジングストライクでガークラされた時、純粋に画面端で追い詰められている時……さまざまな局面で「ブレイブカウンター」が身を守ってくれます。逆を言えば、レイジングストライクを使う側もブレイブカウンターには気をつける必要があります。

 この「アルティメットアビリティ」「レイジングストライク(チェイン)」「ブレイブカウンター」が今作の大きな追加要素と言えるでしょう。個人的にはアルティメットアビリティが使っていて楽しかったです。なぜならメーテラの矢が強くなるから……。何がレイジングストライクだ。そんなもの矢で近寄らせなければいいではないか。

 とはいえ、近距離キャラはやはりレイジングストライクやブレイブカウンターを使っていくのが大切だと思われます。個人的には、「奥義ゲージを使ったバトルの駆け引き」がより際立ったような印象を受けました。

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(画像は『GRANBLUE FANTASY: Versus -RISING-』 #06 「ジークフリート参戦編」 – YouTubeより)

 そして新キャラクター「ジークフリート」。こちらは飛び道具・対空・突進の3拍子が揃った比較的オーソドックスなキャラクターで、その手で振るう大剣のリーチの長さを活かしたバトルスタイルが魅力的です。通常攻撃やそれぞれの技のリーチが長いので、私でも「使いやすい」と感じたキャラクターでした。

 それだけでなく体力を消費して攻撃力を一定時間強化する特殊技「マニガンス」といったテクニカルな要素も兼ね備えており、ただ使いやすいだけでない「戦術の幅」も持っています。もちろんお馴染みの「シュヴァルツ・ファング」も奥義で使用可能! あの「シュヴァルツ・ファング!」の癖になるイントネーション、格ゲーでも堪能できます。

 ちなみに今回のプレスイベントはリアルに会場に集まっていた人同士で対戦できたのですが、私が対戦した人のジークフリートがやたらと強かったです。最初に「すいませんカジュアル勢なんですけど……」と牽制をしておいたのに全く手加減してくれなかった。これが格ゲーの洗礼か。とにかく、それくらいジークフリートは強いということです。シュヴァルツ・ファング!!

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(画像は『GRANBLUE FANTASY: Versus -RISING-』 #06 「ジークフリート参戦編」 – YouTubeより)

『GBVSR』は、前作から何が変わったのか?福原Dに直接聞く

 そしてここからは、今作のクリエイティブディレクターを務めた福原さんへのインタビューとなります。そもそも『GBVS』シリーズでキャラを3Dで表現するにあたって、どんな工夫をしているのか? 『GBVSR』で登場した数々の新要素には、どんな狙いがあるのか?

 魅力的なキャラ表現から具体的なゲームシステムに至るまで、『GBVSR』のさまざまな部分をお聞きしています。ぜひ、こちらも最後まで読んでいただけると幸いです。

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実は今回のプレスイベントは『グランブルーファンタジー リリンク』と同時に行われました。『リリンク』の記事も後日公開となるので、お楽しみに。

──『GBVSR』で福原さんは「クリエイティブディレクター」を務めていますが、具体的にはどういった役割なのでしょうか?

福原氏:
 簡単に言えば、『グラブル』というIPをディレクションする立場です。キャラクター、ビジュアル面、サウンド面などを一括で確認させていただいています。とはいえ、『GBVSR』の細かいゲームの仕様などはアークシステムワークスさんにお任せしつつ、相談しながら一緒に作り上げています。

 「全体を見ている」という立場でありつつも、一番深く関わっているのは世界観・キャラクター・シナリオなどの「グラブルらしさ」を担う部分ですね。

──元々の『グラブル』はキャラやゲーム画面なども2Dの表現でしたが、『GBVS』シリーズでキャラやビジュアルなどを3Dで表現するにあたって、どんな部分を意識されたのでしょうか?

福原氏:
 やはり元の『グラブル』はモバイルのブラウザゲームですので、表現などにはある程度の制約がありました。スーパーファミコンなどの「想像の余地がある表現」を取り入れつつ、「RPGと言えばこうだよね」と思えるようなベーシックなフォーマットに落とし込んでいます。

 一方、『GBVSR』の場合は3Dの等身大のキャラクターとして描けるため、純粋にキャラの情報量が増えます。さらに格闘ゲームの場合、ひとりのプレイヤーがひとりのキャラクターにすごく長い期間向き合い続けることになります。その上、ひとりのキャラクターを作るためにすごいコストがかかります。だからこそ、「ひとりのキャラクターを深く愛してもらえるきっかけ」にもなると考えています。

 そんな「ひとりのキャラクターに向き合うからこそ、愛してもらえるような3Dの表現」を意識しています。逆に、「このキャラクターが触れるなら『GBVSR』で遊んでみよう」という人も出てくると思いますし、そういったケースも狙っていきたいと考えています。

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──前作の『GBVS』から、具体的に「対戦部分で注力してバージョンアップした点」などがありましたら、ぜひお聞かせください。

福原氏:
 やはり前作は「ガードが強い」という傾向があり、結果的に対戦の中で「お互いに硬直状態になる」場面が何度か起きていました。そのため、より攻める側をアグレッシブにすることで「攻めが強いゲーム」としてバージョンアップさせようと考えていました。

 他にも「硬直状態にならず試合が動き続けるようにしたい」「試合の画面を派手にしたい」といった点もアークシステムワークスさんと意見が合致していました。そこを軸に「アルティメットアビリティ」「レイジングストライク」といったシステムを作り上げていきました。

 とはいえ、「レイジングストライクが強すぎるのではないか」というベータテストでのフィードバックもしっかりと確認させていただいています。「試合が硬直状態にならない」という部分は踏まえつつも、良いバランスになるよう調整を進めていきます。

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──『GBVSR』には新たに追加された「アルティメットアビリティ」などの新要素がある一方で、前作からは一部オミットされたシステムもあります。これらの要素の追加とオミットによって、どういったゲーム性を生み出す狙いがあるのでしょうか?

福原氏:
 まず、前作は「ガードが強いのに対して、崩しの手段が多くなりすぎている」という印象がありました。そのため、「オーバーヘッドアタック」などのシステムをオミットし、新たに「レイジングストライク」を登場させました。

 レイジングストライクは「投げよりさらに強力な立ち位置の技で、とりあえず撃ってしまえば当たってもガードされても試合が動く」という狙いがあって作りました。ちょうど話題に出た「派手に試合が動くようなゲーム」を目指したシステムでもあります。

 しかし、ユーザーさんの反響を見ていると、「奥義ゲージの使い道」がちょっと多すぎたかもしれない……という感覚はあります。
 まずレイジングストライクを使うためにも奥義ゲージが必要ですが、逆に対処する側にも「ブレイブカウンター」を使うための奥義ゲージが必要になってしまいます。結果的に試合の幅を狭めてしまっているケースも何度かありましたので、その点はこれから調整を進めていきます。

──「『GBVSR』でバージョンアップした点」に関して、先ほどオンラインロビーが大きくリニューアルされたことにも触れられていました。これに何か狙いなどはあるのでしょうか?

福原氏:
 オンラインロビーに関しては、前作の時点でロビーのアバターやビジュアルなどがすごく好評だったので、そこは素直にパワーアップさせようと考えていました。その上で、「せっかく出来の良いアバターなのだから、ロビー以外でも何かに使いたい」と考えていました。それが今作の「ぐらぶるレジェンドばとるっ!」に繋がっています。

 もちろん対戦格闘ゲームではあるのですが、それ以外にもアバターを使ったパーティーゲームも楽しめるようにしました。

 とにかく、そういう「純粋にゲームの幅を広げられるもの」を目玉としてひとつ作ろうと決めていました。

 そして、「ロビーでジャンプができるようにする」ということも最初から決めていました。ロビーでジャンプができるようになると、腹が立っても嬉しくてもとりあえずジャンプをしておけば、無言のコミュニケーションをすることができますから……(笑)。

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──『GBVSR』は前作の24キャラクター+新規の4キャラクターで総勢28名が最初に登場しますが、参戦キャラクターを選出する際はどういった基準で決めているのでしょうか?

福原氏:
 キャラクターの選出に関しては、まず最初に「格闘ゲームとして全キャラが並び立った時のシルエットやバトルスタイルのバランス」を考慮しています。その上で、元の『グラブル』内での人気や立ち位置なども含めて考慮していかなければならないので、毎回悩む部分ではあります。

 そして、『GBVSR』では前作に比べて「キャラの人気」をより重視するような方針で参戦キャラクターを選出しています。たとえば今回新たに参戦するグリームニルやアニラなどが、その例ですね。

──そうなのですね。加えて、「それぞれのキャラの性能のバランス」はどのように取っているのでしょうか?

福原氏:
 まず、キャラクターのバトルスタイルのコンセプトから決めていくような形でそれぞれの性能を決めていきます。たとえば今作で新たに登場する「アニラ」は「使いやすいシンプルな操作+特殊なジャンプができる」といったように大まかなコンセプトを決めてから細かい調整に移りました。ただ使いやすいだけでなく、他のキャラと差別化できるような要素を足したようなイメージです。

 さらに「ジークフリート」であれば見た目通りのリーチの長さを活かし、「とにかく剣を振っているだけでも豪快に戦えて気持ちいい」、「ニーア」であれば「デスを操作することで繰り出す波状攻撃」といったそれぞれのコンセプトをしっかり決めています。

 もちろん、それぞれのキャラは毎日バトル班で戦いながら調整を進めているので、製品版に登場する際はコンセプトから変わっていることもあります。ですが、それだけキャラクターの調整は入念にやっています。

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──前作『GBVS』ではDLCによってキャラクターが追加されていきましたが、今作でもDLCによる新キャラクターの追加は予定されているのでしょうか? また、もしDLCキャラクターを予定していれば「どのくらいのペースで追加されるのか」という点に関してもお聞かせください。

福原氏:
 もちろん、DLCキャラクターも予定しております。最初のDLC追加キャラクターは、「キャラクターパス Part1」という括りで6キャラクター分の追加を予定しています。リリース時期などは既に確定しているため、スケジュールに沿って順次追加します。

──もう確定しているのですね。ちょっとその「DLCキャラクター」に関してお聞きしたいことがあるのですが、前作のユーザーアンケートにて「コラボキャラの要望」という項目がありました。今作では、『プリコネ』『シャドバ』などの自社コンテンツとのコラボキャラが登場する可能性もあるのでしょうか……?

福原氏:
 コラボは「ぐらぶるレジェンドばとるっ!」の渋谷ステージに『ウマ娘』の看板などを用意しているので……それで満足していただけたら嬉しいなと思うんですが……(苦笑)。

 とはいえ、コラボは常に検討しています。なので、「絶対にやらないです」という話ではありません。確約はできないのですが……期待してお待ちいただければ。ユーザーさんのさまざまな要望にお応えできるようにDLCの制作も進めています。

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──前作『GBVS』は格闘ゲームの完全新規タイトルでありながら、従来の格闘ゲームのファンやプロゲーマーなどの間でもすごく盛り上がりました。さらに昨今さまざまなタイトルの影響もあり、格闘ゲームというジャンル自体が大きく盛り上がりを見せています。今回の『GBVSR』はそんな状況下でスタートダッシュを切るにあたって、どういった施策を予定していますか?

福原氏:
 やはり、格闘ゲームというジャンル自体が盛り上がっているのは、ひとつの追い風になると思います。そしてスタートダッシュを切るためのプロモーションは発売が近付くにつれいろいろとやっていくのですが……やはり無料でプレイできる「フリーエディション」などがそれに含まれるのではないかと思います。

 そして前作はまず「1作目」ということもあったのですが、やはりCygames自体に「格闘ゲームの開発のノウハウ」があまりありませんでした。そのため、格闘ゲームとしては最低限の仕様やシステムにならざるを得ない部分がありました。他にも運用面で苦労したり、初期にやろうと考えていたことが結局実装できなかったり……いろいろと大変でした。

 だからこそ、今作では「より長期の運用に耐えられるような設計」を目指して開発をしていました。やはり格闘ゲームは大会やコミュニティ内での盛り上がりも含めて長期的に触ってほしいタイトルですし、そこに向けた「スタートダッシュをしつつも長期的に遊んでもらえるような」アプローチは用意しています。
 
 やはり「無料プレイのフリーエディションで、製品版と一緒に遊べる」ということはかなり新しい試みになると思っているので、ぜひ多くの方に今作を触っていただきたいですね。

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──最後に、『GBVSR』を楽しみにしている読者の方へ向けてのメッセージをお願いします。

福原氏:
 まず最初に「発売日が決まりました」ということをお伝えしたいです。『GBVSR』はほぼ前作と同じメンバーでの開発となっているため、完全新作というよりかは「ある程度の期間を空けた大型アップデート」といった形のタイトルです。

 ですが、普通のアップデートでは実現できないレベルの要素の追加やバージョンアップを行っています。だからこそ、『GBVSR』という新作として発売する形となりました。もちろん前作を遊んでいただいた方にも満足してもらえるようにギリギリまで調整していますし、前作以上に多くの方に遊んでいただきたいと考えています。

 先ほども話題に出ましたが、やはり今は「格闘ゲーム」というジャンル自体が盛り上がりを見せています。『GBVSR』もそこに参加するような形で、前作以上に長期にわたって盛り上げていければと思います。

 さらに、「グラフィック」もかなりパワーアップした部分です。コスチュームスキンなどもこだわって制作しています。他にもさまざまな要素が前作からパワーアップしておりますので、前作ファンの方はもちろん、『GBVSR』から触り始める方にも楽しんでいただけるのではないかと思います。
 
 無料プレイのフリーエディションもありますので、ぜひお気軽に手に取ってください!

──本日はありがとうございました!(了)

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 ……さて、今回の『GBVSR』の試遊記事、いかがでしたでしょうか?

 やはり、グリームニルやアニラといった人気キャラクターが参戦するのは個人的にも嬉しいです。私はどちらかというと「グラブルのキャラとストーリー」を楽しみにしているタイプの人間なので、その方面もしっかり抑えてくれるのが嬉しいです。グリームニルの性能が個人的には楽しみ。

 そんな『グランブルーファンタジーヴァーサス -ライジング-』は、PS4、PS5、Steamにて11月30日に全世界同時発売! デラックスエディションからフリーエディションまで、各種バージョンを取り揃えております。いやこれさっきやったな。とにかく、いろいろバージョンあります!!

 発売されたら……久しぶりにグラブル狂いの友達とメーテラで戦おうと思います。

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