7月31日(日)に開催された、インディーズゲームの展覧会「東京ゲームダンジョン3」において2Dアクションパズルゲーム『Rebirth Clock』が出展された。
本作はトラックメイカーとしても活躍するsiromaru氏が開発中の2Dアクションパズルゲーム。大きな特徴は時間を進める・戻すの両方を駆使しながらステージを進んでいくこと。プレイヤーは時間が止まった世界を舞台に、仕掛けの数々を解いてステージクリアを目指す。
プレイして思ったのは「めっちゃ面白い!」の一言。制作者のsiromaru氏にヒントをいただきながらも、10ステージを夢中になってプレイした。なにがこんなに本作を魅力的にしているのか、試遊を振り返ることで考えてみたい。
文・取材/anymo
複雑ながらも答えへ導いてくれる
先述の通り、本作の特徴は時間を進める・戻すの両方をしながらゲームを進めていくことだ。これにくわえて、時間を進める「リバリス」と時間を戻す「クロッカ」のふたりを操作しなければならないという制約がゲームを面白くしている。クリアするには、ステージに配置された「砂時計」を獲得し、「リバリス」と「クロッカ」の両方をゴールに導く必要がある。
例えば、時を進めて足場を所定の位置に持っていき、そして時を戻して進みたいところまでキャラクターを運ぶ。このとき、足場にひとりしか乗れなければもう片方のキャラクターは置き去りになってしまう。単にゴールを一直線に目指すルートではなく、ふたりがゴールできるルートを考える必要があり、これが仕掛けを複雑にしている。
時を進めながら・戻しながらキャラクターを動かすことができるのもポイント。操作にちょっとしたコツが必要だが、「リバリス」の能力で時を進めながら「クロッカ」を操作して足場を押して移動させる、などの動きでクリアへの道が拓けることもあるのだ。
ふたりの動きや能力を発動するタイミングを考えて筋道を立てる、試行錯誤しながらプレイで実践する。パズルが解けたときのひらめきと、徐々にキャラコンが上達していく楽しさの両方を同時に味わえるため、クリアした際には笑みがこぼれるほどの達成感を感じる。
「リバリス」より「クロッカ」の方が高くジャンプできるという小さな性能差が、正解ルートへのヒントになっている点もナイスだ。自力でクリアした達成感を損なうことなく、謎解きの取っ掛かりとして慎ましやかに導いてくれる。小さいながらも本作の「面白い!」の大きなポイントになっている要素だと感じた。
これらの要素がパズルの難易度をほどよく調整しながらも、本作ならではの体験、個性を作り出していた。
通常時はグレーの背景グラフィックが、時を進めている・戻しているときにのみ色づき、ドリルなどのオブジェクトがアニメーションで動き出すのもポイントだ。
パズルアクションという性質上、同じステージに長い間向き合う本作では、変化が「背景」という大きい部分に現れることがプレイヤーを飽きさせない工夫として機能している。また、時間を戻しているときはBGMも逆再生になる。
もちろん、「リバリス」と「クロッカ」のデザインも魅力のひとつ。「時間を止める・動かす」の能力発動中のポージングがかわいらしいし、グレーの背景に映える青・白/赤・黒は見分けやすいという機能性も備えている。
リプレイ性の高さについても触れておきたい。本作ではボタンひとつで「自爆」が可能であり、ステージをすぐにリセットできる。「ああでもない、こうでもない」と脳内のアイディアをひとつずつ試していくプレイでは、パズルに必要な試行錯誤を快適に楽しむことができるのは大事な要素だ。メニューを開いている1秒も惜しいとき、まっさらな状態からすぐにリスタートできるのは嬉しいポイントだ。
脳内で組み立てたルートを実践していき、無事ふたりをゴールへ連れて行けたときの喜びがとても大きく、そしてその達成感をもう一度感じたいがために次のステージへ突き進んでいきたくなる。試遊では時間を気にしつつのプレイとなってしまったが、じっくりとプレイして頭を悩ませたいタイトルであった。
『Rebirth Clock』はshiromaru氏が開発中。最新情報については同氏のX(旧:Twitter)をフォローのうえ、注目してほしい。