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Remote Play Togetherでマルチプレイが可能になった物理演算パズルゲーム『Q』シリーズの完全新作を4人で遊んでみたら大乱闘になってしまった。『Q2 HUMANITY』に敵は存在しないが、いるとしたらそれは「味方」である

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 8月某日、とあるDiscordサーバーには4人のゲーマーが集まっていた。
 彼らがこれからプレイするゲームは『Q2 HUMANITY』という名のパズル&パーティゲームである。主催者は外ならぬ私だ。

 この日の数日前、電ファミニコゲーマー編集部からこのゲームのインプレッションを任された私は、「できるだけRemote Play Together【※】を用いたマルチプレイで遊んでほしい」という先方の文言に若干の嬉しさを感じていた。「私の足りないおつむを人数で解決し、速やかにゲームを攻略せしめよう」という怠惰な気持ちが半分、「4人で遊べば記事的に絵面が良いではないか、ほっほ」という邪悪な気持ちが半分である。そこで、私は急遽手の空いているフレンドを招集し、『Q2 HUMANITY』の起動ボタンを意気揚々とクリックしたのだった。

※Remote Play Together
ゲームを自分で所有したり起動したりしなくても、Steamのフレンドをリモートでローカルの協力プレイセッションに招待することができるSteamの機能。

 しかし、今思えばこの考えは大きな間違いだったのかもしれない。なぜなら、このゲームの開発元は株式会社リイカ、つまり『Q REMASTERED』『空気読み。』を手がけた栗田祐介氏による作品だったのだから。

 結果から言うと、私が体験したのは「皆でサクサク解くパズル」でも「仲良くゴールするパーティゲーム」でもなかった。そもそも、前作『Q REMASTERED』のコンセプトからして、「解き方が自由な物理演算パズル」である。そんなゲームの完全新作を4人で遊んだらどうなってしまうのか……。その答えをこの記事でお伝えしよう。

文/植田亮平

※この記事は『Q2 HUMANITY』の魅力をもっと知ってもらいたいリイカさんと電ファミ編集部のタイアップ企画です。


カーソルを奪い合う仲間たち

 前作『Q REMASTERED』のプレイ画面をゲーム実況者やVtuberの動画でご覧になっている方はかなりの数いると思われるが、念のためこのシリーズの基本的なルールについて紹介しておこうと思う(ルールなどあってないようなものなのだが)。

 このゲームの基本システムは「画面にマウスカーソルでモノを描いてパズルを解く」というものだ。ここで一枚のスクリーンショットを見せよう。

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 この画像がこのゲームの全てである。画面中央にはステージのお題が書かれており、それをプレイヤーは画面にモノを描いたりキャラクターを動かしたりして解いていく。白い部分がプレイヤーが描いて実体化したモノである。ちなみにこのステージならダルマ落としを中央のお題のように積み上げればクリアとなる。その方法は問わない。以上、ルール解説終わり。

 このゲームを始めて最初に起きた戦いは、「モノを描くカーソルを執拗に奪い合うこと」であった。
マウスカーソルは全てのプレイヤーで共有されているため、「あっ、分かった!」などと叫び、不躾にマウスを動かすようなプレイヤーが4人揃ったとなれば、このマウスカーソルを巡ってこざかしい争いが生じることは避けられない

 公式から送っていただいたガイドラインには「カーソル係を決めておくとスムーズに進行できます」というようなことが書かれていたが、「ステージの解法を誰かひとりに委ねるなど言語道断なり」というツッパリによって、私たちはこのカーソルの主導権争いに最初の内はかなり苦しむこととなった。このゲームに敵は存在しないが、いるとすれば身内である。

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一度描いたオブジェクトは消せないので、リセットを余儀なくされる。

能力バトル開幕

 『Q2 HUMANITY』が前作と大きく異なる点は、自身の分身となるキャラクターをプレイヤー全員が自由に操作できる点だ。さらにキャラクターは1種類ではなく、特徴的な能力を持った複数のキャラクターが用意されている。全部で何種類いるのかは不明だが、少なくとも筆者が発見しただけでも13体は存在する。その一部を紹介しよう。

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「怪力」は通常では運ぶことのできない重たいモノを持ち上げることができる。また、優れたパンチ力も持ち合わせている。
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「爆弾」はボムを生成し、好きなタイミングで起爆できる。爆風が当たったものは何であれ周囲に吹っ飛ぶ。
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「球体」はいつでも自身の体をボール状に変化させることができる。つまりサムスのモーフボール的な「アレ」になれる。球体状態のこいつを味方が投げることも可能だ。

 こんな具合に、それぞれのプレイヤーが何か特徴的な「力」を持ったキャラを自由に使うことができる。特定のキャラクターでないとクリアできないステージや、キャラ同士のシナジーも存在するので、本作では「描く」ことと同じくらい「キャラクターの特性を活かす」ことが重要となっている。

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中には特定のキャラクターのチュートリアルステージもある。

 しかし、その「力」がときに味方に向いてしまうときもある……。

 このように、キャラクターによっては、いともたやすく人を葬ることが可能となっている。このことが分かった瞬間、私たちの能力は「パズルを解くため」ではなく「相手を画面外に吹っ飛ばす」ために使用されることへと向かいだした。能力を駆使した大乱闘の幕開けである。

 この「能力」と先ほどの「カーソルの奪い合い」が合わさった結果、画面は爆風と上空に吹き飛ぶ人々、無秩序に描かれたオブジェクトで埋め尽くされることとなった。何度も言うが、敵がいるとしたらそれは味方である

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 これから本作を遊ぼうとしているゲーマーの方々は、くれぐれもこのような遊び方はされないようご注意いただきたい。

まじめに挑むが……

 このような遊び方ばかりしていては一向にパズルが解けないので、私たちは内紛を一旦やめて協調路線を歩みだすことに決めた。
 しかし、『Q2 HUMANITY』恐るべしというべきか。4人の頭脳とプレイ技術をもってしても、全く解けないパズルが存在する。

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 本作にはヒントらしきヒントがほとんど用意されていない。
 というよりも、ヒントはステージが映し出された瞬間既に用意されているので、プレイヤーはそれを見て試行錯誤していくしかない。本作は確実に頭ではなく手を使うゲームである。もちろん画面とにらめっこして回答を考えるのも重要だが、それなら実際に何かモノを描いてみた方が早い場合がほとんどだ。

 しかし、それが難しい。描いてはリセット、描いてはリセットの無限かと思われるループを繰り返し、それでも解けないパズルを見つめ、私たちは途方に暮れていた。

 そうした時間を過ごすうちに、ついにプレイを「サボる」輩が現れ始めた。味方がせっせとオブジェクトを動かすのを見つめるだけの無気力な人間の誕生である。こうなるともうめちゃくちゃだ。

 一方では「誰か手伝って!」と必死に助けを求めるメンバーがおり、また一方では、「答えが分かったので俺にカーソルを譲れ」と頑なに主張するメンバーがおり、そしてその両者を見つめつつボーっとしているメンバーがいる。
 Discordのボイスチャンネルには、「あっあっ」と情けない声を上げる成人男性4人の姿だけがあった……。

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ライター
大阪在住のゲーマー。ゲームに限らずアニメ、映画など気になったものは何でも取り込む雑食系。オープンワールドのゲームやウォーキングシミュレーターなどが大好き。最近はオンラインゲーム『League of Legends』にドハマりしているが、プレイの腕はイマイチ。

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