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Remote Play Togetherでマルチプレイが可能になった物理演算パズルゲーム『Q』シリーズの完全新作を4人で遊んでみたら大乱闘になってしまった。『Q2 HUMANITY』に敵は存在しないが、いるとしたらそれは「味方」である

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解き方は自由

 そのような展開に天啓が訪れたのは、メンバーの誰かが放った「ゴリ押しで行けるのではないか」という一声によってだった。この時の私たちはまだ、「4人いる」ということのアドバンテージ、可能性に気づけていなかったのである。

 本作は前作と比べて非常に多くの要素が追加されているが、本質的な部分に関しては前作からほとんど変わっていない。それはすなわち「クリアのためなら何でも良し」というものだ。クリアのためならどんなバカげた発想も、ここでは許されるのである。思えば、私たちは気づかないうちに「正攻法」という鎖に縛られていたのだった。

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 それだけではない。なまじ強力すぎる”能力”を手に入れてしまったばっかりに、それを身に余るものと考え、チームとして使うという発想がほとんどなかった。4人でこのゲームと向かい合うためには、1人ではまず無理なプレイ、つまり「普通じゃないプレイ」に至らねばならなかったのである。

 たとえ「ゴリ押しじゃねーか!」と突っ込まれようとも、「これもうバグだろ」と揶揄されようとも、力を合わせれば怖いものなど何もない。そのことに気づいた私たちは「枠をはみ出す」作戦にシフトし始める。

 (ところで、人数でゴリ押しする光景は、さながら『ファインディング・ニモ』終盤で魚たちが協力しあう「あのシーン」を思わせる。)

 これが功を奏した。互いが互いに能力を使い合うことによってとてつもないパワーが生まれ、一人では絶対に不可能であろう動きを連発することが出来るようになり始めた。はっきり言ってしまうと絶対に「正しい解き方」ではないのだが、もはやそんな青臭いことは言ってられぬ身。「解けりゃいいんだよ解けりゃ」という邪悪な笑いと共に、私たちはこのゲームの裏街道を邁進し始めた。

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知恵を集めて

 こうした強引な解法を続けていくうちに、私たちの脳は少しづつこのゲームに「適応」し始めることとなった。どのオブジェクトがどのような動きをするのかという直感が働くようになり、何を描けば良いかがほとんど明確にわかるようになってきた。中には「天才か?」と思えるような閃きや解法なども現れるようになった。完全にコツを掴んだのである。

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 何を描けばいいのかが分かると、今度はキャラクターをどのように動かせばいいかが分かる。こうなるとそれぞれのキャラクターに「役割」を命じることができるので、チームに「サボり」がいなくなる。なんというポジティブループだろう。先ほどまで互いにいがみ合っていた人間同士が、邪道とは言えど一つのパズルを解くために力を合わせているのだ。

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 このゲームにストーリーがあるとしたら間違いなく「人間賛歌」がテーマになることは確実であろう。マルチプレイで遊ぶことによって「パズルが簡単に解ける」ということも、はたまた「チームの仲が深まる」ことも無いかもしれないが、少なくともそこにいる全員が協力し合わないことにはゲームがクリアできないようになっている。そう考えると、このゲームは世にも珍しい「マルチプレイで逆に難しくなるパズルゲーム」なのかもしれない。

 私が体験したのは「皆でサクサク解くパズル」でも「仲良くゴールするパーティゲーム」でもなかった。私が体験したのは、マルチプレイの「困難」と「魅力」が詰まった協力必須のIQテストだったのだ。

抱腹絶倒のIQテスト

 と、ここまでは私が実際に体験したゲームの一部始終について語ったが、上の内容を見る限り「ギスギスゲーなんですか?」や「マルチ前提なんですか?」というような質問が飛んでくることは必至なので、ここからはちょっとだけ真面目に、このゲームの魅力について紹介しよう。

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 『Q2 HUMANITY』は一人でも遊べるゲームだ。しかし私の考えでは、本作は恐らくマルチプレイでその面白さが最大限になるように設計されている。キャラクター同士の能力が互いに干渉しあうという調整からも、「ド派手に」やってほしいという開発側の意図が読み取れる。

 本作はSteamの「Remote Play Together」機能を使うことによって、一人のプレイヤーがソフトを持っていれば、そのソフトで最大4人のマルチプレイが楽しめる。今回のインプレッションでもこの機能を使って遊ばせていただいたが、フレンド曰く「ほとんどラグは感じなかった」そうである。
 『Q2 HUMANITY』ではRemote Play Togetherを強く推奨しているため、ここで開発チームからコメントが届いているので紹介しよう。

 【開発チームからのコメント】
 『Q2』という新しいアプローチのためには、どうしてもマルチ要素が必要でした。
 同時に『Q』の特徴である『自由に描き、それらを物理演算する』というゲーム性も維持する必要がありました。
 しかし、リアルタイムの物理演算をオンラインで同期させるのは非常に難しくおそらくはAAAゲームを開発されている会社さまでも容易に実現できないものだと考えています。リイカの開発規模ではまず『Q2』のマルチ要素は実現できないと考えていました。

 そんなときに、SteamのRemote Play Togetherの機能を知り、これならマルチ要素が実現可能だと思いました。
 オンラインで同期するのではなく、ホストの画面をマルチプレイ参加者にシェアする方式のため、プレイヤー間で同期を取る必要がなくなるためです。

 Remote Play Togetherはその特性上、最初こそ分かりづらさや、やりにくさというところもありますが、『Q2』に限らずこの機能を用いて遊ぶことで楽しさが増すゲームはあると思っています。
 また、メリットのひとつとして、ホストがゲームを持っていればRemote Play Togetherの参加者はゲームを持っていなくても遊ぶことができます。つまり1本で最大4人で楽しめるので、お客様に気軽に触れていただくこともできるのではと考えております。

 せっかくの遊び方が拡張できる機能ですので、『Q2 HUMANITY』公式サイトではRemote Play Togetherの始め方の解説ページをご用意していたり、『Q』公式Tiwtterでは随時Remote Play Togetherの遊び方、楽しみ方をご紹介していったりと、Remote Play Togetherに関するご案内を適宜実施していく予定です。

 ぜひ皆さん、Remote Play Togetherをお楽しみください。

 フレンドとマルチプレイで遊べば抱腹絶倒・呵々大笑のカオスな空間が生まれることは間違いなしだ。さらに手軽にマルチプレイが楽しめるので、このゲームの購入を考えている方はぜひとも仲のいい友達と一緒に遊んでみてほしい。また、本作のプロモーションで積極的に「ゲーム配信者」や「Vtuber」が活用されていることからも分かるように、本作は非常に配信映えするゲームだ。配信活動を行っているゲーマーの方には必見である。

 最後に、『Q2 HUMANITY』は決してギスギスゲームではないのでそこだけは本当に注意していただきたい。カーソル係をしっかり決めて、お互いの能力で吹き飛ばし合ったりしない限りは、本作は皆で楽しめる素晴らしいゲームである。みんなで仲良く、本作の爆笑IQテストを楽しんでみてほしい。

 最後に、本作のインプレッションに同行していただいたフレンドの皆さんに感謝を述べて、この記事を終わろうと思う。どうもありがとうございました。 

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ライター
大阪在住のゲーマー。ゲームに限らずアニメ、映画など気になったものは何でも取り込む雑食系。オープンワールドのゲームやウォーキングシミュレーターなどが大好き。最近はオンラインゲーム『League of Legends』にドハマりしているが、プレイの腕はイマイチ。

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