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無実の罪で投獄された、目つきの悪いキツネの記者となって脱獄を目指すゲーム『Back to the Dawn』が丁寧な作りで面白そう。スキルやクラフト要素だけでなく、刑務所の人間関係(動物関係)までも利用する【WePlay Expo 2023】

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刑務所シミュレーター×ケモノ──そんな“ありそうでなかった”組み合わせを形にしたのが『Back to the Dawn ~ブレイク・ザ・アニマル・プリズン~』(以下、Back to the Dawn)だ。

これは筆者の勝手な推測かもしれないが、“ケモノ”のキャラクターを用いている作品はパッと見ではかわいいものの、多くがダークな一面を隠しているように思われる。この『Back to the Dawn』も例にもれず、主人公の記者・トーマスはある陰謀に巻き込まれて冤罪をかけられ、収監されてしまったという背景を持つ。

肝心のゲームプレイは『The Escapists』風のものだが、特に気になるのは主人公をふくむ「受刑者」たちのキャラクター性が非常に色濃く出ているところ。直接ゲームに関係ない会話も見ていて面白いし、彼らが何をして刑務所に入ることになってしまったのか、いちいち気にかかるような動物たちがたくさん現れてくる。

本稿では中国・上海で行われた大規模インディーゲームイベント「WePlay Expo 2023」における試遊をベースに、『Back to the Dawn』の感想をお届けしていく。なお、本作はすでにSteamで日本語にも対応した早期アクセス版を配信中だ。

取材・文/久田晴


ハメられたキツネの記者として、刑務所からの脱出を目指す

本作の主人公は、無実の罪によって投獄されてしまったキツネの記者・トーマス。今後はもうひとりの主人公として「パンサーのボブ」の登場も予定されているらしいが、今回の試遊ではトーマスのストーリーを体験してきた。

そのあらすじは、記者として活動していたトーマスが街の公害問題(?)を報道したところ、何かしら権力を持つ存在によってハメられ、刑務所へ送られてしまった模様。目つきが悪いのは気になるが、決して悪人というわけではない。
また「動物たちの世界」という、一見するとファンシーな空気にも思える本作だが、その実かなりシリアスな展開が待ち受けていそうな予感がした。

ゲーム中は半リアルタイムで時間と日付が進行していき、基本的には刑務所のスケジュールにあわせて動かなくてはいけない。その隙間を縫って、アルバイト代わりの刑務作業で資金を集めたり、協力してくれそうな人物(動物)を探したり、脱出の糸口を探したりと奮闘する。さらに脱出までの日数にも制限が設けられているようだった。

Steamケモノ×刑務所シミュレーター『Back to the Dawn』試遊レポート:刑務所の人間関係(動物関係)までも利用_001
洗濯室の仕事は目をつぶってストップウォッチをぴったりに止めるアレ

刑務所の中の行動に応じてトーマスは成長していき、ステータスに応じて行動の成功確率に変化が生じる。リスクの生じるアクションではTRPGなどを思い起こすダイスロールが行われるが、失敗してもトーマスの「行動力」がある間は振り直しもできるため、ときには勝ち目の薄いイベントに挑戦してみるのも良いのかもしれない。

なお、ゲームスタート時にはトーマスのステータスをいくつかの選択肢から選ぶことができた。今回の試遊では人間関係を円滑に進めやすそうな、いわゆる“魅力”系で進めてみたところ、ゲーム最序盤の「電話を代わってくれと頼む」シーンがスムーズに進んだことはお伝えしておきたい。

Steamケモノ×刑務所シミュレーター『Back to the Dawn』試遊レポート:刑務所の人間関係(動物関係)までも利用_002
トーク力の勝利

個性豊かな受刑者たちの話を聞いているだけでも面白い

『Back to the Dawn』の特に面白そうなポイントは、ほかの受刑者をはじめとする動物たち、一匹一匹のキャラクターが非常に作り込まれているところ。例えば上述の電話を代わってもらったトナカイのステータスはこの通り。部屋に職場、ステータス、装備品、さらにスキルなどまで細かに定められているのが見て取れるだろう。

会話の内容も興味深く、例えばそのあたりでたむろしている受刑者たちが酒の話で盛り上がっていたりする。これはアイテム「火炎瓶」のスキルを身に着けるトークではあるのだが、同時に各キャラクターの個性があふれ出ており、単純にトークとして聞いているだけでも面白い。ローカライズも丁寧で、非常に雰囲気が出ているワンシーンだった。

Steamケモノ×刑務所シミュレーター『Back to the Dawn』試遊レポート:刑務所の人間関係(動物関係)までも利用_003

ゲームシステム面でも他の受刑者たちとの関係を築いていくことは重要なポイントのひとつで、はじめて話したときに「知り合う」というフェーズを得ると彼らの背景をうかがうことができる。親密度が上がっていけば脱出に手を貸してくれたり、貴重なアイテムを売ってくれる場合もあるようだ。

ちなみに受刑者の間でも“名声”に基づいたランクがあり、幹部クラスの受刑者とはある程度の名声がなくては「知り合う」ことさえ許されない。限られた時間の中で、どれだけ刑務所内での地位を高められるかというのも重要な要素のひとつとなってくるかもしれない。

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今回の試遊では時間が限られていたこともあり、体験できたのはごく一部に留まるが、本作のゲームプレイはかなりの自由度を誇る模様。手持ちのリソースやキャラクターを組み合わせ、ときには知略に、ときには腕っぷしに頼って目的を成し遂げよう。


すでにPC(Steam)版では早期アクセス版として発売されている本作、その評価は1700件以上のレビューを集めて「非常に好評」とかなり好調な様子である。今回の試遊でもゲーム内の日本語はかなり自然かつ雰囲気が出ているもので、ゲームプレイ面もふくめて快適に“刑務所の雰囲気”を味わうことができた。

ストアページによると、早期アクセス版とは言えそのボリュームはテキストにして約71万文字という大ボリューム。初回クリアだけでも20時間以上が目安とされており、100名近くの個性豊かなキャラクターたちとの交流、100以上のクエストを体験できるという、非常に充実した内容となっているようだ。

今後、正式リリースに向けては上述したもうひとりの主人公「パンサーのボブ」のメインストーリーが追加されていく予定。気になった方はぜひ、Steamで発売中の早期アクセス版をプレイしてみよう。

ライター
1998年生まれ。静岡大学情報学部にてプログラマーの道を志すも、FPSゲーム「Overwatch」に熱中するあまり中途退学。少年期に「アーマード・コア」「ドラッグ オン ドラグーン」などから受けた刺激を忘れられず、プログラミング言語から日本語にシフト。自分の言葉で真実の愛を語るべく奮闘中。「おもしろき こともなき世を おもしろく」するコンピューターゲームの力を信じている。道端のスズメに恋をする乙女。

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