いま読まれている記事

『ウマ娘』新たな世代へ受け継がれていく“魂”を感じさせた熱狂のライブ。5thイベント第4公演「NEW GATE」がアツかった

article-thumbnail-240325b

1

2

3

4

エモーショナルなソロ曲のラッシュに情緒が休まらない

11曲目:楽園

ここからはソロ曲が続くブロック。先陣を切ったのは、マンハッタンカフェ役の小倉唯さんの「楽園」だ。2018年6月のCDリリース以降、ライブで披露されたのは今回が初めてとなる。「ねえ 早く連れて行って」という語りかけから切々と歌い続ける透明感のあるナンバー。光量を抑えたステージ上で、 “あの子”を追いかけて走っているマンハッタンカフェさながらに微笑みを浮かべながら歌う姿はまさに神秘的。

『ウマ娘』5thイベント第4公演「NEW GATE」ライブレポート_017

ライブの直前に足首靱帯の怪我でパフォーマンスを負担の少ない内容に調整を行うという旨が公式からアナウンスされていた小倉さんだったが、そのパフォーマンスはけっしてアクシデントなどには負けない夜空の星のような輝きを放っていた。

12曲目:シャドーロールの誓い (The Solid Revision)

続く楽曲はナリタブライアンのキャラクターソング「シャドーロールの誓い」。2020年12月にキャスト変更という形でナリタブライアン役を演じることになった衣川さんにとって、ライブで披露するのは今回が初めてだ。強い意思を秘めた同曲は、ナリタブライアンというウマ娘にとってかけがえのない楽曲。力強い歌声でナリタブライアンに魂を込め続けてきた衣笠さんの歌声として新たな形で生まれ変わったことに感動を覚えたトレーナーも多かったのでは。

『ウマ娘』5thイベント第4公演「NEW GATE」ライブレポート_018

筆者の個人的な感想になるが、今回の「シャドーロールの誓い」は下を向くことなく、これまでの軌跡を否定することもなく、前に進み続ける──そんな覚悟と信念が強くにじんでいたステージだと感じた。「負けない!!」「ブッちぎる!!」といった曲の要所に登場する力強いセリフは今もなお心に焼きついている。

13曲目:ライトレス

ナリタブライアンからバトンを受けたのは、アグネスタキオンを演じる上坂すみれさん。歌詞を凝縮して詰め込むような難しい譜割りのテクノミュージックだが、それを歌いこなすだけでなく、アグネスタキオンならではの恍惚とした表情や狂気的な一面を覗かせる様は見事というほかない。スクリーンに映し出された幾何学模様と、ウマ娘ダンサーの調和の取れたパフォーマンスは芸術的といってもいいだろう。

『ウマ娘』5thイベント第4公演「NEW GATE」ライブレポート_019

しかし、このステージの本質はさらにその先にあった。ウマ娘ダンサーがステージから退場すると同時に、ポップアップで現れたのはマンハッタンカフェ役の小倉さん。周囲からはなかなか可視化できないような、それでも心の奥底で理解しあっているような複雑な関係性のふたりの姿をステージ上でも形作っていく。ラストの「私の足で」の直前に視線を向けるところがまたたまらない。

14曲目:僕が憧れた青

エモーショナルなソロ曲のラッシュに、トレーナーの情緒はまだまだ休ませてもらえない。14曲目はシュヴァルグラン演じる夏吉さんによる「僕が憧れた青」だ。自問自答するかのように、心の内に秘めた熱い想いを感じ、モノローグのように歌声として紡いでいく──珠玉のキャラクターソングだが、サビのたたみかけるような高音の連続など、楽曲としての難易度は非常に高い。しかし、夏吉さんは圧倒的な表現力と歌唱力で見事に歌いこなしてみせた。

『ウマ娘』5thイベント第4公演「NEW GATE」ライブレポート_020

シュヴァルグランの想いを体現する一挙手一投足も見逃せない。ラスサビの前に、青のペンライトに染まった客席に向かって走り出す姿や、歌い終えてはにかむような表情で微笑む姿に崩れ落ちたトレーナーも多かったのでは。

15曲目:Ms. VICTORIA (The Legends Ver.)

畳みかけてくるようなセットリストに、さらに強力なナンバーを控えさせているのが『ウマ娘』。このブロックのラストを飾るのは「Ms.VICTORIA」だ。ゲームにおいてはチャンピオンズミーティングの勝者を讃える楽曲であり、その疾走感と爽快感は唯一無二。

『ウマ娘』5thイベント第4公演「NEW GATE」ライブレポート_021

高音の歌唱が美しいウマ娘たちが揃うなかで、徳井さんや衣川さん、上坂さんらによる低音の歌唱がそれをうまく受け止めて、美しい音の奔流へと昇華していく。響き渡る凱歌に、トレーナーたちも赤のペンライトを掲げて応え、ホールのボルテージはまさに頂点へ。ラスサビでの会場の一体感は圧巻だった。

ここからはツアー最後の花火大会(バズーカを使ったリボン射出サービスコーナー)も交えたMCタイム。初出走となるノーリーズン役の河野ひよりさんが「ノーリーズンのタオルを持ってくれている方もいて、めちゃめちゃうれじぃ……」と濁音交じりで喜びを表現すれば、「ダンツフレームのタオルを持っている方、います……?」と問いかけて見事に見つけた福嶋さんもうれしそう。福嶋さんは大阪府出身ということもあって、うれしさもひとしおのようだった。

さて、ここで喜ぶメンバーをしり目に「こんなんで祭りを終わらせるつもりはねぇよなぁ?」と急にオラつきだしたのが藤本さん。「まだまだ気合いの入ったことをしたくねぇか~?」と松岡さんに寄りかかってアピール。

──そう、じつは3月23日は松岡さんの誕生日。というわけで、みんなでバースデーを祝おうというサプライズを仕掛けていたのだが、「タニノギ……」といったところで藤本さんが盛大に噛むというハプニングが発生。松岡さんも「おいぃぃぃー!」と盛大にツッコミを入れつつも、藤本さんの間髪入れない謝罪ハグに幸せそうな笑みを浮かべる。

『ウマ娘』5thイベント第4公演「NEW GATE」ライブレポート_022

MCパートが終わったところで、ウマ娘たちの朗読が始まる。これまで抱いてきた希望と叶えてきた夢が誰かの憧れになり、そして託されていく想い──「今、君といっしょに」という最後のメッセージを読み上げたのは、メインストーリー第2部でスポットライトが当たる4人のウマ娘たちだった。

『ウマ娘』5thイベント第4公演「NEW GATE」ライブレポート_023

16曲目:朝露は大河の夢を見る

ここからは、メインストーリー第2部の主役となるウマ娘たちによるソロパート。最初の楽曲は、シーザリオ役を演じる佐藤さんが歌う「朝露は大河の夢を見る」だ。

モチーフとなったサラブレッド名“シーザリオ”が、ウィリアム・シェイクスピアの「十二夜」に由来する名前ということもあって、楽曲はミュージカル調の壮大な世界観となっている。雄大な自然が映し出されたスクリーンをバックに、佐藤さんは力強く伸びやかな歌声を響かせていく。世界でも活躍するであろう素質を持った彼女にふさわしい演出といえる。

『ウマ娘』5thイベント第4公演「NEW GATE」ライブレポート_024

ハスキーでパワフルな歌声が心に残る一方で、佐藤さんはときおりやさしい歌声もにじませる。もし、この楽曲がスイッチオンになっているシーザリオのステージだとしたら、スイッチオフになっているときの歌声も聞いてみたいと筆者は感じた。

17曲目:Queen Bee

“NEW GATE”という大阪公演のタイトルそのままに新しい扉を開いたシーザリオ。これに対して、歌を通じて想いを届ける東京公演の“YELL”というテーマを託されたのが次の楽曲「Queen Bee」。歌うのはデアリングハート役を演じる希水さん。

楽曲はアメリカンパワーポップのようなテイストで、激しくも耳なじみがいい。魂の奥底まで浸透するような希水さんの艶やかでパワフルな歌声もクセになる。また、希水さんはダンスパフォーマンスもキレキレ。ウマ娘ダンサーを率いての一糸乱れぬパフォーマンスはまさに女王バチのようなカリスマ性にあふれていた。

『ウマ娘』5thイベント第4公演「NEW GATE」ライブレポート_025

歌唱中の表情も豊かで、片目でウインクをする決めポーズにハートを射抜かれたというトレーナーも多かったのではないだろうか。

18曲目:十帰りの花

続けて、“GAZE”という名古屋公演のテーマを託されたのが、エアメサイア役を演じる根本さん。ここまでかけていなかった眼鏡を着用してステージに臨んだ。

彼女の歌う「十帰りの花」は、しっとりとしたバラード。タイトルの由来はまだ語られていないが、 松の花を意味する“十返りの花”と、11月頃に季節外れの花が咲く“帰り花”をかけたものだと考えると趣深い。もしかすると、ウマ娘としての彼女の開花やその色合いを象徴するタイトルなのかなと想像させられてしまう。

『ウマ娘』5thイベント第4公演「NEW GATE」ライブレポート_026

ストーリーのなかでも2代にわたってティアラ路線を志したウマ娘ということが語られているエアメサイアだが、その歌詞は断片的に聴くだけでも親子関係をにじませており、かつて憧れた視線の先へ……という“GAZE”というテーマにも合致。切々と胸中を歌いあげる根本さんのパフォーマンスにはそれだけでもぐぐっと惹きつけられるものがあったが、今後より詳しく語られるであろう彼女のバックボーンと合わせることで解像度が上がるのでは~という期待感も高まる。

19曲目:Over a Tiara

初出走組のソロパートのトリを飾ったのは、ラインクラフト役を演じる小島さん。「誰かの中に何かを残したい」、「自分の脚でしか走れない道が誰かにとっての憧れになってほしい」という想いを持って走り続けるラインクラフトは、たしかに横浜公演の“WISH”というテーマを表現するのにふさわしいウマ娘かもしれない。

『ウマ娘』5thイベント第4公演「NEW GATE」ライブレポート_027

ソロ曲のタイトル「Over a Tiara」も王道ヒロイズムを感じさせるガールズロック。渇望や歓喜を前面に出しながら感情豊かに歌う小島さんの姿も魅力的で、その全力のパフォーマンスに対して、トレーナーたちも桜色のペンライトを掲げてエールを送る。最後まで歌い終わったあとの、晴れやかな表情でピースサインをする姿もフレッシュで、もっともっと応援したいという気持ちをかき立てられるようだ。

1

2

3

4

ライター
RPGのやりこみ企画をきっかけに高校在学中にライターデビュー。ゲーム記事のライティングのほか、声優誌を中心にインタビュー記事を執筆するライター、音声・映像番組の構成作家としても活動する。プライベートのゲームスタイルは何も考えない脳筋型で、ひたすら根性と直感のままにゲームをプレイする。トレードマークは帽子と眼鏡。

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合がございます

Amazon売上ランキング

集計期間:2024年5月12日13時~2024年5月12日14時

新着記事

新着記事

ピックアップ

連載・特集一覧

カテゴリ

その他

若ゲのいたり

カテゴリーピックアップ