みなさま、こんばんは。黒木ほの香です。
なんとこの度、エッセイを連載することになりました。
すご〜〜〜〜〜〜〜〜い!
本業、声優。時々、アイドル(?)。
その上、エッセイの連載を持つだなんて「なんてかっこいいんだろう!」と思いました。
昔から本を読むのが好きで、所属するユニットで長年ブログを更新しているわたしにとって、文章を書くお仕事が舞い込んできたのは本当に嬉しいことです。
ただ…いざ書こうとすると、これまた難しい。
それもそのはず。わたしは今まで“エッセイ”というジャンルの本を読んだことがなかったのです。
そういえば、エッセイってどういう意味?
いきなりですが、わたしの母は年間二百冊もの小説を読破する本の虫。好きな言葉は『晴読雨読』(※1)晴れの日も雨の日も、とにかく本を読むのが母の過ごし方。そんな母に育てられたわたしが本を読むようになるのは、ごく自然な流れでした。
もっぱら図書館派の母は、作者順に本が並ぶ棚を『あ』〜『わ』まで、カニ歩きしながら見るのがいつものパターンです。母の真似をしてわたしもよくカニになっていたのを覚えています。
母は作品のジャンルや文体に好き嫌いは多少あるものの、気になった物はとにかく読んでみるタイプ。
しかしそんな母も、そしてわたしもほとんど手をつけないジャンルがありまして。それがエッセイでした。
幼きわたしにとって、母が読み終わった本がわたしの読む本。そして本といえば、フィクションの中に飛び込む。
そんなイメージだったので、エッセイというジャンルがあると知ったのもかなり時間が経ってからだったような気がします。
正確には、知ってはいたけど、気づいていなかったのです。
というのも、昨年亡くなったわたしの祖母が随筆を書く人でした。
エッセイ連載のお話をいただいてから「そういえば、エッセイってどういう意味?」と検索窓に入れてみたんです。するとどうでしょう。
『自由な形式で、意見・感想などを述べた散文。随筆。随想。』
随筆!祖母が長年書いていたものではありませんか!
心臓を打つ音が急に速くなりました。これが、胸の高鳴り、というものなのかな。
祖母の死に目にはあえず、とても悔しかったけれど(※2)、また祖母を感じられる瞬間がくるかもしれない。
早速母に「おばあちゃんが書いてた随筆って、まだ残ってる?」とスマホからメッセージを送りました。
間髪入れずに「どうしたの?急に 笑」と返信が。
うーん、どうしよう…なんだか恥ずかしい…。
なんとなく理由を話すのが照れくさくて「べつに 笑」と濁してしまいました。そのまま何度かやり取りを交わし、母の手元に残っていた随筆集をすぐさま送ってもらって、毎日少しずつ読み進めています。
おばあちゃんは、孫に勝手に随筆を読まれること、恥ずかしくないかな。大丈夫かな。
その昔、祖母が書いた随筆を二、三読んだことはある…と思います。
ただ、十年は前のことですから内容は全く覚えていません。先ほどお伝えしたように、わたしがフィクションに夢中だったのもあると思います。あの頃は特に起伏がある物語にお熱でしたから。
日常を綴っていた祖母の随筆は、当時のわたしには少し退屈だったのでしょう。
黒木ほの香の「どうか内密に。」
もしわたしが、このエッセイをいつかできるかもしれない孫に読まれたとしたらどうだろう。
きっと、顔から火が出るくらい恥ずかしいと思います。自分自身が日々考えていることを家族に知られることほど、むず痒いことはありません。
だからこのエッセイのタイトルは『黒木ほの香の「どうか内密に。」』になりました。
わたしの家族たち、そしてわたしと出会ってくれたあなたへの言葉です。この場所で知ったことは無闇矢鱈と広めないよう、どうぞお願いいたします。
とはいえ、せっかくいただいたご縁。
『知ってる人は知っている、楽しいおしゃべりスペース』を目指して連載していけるといいなと思います。
気分屋なので文章にムラがあるとは思いますが、大切に紡いでいきますので、これからよろしくお願いしますね!
黒木ほの香
※1…母が作ったオリジナルの言葉。『晴耕雨読』のアレンジともいう。
※2…通夜には行けました。土日でイベント仕事があるタイミングでしたが、サンドリオンのメンバーたちが「絶対に行った方がいい」と、その足でみどりの窓口へ向かい新幹線のチケットを取ってくれたのです。その間にわたしは家に飛んで帰り、自宅にある黒い服をかき集めてまたイベント会場へ。終演後ほどなくして会場を後にして、新幹線に飛び乗りました。あの日は台風が来ていて、結局、メンバーたちが取っていてくれたチケットだといつ発車かわからなかったため、払い戻して自由席に変更(笑)ごめんねみんな…とほんのり思いながらも、胸は感謝の気持ちで溢れていました。祖母の顔を見れたのは夜遅くでしたし、次の日も朝早くからまた電車の中だったけど、本当に会えてよかったです。
編集:川野優希
企画協力:スターダストプロモーション