4月26日は『ロックマン ゼロ』が発売された日だ。
『ロックマン ゼロ』は、カプコンの看板アクションゲーム『ロックマン』シリーズの新たな派生作品として、ゲームボーイアドバンス向けに発売された。
1993年発売の『ロックマンX(エックス)』の流れを汲む派生作品で、同シリーズの主人公「エックス」無二の親友として登場した紅き英雄「ゼロ」の活躍を描く新たな『ロックマン』となる。ストーリーと世界観も『ロックマンX』から地続きで、数百年後の未来を舞台としている。
ゲームシステムは前身に当たる『ロックマンX』をベースとし、壁を蹴って登る「壁蹴り」、直線方向に高速移動する「ダッシュ」のアクションが引き続き採用されている。近接主体の武器で、ゼロの代名詞たる「ゼットセイバー」による攻撃も健在である。
ただし、接近戦にフォーカスしていた『ロックマンX』のゼロとは異なり、本作のゼロはゼットセイバー以外にも「バスターショット」、「トリプルロッド」、「シールドブーメラン」なる新たな武器を扱える。また、これらの武器は2種類装備でき、メインは「ゼットセイバー」、サブは「バスターショット」といった具合に、同時に使い分けながら扱えるようにもなっている。
『ロックマン』シリーズ定番の要素にも変革がなされている。攻略するステージを任意で選べるセレクト機能は、各ステージにどんなボスが待ち受けているかの情報をカット。ステージである「ミッション」を開始して進めなければ分からない仕組みになった。
さらにミッションの名称通り、人質の救出、爆弾の回収といった特殊な課題をこなす必要もあり、単純に前進していけばいいだけの作りではなくなっている。ボスもミッションによっては倒してもクリアとならなかったり、時には始まって早々戦闘になることも。まさに情報を削ったなりの意表を突く展開目白押しの作りに一新されている。
ボスを倒すと得られる「特殊武器」、それを特定のボスに対して使うと大ダメージが与えられる「相性」(答え)の概念も多少ながら変更。「炎」「氷」「雷」の属性を溜め攻撃(チャージ技)に付与する装備アイテム「エレメントチップ」を切り替えて応じるものに改められた。チップ自体は特定のボスを倒さないと獲得できないが、数が少ないなりに一通り揃うまでは早い。そのため、弱点を探る攻略にも早々と取り組める見所がある。
そして、特に『ロックマンX』シリーズでは重要なシステムだったプレイヤーキャラクターの基礎ステータス強化。本作では「サイバーエルフ」なる電子の妖精を回収および救出し、育成してその力を得る形に改められた。「サイバーエルフ」は大中小の様々な個体がおり、最も大きな個体ほど、大幅なステータス強化を図れる。
この他にも武器ごとに設定された「熟練度」、ミッションクリア時の成績に応じて設定される7段階の「レベル」、高レベル時に限られたボスの特殊攻撃(EX技)など、意欲的なシステムが多数盛り込まれている。キャラクターデザインもゼロを始め、大きく改められ、見た目的に別物感が漂うが、設定上は『ロックマンX』と同じとされている。ストーリーにも『ロックマンX』との明確な繋がりを示す要素が満載である。
本作は2001年発売の『バトルネットワーク ロックマンエグゼ』に次ぐ、ゲームボーイアドバンス向けの新たな『ロックマン』として誕生。同作と共に、2000年代前半の『ロックマン』シリーズ全体を盛り上げた立役者でもある。
作品的にもスピーディでダイナミックなゼロのアクション、『ロックマンX』にも増してハードで殺伐とした世界観とストーリー、そしてシステム周りでの挑戦的な試みの数々を特徴とする。なお、本作の制作は元カプコンのスタッフによって設立された「インティ・クリエイツ」が担当している。
挑戦的な反面、粗削りな部分も見られたが翌年発売の『ロックマン ゼロ2』を始め、続編の展開と共にゲームシステムやゲームバランスが洗練されていき、2004年発売の『ロックマン ゼロ3』で一定の完成を見た。
続く『ロックマン ゼロ4』では、再びシステム周りで挑戦的な試みをしつつ、ボイス演出の強化、(限定的ながら)ボーカル楽曲の収録など、ゲームボーイアドバンスのハード性能の限界に挑んでいる。
そんな『ロックマン ゼロ4』をもって『ロックマン ゼロ』シリーズは完結。以降は2006年、ニンテンドーDS向けに発売された『ロックマンゼクス』へと継承された。
2024年現在は後継の『ロックマンゼクス』2作を含むコレクションタイトル『ロックマン ゼロ&ゼクス ダブルヒーローコレクション』で、シリーズ全4作がプレイ可能。
チェックポイントの役割も兼ねた「アシストセーブ」、ゼロが常時最強状態になる「カジュアルシナリオモード」の搭載で大幅に遊びやすくなっているので、シリーズへの入門を検討されているならこちらがおすすめ。さまざまな意味で『ロックマン』シリーズのお約束を破壊しつつ、新境地を切り開いた本作。未プレイであれば体験いただきたいところだ。
なお、電ファミニコゲーマーでは本作の開発を担当したインティ・クリエイツの代表取締役社長・會津卓也氏へのインタビュー記事兼動画も掲載中である。『ロックマン ゼロ』シリーズを始め、同社の代表作にまつわる様々な成り立ちなどが語られているので、興味があればこちらもチェックいただきたい。