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『メトロイド』入門にピッタリな傑作『ゼロミッション』を全力でオススメしたい! ついにNintendo Switchでも遊べるようになりました…が、危険な“裏の顔”にはご注意を

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入門編として申し分ない『ゼロミッション』の“裏の顔”とは……やり込み要素!?

ピックアップした5つの理由の通り、『ゼロミッション』はまさにシリーズの入門編として申し分ない。

筆者個人としては、『スマブラ』シリーズを通して『メトロイド』を知り、「どのシリーズ作から始めよう?」と迷っているプレイヤーには超が付くほど優先的におすすめする作品である。それほど『メトロイド』の基礎を知るには打ってつけの作りなのである。

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なのに危険な“裏の顔”があるとは、どういうことか?

実は『メトロイド』シリーズは、シリーズ第3作の『スーパーメトロイド』以降、あるやり込み要素が定番のひとつとなった。

それは本編に隠されたアイテムをすべて発見・回収するというものである。

『スーパーメトロイド』以降、その回収率がエンディングの結果画面に表示されるようになり、最大100%を目指すという遊びが設けられたのだ。このやり込み要素は次作『フュージョン』のほか、同時期に発売された『メトロイド プライム』にも継承。以降のシリーズ、最も新しい『ドレッド』でもやり込み要素のひとつとして用意されている。

『メトロイド』のやり込み要素の中で、初代から定番になっているのは最速クリアことタイムアタックだ。これでよりよい結果を出すと、サムスが身にまとっていたスーツを解除して素顔を見せてくれるという特典があり、それが大きな話題を呼んだことからシリーズの定番要素となった。

もちろん『ゼロミッション』にもタイムアタックのやり込みは継承。そして『スーパーメトロイド』以降の定番となった、アイテム全回収のやり込みも並行して採用されている。

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だが、『ゼロミッション』はこのふたつのやり込み要素の難易度がシリーズでもずば抜けて高い。強い言葉で表せば“鬼畜”そのものだ。

なぜかと言えば、恐ろしく高度なアクションを随所で強要されるのである。

そのアクションとは「シャインスパーク」。『スーパーメトロイド』で初登場し、本作『ゼロミッション』にも原作にはなかった新パワーアップとして採用されている高速ダッシュ「スピードブースター」を用いて発動させる上級アクションである。最新の『ドレッド』にも登場している。

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出し方はまず、スピードブースターによる「ブーストダッシュ」を発動させる。その最中に十字キーの下を押すと、サムスの身体が点滅しチャージ状態になる。この時にAボタンを押すとシャインスパークが発動。真上に向けて目に止まらぬ速さで突進する。

なお、十字キー左右とAボタンを同時押しすると指定した方向に、LボタンとAボタンの同時押しすると斜め方向へと突進するシャインスパークになる。

また突進中、下り坂に接触すると「スピードブースター」が再発動。そこから前述の操作を繰り返せば、遠く離れた所でシャインスパークを発動できるようになっている。

この下り坂を使うテクニックは前作『フュージョン』で初登場し、一部のアイテム回収では使用を強制された。そこに限っては非常に難易度が高く、苦戦したプレイヤーは少なくないかもしれない。

そんなアクションの使用を必要とされる場面が、なんと『ゼロミッション』では増えた。まさかの難易度引き上げが行われているのだ。

しかも『フュージョン』同様、アイテム回収率100%と指定時間以内のクリアを同時に達成しなければ解禁されないクリア後特典も存在。前述のことから、その難易度も大幅に上がっていて、容易には達成できないぐらい手ごわい……否、手ごわすぎるものになっている。

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▲モーフボールでシャインスパークを決めろ。どうしろと……?

中には『フュージョン』の時はなかった、モーフボール状態からのシャインスパーク発動を必要とするものも。当然、発動にはそれなりの慣れが必要とされ、前述のクリア後特典を目指すなら、失敗を最小限に抑えるのは避けられない。仮に失敗を連発し、何度もトライ&エラーを繰り返せば、タイムアタック目標の達成が困難になるのは想像にかたくないだろう。

なので、『ゼロミッション』は完璧なクリアを目指すとなれば、誇張抜きに『メトロイド』シリーズ史上最難関とも言える難易度に化ける。これこそが“裏の顔”の正体。すべてをやり尽くそうとすれば、アクションゲーム初心者お断りなゲームへと急変するのだ。

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▲飛距離が足りないがスピードブースターかシャインスパークを決めろ。どうしろと……?

逆にただエンディングを目指すだけなら、ここまで大変な目に遭うことはない。シャインスパーク無くして取れないアイテムは、「ミサイルタンク」に代表される最大値上昇系のアイテムに限定されているからだ。

本編を進めるのに必要なパワーアップアイテム(アビリティ系)では、そのようなアクションが必要とされることはない。逆になくてもクリアへの影響が少ないアイテムは、そうした難しいアクションが必要とされる場面多し。極端なほど差が出ているのである。

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▲とは言え、簡単な手順で取れるタンク系アイテムも少なくはない。

そのため、完全クリアまで遊びつくすとなれば相当な覚悟が必要となる。「せっかく遊ぶからには……」と、実態を知らずに挑もうとすれば地獄を見ることになるだろう。

実質、ネタバレにも当たる情報だが、本当にゲームに対する印象がひっくり返るほどに危険な側面を持っているので、あえてここに紹介させていただいた。それほどまでに『ゼロミッション』のやり込み要素は“ヤバい”のである。これを経験すれば、「他の『メトロイド』も地獄なのか!?」と思ってしまうぐらいである。

だが、断言する。そんなことはない!地獄は『ゼロミッション』だけの話だ!

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一応、前作の『フュージョン』にも、このようなアクションが必要とされる場面が数ヶ所ある。だが、数は『ゼロミッション』より少なく、一部大変な程度のバランスに落ち着いている(念のためだが、決して難しくないわけではない)。

また『スーパーメトロイド』は、最速クリアとアイテム回収のやり込みは独立している。そのため、両方達成することは必要とされない。原作の初代『メトロイド』、その続編『メトロイドII RETURN OF SAMUS』(以下、メトロイドII)に至っては、アイテム回収のやり込み自体がなく、やるかやらないかは任意だ。

そして『ゼロミッション』以降のシリーズは、『ゼロミッション』での反省を踏まえてか、『スーパーメトロイド』のスタイルが基本になった。

最新の『ドレッド』もタイムアタックはタイムアタック、アイテム回収はアイテム回収と完全にすみ分けられている。さらに『メトロイド プライム』シリーズに関しては事実上、タイムアタックのやり込みは存在しない。純粋な自己満足のやり込み要素としての位置づけだ。

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▲『ドレッド』のシャインスパーク

もし『ゼロミッション』のやり込みを通し、他のシリーズへの懸念を抱いたのなら、それは立派な誤解だと認識いただければと思う。タイムアタックと並行してアイテム回収のやり込みを必要とされ、その難易度が極端なぐらい高いのは『ゼロミッション』ぐらいだ。(『前作『フュージョン』もそれにやや近い難易度だが)

また、大事なことなので2回繰り返す。普通にエンディングを目指すだけなら、決して“鬼畜”でもなければ地獄ではない。そこは入門編にふさわしい遊びやすいバランスになっている。だが、やり込みは真逆なので、心して欲しい。

それを今後、プレイされる方には意識していただきたいと、ここに綴る次第である。もし、ストレスを最小限にして取り組みたいなら、一切迷わず『ゲームボーイアドバンス Nintendo Switch Online』内蔵の巻き戻し機能を使うことを推奨する。

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それにしても、なぜ『ゼロミッション』はここまでやり込み周りが極端な難易度になったのか不思議である。残念ながら、この意図が解説された開発スタッフインタビューは攻略本などの関連書籍などに存在せず、知るに知れないのがもどかしい限りだ。

裏の顔はあれど傑作は傑作。シリーズ屈指のハイテンポな作りにはクセになる気持ちよさがある

ちなみに『ゼロミッション』は、2Dメトロイドシリーズの中でも際立って周回プレイを気軽に楽しめる作品だ。基本的に1周あたりに要する時間は短く、慣れれば2~3時間以内には終えられるようになっている。

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逆に言えばボリュームの少なさを意味するが、マップの構造からイベントの発生タイミングなど、全体的な構成は芸術的なまでに洗練されている。短編ながら、ステルスメインの第2部もいいアクセントになっており、短さとは裏腹の濃い体験が楽しめるはずだ。

また、前作『フュージョン』や新作『ドレッド』のようなストーリー絡みの会話イベントもない。カットシーンはあれど、基本的にテキストは用いず、アニメーション主体の表現に徹していることもあって、非常にテンポがよい。なにより、それらのイベントによって探索を長期に渡って中断されにくい。

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特筆すべきは、ゲーム本編開始までの早さ。開始間もなく、オープニングのイベントとサムスのモノローグがほんの少し挿入されたのち、すぐにゲーム本編が始まるようになっている。2000年代の『メトロイド』シリーズの中ではトップクラスの早さで、なんと最新の『ドレッド』をも上回る。

さすがに歴代ダントツの開始速度を誇る『メトロイドII』よりは遅いが、こうしたすぐにゲームを始められる所もまた、周回プレイのしやすさへと繋がっている。

そして、鬼畜気味なアイテム回収のやり込みも、好意的に見ればボリューム感を抱かせる要素として機能している。初回プレイ時にコンプリートを目指そうとなれば、10時間ほどは要するのではないだろうか。少なくとも、単純にエンディングを迎えるよりかははるかに濃密な探索が楽しめるはず。

ただ、そうなれば入門編としての姿は消え失せ、鬼が現れることになる。繰り返しになるが、そこは心していただきたいところだ。

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ちなみに「鬼がなんだ!俺はメトロイド(※鳥人族の言葉で“最強の戦士”)だ!」という人は、ぜひともアイテム回収率15%以下のやり込みに挑んでみていただきたい。実は本作、一部のアイテム回収を無視してクリアできるようになっている。

さらに進め方によっては、本来のルートを無視して後半に入手するはずのアイテムを取るといった、いわゆる“シーケンスブレイク”も決められる。相応に高度なテクニックが必須になるが、自らをメトロイドだと名乗るのであればお茶の子サイサイだろう。そんなこんなで、ぜひ頑張ってみていただきたい。異論はないな?

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本作が持つデンジャラスな側面をいろいろと語ってしまったが、それでも『ゼロミッション』が傑作に値する作品であることは声高に主張したい。シリーズ初心者に嬉しいサポート機能の数々に手頃なボリューム、豊富なやり込み要素、そして抜群のテンポ感と、その魅力はまもなく発売から20年が経った今もなお、色褪せることはない。

ゲームボーイアドバンス後期の作品であることを強く実感させられる、精巧なドット絵で彩られたグラフィック、ハードの限界に挑んだ楽曲・効果音も迫力十分だ。

危険な裏の顔はあれど、『ゼロミッション』もバッチリ「メトロイド オモロイド」である。

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▲幼少期のサムスが登場するイベントもある。

直近の『ドレッド』などからこのシリーズに足を踏み入れた新規ファンから『スマブラ』でしか『メトロイド』を知らない方も、この生まれ変わった“始まりのメトロイド”を堪能してみよう。現行の2Dメトロイドシリーズの礎がここにある。

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ライター
新旧構わず、色々ゲームに手を伸ばしては積み上げるひよっこライター。アクションゲーム(特に『メトロイド』、『ロックマン』)とストラテジーが大好物。フリーゲーム、VRゲームの動向もひっそり追いかけ続けている。
Twitter:@shelloop

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