リメイク版『SILENT HILL 2』をプレイすることは拷問のように苦しかった。
つい避けたくなるような苦しさを感じるほどに難易度がシビアな「戦闘」
ビリビリと聴覚を刺激し、猛烈に不安を掻き立てられる「ラジオの音」
どこから敵が来るのかわからない恐怖を植え付けられる「深い霧と闇」
遊ぶ際にアドレナリンが分泌され過ぎて睡眠時間がごっそり削られたし、薄暗い部屋でロッカーを漁るような悪夢(?)を2回も見た。そして、プレイしている数週間は背中や首が石みてぇにバキバキになってしまった。
それでも、本作をクリアした今では、プレイして良かったと心から思う。そして、生活に支障をきたした圧倒的な苦しさも「必要だった」と感じている。
その根拠は、決してゲームをクリアしたことによるカタルシスからきたものではない。むしろ、本作で描かれる恐怖や苦痛、不安に表現としての意義があり、説得力があるからだと思う。
でも、本作は2001年に発売された同名作品のフルリメイク作だ。恐怖や苦痛をしこたま浴びれるのは、オリジナル版と同様の魅力であるように見えるかもしれないが、説得力を獲得するプロセスには明確に差異がある。
たとえば、オリジナル版においては、操作性に若干の難があり不安定だった視点や、膨大なボリュームがあるがやや緩急が少ない探索など、ゲームプレイにおいて一見するとネガティブな性質が物語などと噛み合うことで表現のための意義を獲得していた。
しかし、リメイク版である本作は操作性は非常に良好。筆者としては探索についても、さほど「冗長な退屈さ」は感じなかった。
つまり、リメイク版『SILENT HILL 2』は、オリジナル版とは異なるアプローチで「ジェイムスの苦悩」を表現しているのだ。
正直、筆者は、ホラージャンルそのものには大変興味があるのだが、ホラーゲームをプレイするのが得意ではない。なぜなら筆者は非常にチキン野郎であり、心臓がツルッツルで、豆腐メンタルだから、ホラーゲームを遊ぶことそのものが苦しいのである。
プレイを続けてしまう「惹きつける魅力」が、リメイク版『SILENT HILL 2』にはあった。
この記事ではそんな本作の「恐怖や苦痛の魅力」について紹介しよう。ホラーゲームが苦手な方でも、リメイク版『SILENT HILL 2』を遊ぶ勇気と関心をおすそ分けできれば幸いだ。
文/りつこ
編集/竹中プレジデント
シンプルに敵が強い。戦闘の苦しさがジェイムスとプレイヤーを接続する
3年前に亡くなったはずの妻・メアリーから来た手紙を手がかりに、主人公のジェイムスにとって思い出の街「サイレントヒル」で妻を探索することになるのが、本作冒頭の流れ。
ところが、訪れた街は何故か濃い霧に覆われ、人気がほとんど無く、異形のクリーチャーが徘徊していた。そのため、本作では探索中に獲得した限られたリソースを駆使し、敵と戦い、時に異常な空間を探索していくこととなる。
本作の序盤で思い知らされたのは、戦闘そのものが「つい避けたくなるような苦しさ」に満ちているということだ。
まず、主人公であるジェイムスの戦闘スペックがせいぜい「けっこうタフな一般男性」レベルでしかない。防御手段は「ドッジ(回避)」と移動のみ。そのドッジも移動距離が短く、万能ではない。オリジナル版に存在したガードは存在しない。本作の主人公は特殊部隊の隊員や警官ではないのだ。
そのため、銃を構えてから狙った位置に撃つまでにも時間がかかる。構えてから数秒待たなければクロスヘア(銃の照準)が絞られず、早まって弾丸を撃てば銃弾が狙っていない場所に飛んでしまうケースもある。弾薬のリソースがカツカツなこともあり、「銃さえ手に入れれば余裕」とはならない。
さらに、打撃が妙に強かったオリジナル版とは異なり、リメイク版では近接攻撃はさほど強くないため、「鈍器で一方的に殴り倒す」ような立ち回りは通じなくなっている。
そして、雑魚敵であるライングフィギュアやマネキンなどがフツーに厄介だ。
というのも、雑魚敵にも関わらず行動パターンに回避があったり、近接攻撃のみならずリーチの長い攻撃を行ってくる。さらに体力もある程度あるいやらしさ。攻撃を連打していると、反撃を受けてしまう。しかもそのダメージも決して低くない。
さらに、近しい見た目の敵でも攻撃パターンなどが異なるケースもある。マジで油断ならない。
こういった理由から、本作の戦闘では単調な連撃や銃の乱発はあまり許容されていないし、とくにリソースが尽きれば「戦闘は恐ろしく苦しい」という思いが強化される。
しかし、この無力感や苦しさは「亡くなったはずの妻を探し、街を彷徨う陰鬱な男」という主人公の人物像にマッチした体感をプレイヤーに与える。
一見、ビデオゲームにおける「苦痛」はネガティブな要素であるように思えるが、本作における戦闘の苦痛は「プレイヤーとジェイムスをリンクさせる」ために発動するのだ。
このように、本作の戦闘の難度は表現における明確な意義と役割がある。苦しいからこそジェイムスの感情に移入し、作中の出来事を我が事として受け止められるのではないだろうか。
作品において意義のある苦痛を「遊びづらさ」ではなく「正当なアクションゲームらしい手厳しさ」により表現している点は本作の大きな魅力であると感じた。
ビリビリと聴覚を刺激し、猛烈に不安を掻き立てる携帯ラジオ。プレイヤーの心情を揺さぶってくる
「サイレントヒル」シリーズといえば、主人公が所持している携帯ラジオも印象的だ。
このラジオ、敵が近くにいることで反応し、非常に禍々しいノイズを発生するというものなのだが……リメイク版『SILENT HILL 2』におけるラジオの音は凶悪な方向にパワーアップしている。
その理由のひとつは、ずばり音色。過去作以上にノイズの音がハイファイ(高精細)だが、耳が死ぬわけではないもののビリビリと聴覚を刺激し、猛烈に不安を掻き立てる。デフォルトの音量の設定も大きいため、敵に接近する度に自然と背中や肩が強張ってしまう。
また、筆者はPS5版をプレイしたのだが、本作では携帯ラジオから発せられるノイズがPS5用のコントローラー・DualSenseのスピーカーから爆音で発せられるのだ。
わずかな演出に感じるかもしれないが、ゲームプレイにあわせてモニター以上に身体に近い位置でブルブルと振動が発生し、凄まじく不快な(超カッコ良くもある)音が発生することは、かなりプレイヤーの心情を揺さぶる力を持っている。
なにより、オリジナル版と同様にラジオの音は本作における恐怖の表現において欠かせない。
その原理としては、ラジオにより実際に接敵する少し前に「やがてアイツらと戦わなければならない」ということが予告されるからである。
この予告は前もって敵の存在を示すため、本作ではほとんどジャンプスケア的な恐怖ではなく、事前に予告された、ストロークの長い恐怖を仕向けられることとなる。
ここで改めて注目したいのは、先ほど述べた戦闘における「意義のある苦しさ」である。
戦闘が苦しいという認識を持った上でマップを探索し、その最中にラジオからギャリギャリとしたノイズが再生される。この際ノイズは「今からお前を苦痛が襲う」ことをプレイヤーへ宣言する。
こういったプロセスにより、プレイヤーは少し先の未来への圧倒的な不安を感じるのだ。
つまり、本作ではシリーズを象徴するラジオの予告する機能と、フィジカルに体感する「戦闘の苦痛」が手を取り合うことで「不安」に基づく本作ならではの恐怖を立ち上げている。
前述のとおりラジオそのものは従来から存在する要素だ。とはいえ、肩越しの視点「ビハインドビュー」の導入により操作性の困難さが取り払われた上で、戦闘が本作に相応しい進化を遂げたからこそ、プレイヤーが感じられる不安と恐怖はより力強く、雄弁であると感じた。
ちなみに、過去のインタビューによると、本作の楽曲を手掛ける山岡晃氏はリメイク版において全曲を書き直している。
各楽曲における音色やミックスの質感がモダンな肌理細やかさを携えているのはもちろん、緊張感のある場面においてはかなりダークかつインダストリアルなテンションの楽曲が用意されていた。
山岡晃氏の楽曲やダークアンビエント、重厚なテクスチャの楽曲が好きな方はサウンドトラックも必見だ。緊迫したシーンで楽曲が再生された暁には、ラジオのノイズと共にジリジリとしたバイブスを堪能しよう。
さらに不安を掻き立てるのは、やはり深い霧と闇。現実でもクリアリングをしたくなるほど、プレイヤー自身に不安を入力する
前項では、戦闘を踏まえた圧倒的な不安こそが本作ならではの恐怖を形作っていると述べたが、戦闘やラジオ以外にも「プレイヤーの不安」を掻き立てる要素がある。
それはやはり、ラジオと同様に作品を象徴する「深く濃い霧と暗闇」だ。
リメイク版『SILENT HILL 2』は現代の技術を駆使した高精細なグラフィックスが採用されている。グラフィックスが綺麗になることで視界が鮮明になりすぎているかと思えば、断じてそんなことはない。
本作の舞台・サイレントヒルに立ち込める霧は、フォトリアルなグラフィックの美麗な印象を崩すことなく、しっかりと深く立ちこめて視界を妨げていた。
サイレントヒルはアメリカの田舎町であり、道路は広く野外マップは広い。しかしながら、わずかな距離しか先が見渡せない。だから、ラジオが鳴り響いて敵の存在を感知しても、直ぐには敵の位置が分からないし、執拗に周囲を警戒せざるを得ない。
「敵が来る」と分かっていても、その位置や数は直ぐに分からないことで、プレイヤーが感じる不安は一層強まるのだ。
これは、野外における夜の探索、そして屋内における暗闇においても同様の効果が発生していた。
一部をのぞいてオリジナル版の「サイレントヒル」のようにべったりとした暗黒が広がる訳では無いのだが、それでも室内の光源がなければラジオが鳴っても暫くは敵の位置が確認できないケースが多い。
光の表現が肌理細やかであるから、闇の中でも僅かな空間や物質のニュアンスは感じられる。その点「深く濃い霧」と同様に画面の美しさは維持されているが、しっかりと闇が掻き立てる不安と、物理的な見通しの悪さが感じられた。
作中では序盤に懐中電灯が入手できるが、それでも心許ない状況は多い。フォトリアルなグラフィックが演出する臨場感と共に、周囲の状況が把握しづらいことによる不安はバッチリと味わえるだろう。
そして、暗所や物陰に潜む四つ足のクリーチャー「マネキン」が潜んでいることがあり、ぜひこの要素にも触れておきたい。
というのも、物陰に潜むクリーチャーは基本的に「ラジオ」に反応しない特性を持っているのだ。そのため、ラジオが鳴っていないからといってヅカヅカフィールドを探索していると、後ろから奇襲を受けて窮地に陥ることもある。
この要素は少しプレイヤーをビックリさせてしまうかも知れないが、ことの本質はプレイヤーの驚きではない。
というのも、一度でも身を潜めたマネキンに襲われれば、あらゆる屋内のマップを警戒して歩くことになるからだ。つまり、探索中は一切安心することができないという、これまた強烈な不安を植え付けられるのである。
そして、本作はマップを開いている最中にも敵の攻撃を受ける仕様となっている。なので、オプションメニューを表示してしまうか、セーブポイントが存在する部屋にいる時以外は常に敵の襲撃に意識を向けざるを得ない。
マップを開いたところで何も安全は保障されないのだが、なんと筆者がマップを開いた回数は1306回。確かに焦ってマップを開きまくった覚えがある。作中の不気味な景色から一瞬でも目を背けたいという思いがあり、仕様上安全じゃないのに無理やり心を落ち着かせていた。
クリア後のカタルシスは、地図の確認回数があまりにも多すぎる事実に早々と過ぎ去ってしまった。
この仕様のせいでリメイク版『SILENT HILL 2』をプレイした日には外出時に見かける物陰や暗所へ意味もなく視線をおくり、曲がり角では少しクリアリングを意識してしまった。信じてもらえるか分からないが、ここに誇張は無い。
上記のとおり、本作の「不安を掻き立てる」仕様は大いにディスプレイを貫通し、私生活でもその効果を発揮するほど強力だ。
戦闘やラジオ、そして霧と暗闇、身を潜めたクリーチャー。それらが果たすプレイヤーへの効果により、とくに筆者のようなバリバリにチキンであんまりアクション得意じゃない勢は、作中のジェイムスの心境と疑似的に同期することができる。
遊ぶことで行動や精神の状態まで「主人公」にあわせて変容することには、フィクションとしての恐ろしさを超えて、凄みを感じる体験だった。
「同じことの繰り返し」ではないが‟彷徨っている感”に満ちた探索。ボリュームはあるが表情豊か
リメイク版『SILENT HILL 2』では戦闘システムやグラフィックのみならず、各マップの構造や謎解きの内容なども変化している。
筆者はとくにマップの構造が大きく変化することで、モダンなゲームプレイの中で、オリジナル版に見られたように探索を通じた表現を達成している点が魅力的に感じた。
本作における探索では、隈なくマップ内を歩き回って謎解きのヒントやアイテムを収集し、謎解きの答えや目的地への到達方法に迷いながらも、なんとかゲームの進行を目指すこととなる。
プレイヤーが悩みながらマップを彷徨う様が、苦痛を伴って妻を探し、真実と対峙していく主人公・ジェイムスの旅路に自然と重なる。だからこそ、探索がマップの踏破を目指す遊び以上の意味を獲得する。
記事の冒頭で述べたとおり、これをオリジナル版ほど「探索そのものの冗長さ」を感じさせずに達成しているのだ。
ここからは、探索の進化したポイントを紹介していこう。
まず、注目したいのは、マップ内に身を屈めて侵入したり、踏み台を使って高所の窓などから侵入したり、はたまた近接武器で破壊して通り抜ける通路が登場。さらに、部屋によってはベランダを通じて移動しなければ侵入できないものもある。
上記の新要素があることで探索に変化が生まれるし、「鍵を手に入れる」ことに留まらず、目的の部屋に足を踏み入れる方法を考える「謎解き」的な楽しさも生じる。
くわえて、屋外ではオリジナル版では侵入できなかった施設が追加。さらに、大幅に謎解きを含むギミックが追加されることに伴い、謎解き用のギミックやアイテム、ヒントがさまざまな部屋に用意されている。
作中に登場する施設はアパートや病院、ホテルといった同形状の部屋が連続する建築物が多いが「戦うためのアイテムがただ置いてある」だけじゃない特色のある部屋が増加し、探索のメリハリがかなり強化されている印象だ。
また、少し話は逸れるかもしれないが、各種ボスと戦う空間もオリジナル版は真四角の空間が多い印象だったが、本作では各ロケーションの特色も豊かになっている。
このほかに、一時的に多数の敵が出現し襲い来る場面や、オリジナル版にはなかった逃走パートなども用意されていた。
探索のボリューム自体は増えていると感じたし、確かに悩み彷徨うこともしばしばある。
しかし、上記のように「飽きさせ無いための多角的なブラッシュアップ」が実施されることで、探索においてもクラシックなサバイバルホラーゲームらしい硬派なスタイルを継承しつつ、昨今のゲームに慣れ親しんだプレイヤーも楽しみやすいマップに変化していると筆者は感じた。
ちなみに、筆者の知性が充分でない可能性は多分にあるものの、本作の一部の謎解き要素はノーマルでも非常に歯ごたえがある。そして、オリジナル版には存在しないギミックがあるほか、近しいギミックの謎解きも内容が変更されている。
普段は15分ほど悩んで分からなかったら攻略サイトを見てしまうが、発売前のゲームであるが故に攻略サイトは見れない。
そういった事情からダイヤル錠型の謎解きはふたつほどパワープレイで突破したし、とある謎解きはプレイ時間としては3〜4時間ほど再度探索をしてヒントを探し、それでも答えがわからず実時間にして数日をかけて解決したこともあった。
パズルの難度は途中で変更できないため、イキってパズルの難度をノーマルに設定した己を呪わざるを得ない。【※】ことパズルの難度設定に関しては、慎重に選んでも良いかもしれない……。
※当然だが、発売後には攻略サイト等の情報は充実しているだろう。必要に応じて調べものをすれば、楽しく本作をプレイできるはずだ。
本項で紹介したように、リメイク版『SILENT HILL 2』の探索および謎解き要素はかなり遊び易く、飽きないような仕様になっている。同時に、自然と悩んだり、彷徨ったりさせられる難しさも携えている。
厳しい戦闘だけでなく、時に敵が跋扈する空間を徘徊しながら、謎の答えを導き出すことも苦しい行為だ。
しかし、プレイヤーが行く手を阻む謎を解くことと、ジェイムスが隠された真実に近付いていくこと。そのふたつが同期することにも、主人公の心情とプレイヤーに起きる現象のシンクロを見出すことができるだろう。
よりいきいきと表現されたキャラクターたち。新エンドもあるらしい
終盤に手に入る強力な武器・狩猟用ライフルを取り忘れて悶絶したり、背中の筋肉をコンクリートのように硬直させたりしながら、ひとまず1周クリアすることができた。
ひとつの結末を見届けてゲームを振り返った時に、戦闘や探索のほか、やはり品質の高いイベントシーンも印象深い。
本作では基本的にジェイムスの物語が綴られるが、人々が消え失せたサイレントヒルの中で数人のキャラクターたちと出会う。
登場キャラクターはジェイムスやその妻に関係する者のほか、ジェイムスと同じく何処か虚ろな過去を持ちあわせている人物たちだ。
当然ながら本作では現代の技術を活かしたフォトリアル調のイベントシーンが設けられており、担当声優の演技も、キャラクターの表情といったアニメーションも実に生々しい。
とくにマリアやローラ以外のキャラクターとはゲーム内の要所要所で出会うのみだ。それでも彼らが苦悩し、時に怒りを露にする場面には、キャラクターの自立した意思を思わせる息遣いがうかがえた。
つまるところイベントシーンも飛ばさずに、自然に見てしまうような魅力がある。だから、ゴリゴリに恐怖や苦痛を味わいながらも作中で描かれるストーリーは強くプレイヤーに刻まれることとなるだろう。
なお、筆者が体験した物語は、オリジナル版にも存在するエンディングであった。すでに発表されているとおりに、随所に演出等の差異はあっても、物語の大きな構造などは同一だ。
いっぽう、クリア後のリザルト画面を見れば、エンディングの数は合計で8個存在することが分かった。かつてのエンディング数は6種類であったため、単純計算でリメイク版には新たな解釈により追加された2種のエンディングがあるようだ。
また、クリア後にはオリジナル版と同じく2周目以降にしかたどり付けないエンディングに到達可能となり、独自のグラフィックモードも解放。
独自のグラフィックモードはピクセレイトというモードで、画面が低解像度になって「オリジナル版の画質」を彷彿とさせるビジュアルでゲームをプレイすることが可能だ。
本作は、再構築された戦闘とより凶悪な音声、深い霧と闇、拡張された探索と謎解きなどによりプレイヤーとジェイムスを紐づけた。
それを踏まえて、美麗なムービーシーンにより悲痛な物語を綴り、まるでプレイヤー自身の物語であるかのように投げかける。
それらが欠落することなく存在しているからこそ、ホラーゲームが苦手な筆者も、自らが感じた苦痛、不安、恐怖といったストレスに意味を見出すことができたと思う。
作品が掲げるテーマやコンセプトがあり、それを達成するために必要な要素たちが集結する。この洗練された作品の構造こそが、説得力の正体ではないだろうか。
そして、本作はブラッシュアップされた仕様により現代のプレイヤーも受け入れる。そして、謎解きの内容やマップの構造などが大幅に刷新されることで、オリジナル版のファンも再び新鮮に楽しめるような懐を兼ね備えている。
特に筆者のようにホラージャンルの表現に関心がありつつ、ホラー表現が苦手な方がいらっしゃれば、少しだけ勇気を出してサイレントヒルに訪れてみてはいかがだろうか。
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