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ヨコオタロウ氏が原作・脚本の舞台『爆剣~帝国幻想兵団』はまったく予想できない「歴史モノ」。魔界とも繋がりがあり強い魔力を操る「織田信長」と剣豪たちが大正時代に召喚され、思わぬ事態を招く

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『ドラッグオンドラグーン』シリーズのディレクターや『ニーア オートマタ』のディレクター・シナリオを担当したことでも知られる、ゲームクリエイターのヨコオタロウ氏が原作と脚本を担当した舞台『爆剣~帝国幻想兵団』が、12月19日から23日まで全9公演が東京・渋谷にあるCBGKシブゲキ!!で開催される。

『爆剣~帝国幻想兵団』ゲネプロレポート:魔界とも繋がりがあり強い魔力を操る「織田信長」などがド派手なアクションを繰り広げる_001

本作の舞台となるのは大正時代。西欧列強に囲まれた日本の未来を案じた帝国陸軍少佐の秋山好古が、著名な戦国時代の剣士達を現代に召喚して暗殺部隊を編成することを企てたものの、それが思わぬ結果を招くというのが大まかなストーリーとなっている。

『爆剣』シリーズとしては、過去に『爆剣~幕府御前試合~』『爆剣~東京転生死合~』『爆剣~東京転生死合・再戦~』『爆劔~源平最終決戦~』と公演が行われており、今回の『爆剣~帝国幻想兵団』は作品としては4本目となる。ちなみに演出は、これまでの『爆剣』シリーズと同様に松多壱岱氏が手掛けている。

公演の開催に先駆けて前日に開催されたゲネプロの様子をお届けする。

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『爆剣』というタイトルにもあるように、剣や銃を使用した派手なアクションも見どころのひとつだ。

文・取材/高島おしゃむ
編集/anymo


魔界とも繋がりがあり、強い魔力を操る「織田信長」。魅力的なキャラクターたちと予想もつかない世界が広がる

舞台は、歌舞伎などでよく見るツケ打ちの音と共に開幕。そこに現れたのが、本作の主要人物のひとりである雛形羽衣さん演じるナツメだ。物語が始まる前に、彼女が語り部として現れ観客をいじりつつも、過去に起きた出来事を話し出す。本作の舞台となるのは明治時代だが、ここで語られるのは戦国時代の出来事だ。

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冒頭で語り部的な役割で登場する、雛形羽衣さん演じるナツメ。キャラクターとしてはムードメーカー的な存在だ。

その時代に絶大な力を誇っていた人物が、戦国を代表する武将の織田信長(鵜飼主水さん)だ。信長は武将としての強さを持っているだけではなく、魔界とも繋がりがあり強い魔力を操ることができる。そこで、ナツメたちは東郷重位(門野翔さん)平賀源内(佐藤智広さん)、佐々木小次郎の母である佐々木セツ(舞川みやこさん)小野善鬼(黒木文貴さん)といった名だたる剣豪たちを集めて、織田信長を倒すために立ち上がったのである。

このとき、ひとりひとりのキャラクターがナツメによって紹介されていく。このときに、最初は白いお面を付けた状態で現れるというミステリアスな演出が印象的であった。

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プロジェクターでキャラクターの名前や特徴などが紹介されていくため、非常にわかりやすい。

先ほども少し触れたが、この作品自体はシリーズとしては4作目にあたる。筆者はこれまでのシリーズは未見であるものの、それでも単体の作品として楽しめるような作りになっていた。なお、ニコニコ動画で過去作の映像が見られる配信サービスも行われているので、本作から観劇予定の方はそちらをチェックするのもオススメだ。

この後、物語は帝国陸軍少佐・秋山好古(須賀京介さん)が過去の剣士の中から超大物の織田信長を召喚することに成功。本来はひとりだけ召喚するはずだったのだが……なぜか一緒に東郷重位、平賀源内、佐々木セツ、小野善鬼の4人も一緒に召喚されてしまい、ここから物語が大きく動き出していくことになる。

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物語のキーマンであり、すべてのきっかけを作った男の秋山好古。演じるのは須賀京介さんだ。
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織田信長を演じた鵜飼主水さん。悪役ではあるが非常に魅力的なキャラクターとなっていた。
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門野翔さん演じる東郷重位。時代に馴染むことができない、昔ながらの剣士といったキャラクターだ。
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佐藤智広さん演じる平賀源内は、頭の良さからすぐに新しい世界にも馴染んでいた。
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舞川みやこさんが演じた佐々木セツは、宮本武蔵と対決したことでも知られる佐々木小次郎の母親という設定だ。キャラクター自体も謎だが、かなりパリピな性格の持ち主である。
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黒木文貴さんが演じたのは、一刀流の剣豪として知られる伊東一刀斎の弟子である小野善鬼だ。

ここでナツメと一緒に彼らを救い出しに来たのが、本作の主人公である雑賀孫市(本西彩希帆さん)だ。孫市がその場に残って彼らを救い出したのだが、昔共に戦ったはずの剣豪達はなぜか記憶が曖昧な状態に。これには大きな秘密が隠されていたことが、後々明らかになっていく。

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本作の主役である本西彩希帆さん演じる雑賀孫市。基本的に笑顔は見せずにクールな表情をしていることが多いキャラクターだ。

物語の途中から、さらに加わるのが千葉瑞己さん演じる源頼朝鶴見萌さん演じる天草四郎だ。このふたりはどちらも見た目は大人なものの、中身は子どもっぽいところがあるという印象で、物語の中でも存在感を放っていた。

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源頼朝を演じた千葉瑞己さん。子どものような無邪気さと残虐性を兼ね備えたキャラクターだ。
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天草四郎を演じたのは、鶴見萌さん。源頼朝同様に、子どものような性格のキャラクターとなっていた。

プロジェクターやレーザーライトを使った演出で次々と場面が転換していく、圧倒の演出

今回のゲネプロで印象的だったのが、舞台上という限られた空間のなかで様々なシーンが展開されていくことだ。観客を圧倒するこの演出を実現していたのが、プロジェクターやレーザーライトだ。

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ステージのセットに様々な映像を投影することで、カフェのような場面にもなれば明治時代の町中のシーンにも切り替わる。はたまた、軍の施設にも切り変わるなど、新たな場面が次から次へと展開されていく。

映画やドラマなどでは編集で場面が切り替わっていくように、目の前で繰り広げられている生の劇でも次々とシーンが切り替わりながらテンポ良く進んでいくことに驚いた。

なお、本作は前半と後半に分かれている。間に10分程休憩が挟まり、概ね3時間半ほどの長丁場であった。先がまったく読めないストーリーに加えて、シーンの切り替えも含めてスピード感のある演出のおかげもあり、あっという間に時間が過ぎ去っていった。

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蜘蛛の巣のような技で敵の動きを食い止めるといった演出も、このように舞台ならではの仕掛けが施されていた。
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レーザーライトの視覚効果をうまく利用して、シールドのようなものや何かを隔てる壁のようなものを表現するといったシーンもあった。

また、その演出をさらに際立たせているのが、役者陣だ。容姿はもちろんのこと、声が演じるキャラクターにマッチしており、キャラクターに感情移入して物語に没入することができた。

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物語全体としては徐々にシリアスな展開となっていくのだが、ときおりコミカルな場面が織り交ぜられており、緩急で物語にのめり込んでいく。

特に笑ってしまったのは、キャラクターたちが「カレーとアジの骨」を食べるシーンだ。これは『爆剣』1回目からのおなじみで、演者がアドリブで演技とリアクションを行うグルメコーナーとなっているとのこと。このことを知ったのは終演後だったものの、何も知らなくて見てもリアクションが妙に生々しく愉快な場面になっていた。

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アポロチョコがそのままの形で入ったカレーを出演者たちが食べるシーン。まるで、バラエティ番組でも見ているかのようなリアクションが面白かった。

筆者はこれまでミュージカルなどは観たことはあったものの、こうした物語を描いた舞台を鑑賞したのはこれが初めての体験であった。役者陣のひとりひとりの表情も迫力満点で、完全にそのキャラクターになりきって演じているのを生で体感することができた。

個人的にお気に入りのキャラクターは鵜飼主水さんが演じた織田信長だったが、どのキャラクターも個性派揃いとなっているので、観るたびにお気に入りのキャラクターが増えていきそうだ。

『爆剣~帝国幻想兵団』は12月23日までCBGKシブゲキ!!で上演中。ぜひ、ヨコオタロウ氏の脚本と俳優陣の演技、演出などすべてをひっくるめた「生」ならではの体験をしてほしい。

ライター
ライター/編集者。コンピューターホビー雑誌「ログイン」の編集者を経て、1999年よりフリーに。 現在はゲームやホビー、IT、XR系のメディアを中心に、イベント取材やインタビュー、レビュー、コラム記事などを執筆しています。
編集者
3D酔いに全敗の神奈川生まれ99’s。好きなゲームは『ベヨネッタ』『ロリポップチェーンソー』『RUINER』。好きな酔い止めはアネロンニスキャップとNAVAMET。
Twitter:@d0ntcry4nym0re

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