オープンベータテストでもおなじみの「バーラハーラ」、「チャタカブラ」、「レ・ダウ」
最後に紹介するのは広大な砂漠が広がる「隔ての砂原」だ。オープンベータテストではおなじみ、すでに多くのユーザーが訪れているであろうフィールドで、製品版でも最初に訪れる場所となる。
「荒廃期」では視界をさえぎるほどの砂塵が舞い、「異常気象」の際には雷鳴が轟く危険地帯と化す。また、「異常気象」の時にしか出現しないような、特別なモンスターも生息している。
製品版にて、「隔ての砂原」に登場する主なモンスターはドリルのような風貌をした「沙海竜(さかいりゅう)バーラハーラ」、分厚い舌を持つ「纏蛙(まといがえる)チャタカブラ」、鶏のようなトサカを持ち、発火性の物質を撒く「炎尾竜(えんびりゅう)ケマトリス」。
(画像は【公式】モンスターハンターワイルズ(@MH_Wilds)より)
そして、「異常気象」の際に登場する「煌雷竜(こうらいりゅう)レ・ダウ」だ。レ・ダウは頭部の双角から強力な放電ビームを放ってくる。しかもその威力は、防具がかたまっていないハンターを一撃で屠るレベルの激烈さだ。
「ゲリョスの騙し芸」「イャンクック先生」「ドドブランゴ」……“モンハン同窓会” 開催ッ
さて、ここまで一気に製品版に登場するモンスターをおさらいしてきた。しかし、本作にはまだまだモンスターが登場する。たとえば、過去作に登場していたモンスターだ。
その代表例がゲリョス。先述したババコンガやネルスキュラと同じく『モンハンダブルクロス』以来、約8年ぶりの復活である。オープンベータテストでは特別にゲリョスと戦えることとなり、多くのユーザーを賑わせた。
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PS2に向けて発売された初代『モンスターハンター』より登場していたゲリョスは、全身がゴム質の皮膚に覆われており打撃に対する耐性があるモンスター。
狂ったように走りながら毒液をまき散らし、トサカから閃光を放ち、ハンターの視界を一時的に封じるトリッキーな戦法を得意としている。
また、ピンチのときにはわざと「死んだふり」をして、「死体からは素材を剥ぎ取るもの」と考えているハンターの習性を利用して奇襲をかけるといったトリッキーな戦法を得意とする狡猾な生物でもある。
腹立たしい戦法のはずなのに、なぜか憎めない。そして、
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お前も寝方が独特なんだね……。
直立して寝るんだ。でもなんだか気持ちよさそう。
2024年9月には、「TGS2024 カプコンオンラインプログラム」の番組内にて、『モンハンワイルズ』に「怪鳥(かいちょう)イャンクック」が復活することが発表され、多くのユーザーが賑わった。
それもそのはず、イャンクックはPSPに向けて発売された『モンスターハンター ポータブル 2nd G』以前のタイトルでは最初に戦うことになる大型のモンスターだ。
過去作をプレイしたユーザーからは、「イャンクック先生」や「クック先生」と呼ばれ、親しまれている。なぜなら戦い方のイロハを叩き込んでくれるという意味で、文字どおり「先生」的な存在だからである。
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補足しておくと、初代『モンハン』は現代と比較するとかなりマゾいゲームだった。ろくに武器も作れない序盤は「大猪 ドスファンゴ」を討伐するにも軽く40分はかかっていたし、卵を運ぶクエストは道中ランゴスタ(羽虫)の妨害が多すぎて、もはや苦行とも言える状況だった。
また、初代『モンハン』に登場する大型モンスターの攻撃はまさしく “必殺の一撃” で、自分が「ああ、ただの人間なんだな」と実感できるシビアさも特徴だ。
地道に一歩ずつモンスターを倒して素材を集め、武具を強化する。たまに貴重な素材が出てくるモンスターのフンを漁り、草食竜を倒して肉を確保し、こんがり肉を焼く。なぜか「上手に焼けました~!」と謎の効果音が鳴る。そういうゲームだった。
そんな日々を送り、なんとか先に進んで最初に戦う大型モンスターが「イャンクック」なのだ。ハンターにとって大切な立ち回りを教えてくれる、先生にまた会える。
そのほかにも、数々の懐かしいモンスターが『モンハンワイルズ』に登場することが約束されている。
(画像は【公式】モンスターハンターワイルズ(@MH_Wilds)より)
巨体から放たれる熱光線グラビームを放つことで有名な「鎧竜(がいりゅう)グラビモス」、厨二病の化身と言っても過言ではない「黒蝕竜(こくしょくりゅう)ゴア・マガラ」も復活する。さらに、2025年春の無料アップデートでは「泡狐竜(ほうこりゅう)タマミツネ」も実装される予定だ。
極めつけには、なんと「雪獅子(ゆきじし)ドドブランゴ」の復活までもが『モンハンワイルズ』のテレビCM「止まらない狩りの熱狂」篇にて確認できた。何度も言うが、懐かしすぎだろ!!
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また、2023年12月に公開されたアナウンストレーラーでは、『モンハン』シリーズではおなじみの象徴的なモンスター「火竜 リオレウス」らしきうしろ姿も確認されている。
やはりリオレウス。言葉にすると不思議だが、こいつが居ると、『モンハン』が『モンハン』として成立する。それくらい、リオレウスはシリーズの常連だ。
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しかし、胴体のあちこちが光る「見たことのない姿のリオレウス」も公式Xにて明かされている。姿かたちはリオレウスによく似ているが、なにがどうなって光っているのだろうか?
そしてリオレウスの相方として知られている「雌火竜 リオレイア」は本作でもサマーソルトを見せてくれるのか?
これで主賓も揃ったと言えるだろう。過去作プレイヤーにとっても、この『モンハン』同窓会はトップクラスに盛り上がりそうだ。
ハンターが使用できる「14種の武器」と明言されていた調整について
さて、ここまでは『モンハンワイルズ』に登場するモンスターの事前情報をおさらいしたが、ここからはハンターが扱える武器をおさらいしよう。序盤ではプレイヤーが14種類の武器から自分の使用するエモノを選ぶことができる。
大剣:『モンハン』を象徴する圧倒的火力を誇る武器
片手剣:軽快な動きで安全に立ち回れる万能武器
ハンマー:高い火力と、モンスターを昏倒させることに特化した打撃武器
ランス:強力な突撃と堅牢な防御力を誇る
ガンランス:ここぞというときにキメる必殺技「竜撃砲」はロマンの塊
スラッシュアックス:斧と剣モードを切り替え、圧縮解放で高い瞬間火力を叩き出す
操虫棍:その場で飛翔しながら戦い、虫をも操る立体機動アタッカー
太刀:「集中モード」で弱点を破壊し、ゲージが溜まれば無双の攻撃を繰り出せる
双剣:ゼロ距離から連続攻撃を叩き込む「乱舞」が特徴的な人気武器
狩猟笛:演奏で味方の補助行動もとれる、パーティにひとりはいてほしい存在
チャージアックス:剣と盾・斧モードを切り替え「属性解放斬り」を必殺技とする合体武器
ライトボウガン:スピーディに立ち回り、射撃で戦う
ヘビィボウガン:ガトリングも放てる重量級の高火力遠距離武器
弓:さまざまなビンを使いこなし戦場を駆るハンターらしい武器
本作ではメイン武器とサブ武器の2種類の武器をフィールドに持ち込むことが可能となり、任意のタイミングで切り替えられるようになった。
ちなみに、筆者は初代『モンハン』からずっと生粋のハンマー使いで、『モンスターハンターポータブル 2nd G』を合計6000時間プレイした際にもほぼハンマーしか使わなかったうえ、ギルドカードのあだ名も「ハンマー×ハンマー」にしていた変態なのだが、『モンハンワイルズ』のハンマーは、これまでのタイトルと比較してもやれることが多い。
……というよりこれはすべての武器において言えることなのだが、本作では、新要素「集中モード」のおかげで、いままでできなかったことがたくさんできる。
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新要素「集中モード」は、任意のタイミングでボタンを推すことで三人称視点のシューティングゲームのような視点に切り替わり、攻撃の狙いを定められるモードだ。
この集中モード中は、モンスターの部位が傷ついている場合は赤く光る「傷」となり、「集中弱点攻撃」を繰り出せばモンスターに大ダメージを与えつつ、ひるませることができる。これがもう、めちゃくちゃ強い。
過去作と同じように、本作でもジャンプ攻撃を繰り出すことでモンスターの背中に一時的に乗ることができるが、狩猟ナイフでモンスターの背面を移動しながら「傷」を増やすこともできる。乗ったらなるべく多くの「傷」を作ってフィニッシュ攻撃に移るといいだろう。
「自由に狙いを定めつつ、移動しながら溜められること」が可能になったハンマーは集中モードの恩恵が大きいように感じた。
過去作では3段階の溜め攻撃や坂を使った攻撃などが強力だったが、本作では “溜め3” のさらにその向こう側である「渾身溜め」も実装されている。
これは、あたりどころが悪くても威力が出る大技のため、率先的に使ってそのまま回転アッパーコンボを決めていきたいところ。
ついでに言うと、本作は太刀も非常に強い印象を受けた。もともとの当たり判定が大きいこともあり、複数の「傷」を作って「集中弱点攻撃」さえ決めれば、ゲージが溜まり無双の攻撃力を誇る。
また、大剣、ハンマー、狩猟笛、スラッシュアックス、ヘビィボウガンなどの武器種で発生させられる「相殺」も外せない。これは、モンスターが攻撃してくる瞬間に特定のアクションを繰り出すことで、モンスターをのけぞらせることのできる要素だ。
さらに、ガードができる武器は、モンスターの攻撃を防御した際に「鍔迫り合い」も発生するようになった。ガード可能な武器の使い手は「ここは俺が抑える!先に行け!」という迫真のシーンを演じられる。
さて、すべての武器をくまなく説明していたらこの記事は想像を絶するほど大変な長さになってしまうので、つぎはオープンベータテスト版から製品版で「違いが出る」と言われていた片手剣、操虫棍、スラッシュアックス、ランスの変更点を見ていきたい。
片手剣には「斬り上げ」に派生攻撃が追加されており、「集中モード」で移動しながらの攻撃もスムーズになるよう調整されているようだ。片手剣は「集中モード」を用いることで、ほかの武器と比較してもかなり安全に立ち回りながらダメージを与えられる武器で「弱点集中攻撃」からの上下派生コンボも強力な技となっている。
操虫棍の大きな変更点としては、その場でジャンプする跳躍→攻撃から繋げられるジャンプ技「舞踏跳躍」が追加された。この技を空中コンボに挟むことで、追加で空中攻撃を繰り出したり、回避を行えるというわけだ。
スラッシュアックスは、連続して攻撃を繰り出す「螺旋充填切り」を用いたゲージ充填率が高くなるよう調整されており、コンボが発動させやすいようになったほか、必殺技「圧縮開放斬り」はのけぞりが無効となっているようだ。
ランスは、攻撃を溜めている間にも防御が可能となり、モンスターの攻撃を防御すると同時にカウンターを打ち込むことができるようになったほか、派生攻撃も追加された。
また、上記にくわえ2月22日に配信されたプレイステーション公式番組「PLAY! PLAY! PLAY!」では新たな武器要素も発表されている。
「フックスリンガー」やハンターの必需品である「便利グッズ」もおさらい
続いて、ハンターの必需品である数々の「便利グッズ」と、『モンスターハンターワールド』から続投した「フックスリンガー」を紹介する。
「フックスリンガー」は、移動中でも周囲のアイテムや素材を採取可能で、高所にあるポイントにひっかけることで移動したり、収拾物を弾として飛ばしたり、落石を誘発させてモンスターを攻撃するといったさまざまな使い道のある便利アイテムだ。
ハンターが狩猟に持っていける道具は、「回復薬」やドリンク類などの消費アイテム以外にも複数ある。
その場で料理ができる「携帯焚き火台」、水辺で魚釣りを楽しめる「釣り竿」、武器の切れ味を整える「砥石」、遠方を観察できる「双眼鏡」、小型生物を捕獲できる「捕獲用ネット」、遠くから小ダメージを与える「投げナイフ」、モンスターに目印をつける「スリンガーペイント弾」、特定の場所で簡易キャンプを設置できる「キャンプ設営キット」、身に纏うとモンスターに見つかり辛くなる「隠れ身の装衣」などだ。
キャンプ、焚き火、こんがり肉。ハンターの暮らしを紹介
ふぅ……。
怒涛の新モンスター、同窓会、新アクションの数々。ちょっと興奮しすぎて疲れちゃった。ということで、ここで休憩タイム。戦闘以外の「ハンターの生活」に焦点を当ててみよう。
本作では、フィールドの各地に「簡易キャンプ」を設営することができる。そこに、焚き火や焼き肉台、ランタンなども飾りつけられるほか、フィールドごとにテントの色なども変更できる。そのほかにも、ハンターが登場する生きもの「セクレト」のカラーも細部まで変更可能だ。
お気に入りのテントをつくって、パーティメンバーとゆったり過ごすこともできてしまう。
また、ソロプレイでも本作の「受付嬢」的存在である編纂者「アルマ」がついてきてくれるので、あんまり寂しくない。
食材を選択して、お肉のチーズのせをフライパンで焼いて……
飲んで、食う!
キャンプ飯って最高だよな……(カプコンの手がける作品はごはんの描写がどんどん進化している気がする)。
巨大な肉を直火でぐるぐる回しながら焼いていた時代とは違い、ちょっぴりリッチな「キャンプ飯」生活を堪能してみよう。
腹が満ちたら、またのんびりする……至福!
すると、近くにケマトリスが現れる。いきなりこちらを攻撃するわけでもなく、キョロキョロとあたりを見渡し、見慣れぬキャンプが気になっている模様。「へぇ~、かわいいところもあるじゃん」と眺めていたら、
ズン
ズン
グシャア……
テントをつぶされてしまいました。優雅なキャンプ生活はこれにて終了です。
その後、オアシス近辺に拠点を移してしばらく採取をして過ごしていると、今度は水辺にチャタカブラが現れる。こちらに気づいているのか、いないのか……。
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なるべく刺激しないように隠れながら双眼鏡で覗いてみると、かなりリラックスしている様子が確認できた。恍惚とした表情で水浴びをするチャタカブラ。ちょっとかわいい。砂漠に生息するモンスターの中でも、意外とキレイ好きなのかもしれない。
本作は「フォトモード」を用いた縮小+拡大機能付きの写真撮影も可能。ソロプレイ時には、一時停止機能も使える便利機能だ。せっかくなので、このチャタカブラを撮影してみようと思う。
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!?
本来、戦うべき武器を持っているハンターがカメラを構えてしまっている場合ってアルマさんが戦うの?
ベロォッ……!!!
デュルンッ!!!
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ズン……ズン……
なぜかアルマの後頭部をベロンとひと舐めしたチャタカブラは、満足したのか、その場からゆっくりと去っていった。ここに、チャタカブラは「アルマの後頭部が好き(?)」という生態があったことを記録しておこう。
ちなみに、オアシスのキャンプも丁寧に破壊されていました。
なお、本作は上記のようにモンスターの生態を細かく描写している作品でもある。電ファミでは「ドシャグマ」のウンチのみを掘り下げた特化型の記事も公開しているので、本作においての「モンスターのフン」が気になった方は、ぜひこちらも目を通してみてほしい。
一期一会も楽しめる、“絶品”なマルチプレイ
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さて、『モンハン』といえばやはりマルチプレイ。本作のマルチプレイはこれまでとは異なり、ハンターIDを教えてもらって「リンクパーティ」に誘い、次に「環境リンク」に参加してもらうと、同じ環境・フィールドで遊ぶことができるようになる仕組みだ。
一例として、「私の環境、いま異常気象だからレ・ダウ出るよ」「じゃあそっち行くわ~」というプレイが可能になっている。
また、クエストボードから既に開始されているクエストや、助けを求めているハンターの出す「救難信号」クエストなどにもサクッと参加できる。試しにほかのハンターの狩猟に参加してみた結果、自慢の装備をポーズと共に披露してくれた。
なお、クエスト中に「救難信号」を出せばほかのハンターの助けを呼ぶことができるが、万が一誰も参加しなかった際はNPCの「サポートハンター」が参加して狩猟を手伝ってくれるソロプレイヤーにも優しいシステムが実装されている。
“『モンハンワイルズ』やりますか?”
ゲーマーであれば、このように声をかけられる人も少なくはないだろう。筆者は、誰かにそう声をかけたくなる気持ちがわかる。相手が『モンハン』好きであれば、なおさら「ひと狩り行こうぜ!」と言いたくなるはずだ。
このたび製品版をプレイして、「神ゲー」と言えるタイトルに久しぶりに出会えたと感じた。
筆者は2004年に発売された初代『モンハン』をプレイして、はじめて降り立ったフィールド「森丘」の “向こう側の景色” に憧れていた。あのとき、焦がれた景色が『モンハンワイルズ』にはある。
シームレスに続く景色、移り変わる環境、そこに息づくモンスターたちの生態系。「いつか、こういう『モンハン』が遊びたい」と思う、ロマン……。それが、『モンハンワイルズ』では実現されている。
あらためて言おう。
ついに、俺たちが望む最高の『モンハン』が出る。