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推しに殴られたいヤツ全員集合。人気ヤンキー漫画の新作ゲーム『ウィンヒロ』は、原作愛が強すぎてアブない(最高)。危険な推し・蘇枋隼飛(すおう はやと)の拳で、大人の階段上ろうか

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「殴られたかのような衝撃」。実際に殴られているわけではありませんが、それくらい大きな心理的ショックを受けたことを表す比喩表現です。オタク文化の文脈では時折「推しキャラの新たな情報が供給された」といった場合に、驚きを表すスラングとして「殴られた」と表現する人もいますよね。

そんな中、今回紹介する『WIND BREAKER 不良たちの英雄譚(以下、ウィンヒロ)』で、筆者は「推しキャラに必殺技演出で殴られる(物理)」という体験をしました。

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▲詳細は後述するが、推しとは「蘇枋 隼飛(すおう はやと)」くんのことである。

本作『ウィンヒロ』は、講談社の漫画アプリ「マガジンポケット」で連載中のヤンキー漫画『WIND BREAKER』のゲームアプリ。3月12日にリリースされ、アニメ版のSeason 2も2025年4月から放送予定の人気作です。

簡単にあらすじを説明すると、主人公の「桜 遥(さくら はるか)」は高校1年生。ケンカが強い一匹狼で、めちゃめちゃ治安の悪い街にある超不良高校「風鈴高校」に入学し、「ケンカでてっぺんを取る」ことを目指しています。

ところが「風鈴高校」は2年前、とある人物により学内の派閥が全て統一。それから「風鈴高校」は、街の人たちから「ボウフウリン」と呼ばれる自警団のような存在として、街の治安を守るような役目を果たすようになっていました。

肩透かしを食らったような形の桜でしたが、そこから学校の仲間たちと協力し、街の平和を脅かす存在たちと戦っていく……というのが大まかな物語です。

訳知り顔であらすじを紹介しましたが、なんと筆者は今回の記事を書くまで原作は未履修でした。

今回『ウィンヒロ』の先行体験をさせていただくにあたって、「どんな作品なんだろう?」と興味がわき、事前に原作を読んでみることにしたのです。

すると、ヤンキー漫画ではありつつも、街の平和を守るヒーローもののようなテイストだったり、爽やかな友情物語が楽しめる作風が好みで、ちょっと試し読みのつもりが、気づけば最新巻まで購入してしまったんです。

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そんなわけで、原作にどっぷりハマった状態で、『ウィンヒロ』の試遊に望むことになったのですが……。

本作、原作への解像度がかなり高い!

丁寧に作られた3Dモーションはそれぞれのキャラの個性がきちんと表現されていますし、ゲームシステムの端々にも原作の世界観が融合されていて、リスペクトを持って制作されたゲームだと感じました。

今回はそんな『ウィンヒロ』の先行プレイの模様をお伝えします。

冒頭にも述べましたが、筆者は推しキャラから「必殺技演出で殴られる(物理)」体験をすることになりました。

文/なからい
編集/りつこ


躍動する3Dモデルのキャラクターたち。推しキャラの必殺技演出にぶん殴られた

筆者の目にまず留まったのは、ゲーム版ならではの3D化されたキャラクターたち。個性豊かな不良少年たちが次々と登場する(そしてみんな顔が良い)のが本作の魅力のひとつですが、3Dでグリグリ動くキャラを眺められるのは、ゲーム版ならではの良さだと感じました。

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中でも素敵なのが、戦闘中のキャラクターのモーション。それぞれのキャラの戦い方の特徴を捉えていて、かなり「解釈一致」な動きをしてくれます。

たとえば、主人公の桜は、アクロバティックで荒々しい蹴り技が多め。ケンカが苦手なデータキャラの「楡井 秋彦(にれい あきひこ)」はパンチに全く腰が入っていない「へっぴり腰」なモーションになっています。

他にも掌底による打撃メインで戦う「桐生 三輝(きりゅう みつき)」の華麗なアクションとか、怪力キャラの「杉下 京太郎(すぎした きょうたろう)」の絶妙に猫背な立ち姿とか……。

挙げればキリがありませんが、原作を知らない方であっても、なんとなく戦闘スタイルや見た目から「こんな感じのキャラかな?」と想像できそうな出来に仕上がっているんです。

中でも感動したのが、筆者の推しキャラでもある「蘇枋 隼飛(すおう はやと)」の必殺技演出。

見た目からして眼帯+ピアスというなかなかミステリアスな装いの蘇枋くんですが、普段は温和で仲間想いな一方、ひとたびキレると容赦のない戦い方をし、相手の心を折って屈服させるサディスティックな一面も持ち合わせています。

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▲初登場時からなんともうさん臭い蘇枋くん。でも、それがいい。

そんな彼の必殺技演出はなんと「殴られる敵の主観視点になって、連続攻撃を浴びせられた上で地面に叩きつけられる」というもの。

「主観視点で推しキャラにぶん殴られる」という、なかなか聞いたことのない実績が解除されてしまいました。

天を仰いだ視界に微笑み顔の蘇枋くんがカットインしてくるという締めには、温和さの裏に隠れた容赦のなさという彼の二面性が端的に感じられます。「この演出を考えた人、わかってるな~~」と感じました。

随所に盛り込まれた「原作リスペクト」なゲームシステム

ここからはもう少し、具体的なゲームシステムについても紹介しましょう。

本作は、手軽なオートバトルで原作ストーリーを追体験できるのが特徴的ですが、ゲーム化するにあたってそのシステムの随所に原作の世界観やエッセンスが盛り込まれています。そうした細やかな再現要素からも、原作に対するリスペクトを感じるんです。

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▲ちなみに『ウィンヒロ』限定の物語として、序盤の敵組織である「獅子頭連」のその後を描くオリジナルストーリーも実装されています

まず第一に印象的なのが、本作メインストーリー部分のステージ選択画面が「自身の手でキャラを操作して3Dモデルの街の中を移動し、事件が発生する現場に向かう」といった仕様になっていること。

オートランやエリアごとのショートカット機能はありますが、いずれにせよキャラを移動させてストーリーを進めていく必要があるわけです。

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正直に言えば、筆者は最初、この仕様について若干の違和感を覚えました。

次のストーリーに進むにはどうしてもポイント間の移動時間を要するため、気軽に遊べるスマートフォン対応ゲームとして、少々テンポが悪いように感じたんです。たとえば、2Dの簡易的なマップから地点を指定するような形だったり、なんなら一覧表から選択するような形式であっても、要件は満たせるんじゃないか?と思ったんですね。

しかし、ゲームを続けていくうちに「これも原作再現要素のひとつなのではないか」と思い直しました。

本作のストーリー上では「ボウフウリンは街を守る組織である」ということが強調されます。主人公たちはやみくもにケンカを挑むような無秩序な不良集団ではなく、あくまで街を守る存在として描かれるんですね。

そんな中、街で悪さをたくらむ悪人たちへの牽制として、見回りを行うことが重要だと説明されるシーンがあるんです。

主人公の桜も最初は「なんでそんなことをしなければならないのか」と当惑するのですが、見回りを通して街の人たちの温かさに触れる、といった一幕です。

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そう考えてみると、「3Dの街を歩いてストーリーを進める」といった本作の仕様は、原作の世界観をゲームに落とし込む上で最適なフォーマットなのかもしれません。

バトル面でも、原作エッセンスの再現要素が盛り込まれています。本作のバトルは、キャラクター5人を編成する仕組み。各キャラには「タンク」「アタッカー」「サポーター」という役割が設定されており、それぞれをバランスよく組み込む必要があります。

キャラクターにはそれぞれ自動発動するスキルやゲージ消費で発動できる必殺技が設定されており、オート戦闘機能を有効にすれば全ての行動を自動で行ってくれるので、かなり手軽な印象です。

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特徴的なのが戦闘中に発動できる「タッグスキル」。専用のゲージを消費して発動できる「協力技」のようなシステムです。編成している5人の中から選択した2人のキャラが連携して強力な攻撃を放ってくれます。

「タッグスキル」の効果は、先述したキャラの役割によって変化し、たとえば「アタッカー」を2人選ぶと強力な単体攻撃、「タンク」と「サポーター」を選ぶとシールド付与+回復など、選択した役割に応じた効果が発揮されます。

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この「タッグスキル」、演出面としてのカッコよさはもちろんなのですが、ある種、本作で描かれるテーマの一端を象徴しているシステムのように感じます。

先述した通り、主人公の「桜遥」は一匹狼タイプ。人に頼ったり、頼られたりすることが苦手で、そこから風鈴高校に入学し、仲間と協力する強さを学んでいく、というのが本作のひとつのテーマになっています。

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そういった意味で、まさに仲間との連携が強力な効果を発揮する「タッグスキル」は、かなり胸熱なシステムになっていると言えるでしょう。

原作で絡みのあったキャラ同士で発動するも良し、自分の見たい組み合わせで発動するも良し。もちろん、ゲーム的にも効果的な発動タイミングや組み合わせが存在するので、うまく使うことで攻略の一助になってくれるシステムとなっています。

最後に紹介したいのは、キャラクターを育成するために周回する「育成クエスト」

経験値稼ぎ用のクエストを周回することで育成アイテムを入手できるというシステムは、この手のゲームにはよくある要素です。

しかし、本作ではそれが「街に現れた万引き犯やカツアゲ犯を成敗して、お礼としてアイテムをもらう」という立てつけになっているんです。

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「どういうこと?」と思われる方もいるかもしれませんが、原作ファンならピンとくるはず。

冒頭でも説明しましたが『WIND BREAKER』の作中世界はとにかく治安が悪いんです。「犬も歩けば棒に当たる」といったレベルで、ちょっと出歩いただけで万引きの現場や因縁をつけてくる不良に出会う世界になっているのです。

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▲現代日本風なのにやたらと世紀末っぽい治安なのですが、それが本作の世界観なのです

原作でも、助けた街の人から「持っていきな!」と商店街の食べ物を渡される様子はたびたび描写されてています。これは、桜たちボウフウリンが、その活動を通して「いかに街の人たちから信頼されているか」ということを象徴するシーンとなっています。

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そういうわけで、ゲーム版となる『ウィンヒロ』の経験値アイテムも、万引き犯を捕まえたお礼に、パン屋さんからもらえるパンとなっています。

細かいポイントではありますが、もしこれがただの「経験値アイテムA」とかだったら味気ないですよね。原作の世界観をうまくゲームに落とし込んだ点だと感じました。

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ゲームならではの「交流」システムや、意外と骨太な育成システム。推しキャラを最強に育てよう

これは原作を読んでいる際にも、本作『ウィンヒロ』をプレイしている最中にも感じたことなのですが、『WIND BREAKER』は「誰かひとりは推しができる」タイプの作品だと思います。

主人公サイドだけをとっても、多様な性格や見た目、戦い方のキャラが登場しますし、敵サイドのキャラであっても、それぞれの抱える過去や思い、行動理念はさまざま。

好みの違いはあれど、誰かしら好きなキャラが見つかると思うんです。

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▲それが筆者の場合蘇枋くんだったわけですが……。

となるとゲーム版で気になるのは、「キャラ愛をどれだけ注ぎ込めるか」といったことに関して。最後になりますが、『ウィンヒロ』のキャラ推し要素についても紹介していきます。

まず注目したいのが、「交流」システム。所持キャラクターの中からひとりを選択して対話をすることができるというものです。主人公である桜の視点を通す形にはなりますが、主観でキャラとの交流ができるのはゲームならでは。3Dモデルの衣装や背景のシチュエーション選択が可能なのも嬉しいポイントです。

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キャラとの会話を繰り返すことで、「絆レベル」が上昇し、アイテム入手やステータスの底上げ効果もあるため、推しを強くするという点で、実利性も兼ね備えたシステムになっています。

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「推しを最強に育て上げる」という意味で、育成システムに関しても触れておくと、本作の育成面は、なかなか骨太な仕様が盛り込まれています。

先述した「育成クエスト」を周回してレベルを上げたり、スキルを強化したりできるのは、こういったゲームではおなじみのスタイル。特徴的なのは「キャラのレアリティ自体を強化できる」という点です。

本作のガチャから排出されるキャラのレアリティは、A、S、SSの3段階なのですが、専用のアイテムを消費することで、SSをさらに超えてSS+、SS++にまで上昇させることが可能なんです。

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試遊した感覚では、かなりコツコツプレイする必要がありそうでした。なので、じっくりとプレイして、推しを育て上げる楽しさを味わえそうです。

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▲対人戦「ツワモノ祭」で他のプレイヤーと対戦することも。

また、本作には「シーンカード」と呼ばれるシステムも存在します。

「シーンカード」は作中のシーンなどを切り取ったカードで、装備させることでキャラクターやパーティに対してバフ効果などをもたらしてくれるアイテムです。

恐ろしいことにこのシーンカード、メインとなるカードの種類ごとの効果の他に、3つのランダム効果が抽選されて付与されているんです。

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ランダム効果に関しては、専用のアイテムを消費することで再抽選が可能。試遊の範囲ではそこまでやりこめませんでしたが、キャラごとに最適なカードに適切なランダム効果を狙っていくという点では、かなり息の長いゲームプレイが楽しめそうだと感じました。

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少々乱暴な物言いになってしまいますが、「ゲームの育成要素」と「キャラ推し」って、良い意味で「究極の自己満足」のような側面が共通していますよね。

自分の好きなキャラを愛でることで成長させ、それが結果としてシナリオの攻略やランキングの上昇に繋がっていく。

本作『ウィンヒロ』でも、そんな原作キャラの魅力を味わいながら、ゲームならではの成長・育成の喜びを感じてもらえればと思います。


ゲームシステムを介した丁寧な原作再現要素と、推し甲斐のある不良少年たちが躍動するバトルが魅力の本作『ウィンヒロ』は、2025年3月12日よりリリース中。

プラットフォームはスマートフォン(iOSAndroid)と、PC(WindowsSteam)で展開されています。記事中では画像を交えて紹介しましたが、実際にご自身の端末で、バリバリ動き回る桜たちの活躍を体験していただければと思います。

ライター
スパイスからカレー作っちゃう系の元バンドマン。占いも覚えたが占いたいことがないのですぐ忘れた。思い出のゲームは『ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル』
編集者
ゲームアートやインディーゲームの関心を経て、ライター/編集をしています。

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