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約4年ぶりの新作『スパロボY』をひと足先に体験してきた! ロボに搭乗しないヒロインやサブキャラまで参戦&育成可能になってる…!

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『スーパーロボット大戦Y』プロデューサーインタビュー。“既存ファン”に伝えたいのは「タクティカル・エリア・セレクト」の改良

ひと通り先行プレイが終わった後で、本作のプロデューサーであるバンダイナムコエンターテインメント 戸澗宏太氏へのインタビューを実施した。

──『スーパーロボット大戦Y』タイトルYに込められた思いについて教えていただけますか?

戸澗宏太氏(戸澗氏):
理由としては、前作の『スーパーロボット大戦30』からだいたい4年ぐらい経っており、最新作の家庭用のタイトルとして安心して遊べることをファンの皆様に伝えるために、アルファベット1文字で考えていました。いろいろなアイデアの検討した結果、本作のストーリーや世界観も踏まえてYが非常に近かったため選んでいます。

Y自体に意味があるというよりは、(道が枝分かれしているように見える)形に注目しました。本作のキャッチコピーは、「右は災厄、左は破滅 宿命を超えろ、鋼の守護神(ガーディアン)」に繋がっていきます。

(Yの字の)枝分かれた先を未来として見たときに、右に行っても災厄だ、左に行っても破滅だ、といったところ。そして、下から真ん中に繋がっているところ。これは過去からという意味もあり、過去からの怨讐であったり、避けることができない最悪の未来であったり、破滅の未来であったり、そうした決められた定めを覆すべく各作品から集まった最強のロボットたちが立ち向かっていくことを作品のコンセプトにしています。

『スパロボY』レビュー・評価・感想:ロボに搭乗しないキャラも参戦&育成可能で嬉しい_021

──今回、ゲームエンジンを刷新していますが、その意図と今後の展望について教えてください。

戸澗氏:
ゲームエンジンを刷新した意図としては、『スーパーロボット大戦』シリーズを今後も継続的に展開していきたいということが一番大きな理由です。一方、『スーパーロボット大戦』のコアなゲーム性の部分については、普遍的に面白いものだと私は考えています。そうした意味で、コアの部分については大きな変更はしないという判断をしました。

実は、『スーパーロボット大戦30』以前の独自のゲームエンジンは、αシリーズあたりから積み重ねて使い続けてきました。その独自性が障害となり、一部のエンジニアに偏ってしまうものになっていました。独自エンジンを使い続けることも今回の企画当初にはあったのですが、それをやってしまうとシステムの改修が今後できなくなったり、予期せずの不具合が生じて直せなくなってしまったりという未来が予見されたので、これを機に汎用エンジンであるUnityへの変更を決断しました。

展望ということで踏み込んで話すと、開発サイクルの話です。かつて1年に1本新作が出ていた時期がありますが、「スパロボ」やゲーム業界を取り巻く環境の変化があり、1年に1本出すのは新エンジンに移行しても難しいと思っています。ファンの皆さんにお待ちいただいているということもあり、少しでも早くお届けできるように頑張っていきたいという思いは開発一同ございます。

また、『スーパーロボット大戦Y』で今後も継続できる体制の構築という部分がしっかりできました。今後はお客様のご意見を聞きながら、このゲームエンジンをどのような形で発展させていくのか考えていきたいと思っています。

──従来までのゲームエンジンから、新しくUnityに変更したことで、苦労した点などはございますか?

戸澗氏:
αシリーズの時代から、20年近く独自エンジンを扱ってきました。そのため、まずはUnityの習熟で苦労しました。逆に新エンジンでの制作をするために、今までの『スーパーロボット大戦』の仕様を再整理するといった作業もありました。そういった点を、いろいろと明らかにしていくところが苦労した点です。

──『スーパーロボット大戦Y』のアピールポイントを教えていただけますか?

戸澗氏:
久しぶりの家庭用の新作ということで、まずは安心していつもの『スパロボ』を楽しんでいただけるものを作っています。キャラクターゲームの魅力をより引き出すために、「アシストリンク」を追加しました。さらにシミュレーションゲームとしての遊びをよりおもしろくしていくために、UIの改善や、オートバトルの改修、そしてもっと楽しくする工夫として、「STGメモリー開放」でカスマイズできる要素も入れています。

『スパロボ』初心者の方でも自然と遊べるように、UIの改修もゲームエンジンの変更と一緒にやっています。もちろん、これまでのユーザーにとっても使いやすくなるように前作の『スーパーロボット大戦30』でいただいたご意見を踏まえたうえで、様々な改良を入れています。

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──「アシストリンク」にアシストトークというイベントがあるそうですが、そのトークはどういうものなのでしょうか? 例えば過去作にあったエースパイロットになった時の「エーストーク」のようなものでしょうか?

戸澗氏:
まさにおっしゃられた通り、「エーストーク」のアシストクルー版とご理解いただければ分かりやすいかなと思います。会話イベントはキャラクターごとに異なりますが、基本的にはオリジナルキャラクターのエチカ・Y・フランバーネットとの会話が中心になります。

──本作を発表したときに、とくにユーザーから反響が大きかった作品で印象に残ったものがあれば教えていただけますか?

戸澗氏:
やはりシリーズ新規参戦の『SSSS.DYNAZENON』、『ゴジラ S.P<シンギュラポイント>』、そして『機動戦士ガンダム 水星の魔女』Season1といったところや、家庭用新規の『劇場版マクロスΔ 激情のワルキューレ』や『ゲッターロボ アーク』は、しっかり反応をいただけたかなと思っています。

久しぶりに登場する作品の反応も多く、さらに印象的なところとして、どの作品を発表してもそれぞれのファンの方が喜んでいる様子がXで見られたのがすごいと思いました。それぞれが非常に人気で歴史のあるアニメですので、それぞれのファンの方にが歓喜の声を上げていただけたので『スパロボ』冥利に尽きるなと感じました。

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──今作ではいろいろ新しい試みにも挑戦されていますが、特に注目してほしいポイントがあれば教えていただけますか?

戸澗氏:
システム内では新要素の「アシストリンク」が一番のポイントだと思っております。あとはUIの改修もありますが、あえて既存ファン向けにお伝えすると、「タクティカル・エリア・セレクト」の改良です。前作では自由度が高すぎるがゆえに、シナリオがわかりにくく、自分が今何のために戦っているのか分かりずらくなってしまうといった課題があり、そこは開発当初から課題にしていました。

それを解決するために、序盤は自由度を高くしていますが、後半にむけてだんだん自由度を絞っていきシナリオに集中できる、いつもの「スパロボ」のシナリオの楽しさみたいなところを取り込んでいます。「タクティカル・エリア・セレクト」としてのシナリオの改良、最適化を行っていますので、これをぜひアピールしたいですね。

──「タクティカル・エリア・セレクト」でシナリオが選べますが、こちらはどのあたりのタイミングからになるのでしょうか?

戸澗氏:
CHAPTER1は物語の導入となるので「タクティカル・エリア・セレクト」が本格的に始まるのは、CHAPTER2からです。

──先ほど体験したバージョンでは変形を実装していない機体があると伺いましたが、製品版ではどのようになりますか?

戸澗氏:
試遊版では変形機能をオミットしていましたが、ゲッターアークについては、3形態に変形することができます。移動形態、反撃形態とそれぞれ変形したいタイミングがあるかと思いますが、今回のゲッターアークは移動後も変形できるようになっています。そのため、ゲッターキリクで接近、ゲッターアークで敵の攻撃を迎え撃つといったこともできるようになっています。

──戦闘のアニメでユーザーに注目してほしいポイントはございますか?

戸澗氏:
戦闘アニメは手練れのスタッフ達が前作に引き続き担当しており、「スパロボ」らしいものになっています。そのなかで変わった部分としては、戦闘アニメをより効果的に見てもらうために、今作では攻守の切り替わりをスムーズにしています。前作では1回暗幕が入ってから攻撃し返すといったことがありましたが、そこを無くすことで攻撃を受けた敵がそのままスムーズに反撃するという表現をしています。

一部の援護については、完全に暗幕を無くすのは難しかったものの、基本的にそのような工夫をしています。また、UIの変更によって少しでもアニメを大きく見られるようにするために、表示領域を広げています。

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──今作はボタンを押すだけで戦闘シーンを飛ばすことができるようになっていました。ほかにも、『スーパーロボット大戦30』から簡単に周回しやすくなるようなシステムはございますか?

戸澗氏:
例えばスキップもボタンひとつでできるようにしているなど、いろいろな工夫をしています。前作以上にガイドをしっかり入れていますので、初めて遊ぶプレイヤーの方が「ここを長押しすればここスキップできる」といったようなことも、わかりやすくしています。

──難易度の設定がいくつかあるとお聞きしました。以前の作品と比較して、難易度はどのように変わったのでしょうか?

戸澗氏:
今回、ハード以降の難易度では基本ルールから変更をいれるといった制限を作っています。たとえば、敵を倒したときの気力増加を抑えるといったことです。その制限があると、気力が上がりにくくなるので、どの機体で倒すかを戦略的に決めていく必要がでます。

あるいは気力を上げるために「アシストリンク」のアシストクルーで気力を上げるキャラクターを使う。もしくは、「STGメモリー開放」にも気力に関わるメモリーがあるのでそちらを活用するなど考えられ遊びが広がっていきます。
過去作との高難度モードの難しさの比較はシステムが異なる部分もあり、単純に比較するのは難しいです。ただ、しっかり歯ごたえを感じて頂けると思いますので、ぜひ挑戦してみてください。

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──「アシストリンク」のアシストクルーについてですが、こちらは出撃キャラと別の作品のキャラは使用できますか? たとえば、作品同士を擬似的にクロスオーバーさせるような楽しみ方はできるのでしょうか?

戸澗氏:
今回遊んでもらったバージョンでは9人のアシストクルーが設定されていました。編成枠は序盤と中盤、後半で徐々に増えていきます。最初は3人の枠から始まり、最大9人まで増えていくという流れです。その中で、どのアシストクルーを連れていくのか選ぶのですが、そのときに出撃するロボットとの縛りは一切ありません。編成枠の数だけ好きなキャラクターを選んで連れていけるシステムになっています。

そのため、クロスオーバー的な楽しみ方をしていただいてもいいですし、自分の好きな作品で固めてもいい。そのあたりは、好き遊べるかなと思っています。ちなみに、同作品のキャラクターにアシストを掛けると、特別なセリフが流れるという要素は入っています。

──新システムの「アシストリンク」と「STGメモリー開放」が追加されましたが、そちらによって開発時に特にバランス調整などで苦労された点やこだわった部分などはございますか?

戸澗氏:
どちらかというと、「タクティカル・エリア・セレクト」のバランス調整が難しかったです。プレイヤーによって通るステージ数が変わったりするので、最初のメインミッションだけやっているプレイヤーのことを想定してみたり、全部遊んでみたりといったところを、いろいろとやりました。

もちろん「STGメモリー開放」やアシストクルーなども使いながら調整しています。あとは、ハードや難易度の違いによっての調整も行っています。

──新たに追加された「STGメモリー開放」で、プレイヤーにどのようなことを伝えたいですか?自身が未来を選択しているような感覚を味わってもらうようなことを考えて導入されたものでしょうか?

戸澗氏:
「STGメモリー開放」については、ゲームの遊び味として作っています。その上で今回のバランスですが、1回のプレイで全部のメモリーが解放できるわけではないので、周回しながら防御型にしたりアシストリンクを使いやすい形にしてみたりとか……そういったカスタマイズ遊びを強めるために入れています。

シナリオとのリンクという意味では、未来を選択するという暗喩ではなく、実は機動要塞都市エーアデントのテクノロジーにまつわる何かが関係しています。こういったゲーム内設定なども踏まえて、楽しんでいただければと思います。

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──主人公に忍者を選んだ理由があれば教えていただけますか?

戸澗氏:
エチカを「影から守るもの」として考え、忍者を選んでいます。忍者という設定を決めてからは、主人公としての立ち位置だけではなく、登場するロボットやデザイン、どんな性格なのかというところを含めてイメージが進んでいきました。

忍者ということで、戦闘アニメの作り方やロボットの動きも忍者のイメージを大事にしつつも、いろいろとアイデアが広がっていきました。

──今回は『ゴジラ S.P<シンギュラポイント>』や『SSSS.DYNAZENON』など、必ずしもロボットアニメの文脈でない作品も参戦しています。今後のシリーズ的には、少し広がっていくようなイメージなのでしょうか?

戸澗氏:
明確に今後の構想みたいなものはありませんが、様々なアニメーションがひとつのゲームの中に集まるというのが、『スパロボ』の面白いところだと思っています。徐々にですが、幅広くいろいろな作品を検討していきたいと思います。

──今回参戦できなかったタイトルもたくさんあると思いますが、だいたいどれぐらい検討されたのでしょうか?

戸澗氏:
これがですね……。検討に検討をめちゃめちゃ重ねたので正直、数えきれないです(笑)。

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──新作の発売が4年ぶりということで、現在の心境をお聞かせください。

戸澗氏:
まずは残りわずかというところまでたどり着けたことにたいして、『スーパーロボット大戦』を支えてくれたファンの皆様に感謝の気持ちでいっぱいです。34年間続いたタイトルのプロデューサーという重責は非常に感じて、悩みながら日々進めてきました。初出を機にユーザーのありがたいお声を頂いて、これまでやってきてよかったなというのが今の心境です。

まだまだ公開できていない情報もありますので、しっかりプロモーションでお伝えしていきつつ、8月28日にみんなでお祭りのように盛り上げていければと思っています。

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ライター
ライター/編集者。コンピューターホビー雑誌「ログイン」の編集者を経て、1999年よりフリーに。 現在はゲームやホビー、IT、XR系のメディアを中心に、イベント取材やインタビュー、レビュー、コラム記事などを執筆しています。
編集者
3D酔いに全敗の神奈川生まれ99’s。好きなゲームは『ベヨネッタ』『ロリポップチェーンソー』『RUINER』。好きな酔い止めはアネロンニスキャップとNAVAMET。
Twitter:@d0ntcry4nym0re

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