10月16日は『moon』が発売された日だ。
『moon』は、1997年10月16日にアスキーから発売されたプレイステーション用リミックスRPGアドベンチャー。
『moon』は、1997年10月16日にアスキーから発売されたプレイステーション用ソフト。開発を手がけたのは、スクウェア(当時)から独立したクリエイターたちが設立した「ラブデリック」であり、本作は同社のデビュー作にあたる。
本作のキャッチコピーは、「もう、勇者しない」。
本作は、自らを「リミックスRPGアドベンチャー」と称しており、当時流行していたJRPGの様式を解体・再構築を意欲的に試みた。そのため、敵を倒してレベルを上げ、装備を揃えたり呪文を覚えて敵を倒す、といったいわゆる普通のRPGとは全く違ったテイストのゲームになっている。

ゲームは、とある少年がゲームを遊んでいるシーンから始まる。ドラゴンを倒し世界を平和にするという目的で冒険に繰り出すものの、しかし、ドラコンを倒す直前、母親に「ゲームなんてやめて、早く寝なさい!」と叱られ、しぶしぶテレビの電源を切る。
すると、消したはずのテレビが再び点灯し、少年はテレビの中に吸い込まれ、先ほどまでプレイしていたゲームの世界「ムーンワールド」へと迷い込んでしまう。少年は、この世界でひたすらにアニマル(モンスターのようなもの)を殺め続けている勇者の噂を耳にし、改めて世界の真実を知るための冒険に出ることとなる。

本作では、敵との戦闘や装備集めといった要素はない。住民の頼みごとをこなしたり、ミニゲームをクリアしたり、さらに勇者によって殺されたアニマルのソウルを戻してあげたりすることで「ラブ」という経験値のようなものが得られるのだ。

本作では時間の概念があり、時間はリアルタイムでドンドン経過していく。「アクションリミット」という行動時間制限があり、活動限界に達するとゲームオーバーになってしまう。最初は半日ほどしか行動できないが、ラブを集めてレベルを上げることで活動時間を増やすことが可能。こうして、さまざまな場所でラブを集めながら冒険していく。
また、ゲーム内で「ムーンディスク(MD)」と呼ばれる楽曲を集め、自分の好きなBGMを再生できる「MDシステム」も、世界への没入感を高めるユニークな要素である。

ゲーム中の登場人物はどれもひと癖もふた癖もあるものばかりで、「どこで、どんな(変わった)人に会えるのだろうか?」と考えるだけでも楽しくなるのが『moon』というゲームの魅力だ。
長らくカルト的な人気を誇る”幻の名作”だったものの、オリジナル版の発売から22年の時を経て、2019年10月10日にNintendo Switch版が配信開始 。さらに2021年12月16日には、PlayStation 4、PlayStation 5版およびPC(Steam)版もリリースされ、執筆現在は幅広いプラットフォームでプレイ可能だ。
