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レジェンドクリエイター・岡本吉起氏と小室哲哉氏が30年ぶりに再会。名曲「恋しさと せつなさと 心強さと」の思い出話も繰り広げられたスマホゲーム『アウトランカーズ』完成披露会レポート

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でらゲーによる、2025年11月6日よりサービスが開始されるスマートフォン向けゲームの『アウトランカーズ』。本作の正式リリースを記念して、前日の11月5日に東京・原宿にあるwith Harajuku Hallで完成披露会が開催された。

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この『アウトランカーズ』は『ストリートファイターⅡ』(以下、スト2)や『モンスターハンター』などを手掛けてきたゲームプロデューサーの岡本吉起氏がYouTubeで起ち上げた企画がきっかけで産まれたタイトルだ。

岡本氏と同じく『スト2』を手掛けた船水紀孝氏西谷亮氏が共同プロデュースとして参加しているほか、楽曲を下村陽子氏、キャラクターデザインを風間雷太氏がそれぞれ担当しているなど、まさにレジェンドクリエイター達が集結した作品となっている。

今回のイベントでは、岡本氏に加えてゲームディレクターを務めたbaobab game studiosの美根俊一氏や宣伝プロデューサーの河本清翔氏が登壇。さらに、ゲストに音楽プロデューサーの小室哲哉氏や楽曲を担当した音楽ユニットのOVAL SISTEMのメンバーも駆けつけるなど、華やかな雰囲気の中で行われた。

トークでは、ゲームシステムに込められた意図や開発時の裏話などが語られたほか、約30年ぶりに再開したという岡本吉起氏と小室哲哉氏の間では『ストリートファイターII MOVIE』の主題歌「恋しさと せつなさと 心強さと」の思い出話が語られるなど、ゲームファンには興味深い内容となっていた。こちらの記事では、その完成披露会の模様をレポートする。

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取材・文/高島おしゃむ
編集/海ソーマ


全てのキャラは全員使用可能! シーズン制を導入しゲームもどんどん進化

最初にゲームディレクターの美根俊一氏から、本作の紹介が行われた。この『アウトランカーズ』は、ひとりのプレイヤーとふたりのAIがひとつのチームを組み、3チームで争うバトルアックションゲームだ。プレイ中、それぞれのチームは「エルピス」と呼ばれるエネルギーを集めていく。最終的にはこの「エルピス」を最も多く集めたチームが勝利するというシンプルなルールが採用されている。

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baobab game studiosの美根俊一氏。

先ほども少し触れたが、本作の成り立ちは岡本氏がYouTubeで起ち上げた企画の「格闘ゲーつくろう!」がきっかけだ。そこで、岡本氏と船水氏、西谷氏の3人が中心になり、ゲームデザインが行われた。このゲームデザインの面では、対戦ゲームを深く分析して作られている。

たとえば、格闘ゲームでは勝ったときの喜びと負けた時の悔しい気持ちがイコールにならない場合が多いが、本作ではプレイヤーが3つのチームに分かれているほか、直接相手を倒さなくても済む奪い合いをルールに設定してその気持ちを緩和しているのである。

それに加えて、相手チームが集めた「エルピス」を奪うなど、戦況が刻一刻と変化していくので、最後までどのチームが勝つのか分からないハラハラドキドキ感が味わえるところもゲームの特徴となっている。

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『アウトランカーズ』のもうひとつの特徴ともいえるのが、シーズン制を採用しているところだ。1シーズンは原則約7週間で実施され、シーズンごとにキャラクターの追加やバトルバランスの調整が行われる。つまり、多くのスマホゲームで採用されているような、ガチャで新たなキャラクターが追加されるということはなく、ガチャなしで誰でも新キャラを入手できるようになっているのだ。

こうした新キャラだけではなく、既存のキャラクターのスキルも随時追加されていくため、それまでにないバトルが楽しめるようになっていくところもポイントである。そして、このシーズンを通してランキングを争っていくことになるのだ。

それぞれのシーズンは、複数のラウンドで構成されている。ラウンドごとにイベントが開催されるほか、やりこみ次第でも報酬がもらえるようになっている。ひとつのラウンドは2週間ごとに変わっていくので、飽きずにひとつのシーズンが楽しむことができるのである。

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シーズンごとに、新たなステージも追加される。ステージ上にはハプニングと呼ばれる要素があるが、当然のことながら、ステージが変わるとこれまでの遊び味とは異なるゲームプレイが体験できるようになるのだ。

さらに、新モードも随時追加されていく。例えばベータテストで要望が多かったプレイヤー9人による3×3×3バトルの「9ランカーズ」なども、今後のアップデートにより実装される予定である。

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シーズンごとに新たなマップが追加される。
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シーズン1では、「クラリス」が追加キャラクターとして登場する。
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アップデートでゲームモードもどんどん追加されていく。

オンライン対戦ゲームでは、プレイヤーが操るキャラクターの見た目も重要な要素だ。ゲーム内に、対エネミー能力を上げる「ギア」と呼ばれる要素が登場するが、たまに追加で衣装突きのギアが出ることがある。そちらを入手することで見た目を変更できるようになるのだ。これらの衣装付きギアは、季節だけではなくラウンドが更新されるたびに変更される予定である。

急遽作り直しで産まれた大ヒット曲「恋しさと せつなさと 心強さと」は製作期間1週間もなかった!?

美根氏によるゲームの紹介が終わった後、『アウトランカーズ』エグゼクティブ・プロデューサーの岡本吉起氏とタイアップ曲のプロデュースを手掛ける小室哲哉氏、でらゲー宣伝プロデューサーの河本清翔氏の3名が登壇。冒頭、岡本氏と小室氏がステージ上で握手するといった場面も見られた。

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がっちりと握手をする岡本吉起氏と小室哲哉氏。

ちなみに、岡本氏と小室氏が会うのは、なんと30年ぶりぐらいだという。両氏がタッグを組むのは、小室氏が作詞と作曲を手掛けて1994年にリリースされ、200万枚以上を売り上げた『ストリートファイターII MOVIE』の主題歌「恋しさと せつなさと 心強さと」のとき以来だ。

河本氏によると、『アウトランカーズ』のプロモーションを行うにあたり、3人で戦うゲームであったため3人にまつわるものを使った仕掛けができないか考えていたとのこと。岡本氏と言えば『スト2』だ。また、河本氏はTM NETWORKを聴いて育ってきたという経緯もある。

しかし、それだけでは小室氏に声を掛けるのは難しいと思っていたのだが、ちょうど今年の4月に小室氏がプロデュースを務めた3人組音楽ユニットのOVAL SISTEMがデビューしたということもあり、声を掛けたのが今回の座組みのスタートだという。

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でらゲー宣伝プロデューサーの河本清翔氏。

小室氏は、その話がきたときに岡本氏の名前が出てきたことから引き受けたそうだ。その理由のひとつが、以前岡本氏とコラボしたことが自身の音楽人生の中でも記憶に残る経験だったからであるそう。

『スト2』の劇場版アニメ主題歌として大ヒットした「恋しさと せつなさと 心強さと」だったが、最初に小室氏に依頼した際に提出された曲はバラードであった。それで作品に合わなかったため、岡本氏はボツを出したのだ。実は岡本氏は、このとき小室氏のことをよく知らなかったのだそう。

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ちょうどその頃小室氏は、TRFを手掛けるなど音楽プロデューサーとしては駆け出しの時期でもあった。せっかくやり直すということもあり、小室氏自身が岡本氏に曲をどのようにすればいいか直接話を聞いたのだという。

その時点で、すでにTRFの「寒い夜だから…」がリリースされており、その曲と同じように岡本氏からは「ドン、バーンという風にしてほしい」という風に、音が入ってすぐに歌が始まるような感じにしたいというリクエストがあったことから生まれたのが、大ヒットソングの「恋しさと せつなさと 心強さと」であった。

ちなみに、小室氏は映画の劇中曲も手掛けており製作に長い時間を掛けていたのだが、もっとも肝心な主題歌を作りあげるまでの期間は1週間もなかったそうだ。

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ちなみに、今回『アウトランカーズ』のタイアップ楽曲として作られたOVAL SISTEMの4枚目のシングル曲「風に舞う戦士」は、「恋しさと せつなさと 心強さと」の一部が使用されている。小室氏によると、当時と現代とではレコーディングの環境も大きく異なっており、昔と同じサウンドは出せない。そこで、昔の音源を引っ張り出してデータに移植し、引き継がれているとのことだ。

そのように新人アーティストのプロデュースを手掛けている小室氏だが、若手のサポートを行っているのは、岡本氏も同じだ。現在はAIなども発達してきていることから、昔と比べるとゲームを作るだけならば簡単になってきた。しかし、それを面白いゲームやみんなが遊んでくれるようなゲームにするのは結構難しい。そこで、そうした人達のサポートをしていきたいと考えているのだという。

ここで岡本氏から衝撃の発言があり、なんと自身は1年半ほどで引退を考えているのだが、そのあとも、こうしたサポートは続けていきたいと語る。それを隣で聞いていた小室さんは、思わず「え、引退するの?」と驚いている様子であった。

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岡本氏の引退発言に、思わず驚く小室氏。

ここで、『アウトランカーズ』のタイアップ楽曲「風に舞う戦士」を歌っているOVAL SISTEMのメンバーがステージに登場。合わせて、この会場で初公開となった楽曲のPVも流された。

ちなみにメンバーのiBerryさんはゲーム実況をよく見るそうだが、中でもお気に入りのゲームは『スト2』で、特にリュウが好きだという。

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写真左から、OVAL SISTEMのmochilucaさんと住田愛子さん、iBerryさん。

このPVを見た後で、「そして切ない 心強さがいい」という「恋しさと せつなさと 心強さと」をオマージュしたような歌詞が出てくることから、小室氏は「歌詞を自分で盗んじゃいました」と暴露し、大きな笑いを取っていた。

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YouTubeや各地でプロモーションも展開! 広がる「アウトランカーズ」の世界

イベントの最後に、河本氏から今後のプロモーション展開の紹介が行われた。本作は既存のIPを使用した作品ではないため、「まずはアウトランカーズをちゃんと知ってもらう」ということを軸に、プロモーションが行われていく。

そこで実施されるのがYouTube番組の「アウトランカーズ特集」だ。こちらでは、ストリーマーのゆふなさんtakeraさん、女優やモデルとして活躍しているアンジェラ芽衣さんが登場し、ゲームの注目ポイントをまとめた動画が公式チャンネルにて公開される。

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また、OVAL SISTEMの楽曲「風に舞う戦士」を使用した、デジタル広告や交通広告などが、東京、中京、関西、九州の4つのエリアで展開される。スマホゲームの広告は、どうしてもデジタル広告が多くなりがちだ。しかし、それでは画面の外にいる人にまでなかなか届かないことがある。そのため、こうしたリアルな世界でふれる機会を増やすための施策が行われる予定である。

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これら以外にも、インフルエンサーの起用やXでのプロモーションキャンペーンの実施、エリアマーケティング施策、イベントタイアップなども続続と展開していく予定である。また、熱量を上げるためのプロモーション施策も行われる。

そのひとつが、西谷亮氏とMC/キャスターとして活躍しているOooDa氏によるポッドキャスト番組である。こちらでは、『アウトランカーズ』の製作秘話とゲーム作りについていろいろと語られる予定だ。

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また、賞金総額100万円のイラストコンテストも開催される予定である。こちらは11月21日から2026年1月12日まで実施される予定で、後日正式な情報が発表される。さらに、コミュニティを維持するために、Discordなどでユーザー同士の繋がりを支援するほか、オフラインイベントやファンミーティングを実施。シーズンごとのアップデート番組や二次創作の推進企画なども行われる予定である。

こうした様々なプロモーションに関する最新の情報については、公式Xで随時発表されていくとのことだ。

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以上が、新作スマホゲーム『アウトランカーズ』完成披露会の模様となる。対戦ゲームを深く分析し、勝ったときの喜びと負けた時の悔しい気持ちがイコールにならないことを解決するために奪い合いをルールに設定するというゲームデザインや数々のプロモーション企画、そして何より約30年ぶりだという岡本吉起氏と小室哲哉氏の再開など、開発陣の新たな作品を生み出すことへの気合いと熱気が伝わってくるイベントとなっていた。

『アウトランカーズ』は11月6日よりiOSおよびAndroidにて配信中だ。

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©Deluxe Games Inc.

ライター
ライター/編集者。コンピューターホビー雑誌「ログイン」の編集者を経て、1999年よりフリーに。 現在はゲームやホビー、IT、XR系のメディアを中心に、イベント取材やインタビュー、レビュー、コラム記事などを執筆しています。
編集・ライター
『The Elder Scrolls』や『Dragon Age』などの海外RPGをやり込むことで英語力を身に付ける。個人的ゲーム史上ナンバーワンヒロインは『Mass Effect』のタリゾラ。 面白そうなものには何でも興味を抱くやっかいな性分のため、日々重量を増す欲しいものリストの圧力に苦しんでいる。

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