Binary Haze Interactiveによる新作パズルサバイバルアクション『TOKYO SCRAMBLE』。
「大崩落」という未曾有の大災害に襲われた世界。独自の進化を遂げた恐竜・Zinoの猛威を潜り抜け、絶望的な地下世界からの脱出を目指す───。
設定だけを聞けば、胃がキリキリするような硬派なシリアスアクションを想像するだろう。
だが、本作は驚くほど「変」なゲームだ。
なんていうか……いい意味で、珍妙だ。
本作の珍妙さを象徴するのが、ステージに点在するギミックの数々。例えば、エスカレーターを起動して、物音で恐竜の気を引いてその隙に後ろを通り抜けるギミック。
これを起動すると、どうなるか。
恐竜が、エスカレーターを延々と逆走し始めるのだ。
……????
何を言っているかわからないと思うが、実際に目の前でかつて地上を支配したはずの獰猛な捕食者がエスカレーターを逆走しているので、仕方ない。
書きながら、自分の正気を疑っている。
これだけではない。高速回転する重機にラリアットを食らう恐竜、上から降ってきたエレベーターにプレスされる恐竜。悪夢のような脈絡のなさと、B級映画的な無慈悲さが同居する光景が次々と押し寄せてくる。
な、なに……?この国に、なにが起きているんだ……?
本来、一歩間違えれば即死というステルスアクションは、肩に力が入るものだ。しかし、この珍妙な光景に直面すると、ガチガチに凝り固まった緊張感が、半笑いと共にどこかへ霧散してしまう。
その理由はもうひとつある。絵面だけの話ではない。マルチプレイもまた、かなり珍妙なのだ。
本作の協力プレイは、4人がそれぞれ自分のキャラを動かして、協力して先に進む「誰もが想像する4人マルチ」ではない。
4人でひとりのキャラを動かす「4人羽織」マルチプレイなのだ。
つまり、キャラクターの操作、視点移動、屈み・ダッシュ入力、ギミック発動を、それぞれ別のプレイヤーが担当し、主人公を動かしていく。
プレイヤーA: 移動
プレイヤーB: 視点
プレイヤーC: ダッシュ・屈み
プレイヤーD: ギミック発動
↑こういったように。
これ、想像以上にめちゃくちゃ難しい。
一撃死の恐怖が漂うステルスアクションで、視点すら自分の意志で動かせない不自由さはハンパじゃない。
右に行きたい足と、後ろを振り返りたい目が喧嘩をし、屈みたい瞬間に屈むことすら叶わない。精密な操作とルート取りが求められるこのゲーム性において、この「意思疎通のラグ」は致命的なはず。
ところが、実際にプレイしてみると、プレイヤー感に不思議な熱気が立ち込める。
四人五脚で泥沼を走るような不便な枷をはめられているはずなのに、味方への不満は驚くほど出てこない。
「ナイス!」「あー今そこドンピシャで見たかった!」そんなポジティブなフィードバックと共に、合間に挟まる異様な光景への困惑を共有するのが……
た、楽しい……!!
本作の歯ごたえのある難易度は、責任をなすりつけ合う余裕すらない極限状態にプレイヤーを追い詰める。
そうしているうちにプレイヤーたちの意識は次第に溶け合い、脳が同期され始める。完璧なタイミングで屈んで隠密をし、ダッシュで危険地帯を抜け、完璧なポジションでギミックを発動させる。バチっと「ハマった」時の気持ちよさが、すごいのだ。
今回は、キャラクターというひとつの肉体を共有することで、失敗は4分割、成功の熱狂は4倍になる、「4人羽織」マルチプレイの体験レポートをお届けする。
※この記事は『TOKYO SCRAMBLE』の魅力をもっと知ってもらいたいBinary Haze Interactiveさんと電ファミ編集部のタイアップ企画です。
文/anymo
【今回の参加者】

編集部員A:
アクションゲームというよりゲーム全般が下手だが、不穏なゲームは好きなので意地でプレイしている。

編集部員B:
アクションゲームが好き。何度やられても立ち上がる「無限の残機」を持つ。不屈。

編集部員C:
逃げゲーが大好き。ギリギリで逃げ切れたときの達成感がたまりません。今回も逃げ切ってみせる!

編集部員D:
アクションゲームは好きだが得意ではない。散策や徘徊を楽しむ方にシフトしている。
ひとりのキャラを4人で分担して動かす、4人「羽織」マルチ←???

今回は、Nintendo Switch 2の「おすそわけ通信【※】」機能を使ってプレイします。
ひとりが『TOKYO SCRAMBLE』を持っていれば、残りの3人は持っていなくてもプレイが可能です。
※おすそわけ通信…ソフト1本と本体があれば、Joy-Conを分けて最大4人まで同時に遊べる機能。追加ソフトの購入なしで、その場にいる仲間とすぐにマルチプレイを楽しめる。

あれ?操作キャラはひとりなんですね。僕らが操作するキャラは出てこないんですか?

はい。本作の協力プレイは、4キャラではなく、シングルプレイの操作を4人で分割する「4人羽織」です。

え?どういうことですか?

移動、カメラ(視点)、しゃがみやダッシュなどのアクション、ギミックを動かす「アプリ」の4つの操作を、ひとりずつ担当します。
つまり、ひとりのキャラクターを4人で動かします。

ちょっと待ってください。
……本作って、高難度なサバイバルパズルアクションですよね?
それってめっちゃ難しくないですか?

はい。難しいです。
では、この設定画面から自分の役割を選んでください。ちなみに早い者勝ちです。



(これ、どれ選んでも難しそうだな……)

最初なので、私が移動をやってみます。

では私はカメラで。

じゃあ私はアプリで。

アクションやりますね。

よし、役割も決まりましたし、行ってみましょう。

あっ、本物の新宿近辺からスタートだ!

すごくリアルですね。

すごい非常事態ですね……。普段、私は逃げゲーをやってるんですが──

お話中すみません。死んでしまいました。



えっ!?

早すぎませんか!?一回しか攻撃食らってませんよ!

説明が遅れたんですが、本作の敵は異常に強いです。
殴られたらワンパンで死にます。オリジナルの進化を遂げた恐竜・Zinoという存在で、四足歩行のくせに火をも恐れません。


ワンパン!?
なにか対抗手段はないんですか?

基本的にはありませんが、主人公の装備しているスマートウォッチの機能で、敵を怯ませる「フラッシュ」が発動できます。役割としては「アプリ」の人が担当するアクションですね。
が、現状では1回使うと、その後はチャージスポットを探して充電するまで使えません。
あと、怯んでる時間もあまり長くない気がします。

そ、そんな……。人間、無力すぎる……。

気を取り直していきましょう!
アクション担当のDさん、屈むことってできますか?

ちょっと待ってくださいね……ええと、はい!

カメラ担当のBさん、右側を見せていただけますか?

えーっと……こうかな?できました。

アプリ担当のCさん、フラッシュ焚けますか?

はい!……ああ!バッテリーがなくてダメっぽいです!

えっ!?もう死にました!?


やっぱり恐竜強すぎる……。

すごくあっけなくやられましたね。

皆さんを集めておいてすみません。実は私もほぼ初見プレイで……。
想像以上に難しいですね、懲りずに挑戦させてください。


ちょ、ちょっと!さすがにシビアじゃないですか!?

これ難易度HOPE(希望)ですよね?

最悪、「ここから出られませんでした」ってことになりかねませんよ。

おい卑怯だろ!こっちは操作もおぼつかないんだぞ!
【20分後】

(無言で索敵に適したカメラ操作を行う)

ありがとうございます!まさに、そこ見たかったです!

さっき通ったルートで行きましょう。あそこを抜けたら、もうしゃがんだままの方がいいです。



なるほど。

今こっちを見てる、あいつがいない時に走っていきましょう。

Bさん、この一瞬で有能司令官として仕上がってきてませんか?

本当に世界がこうなったらBさんだけ生き残るんだろうな……。

まずい、敵来た!フラッシュ使います!



うおおおおおナイス!!

ここで屈んで……いまダッシュボタン押します!押しました!走って!

すごい!全員で壁に体擦りつけるほどの最短ルートを取ってる!これいけるんじゃないですか!?




ダメか〜〜〜〜〜!!

一旦、役割を変えてみませんか?

では、私はさっき移動役をやったので、今回はアクションを担当しますね。



…………(誰も移動に触れない)。

ちょっと、移動役が責任重大だからって無言で押しつけ合わないでくださいよ!


あの光っている場所まで走って、そこにいる敵にフラッシュを使いましょう。

うわあ敵近っ!

こっち向かってきてますよ!

こいつら、フィジカルも強いくせに数的有利まで取ってきやがる!

ヤバい、もうフラッシュないです!

しょうがないので走って逃げましょう!あそこに滑り込んでください!




うおおおおおお!!
屈み強ええええええ!!

少なくとも最序盤に登場する敵は、屈まないと入れないエリアには侵入できないっぽいですね!
メッセージの送受信から恐竜相手に威嚇までこなす、万能すぎて怖い「スマートウォッチ」

お、ようやく新しいステージに来られたみたいですね。大きな時計台があります。たぶんあそこがゴールでしょう。

そういえば、ステージクリアとは別にサブクエストもあるみたいですね。

あったしかに。……「ゴブリン【※】をルームランナー状態にする」、「エレベーターで敵を倒す」って書いてありますよ。
※ゴブリン…作中世界で最初に対峙するZinoの種族名だが、この時点ではプレイヤーたちはそのことを知らず、全員ファンタジー作品におけるあの「ゴブリン」が頭に浮かんでいる。

……????

何言ってるんですか?

どうされましたか?疲れましたか?一旦休憩しますか?

私にも分かりませんよ!本当にそう書いてあるんです!



…………。



ホントだ……。

言ったじゃないですか!

と、とりあえず怪文書(?)は置いておいて先に進みましょう。
あっ、このホームドア、あからさまに開けられそうじゃないですか?やってみましょう。




開いた!

役割のうち、「アプリ」はこういったギミックを担当するみたいですね。
主人公がつけてるスマートウォッチの「アプリ」を介することで、マップ上のいろんなギミックを起動できるみたいです。

なるほど。今アプリを担当しているのは僕です。ホームドアが開いたのはそういうことですね。

ホームドアを瞬時にハッキングして開けるスマートウォッチのアプリ、すごすぎません……?

スマートウォッチでは、ジュースも買えるみたいですね。

あっ、ヤバいヤバいヤバい敵きてる。

ちょっと、ジュース買ってる場合じゃないですよ!!!!

やばいやばいやばいやばい

逃げて逃げて逃げて逃げて

いけいけいけいけいけいけ

すみませんすみませんすみません……

気を取り直して次にいきましょう。
ここの「チャージスポット」で、スマートウォッチの充電ができるみたいです。


おお!充電できました!
また「フラッシュ」が使えるようになりました。安心感あるなあ。

あれ、なんだかこれ見よがしに吊り下がってるエレベーターがありますね。「これを落として敵を倒してください」と言わんばかりですよ。

これ、どうやって落とすんでしょう?

どっかに登ってケーブル切るんじゃないですか?周りを探索してみましょうよ。

……ん?なんかまたスマートウォッチの機能つかえるっぽいですよ。

えっ?まさか、このエレベーターもアプリで落とせるんですか?いや、でもさすがに……。
さっきのホームドアは電気で制御してるものだったからともかく、これは物理的に「ケーブル」を切らないと無理なやつじゃ──

あっ

「アプリ」、完全に物理にまで干渉してますね。

こっちにはなぜかエスカレーターがあります!しかもまたアプリが使えるようになったみたいです。
アプリ担当を交代したので、試してみますね。さっきみたいに恐竜を倒せるかも。




!!??!?!?

何何何何怖い怖い怖い!!

なんで恐竜がエスカレーターを一心不乱に逆走しているんですか!?

みなさん左上を見てください!
「ゴブリンをルームランナー状態にする」サブクエストがクリアになってます!

もう細かいことを気にするのはやめて進みましょう!情報が渋滞している!

ああ……もうひとつエスカレーターがありますね、これも起動しましょう。
これでもう一匹ルームランナー状態になってくれますから、だいぶ進むのが楽になりますよ。

起動します!


この肉食獣、獲物(主人公)押し退けてまでエスカレーターに突っ込んでいって逆走始めましたよ!

何がそんなに、彼らを「ルームランナー状態」に駆り立てているんですかね……。

ルームランナー状態になったおかげで、進行方向に進めるようになりましたよ。

みなさん。

進みましょう。時計台の下に走りましょう!

みなさん。

なんですか!?早くこの地下世界から逃げ出さないと!はやく視点動かしてください!

終了時刻です。

えっ……?

たぶん、今からやっと本編ですよ!?

ていうか、これまだチュートリアル範囲内じゃないですか!

はい、想定以上に難しくて足止めを食らいましたね……。
1時間半で、なんとか2ステージ目までクリアできまして、今回のリザルトはこちらです。




「ゴブリンをルームランナー状態にする」
Sランクやった〜〜〜〜!!!!
1時間半のプレイを終えて残ったのは、心地よい疲労感と、脳裏に焼き付いて離れない「ルームランナー状態の恐竜」という強烈な残像だった。
本作の4人羽織マルチプレイは、私たちが想像する協力プレイの範疇を軽々と飛び越えていた。操作の主導権をバラバラに奪い合う極限状態、かつ一筋縄ではいかない高難度アクション。ここで失敗しないことなど、ほぼ不可能に近いだろう。
だが、だからこそ面白い。
あまりの不自由さに、プレイヤーたちは他人のミスに対して驚くほど(本当に、驚くほど)寛容になれるのだ。
というより、今回のプレイを通じて、全員がすべての失態を「自分たちの操作ミスではなく、恐竜の動きが悪い」と全会一致で責任転嫁していた。この「共通の敵」へのなすりつけ合いがある限り、チームがギスギスする心配はなさそうだ。
実際、今回はアクションゲームを苦手とするメンバーも混じっていたが、絶叫と爆笑が絶えることはなかった。1時間半で2ステージというゆったりしたペースではあったものの、高難度といえどクリアまで漕ぎ着けることも、序盤のステージにおいては十分可能であった。
また、本作の「おすそわけ通信」が極めてスムーズな点も見逃せない。
ソフトが1本あれば最大4人でのマルチプレイが可能なだけでなく、シングルプレイを一切進めていない状態からでも、ホーム画面で「おすそわけ通信」を選ぶだけで、即座に近くのNintendo SwitchやNintendo Switch 2本体へ「おすそわけ」が完了した。

この手軽さと、操作不能ゆえの連帯感。
かつてない「珍妙な体験」を求めているなら、ぜひ信頼できる(あるいは、責任をなすりつけ合える)仲間と共に、この地下世界へ飛び込んでみてほしい。


























