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「要約不可能」なノベルゲーム『VIRTUAL GIRL @ WORLD’S END』がマジですごかったので、ネタバレ込みで紹介させてほしい。激重な世界観、でもメインはVTuberの成長譚、かと思ったら世界の存亡をかけたセカイ系、からの……

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令和のインターネットを生きていて、VTuberを一切見たことが無いという方は恐らくいないだろう。日々拡大を続け、時には現実にまで影響を与える巨大なコンテンツ。歌やダンス、トークからライブまで、いつも画面の向こうから私たちを楽しませてくれる存在。

そんなVTuberが「社会のすべて」に浸透するとしたら……一体それはどんな世界なのだろうか?

という、やや突飛な妄想をオトナが本気で考えた作品、それが『VIRTUAL GIRL @ WORLD’S END』というビジュアルノベルゲームだ。

ノベルゲーム『VIRTUAL GIRL @ WORLD’S END』レビュー、評価、感想:ネタの振れ幅がデカすぎて「要約不可能_001

本作の舞台は、2055年の東京だ。この世界は、「VTuber(作中での呼称はVstar)として成功するかどうか」ですべてが決まる。誇張や冗談ではない。

まず、娯楽はVstarしかない。この時点でヤバすぎる世界だというのはわかってもらえると思うが、輪をかけて強烈なのは「Vstar同士の苛烈な人気競争」がメインコンテンツだというところ。

各Vstarには自身の価値を示す仮想通貨が存在し、経済圏に組み込まれている。そのためファンだけでなくVstarに興味がない人も、否応なくVstarの人気競争に関心を持たざるを得ない社会なのだ。

ここまで聞いて、勘の良い読者なら気付いたかもしれない。「ヤバい、この作品ゴリゴリのSFだ!」と。

そう。本作は「どんな設定であれば、VTuberとそれを取り巻くファンダムの熱気を、社会基盤に組み込むような世界が成立するのか?」と本気で考え、世界観を構築したSFなのである。だが困ったことに、設定を成立させようと頭をひねった結果、Vstarもファンも搾取され続ける最悪のディストピア社会ができてしまった。ではどうするべきか?

当然、ぶっ壊すのだ。Vstarを使って。

ノベルゲーム『VIRTUAL GIRL @ WORLD’S END』レビュー、評価、感想:ネタの振れ幅がデカすぎて「要約不可能_002
(画像は『VIRTUAL GIRL @ WORLD’S END』公式サイトより)

Vstarとして人気と社会的影響力を持ち、その力を使ってクソッタレな世界をぶっ壊す!

社会を支配する手段も、社会を破壊する手段も、Vstar。「Vstarがすべて」な激熱ビジュアルノベルゲーム『VIRTUAL GIRL @ WORLD’S END』の魅力を、本稿で紹介していく。

ちなみに、本作は後半、「嘘だろ!?」と思わず声が出てしまうような怒涛の展開を迎えることになる。記事内ではその部分にも踏み込んだ紹介をおこなっているので、ネタバレNGな方は作品をプレイしてから記事を読むことを強くお勧めする。

文/植田亮平
編集/うきゅう

※本稿には、『VIRTUAL GIRL @ WORLD’S END』の内容に関する重大なネタばれが含まれます。あらかじめご注意ください。

※この記事は『VIRTUAL GIRL @ WORLD’S END』の魅力をもっと知ってもらいたいブシロードさんと電ファミ編集部のタイアップ企画です。


【悲報】未来の世界、娯楽がVstarしかない。文明は滅びかけてるし、都市は企業に支配されてるし、肝心のVstarはプロパガンダの道具だし、もう終わりだよこの世界

『VIRTUAL GIRL @ WORLD’S END』の舞台は未来の日本、2055年の東京だ。

人々は企業都市「オルタ」に住み、高度なテクノロジーのなかで暮らしている。

そしてこのオルタには、娯楽が「Vstar」と呼ばれるバーチャルライバーしかない。

……何で?

という疑問は、ここでは通用しない。多分みんな仕事とかで疲れて他の趣味をやる元気が無かったり、何か作ったりする暇がないんだろう。

現実でも同じだ。会社から疲れて帰ってきて推しのVTuberが配信してたら、まずそっちを開くのが人間の性というものなのだ。それが行き過ぎてしまった社会が、本作の舞台だ。

娯楽がVstarしかない上に、Vstarのメインコンテンツは「誰が一番人気なのか?」というタレント同士の優劣の比較だ。現実のファンダムでは相当嫌がられそうだが、都市オルタにおいては、毎日Vstarが熾烈な人気争いを繰り広げている。

なぜそのようなことになるのか? その要因が、「Vitcoin」と呼ばれる仮想通貨にある。Vstarは単なるアイドルに留まらず投資の対象にもなっており、それぞれが発行する「Vitcoin」はオルタのなかで、資本主義経済の株価のように扱われている。

だから、Vstarに興味がある人間も、ない人間も、みんながVstar業界の動向を毎日追っているしチェックしている。どのVstarに伸び代があり、どのVstarが人気を集め、どのVstarが落ち目になっているのか? Vstarはエンタメ業界のすべてであり、同時にオルタ内で最も影響力の高い商品なのである。

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故に、Vstarの世界は超が付くほど「弱肉強食、生き馬の目を抜く実力主義」だ。

Vstarとして生き残れなかった、あるいは失敗して人気を失った場合、基本的にそのVstarの「中の人」はオルタの外に追放、ないしは自主的に逃げていくことになる。

別にそこまでしなくても……と思うが、これにはちゃんと理由がある。この世界は大規模な戦争の結果、社会の大半が破壊されてしまった。人々はなんとかオルタに身を寄せているが、オルタは発展こそしていても決して物質的に豊満というわけではない。むしろ、物資は常に足りず、社会は常に「切り捨てられる無駄」を探し続けている。

だからこそ、人々はデジタルコンテンツに熱狂する。物質的な豊かさを得られなくても、デジタルの華やかさで心の渇きを潤すのだ。

そんな状況なので、オルタの中は「実力のあるものが生き残り、敗者は去れ」というメチャクチャ厳しい価値観がほぼ全員に浸透している。

そして、Vstar自体もそういった「勝者以外に価値無し」とするプロパガンダの広告塔、オルタに日々利用されているのである。

有限の資源、時間を無駄遣いするなと常日頃から民衆に説く、実力主義の象徴……そんな役割を日々演じているうちに、Vstar全員がすっかりその価値観を内面化させてしまっているのだ。

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そんな過酷な「自己責任社会」の内面化を象徴するのが、作中に登場するVstar「リンカ」ちゃんだ。彼女はこの厳しすぎるVstar業界を表すキャラクターとして描かれている。

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リンカは、オルタにおけるトップスターだ。ランキングでは実に53週連続で1位を飾る、圧倒的な強者。そんな彼女が力強く発する言葉は、壁の中のみならず、壁の外の“棄民”にさえ自発的な努力を促すほどの影響力を持っている。

誰もが憧れ、誰もが模範とする、それがVstarの頂点・リンカだ。

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だが、彼女の言葉が真に壁の外の少女を救うことはない。それどころか、リンカ自身にすら救いをもたらさない。

リンカの「中の人」である「凛」は、作中で何度もこのVstar業界の辛さを吐露する。プレッシャーや責任、ストーカー問題など……現実のVTuberも抱えるであろうそうした諸問題に押しつぶされそうになり、果てには自死の道まで考えてしまうという激重展開まで登場する。

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と、ここまで読んで

「VTuberがテーマの作品って聞いてたのに、この作品ってもしかしてそういう”芸能界の闇”とかを描く系? マジかよ……。」

とお考えの方もいるだろう。確かに、本作はVstarの輝かしい光と、その分だけ暗くなる影を克明に映し出す。

当然、こういった描写は後々「この社会をぶっ壊してやるぜ!」という展開が来た時にプレイヤーのテンションをぶち上げさせてくれる伏線としても機能するわけだが、ここまでの内容で本作を“わかった”気になってはいけない。

ここまでの説明では、まだこのゲームの20%も解説できていないのだ。

なにせ、まだ主人公すら紹介できてない。ここからは、そんな弱肉強食の世界で活躍するメインキャラクターたちを紹介しよう。

壁の外に暮らす「やれやれ系主人公」ミライと、「永い眠りから目覚めたAIアイドル」アイの凸凹コンビが、Vstar業界を駆け上がる。

本作の物語の本筋、メインとなるのは、やれやれが口癖のイケメンラノベ系主人公「ミライ」くんと、ちょっぴりおバカなバーチャルアイドル「アイ」ちゃんの二人が、厳しいアイドル業界でなんとか頑張っていくというオタク好みのものだ。

アイちゃんは「AGI」と呼ばれる、普通のAIよりも特別な性能を持ったAIで、まるで人間かのように様々な表情を見せてくれる。非常に可愛い。

しかし、アイちゃんはなぜか自分の生まれに関する記憶をなくしており、誰が何のために自分を生み出したのかという記憶がすっぽりと抜け落ちている。覚えているのは「みんなを笑顔にするのが自分の目的」ということ、そして「Vstarとして人気を得れば徐々に記憶を取り戻していく」ということだけ。

そんなアイちゃんを手伝うべく、ミライとアイのコンビはVstar業界へと共に乗り出していく……というのが序盤の導入となっている。

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先ほど、本作で描かれるVstar業界の厳しさを語ったが、「アイちゃんがリンカに虐められる」みたいな人間関係のドロドロ展開は無いので安心してほしい。

むしろ、荒廃した過酷な世界がベースとなる本作において、アイの存在は清涼剤のようだ。主人公のミライにネットミームを使ったボケをかましたり、VTuberあるあるをブッ込んできたり、鈍感なミライにオンナゴコロを説いたり、とにかくコミカルな会話が目立つ。

終始クールな態度のミライと、おちゃらけて可愛らしいアイの凸凹コンビ。そんな二人がてんやわんやしながらVstar業界で成り上がっていくさまが半分、リンカ(凛)を中心にえぐすぎるVstar業界を描く展開が半分といった感じで、お話は進行していく。

…とまあ、ここまでなら「Vstar業界の光と闇を描いた作品」を描いたイイ感じのテーマで、普通に面白そうな話である。

SFとかなんとか言ってたけど、結局アイドルモノか~、と皆さん安堵しているだろう。


……甘いわッッッ!!!!

そんなアイドルモノっぽい展開で進む本作だが、その背景には依然として、恐ろしいほどシリアスな設定が存在し、当然物語にも深刻に関わってくる。

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ライター
大阪在住のゲーマー。ゲームに限らずアニメ、映画など気になったものは何でも取り込む雑食系。オープンワールドのゲームやウォーキングシミュレーターなどが大好き。最近はオンラインゲーム『League of Legends』にドハマりしているが、プレイの腕はイマイチ。
編集者
小説の虜だった子供がソードワールドの洗礼を受けて以来、TRPGを遊び続けて20年。途中FEZとLoLで対人要素の光と闇を学び、steamの格安タイトルからジャンルの多様性を味わいつつ、ゲームの奥深さを日々勉強中。最近はオープンワールドの面白さに目覚めつつある。
Twitter:@reUQest

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