『ToM』は開始0秒で120通りの「取り返しのつかない要素」が襲ってくるし、ビルドが自由すぎる
『聖剣伝説3 TRIALS of MANA』は、2020年4月に発売(スマホ版は2021年7月発売)された、見下ろし型のアクションRPG。名作『聖剣伝説3』の3Dフルリメイクタイトルだ。ざっくばらんにジャンルだけ比べれば『LoM』と同様に「アクションRPG」なのだが、味わいはまったく異なっていた。
筆者なりに言い表すなら、『LoM』はRPG要素も楽しめるアクションゲームで、『ToM』はアクション要素も楽しめるRPGだ。
まず、本作はものすごく“RPGらしい”のだ。

どちらかといえば、『LoM』の方がゲーム性をアクションに寄せていてむしろ異質なのだが……。『ToM』ではちゃんとアイテムや宿屋で体力を回復しなければいけないし、装備を買えば、お金に困る。そして、戦闘では回復役がいないとちょっとつらい。そういうおなじみのRPG感がある。
『LoM』から入った筆者は初見プレイで『ToM』がめちゃくちゃRPGであることに衝撃を受けたのだが、逆にシリーズファンは『LoM』に衝撃を受けたのかもしれない、と思った。
しかし本作も、『LoM』に負けず劣らずめちゃくちゃに尖っている部分があった。『聖剣伝説』シリーズは、どこか尖っていなくてはいけないのかもしれない。
まず、メインキャラクターが6人もいる!
実際のプレイでは、そのうち1人を主人公として、さらに2人を仲間として最初に選ぶことになる。選んだ主人公、選んだ仲間、その組み合わせによってもストーリーが変化するのだ。
筆者は本作に関しては前提知識を何も入れずにプレイしたので、開始0秒で120通りの「取り返しのつかない要素」があることにはさすがに衝撃を受けた。
ちなみに、仲間を選んだ順番でも話の流れが変わるということをクリアしてから知り、「さすがにやり過ぎでは?」と感じた。
最初のパーティ選びについては、当然かなり迷った。が、最終的に、好みで選ぶと全員女の子になるなという確信だけはあった。そこで筆者は重要そうな「運」のパラメーターが高い順にキャラクターを選ぶことにした。決して女の子ばかり選ぶのが恥ずかしいからではない。
上述の通り、本作はパーティの組み合わせによってストーリーの展開が変化するのだが、プレイフィールも全く異なってくる。短剣を扱う“シーフ”のホークアイに、槍を振るう“アマゾネス”であるリース、拳で戦う“グラップラー”のケヴィン……とりあえず筆者が選んだパーティはどう足掻いても全員が物理アタッカーだ。脳筋パーティか?
ひたすら物理で殴るだけの冒険が始まった。
……と初めは思っていたが、実は少し進んで“クラスチェンジ”ができるようになったあたりで話が変わってくる。
本作、通常クリアまでに全てのキャラクターに上位クラスへの転職の機会が2回訪れるのだが、それぞれのルート派生が存在している。
例えば筆者が主人公に選んだホークアイは最初のクラスチェンジで“レンジャー”か“ニンジャ”を選ぶことができる。そして、レンジャーはさらに“ワンダラー”か“ローグ”にクラスチェンジができる一方で、ニンジャに進むと全く異なるふたつのクラスが選択肢に上がる。
到達地点がクラスだけで大別してもキャラクターごとに4つ存在しているのだ。
さらに同じクラスでもレベルアップで獲得できる“育成ポイント”の振り分けによって能力の特性も覚えるアビリティも全く異なってくるので、パーティ編成の幅はとんでもなく広い。


最終的に筆者のパーティはホークアイがクリティカルダメージを連発しながらバフをばらまき、リースは極大範囲召喚魔法を連発し、ケヴィンは無敵のタンクになった。
もちろん、全員ただただ物理攻撃に特化させるという方向性も選ぶことだって可能だし、全員をバフや回復を持つ支援型に寄せることもできる。誰でも脳筋や魔法使いになれるのだ。
ホークアイなんかは入手アイテムの数を増やす方向に特化できたりと、成長の方向性は結構ハチャメチャだ。
クラスチェンジのやりなおしなども可能だがコストは結構重く、気軽にできるものではないというイメージだ。クラスチェンジはまさに本作における目玉で運命の分岐点と言っていいかもしれない。
物語が120通りあるという時点でとんでもないのだが、さらにクラス編成も考えると下手すりゃ3桁では済まなくなるわけで、選択の自由があまりにもありすぎる。
まさに“ビルドが自由過ぎるRPG”。それが『ToM』の特徴なのではないかと思うのだ。
戦闘と育成の爽快感を味わえる“王道RPG”かも
そんなこんなで、自由なビルドを楽しみつつゲームを進めていったのだが……
正直に告白するとなんとなくその場のノリで自分の好みだけでクラスチェンジを重ねたので、「攻略的に効率がよくてバランスがいいパーティ」とはならなかった気がする。
ケヴィンに関していえば、なんとヒールを習得するルートもあったのでここはかなり悩んだ。悩んだけど、なんとかなりそうだったので選ばなかった。

それでも詰みはなかったので安心してほしい。このあたりは、ゲームシステム的に自由なプレイを推奨してくれていると感じられた。
たとえば、回復魔法がないにしても、本作の回復アイテムはかなり安価に設定されている。これはめちゃくちゃ助かる。

そして本作には弱攻撃と強攻撃があり組み合わせでコンボを繰り出せるのだが、それだけで敵を吹っ飛ばして行動不能にさせたりすることもできるので物理で殴るにしてもできることが山ほどある。攻略の幅の広さがゲームシステム的に許されている。
さらに魔法がないにしても、敵を殴ってゲージを溜めれば全員が超強力な必殺技を使えるので範囲攻撃もバッチリというワケだ。
もちろん、魔法はMPさえあれば何回でも使えて弱点属性を突いたりできるなど異なった利点もあるわけで、何もかもがただ考えなしに使って強いというわけではない。

このように戦闘でできることが多いので操作が忙しくなりそうなものだが、そうはならないのも本作の遊びやすいところだ。
戦闘中いつでも操作キャラを切り替えることができるが、もちろん操作していないキャラクターはCPUが自動で動かすことになる。それなりに攻撃もしてくれるし、それなりに回避もしてくれるのでちゃんと頼もしい。加えて、作戦を1人1人事前に細かく設定できるのは大助かりだ。

スマホ版ではオートバトルで攻撃や回避を全てCPUに任せることもできるので、アクションが苦手な人はよりRPG的に戦術に集中することもできるだろう。片手間でちょこっと遊びたいときにも役に立つ。
難易度設定も幅広くでき、それによるペナルティもなかった。技やアイテムの選択中は時間が止まるのでじっくり考える余裕もある。このあたりを踏まえると、個人的にはアクションRPG初心者の入門にはかなりオススメできる。
しかし、アクションRPGの醍醐味といえば、やはり技術介入によるゴリ押しだ。プレイヤースキルによって敵を蹴散らす。これが好きなのだ。
本作ではそういう遊び方も当然できる。バリバリ回避して、ボコボコと敵を殴るだけで最終的になんとかなっていることもある。
ただ、本作はやはりRPGとしての面白さもかなり強い。だから「王道」を感じた。

ビルドの多様さもあり、前に進むために、戦闘外で考えなければいけないことがちゃんとたくさんある。キャラクターにどういうロールを与えるかに関しても全て自分にゆだねられているわけだし。
そして、キャラがクラスチェンジを果たすと別格の成長を見せてくれるのが嬉しい。
『LoM』でも新しい技を習得した瞬間や武器を鍛え上げた瞬間とてつもなく強くなって気持ち良すぎるブレイクスルーを感じることがあるのだが、本作でもクラスチェンジで目に見えてドハデに強くなるので育成の爽快感がすごかった。
ステータスの大幅アップに加えて、上位の強力な必殺技を習得するし、覚えられるアビリティもセットできるアビリティも増えるわで、とんでもなく強くなれる。
そのうえでレベルもかなり上がりやすいのは個人的にはとても気に入っている。実のところ『LoM』も結構レベルは上げやすい。こちらも固定エンカウントなので、稼ぎやすい敵とすぐ連戦できるのは両作に共通している部分だ。

本作は『LoM』と違ってパーティ全体の生存にも気を配る必要がある。味方が自動操作で敵の攻撃をうまく避けられないこともあるので、装備や回復、作戦の調整が大事になるのだ。アクションで押すだけではなく、RPGとして仲間をどう支えるかも問われる。
このバランスが王道の「アクション“RPG”」らしさを感じさせてくれた。
やっぱりこれも良いゲームだった。今すぐ『ToM』をやってほしい。



