凍死体に惚れたゾンビが、蘇生のためダンジョンへ潜る──。
『ステューピッド・ネバー・ダイズ』は、ツカミから最高にクールなアクションゲームだ。まずは、本作のあらすじを紹介させてほしい。カッコいいので。
主人公は「負け犬片思いゾンビ」のデイビィ。終末世界のショッピングモールをさまよう彼は、冷凍庫のなかで凍死体となったジュリアと出会い、ひと目惚れしてしまう。
相手は死体。だが、ゾンビのデイビィにとってそんなことは問題ではない。デイビィはダンジョンの最奥に巣食う人類の敵を倒して彼女を蘇らせることを誓い、戦いに身を投じていく。

本作の戦闘の核は、敵を喰らって戦闘スタイルを奪う「スタイルイート」だ。機動力や攻撃力に極振りされたピーキーなスタイルを駆使し、ダンジョンの奥深くを目指していく。
2026年8月、ドイツ・ケルンで開催されたgamescomにて、本作をひと足先にプレイする機会をいただいた。その内容を紹介していこう。
ブッ壊れたショッピングモールで、ロボット掃除機に乗って、トイレに吸い込まれる←????
試遊の幕開けは、ショッピングモール。ゾンビ、終末世界、ショッピングモール──この三拍子で想像できるとおり、どのテナントも見事に朽ち果てている。
ゲームの主人公には、たいてい速く移動するための足が与えられるものだ。ファンタジーならドラゴン、中世ヨーロッパの騎士なら馬。だが、デイビィに与えられるのは「ロボット掃除機」だ。
円盤の上にあぐらをかいて座り、モールをスーッと滑走する。速くはない。「そこそこ」だ。その行き先は、まさかの「トイレ」である。
画面のナビゲーションにも、目的地として堂々と「トイレ」のマーカーが立っている。本作、なぜかトイレがダンジョンへと通じているのだ。
半信半疑のままトイレにインタラクトすると、デイビィが便座に腰かける。ここまではわかる。
横のレバーを押し下げる。
すると、デイビィがそのまま便器へ吸い込まれていく。←な、なぜ……?
文字にすると意味がわからない。だが、こちらはすでに“死体に一目惚れしたゾンビが、ロボット掃除機に乗って移動する”を飲み込んでいる。だから、ダンジョンに潜るころにはさして疑問も抱かない。
プレイ開始から数分で『ステューピッド・ネバー・ダイズらしい「バカバカしいカッコよさ」を叩き込まれる。だからこちらも、最速でこの世界に適応できるのだ。
ゲロをブチ撒ける、狼男に変身する──。めまぐるしく「スタイル」を切り替えて敵を蹂躙しよう
ダンジョンの構造は、階層を潜りながら能力アップを取捨選択して最深部を目指す、ローグライクの要素を持つ組み立てだ。攻撃力、回復力、クリティカルなどのステータス上昇に加え、ランダム要素の主役となる「スタイル」がくわわる。
その「スタイル」を手に入れる手段が、本作の心臓部「スタイルイート」である。敵をブン殴ると“コア”が露わになる。そこへゾンビらしく喰らいつけば、相手の能力はこちらのものだ。そうして奪ったスタイルを場面ごとに切り替えて戦う──これが基本の流れとなる。
……のだが、おもしろいのはここから。この「スタイル」を可能な限りめまぐるしく入れ替えることで、より有利に立ち回ることができるのだ。
所持できるスタイルはふたつ、素のデイビィと合わせて計3枠。スキルは秒数のクールダウン制で、性能はどれもピーキーに振り切ってある。だから「敵に合わせて」選ぶのも良いのだが、より強いのは戦闘中の「その一瞬」に合わせてガチャガチャと入れ替えることだ。
機動力に長けた「ハーピー」で、空中から敵へ接近。落下しながら「狼男」へスタイルチェンジ。頭上から、重い一撃を叩き込む。ひとつの連携のなかで、姿が二度変わる。本作では、このような流動的な動きが戦闘で輝くのだ。
ちなみに、ダンジョンに入ったばかりでスタイルを持たないデイビィのスキルは「ゲロの範囲攻撃」だ。
足元に撒き散らしたゲロを踏んだモンスターに、三桁のダメージがドカドカ刻まれていく。最低の攻撃で、最高の数字が出る。この落差だけで、気分よく戦いをスタートできる。
今回の試遊はおよそ30分とコンパクトだったものの、その30分で致死量の(もう死んでいるが)ユーモアを浴びることができた。
「うわっ、ヘンでかっこいい!」の余韻が冷めないうちに、次のヘンでかっこいい! が襲いくる。キービジュアルを見てピンときた方なら、きっとプレイ中もずっとブチ上がれることだろう。
そしてこの全部が、冷凍庫で凍った女の子ひとりを起こすためである。『ステューピッド・ネバー・ダイズの発売はハロウィン間近、10月22日。ゾンビの片思いに、付き合ってやってほしい。






