無線接続はアダプターを刺すだけ、面倒なセットアップは不要
そしてSteam Frameのもうひとつの優れた点、無線接続の簡単さについても紹介したい。
本機はPCとの無線接続に対応しており、接続方法は専用のアダプターをPCのUSBにプスっと刺すだけで完了する。面倒なアカウント作成や接続用ソフトなども一切いらないので、とにかく買ってすぐ無線接続したいというユーザーにとっては非常に便利。
さらに、無線接続はアダプターによって6GHz帯のWi-Fiに対応している。無線知識については疎いのでこれがどれくらい凄いのかは分からないが、少なくとも遊んでいる途中にPCと接続が切れるということは一切無かった。ルーターとの相性で接続が切れるのにお悩みの方はここも嬉しすぎるポイントだろう。しかもルーターを介した従来のWi-Fi接続と併用もできるので、さらに通信の安定性は高い。
正直言って、この手軽さはVR初心者にとって非常に嬉しい部分ではないかと思う。今まで無線接続と言えばやれアカウントを連係しろだの有料のソフトをインストールしろだのかなり面倒だったイメージなので、これによって初心者が無線でVRを楽しむハードルがぐっと下がったと言える(Virtual Desktopも不要だ)。
あと必要なことと言えばSteamのアカウントが必要なことぐらいだが、流石にSteamのアカウントを持っていなくて本機を買う人間はいないと思われるので、この点については心配ないだろう。
アイトラと専用カメラによってさらに広がるVR体験
最後に、Steam Frameの際立った特徴であるアイトラッキングと、専用の追加デバイス「Arcturus Vision Camera(アークトゥルス・ビジョン・カメラ)」についても紹介しよう。
Steam Frameにはゴーグルの内側に視線をスキャンする専用のカメラが備わっており、これにより追加のソフトやデバイス無しでアイトラッキングが可能となっている。デフォルトでアイトラが出来るのはデバイスとしては珍しい。
ちなみに、VRChatで実際にアイトラッキングのテストをしてみたところ、どうやらトラッキングしているのは視線の方向のみらしく、まばたき等にはOSCが反応してくれない。しかし後のアップデートで対応するかもしれないし、「どこ見てるか人にバレたい!」という人にとっては追加購入無しで視線感知が付くのでおトクだ。
また、この内カメラの視線感知によりSteam Frameは「プレイヤーの見ている箇所に応じて自動で解像度を上下させる」というハイテク機能も持っている。というかこっちがアイトラッキング機能の本命であり、これによりプレイヤーが見ている方向をゴーグルが判定してその都度適切な画質を提供してくれる。
今回のレビューでは効果を完璧には実感できなかったものの、かなり凄い機能ということは分かった。
そして極めつけは、本体に追加で取り付ける専用カメラデバイス、「Arcturus Vision Camera」(2万6980円)の存在だ。
本体の中央下部には追加のパーツをドッキングできるポートがあり、ここにこの追加パーツをカチャっと差し込むだけであら不思議、ゴーグル越しに見える世界がより鮮明に、かつフルカラーで色付くようになる(デフォルトだと色なし)。これでトイレに行きながらVRで作業をすることも容易に……という冗談はさておき。
実際のところこのフルカラーパススルーは軽くて取り回しの良い本機と相性が良く、「MRが身近な生活という」近未来な体験がかなり理想に近い形で出来るようになるので、「MRなんてゴーグルが重くてまだ無理だろ……」と思う半信半疑なあなたは、是非ともこのゴーグルを買って体験してみてほしい。

さらに、いくつかのアプリをダウンロードすれば、このカメラを使った様々な機能を体験することが可能となっている。
例えば「Arcturus Vision Camera」を使えばカメラを使った録画機能が使えるようになったり(ちなみに映像はVRの3D映像として保存されるので、VRビデオを撮影するのにうってつけ)、現実の環境をVR空間上で再現することなんかもできる。ゲームとはまだあまり関係のない部分ではあるが、非常にハイテクな機能でしっかり感動したので、そういった要素を求めるユーザーにも刺さりそうだ。

そしてこれは個人的に期待している部分だが、本体に拡張パーツを付ける部分があるということは、いずれフェイストラッキング用のカメラやサードパーティー製のアクセサリーなどが出てくる可能性もあるということだ。どれくらい拡張性が増すかは需要と供給次第だが、これからが楽しみな部分でもある。
ちなみに
最後に余談。Steam Frameは、実はマイクの性能も優れている。どれくらい優れているか……と聞かれると言葉では説明しにくいが、VRChatでフレンドに声を聴いてもらったところ、「Quest 3マイクと同等かそれ以上」とのことだったので、少なくともマイクの音質についてもかなり高いクオリティになっていると思われる。
周辺機器やアップデートの予定は? 気になったことを開発陣に聞いてみた
ここでは、Steam Frame開発陣へのメールインタビューをお届けする。主に本機の機能面について、レビューから見えてきた気になる点を質問してみた。
──Steam Frameは非常に軽量で余分なストラップもなく、着けていてとても快適でした。多くのVRユーザーがスタンドアロン型のゴーグルに求めるものは、やはり何と言っても装着時の快適性だと考えます。その点に関して、Steam Frameはどの程度ユーザーからの要求に応えられたと考えていますか?
Steam Frameチーム:
製品を設計するうえで、快適性は常に重視してきたポイントのひとつです。新しい機能を追加する際には、それが快適性にどのような影響を与えるかを一つひとつ検討してきました。
「Steam Frame」は、快適性と機能性をバランスよく両立できた製品だと考えています。実際に使っていただいた皆さんから、どのような感想をいただけるのか楽しみにしています。
──ハードゲーマーや特定のタイトルを長時間遊ぶユーザーは、製品単体だけでなく追加のアクセサリーやサードパーティー製のバッテリー、ストラップ等も活用している場合が多いです。追加のオプションパーツやサードパーティー製のアクセサリーについて、どのように考えていますか?
Steam Frameチーム:
「Steam Frame」は、アクセサリーやサードパーティー製デバイスとの組み合わせでも快適に使えるよう設計しています。
現在は、Indexのようなオフイヤーオーディオと、交換可能なバッテリーを備えた純正ヘッドストラップの開発も進めています。また、「Steam Frame」の発売にあわせて、2種類のサードパーティー製アクセサリーも登場する予定です。
今後、「Steam Frame」と組み合わせて使えるどのようなデバイスが生まれてくるのか、私たちも楽しみにしています。
──アイトラッキングはSteam Frameの目玉機能の一つですが、より高精度なハンドトラッキングやフェイストラッキングについてはどうでしょうか?後々何か追加のパーツを購入したり、ソフトウェアをアップデートすることで機能が追加される可能性はありますか?
Steam Frameチーム:
「Steam Frame」では、ハンドトラッキングにも対応したいと考えています。ローンチに向けては、まずゲーム体験とコントローラーによる操作に注力してきましたが、ハンドトラッキングについても今後取り組んでいくことを楽しみにしています。
ハードウェアとしては、ハンドトラッキングを実現できるだけの性能を十分に備えていると考えています。
──Steam FrameはフルトラッキングにおいてLightHouse方式を採用していませんが、そうした理由や経緯は何ですか?
Steam Frameチーム:
フルボディトラッキングやLighthouseは、VR体験をさらに広げる優れた技術だと考えています。まずは「Steam Frame」のローンチに向けて、ヘッドセットのコンピュータービジョンによるトラッキングをしっかりと実現することに注力してきました。
一方、「Steam Frame」はオープンなプラットフォームで、ユーザーがソフトウェアスタックを自由にカスタマイズできる環境も整えています。すでに、「Steam Frame」でのフルボディトラッキング対応に取り組もうとしている開発者がいることも把握しています。
──Steam Frameで快適に動作するタイトル(Great on Frame)について、すでに多くの作品がありますが、将来的にどれほどのタイトルが最適化されていく予定でしょうか?チームとしては、Steam Frameに向けたこのようなタイトルごとのアップデートに積極的ですか?
Steam Frameチーム:
今後どれくらいのタイトルが提供されることになるか、現時点では具体的な数は分かりませんが、非常に良いペースでラインアップが広がっています。これからさらに多くのタイトルが加わっていくことを楽しみにしています。

ここまで様々な要素を取り上げて紹介したが、Steam Frameという製品を一言で言い表すなら、やはり「快適性においてはピカイチ」というのが正直かつ的確な表現だと思う。
着けたときの軽さや疲れないフィット感、無線接続やゲームにアクセスする際の手軽さや、とにかくストレスのないコントローラーまで、あらゆるレベルで快適性が揃っている。VRデバイスが出る度に手を出しているマニアに対しても良い製品だが、何よりもVRゴーグルをまだ持っていない初心者にとってもオススメな商品なのではないだろうか。
もちろん、スタンドアロン型のゴーグルに求められる基本的なスペックは揃っているし、日本ユーザーにとっては主目的であろう「ぶいちゃ」での使用もバッチリ。特に長時間インしていつも頭痛に悩まされているVRChatterにとっては、かなりVR体験を変えてくれるポテンシャルを持っていると感じた。しかもフィンガートラッキングとアイトラッキングをはじめから兼ね備えているので、フレンドを撫でまわすのには打ってつけのデバイスでもある。
値段は張るが、このデバイスはVRゴーグル選びに悩んでいる人にとって有力な候補のひとつになりそうだ。
Steam FrameはオンラインストアKOMODO STATIONにて9月15日より販売中。価格は256GBモデルが19万9980円、1TBモデルが24万4980円だ。



