2027年は『ロックマン』が発売されてから40年の節目にあたる年。
その春に発売予定の『ロックマン: デュアル オーバーライド』には、主人公ロックマンの兄にあたるロボット「ブルース」がプレイアブルキャラクターとして登場する。なんと2010年発売の『ロックマン10 宇宙からの脅威!!』以来、約17年ぶりの再登場である。
その17年ぶりのブルースを、発売に先駆けて操作する機会に恵まれた。舞台は、見習いエンターテイナーロボット「トゥインクルガール」ステージの3つのエリアだ。
結論から言えば、ブルースは正真正銘のブルースになっていた。
焦点が当てられたのは、彼の代名詞である盾「ブルースシールド」。コマンド入力で強力な「シールド技」をくり出し、その際にかかる負荷を管理しながら立ち回る。ロックマンでは味わえない遊びを備えたキャラクターへと、大きく変わっていた。
体験しての率直な感想はズバリ「これはおもしろい!」。
『ロックマン』シリーズを古くから知る方々は「ホントかぁ?」と物申したくなったかもしれない。大事なことなので、くり返しておこう。
このブルースはおもしろい!
動かせば動かすほど、うまくなっていく手応えがある。
じつのところ、プレイアブルキャラクターとしてのブルースには苦手意識があった。
シリーズの本流であるステージクリア型2Dアクション作品にブルースがプレイアブル登場したのは、『ロックマン ロックマン』『ロックマン9 野望の復活!!』、そして『ロックマン10』の3作。いずれも強みと弱みが極端なキャラクターだった。
強みはわかりやすい。『ロックマン ロックマン』では移動速度とジャンプ力に優れ、『ロックマン9』と『ロックマン10』ではチャージショットとスライディングが使える。そして3作共通で、「ブルースシールド」なる盾で敵弾を防げる。
弱みも同じくらいわかりやすい。『ロックマン9』と『ロックマン10』は通常攻撃「ブルースバスター」の最大連射数が2発で、ロックマンの3発より少ない。3作共通で被ダメージ量も大きい。
使いこなせればおもしろい。ただ、リスクが大きく、扱うには神経を使うキャラクターだった。その印象が強く、正直、体験前は身構えていた。
弱みを除けばロックマンと基本性能はほぼ同じで、後発のフォルテ【※】ほどの個性もない。そんなブルースが、いったい何をどうされて、こうなったのか。答えは……あの盾にあった。
※1995年発売の『ロックマン7 宿命の対決!』で初登場したロックマンのライバル。1998年発売の『ロックマン&フォルテ』では、ブルースに先んじて2Dアクション作品のプレイアブルキャラクターに抜擢された。2段ジャンプ、身を屈めてのダッシュ、7方向に自動連射できる「フォルテバスター」が特徴。のちに『ロックマン10』にも追加配信のプレイアブルキャラクターとして登場している。
※画面は開発中のものにつき、実際の仕様とは異なる場合があります。
コマンドひとつで盾が飛ぶ。ただし使いすぎればオーバーヒート。テクニカルなおもしろさに富んだ新生ブルース、ここに推参
9月9日放送の「Nintendo Direct」ですでに紹介されているとおり、今回のブルースは「ブルースシールド」という盾を使った「シールド技」と、通常攻撃「ブルースバスター」を併用するキャラクターに改められている。
盾を使った近接技と聞いて、同じカプコンつながりで『モンスターハンター』の「盾攻撃(シールドバッシュ)」のノリを思い浮かべた人もいるかもしれない。だいたいそれで正解である。
盾を前面に構えて突撃する。ブーメランのように投げる。さらには盾でアッパーカットしながら空へ飛び上がる。そんな技を決められるのだ。(あ、失礼……『ストリートファイター』も入っていた)
これらの技は、ロックマンで言うところの「特殊武器」に相当する。実際、盾を前面に構えて突撃する「シールドジェット」は、ロックマンで使えた特殊武器「ジェットスティンガー」と性質が同じだ。
ただ、ブルースはコマンド入力で発動する。ここが最大の違いである。コマンドの入力がそのまま専用装備への切り替えを兼ねているため、メニュー画面を開く必要がないのだ。そのため、使いたいと思った瞬間に、気軽な感覚で技をくり出せる。
盾でアッパーカットしながら飛び上がる技「ライジングシールド」も、同じくコマンド入力で出せる。
コマンド入力と聞くと、『ストリートファイター』に代表される対戦格闘ゲームのような複雑な操作を想像するかもしれない。だが、今回の体験で使えた技は方向キーひとつ+△ボタン(Xボタン)という簡単操作でくり出せる設計だった。
また、長押し入力でシールド技を出すと、ロックマンで言うところの「パワーショット」にあたる効果(特殊武器が高火力で放たれる)が発動する。
特殊武器に相当する技を即座に出せる時点で、ロックマン以上の利便性である。ただし、甘い蜜には毒がある。
各技を使うと、シールドの「ヒートゲージ」が上昇。最大に達するとブルースはオーバーヒート状態となり、ブルースバスター以外の攻撃を一時的に出せなくなってしまうのだ。
よく似た仕組みは、ロックマンの「オーバーライド」にもあった。だがブルースは、オーバーライドに加えて、シールド技の使いすぎでもオーバーヒートを起こしてしまう。
そこで用意されているのが、専用アクション「クールダウン」だ。L2(ZL)ボタンを押すとブルースが排熱の動作を行い、ヒートゲージが下がるのである。
つまり、オーバーヒートの危険が高まったらクールダウンで体勢を立て直す。これが技を使いこなすカギとなる。ヒートゲージの上昇に目を配り、どこで冷ますかを見極める。その判断が、ブルースの操作では常に求められてくるのだ。
逆に言えば、ヒートゲージの管理さえできていれば、各技の強みと利便性に任せたテクニカルな立ち回りが可能になる。これが本作のブルースの特徴だ。
過去の『ロックマン ロックマン』『ロックマン9』『ロックマン10』のときのブルースとはいかに違うか。そして、ブルースならではの独自性がどれだけ発揮されているか。おわかりいただけたかと思う。
まさにロックマンとは違った魅力と、動かす楽しさを持ったキャラクターになっているのだ。
今までのブルースは、よくも悪くもロックマンを基準に測られるキャラクターだった。だが今回のブルースは“正真正銘”のブルースといった具合である。
バスターの射程が短く、近づかないと当たらない。その“弱み”が、動かすおもしろさに変わっていく
とはいえ、過去作のブルースを知る人なら「今回も何らかの弱みがあるのでしょう?」となるところだ。
実際、ブルースは試作ロボットであり、その動力回路に不調があるという設定が、初登場作の『ロックマン3 Dr.ワイリーの最期!?』の頃から存在する【※】。それが被ダメージ量の大きさという特徴にも表れていた。もともとのハイリスク&ハイリターンな性能は、旧来のキャラクター設定に基づいているのだ。
※『ロックマン3』のエンディングで明かされる設定。ブルースが生みの親であるライト博士のもとを離れ、単独行動を取るという立ち位置にも関係する重要なものだ。また、この影響もあって、ロックマンはブルースが自らの兄にあたる存在だと気づいていない。
ただ、意外にも本作のブルースは被ダメージ量が大きくなく、打たれ弱さに悩まされることはなかった(※念のためだが、今回の体験範囲内での話のため、製品版では違う可能性がある)。
代わりに手を焼いたのが、通常攻撃「ブルースバスター」である。
なんと今回は射程が短い。ロックマンのように遠くの敵を狙って撃っても、届く前に弾が消えてしまうのだ。当てるとなれば、ある程度は敵に近づかなくてはならない。これはチャージショットこと「ブルースストライク」も同様だ。しかも、ブルースストライクを使うと、前述したヒートゲージまで上昇する。
ブルースストライクは、ジャンプしたときに『ロックマンX(エックス)』シリーズのキャラクター「ゼロ」が扱う武器「ゼットセイバー」を思わせる斬撃に変化する。これもプレイして間もないころは戸惑ってしまうだろう。もちろん、斬撃なので効果範囲も狭い。
ボスに対しても、それなりに接近しないと命中させられない。エリア2に登場するアストロマンR、そしてメインボスのトゥインクルガールとの戦いでも、この距離には悩まされた。
ただ、前述したようにブルースは通常攻撃とシールド技を併用できる。バスターで届かない場面はシールド技に、バスターが届く場面はバスターに任せる。この切り替えが効くので、慣れるとバスターの弱みが戦術的なおもしろさへとつながっていくようになっていた。
ときには、それが場面ごとの「答え」に気づかせてくれることもある。
その過程でコマンド入力という手間が生じる点は、ある種の弱みとして働く。だが、そこをうまくさばくアクションゲームとしてのおもしろさと、綺麗に決められたときの達成感は、テクニカルタイプなブルースならではだ。
こうした特色もあって、今回のブルースの弱みはストレス要因ではなく、おもしろさを底上げする要素として機能しやすい。
今回の体験範囲では確認できなかった打たれ弱さや、製品版に実装される予定らしい残機制が重なれば、多少のストレスは出てくるだろう。それを前提にしても、動かすおもしろさが勝ちそうというのが正直な印象だ。
現にトゥインクルガールとの戦闘でも、弱みがありながら楽しさが上回りそうな瞬間があった。具体的には、相手がオーバーライドで大技を決めてきたときである。

ここはロックマンだと回避に専念しなければならない場面だが、ブルースなら逆に攻め込む機会を作れる。
ただし、それには近づかなければ当たらないという弱みを承知で踏み込む勇気がいる。その勇気を振り絞って攻め込めたとしたら……間違いなく、ブルースだからこその“してやったり感”を味わえるはずだ。
こうしたチャンスが他のステージやボスにも用意されているのなら、ブルースですべてをクリアしてみたくなる。苦手意識のあったキャラクターに対して、ここまで前向きになれること自体が、本作のブルースの出来を物語っている。まさしく「これはおもしろい!」なのである。
オーバーライド時の姿はまさかの……。さらに聞き覚えのありすぎる技名とボイスが、シリーズファンの心を揺さぶる
今回、ブルースに強烈な魅力を感じたのは、一連の特徴とアクションの楽しさに留まらない。まずはオーバーライドだ。ロックマンと同じく、ブルースもオーバーライドの能力を使うことができる。
もちろん、発動した際にはロックマンと同じく、ブルースの容姿が変化する。その姿というのが……かれこれ云十年も『ロックマン』シリーズを追い続けてきた者の心と情緒を、猛烈に震わせるものだった。
いったいどんな姿になるのかは、これまで公開されたトレーラーでも一部しか紹介されていないことに配慮して伏せさせていただく。
ただ、これだけは確信をもって言っておこう。古くから『ロックマン』シリーズに慣れ親しんだ人ならば、間違いなく興奮する。そして、無印シリーズで長いこと謎とされてきたことへのある種の“答え”が示される、決定的瞬間を目撃することになるだろう。
さらに、これはあらかじめお伝えしておこう。オーバーライド中、ロックマンは最大チャージで高火力のチャージショット「ファイナルチャージショット」を放つことができた。対するブルースは、最大チャージで「ビッグバンストライク」を放つことができる。
『ロックマン』シリーズを古くから追いかけている人にしか伝わらない技名だと思う。そう……あのビッグバンストライクだ。わかる人には、これがいかに感無量なものかがわかるはずだ。
そうです、今回は(無印シリーズで初めて)プレイヤーの手で撃てます!
ちゃんと「ビッグバンストライク」と技名を叫ぶボイス付きです!
そう、ブルースもゲーム中にしゃべる。ロックマンやラッシュ、ロール、トゥインクルガールと同じくボイスが用意されており、シールド技などを決めるたびに、『ロックマンX』シリーズのゼロや『ロックマン ロックマン』のときと同じように技名を叫んでくれる。
そして、このボイスこそが、今回のブルースに強烈な魅力を感じたもうひとつの部分である。詳しくは言えないが……『ロックマン』シリーズを遊ばれてきた人は知っている、確実に知っている! この馴染み深すぎる声のブルースを!
正確なところは現時点では非公表であるため、声優さんの名前は伏せるが、正式発表されるときを心待ちにしたい。事実だとすれば、嬉しすぎてたまりませぬ!
今回の先行体験で遊べたのは、トゥインクルガールのステージ。ほかのステージやボスがどうなっているかは、これからのお楽しみである。
また、ステージセレクト画面中央のアイコンは、ちゃんとブルースになっていた。ただ、ロックマンとブルースが『ロックマン10』などと同じく独立した形での進行になるのか、それとも切り替え方式なのか。詳細な仕組みはわからないままだ。
そして、ブルースが操作できる体験版は、千葉・幕張メッセで9月17日から開催される「東京ゲームショウ2026」には出展されない。同イベントのカプコンブースに出展されるのは、ロックマンを操作できる体験版とのことだ。とはいえ、いずれブルースに触れる機会も必ずくるはずである。
そのときが来たらぜひ、ロックマンの上位互換でも下位互換でもない、正真正銘のブルースだけが持つアクションの数々を楽しんでみていただきたい。ロックマンとはまるで異なる操作感のキャラクターになっていることに、偽りはなし。
17年越しのシリーズ復帰を果たすブルースの、新たなる力を見逃すなかれ。
刮目して見よ! これが新生ブルースだ!










