ValveはPCゲーム配信プラットフォーム「Steam」に関連するアプリとして、「Steam Link」と「Steam Video」をiOSとAndroid機器向けにリリースすると英語圏で正式発表した。リリース日は5月21日、Android版は同日からベータテスト が実施される。
Valveはすでに、Steamストアでゲームを購入したりライブラリを管理したりするための補助アプリを配信しているが、今回発表されたふたつのアプリはむしろコンテンツをスマホなどで楽しむためのもの。特に「Steam Link」は、PC(親機)で動作しているゲームをスマホなどでストリーミングプレイすることが可能なものとなっている。
そもそもSteamにおいては、「Steam Link」という同じ名前のハードウェア製品が2015年から販売されている。これは他のPC(親機)にて動いているゲームを、Steam Linkを接続したテレビやディスプレイにてストリーミングで遊ぶことができるという代物だ。メインPCの置かれていないリビングやベッドルームなどでも、インターネットを通じてSteamのゲームがプレイできる製品として販売されてきた。
今回発表されたアプリ版「Steam Link」を使えば、PC(親機)で動作しているゲームを、インターネット経由にてスマホ上で表示してプレイすることができる。対応機種はiOS(iPhone、iPad、Apple TV)とAndroid(フォン、タブレット、TV)。5GHzネットワーク上で動作し、親機(PC、Mac)は有線接続されている必要がある。
スマホ上でプレイするということで、操作がいったいどうなるのかは気になるところだが、現時点ではSteamコントローラーおよびMFiコントローラー(Appleのガイドラインに準拠したスマホ向けコントローラー)が対応していることが明らかにされており、タッチ操作に関しては触れられていない。
スマートフォン上でSteamのゲームが完全動作するわけではない点に注意は必要だが、親機で動いているゲームをスマホに中継しつつ、ベットで寝転んでプレイしたり、トイレやお風呂に入りながら遊んだりといったプレイスタイルが考えられる。PCに向き合ったり、ソファに座りながらテレビを見るだけではなく、より幅広いプレイスタイルに対応することになるだろう。
こういった幅広いプレイスタイルは、同様の機能を持つアプリ「Moonlight Game Streaming」のほか、2017年3月に発売された据え置き機にもゲーム機にもなるNintendo Switchや、PlayStation 4とPlayStation Vitaのリモートプレイ、あるいはGPD Winのような小型ゲーミングPCとSteamホームストリーミング(※PC同士向けのストリーミング機能)など、細かな仕様は異なれど、さまざまな仕様で実現されてきた。今後もシチュエーションや場所に縛られないゲームの遊び方が増えていくことに期待したい。
文/ishigenn