2017年に提出されたイギリスのノーフォーク州の新たな都市建設計画を解説するLanpro社のパンフレットに、『Cities: Skylines』のスクリーンショットを使用していたことがファンによって発見された。
スクリーンショットは3年前にIVIaartenと名乗るユーザーによってRedditに投稿されたもの。見比べてみると、ほぼそのまま使用されていることがわかる。
Lanpro社の計画では、この都市を「ノーフォークの美しい景観と調和した高品質で未来的なデザインの都市」としている。
本件を最初に報告したのは、同じくノーフォーク州をベースとするローカル紙「Eastern Daily Press」だ。盗用を発見したノーフォーク州に住むゲーマーのMatt Carding-Woods氏は、このパンフレットの小さなスクリーンショットが『Cities: Skylines』のものであることを、下部にある変色した木々から見抜いた。
これは焼却炉が引き起こす環境汚染を示す変化だ。また、中央下部の鉄道の終点が独特なカーブを描いている点も、これが同作だとわかる要因になっている。
そもそもこの都市計画自体には、かねてより批判が噴出しており、慈善団体である「イギリスの田舎を守る運動(Campaign to Protect Rural England)」は、地方議員と協力してこの計画を強く批判している。
また、教区協議会も、この計画には不備があると指摘。パンフレット5ページ目で示されている地図には、森林委員会の所有するビンツリーウッズが含まれているのだという。
また、盗用を発見したMatt Carding-Woods氏も、Lanpro社を都市計画のプロとして怠惰であるとし、同社のこの計画そのものへの姿勢を示すものだと批判している。
そして『Cities: Skylines』は、完全に現実的な都市管理を意図したゲームではないと語った。
※『Cities: Skylines』を使ったワークショップ
そういった一方で、こういった都市管理ゲームが学校の授業や実際の都市開発に利用されているケースも多々ある。今回話題となった『Cities: Skylines』では、2016年にスウェーデンの都市開発で実際に採用され、2日間のワークショップでさまざまな分野の人々にゲームを使い都市を作るという催しが実施された。
完璧とはいかないまでも、今回のように都市計画のプロから見てもサンプルとして使用したいぐらい、『Cities: Skylines』は精密な都市を描写できているのかもしれない。
なお、Lanpro社のマネージングディレクターChris Leeming氏はこの件について、「計画をモデル化し、わかりやすく説明するため、ソフトウェアを真剣に利用した」と述べているが、他人の制作したスクリーンショットを盗用していることについては触れていない。今後もこの都市計画への批判は続くことだろう。