世界最速のパンは誰だ。食パンとなって熱々のトーストを目指すゲーム『I am Bread』のリアルタイムアタック(RTA)にて、世界新記録の更新合戦が勃発しているようだ。
さまざまなゲームでRTAの記録を集積するサイトSpeedrun.comでは、ここ数日で3人のプレイヤーがストーリーモードにおけるRTAで世界最速のパンを目指してしのぎを削っている。抜きつ抜かれつのデッドヒートを繰り広げるパンたちだが、10月16日時点でのトップは同日登録されたYaro_Karozuno氏の6分00秒となっている。
『I am Bread』は、手術シミュレーターゲーム『Surgeon Simulator』のBossa Studiosが開発、2015年に発売したパンが主役のゲーム。プレイヤーは一切れのパンとなってステージを移動し、マップ内に設置されたトースターやストーブなどの熱源を利用して自身の表面を裏表こんがりと焼き、熱々のトーストとなることを目指す。
言葉で説明するだけでは単なるお馬鹿なゲームに見えるが、パンは単純に歩いて移動するわけではなく、物を掴むことができる四隅の角を使って、まるでボルタリングのごとく家具や壁伝いに移動しなければならない。この独特な操作が難しく、見た目以上に繊細なボタン入力が要求されることになる。
また床や壁のような汚れた場所に接触することでパンの質が落ち、ゲージがゼロになるとゲームオーバーになるライフ要素もあり、ゆるい見た目とは裏腹に奥深く難度の高いハードコアなゲームに仕上がっている。
そんな本作のRTAは、まるでパン自身をフリスビーのように飛ばしてステージのギミックをすべてすっ飛ばしてしまうというクリア方法が主流。部屋の中をひとりでに回転しながら飛び回るパンの模様は、物理演算を採用した『I am Bread』の可能性を示してくれている。
※Yaro_Karozuno氏による世界記録。描かれる放物線はトーストへの架け橋。
Yano_Karozuno氏は、ゲームがリリースされた3年前から少しずつ『I am Bread』のスピードラン記録をYoutubeにアップロードしていた”古参のパン”。動画リストを確認すると、もっとも古い記録は9分35秒だったが、3年やり込むことで3分以上の短縮に成功したようだ。ここ数週間、氏の記録を破るライバルが現れたことから、さらなる記録を目指して精力的にチャレンジしている。
マップ上にはさまざまな仕掛けが用意されており、物理演算を利用した流動性の高い『I am bread』ゲームプレイは、今なお見つかっていない可能性がいくつも潜んでいるはずだ。まだ始まったばかりといえる本作のスピードランシーンに、あなたも参加してみてはどうだろうか。
文/古嶋誉幸