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『Gears of War』の生みの親クリフ・ブレジンスキー氏、「二度とゲームを開発しない理由」を語る

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 『Gears of War』の生みの親として知られるアメリカのゲーム開発者クリフ・ブレジンスキー氏は先週末、「自身が“二度と”ゲームを開発しない理由」をTwitter上で語った。一見するとゲーム開発からの本格的な引退を示唆するような内容だ。

 海外メディアgameindustry.bizが、同ツイートでの発言を真剣に受け取ってよいのかと問い合わせたところ、氏は“I’m done.”とだけ短く返答したという。“I’m done.”は「終わったよ」や「済ませたよ」、あるいは「止めたよ」といった意味合いの言葉であるが、これが引退を示しているのかどうかは曖昧だ。

 氏は今年5月、自身のスタジオを閉鎖し、運営していたゲームの開発も停止。当面はしばらく休暇を取り、いつかゲーム開発にふたたび戻れる日を望むと発言していた。しかし、時期は不明ながら、この復帰の可能性を示したツイートが削除されていたことも今回確認されている。

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(画像はMicrosoft Store | Gears of Warより)

 ブレジンスキー氏は1975年生まれの43歳。10代のころからゲーム開発に携わっており、1992年から20年間、現在は『フォートナイト』で一躍有名となったEpic Gamesに在籍していた。

 同スタジオのヒット作であるアリーナシューター『Unreal』の開発に参加し、カバーシューターの火付け役となった『Gears of War』初期三部作の制作を指揮するなど、Epicの有名開発者として活躍。ファンからもCliffy Bの愛称で親しまれていた。なお、小島秀夫氏と交流があり『Sillent Hills』の開発を持ちかけられたという話や、子どものころからゲームが好きで宮本茂氏の作品をリスペクトしているといったエピソードもある。

 2012年にEpicを退社し休暇を経たあとは、2014年に自身のスタジオ「Boss Key Productions」の設立と、ネクソンとともに手がけるアリーナFPS『LawBreaker』を正式発表。しかし、同作は2017年にはリリースに至ったものの、プレイヤー数が伸び悩むことになる。2018年4月には開発中のバトルロイヤルゲーム『Radical Heights』をリリースするが、すでに『LawBreaker』の不振でスタジオに出ていた悪影響は回復できず、翌月にはスタジオ自体の閉鎖が発表された。

 今回の発言が引き起こされた一件は、この閉鎖したBoss Key Productionsと氏に向けられたツイートが始まりだった。
 すでに削除されたが海外メディアEurogamerには記述が残っている。それによると、とあるユーザーが新たにTwitterアカウントを取得し、Boss Keyのゲームのためにお金を支払ったユーザーにすべて返金が行われていないことと、『Gears of War』で成功していたころを振り返ると今の君を見るのは悲しいということを、氏に伝えたのだ。

 これに対し氏は、スタジオが閉鎖されたあとも数ヶ月間、雇用していたスタッフの給料やヘルスケアに関する費用を支払ってきたと返答。それによって彼らは家族を養うことができたと伝えた。一方で、自身は2年間にわたり自身の給料を受け取っていないとも続けている。

 氏は最終的に「自分は君を悲しませている、でもそうだなまったく、こんなクソみたいなことが自分が他のゲームを二度と作らないもうひとつの理由なんだ」と締めくくった。“二度と”(NEVER)は大文字で強調されていた。

 2015年、まだBoss Key Productionsが『LawBreakers』の開発に取り組んでいたころ。海外メディアDestructoidのインタビューを受けたブレジンスキー氏は、2012年にEpic Gamesを退社した件について触れていた。氏は当時、自身のアイディアが社内で採用されにくくなりつつあった当時の状況を「みんなこのビジネスに疲れだしていた」と説明しつつ、退社したあとは「正直にいうとやり終えたと思っていた」と語った。

 一見すると引退を示唆しているかのような彼の行動だが、gameindustry.bizの取材やファンからの質問には重ねて明言はせずぶっきらぼうに答えるなど、煮え切らない様子も見受けられる。「氏がゲーム開発を二度としない理由を語った」ことは事実だが、それもスタジオをたたんだあとの事後処理を続ける氏の心情から思わず出てしまった言葉なのかもしれない。

 もし真に引退を示唆しているとしても、Epicを辞めてから心境が変わりBoss Keyを立ち上げた時のように、ふたたび数年後にカムバックすることもありえなくはないように思える。氏の素晴らしい作品がいつの日かまた登場することに期待したい。

文/ishigenn

編集
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ニュースから企画まで幅広く執筆予定の編集部デスク。ペーペーのフリーライター時代からゲーム情報サイト「AUTOMATON」の二代目編集長を経て電ファミニコゲーマーにたどり着く。「インディーとか洋ゲーばっかりやってるんでしょ?」とよく言われるが、和ゲーもソシャゲもレトロも楽しくたしなむ雑食派。
Twitter:@ishigenn

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