いま読まれている記事

カリフォルニア州、とある地区の理事選挙を「ダイスロール」で決める。得票数が同じためTPRGの20面ダイスで勝負へ

article-thumbnail-181217j

 カリフォルニア州のバイロン・ベサニー灌漑地区1の理事を決める選挙で、勝者をテーブルトークRPG『ダンジョンズ・アンド・ドラゴンズ』の20面ダイスで決定する珍事が起きたことが発表された。これは理事会の一席をめぐり実施された候補者ふたりの選挙で、得票数がまったく同じになったため起きたのだという。

 1850年に設立されたカリフォルニア州コントラコスタ郡の170年の歴史の中でも、選挙で得票数が同じになったことはほとんど無い。そして、おそらくアメリカ合衆国の歴史を紐解いたとしても、選挙の勝者を20面ダイスの出目で競ったというのははじめての試みだろう。

 その模様はFacebookのライブストリーミング動画のほか、KPIX 5によるインタビュー動画もアップロードされている。

 この勝負に臨んだのは、7年間現職の理事を務めているラリー・イーノス・ジュニア氏と、対立候補のミリアン・ペトロビッチ氏だ。この地区の有権者は147名。票を投じたのはその中の110名。そして、両候補はそれぞれ51票ずつを得ている。

 勝負は3回のダイスロールの合計値で競われ、先攻は挑戦者であるペトロビッチ氏。勝負とはいうが、終始和やかな雰囲気の中進んでいった。2回ずつ行われたダイスロールでは、32対31でペトロビッチ氏がわずかにリード。両者の差はたったの1ポイントという接戦を繰り広げた。

 しかし、最後のダイスロールでイーノス氏が最高値となる20を出して得票数と同じ51ポイントを獲得。ここ一番で勝負強さを発揮し、45対51で見事な逆転劇を演じた。イーノス氏は、さらに4年間当地区の理事の椅子に座ることとなる。

カリフォルニア州、とある地区の理事選挙を「ダイスロール」で決める。得票数が同じためTPRGの20面ダイスで勝負へ_001
(画像はYouTube | Dice Roll-Off Decides Rare Election Tie in East Bay Contestよりキャプチャ)

 今回のダイスロールによる勝者の決定はコミカルに見えるが、実はれっきとした法律に則って行われている。「選挙において複数の候補が同率首位の得票を得た場合、直ちにその候補を招集、その場で抽選によって勝者を決定しなければならない」(要約)というカリフォルニア州選挙法第15651条の決定によって行われたものだ。

 抽選方法に規定はなく、コイントスやカードによるくじ引きより、この選挙を公平に終わらせられると考え、このダイスロールを採用したという。選挙補佐官のスコット・コーノ―パーセック氏は、このダイスも職員の誰かの私物だと答えている。また、他の選挙でも得票数が同じになる事態は起きているとし、今後この選挙区でも起こり得るだろうと話している。

 なお、コントラコスタ郡とアラメダ郡にまたがるバイロン・ベサニー灌漑地区3の理事は対立候補が居ないため、ティム・マジョ―リー氏が続投となったという。

カリフォルニア州、とある地区の理事選挙を「ダイスロール」で決める。得票数が同じためTPRGの20面ダイスで勝負へ_002
(画像はByron-Bethany灌漑地区公式サイトより)

 このような事態は日本でも起きており、まれにそういったニュースが報道されることがある。特に有権者が少ない地区では起こりやすい問題であり、決定方法は各自治体に任されているというが、棒くじによって勝者を決めることが多いという。

 このニュースが広く知られれば、くじに比べれば運だけでなくテクニックも必要となる20面ダイスロールは、日本でも一般的な選挙のタイブレークとして使われることになるかもしれない。

文/古嶋誉幸

関連記事:

熱海のホテルを貸切ってTRPG!? 2泊3日600人で“朝から朝まで”ゲーム三昧の「TRPG フェスティバル」 がカオス過ぎる

世紀末では銃よりも斧が強い。荒廃した世界でサバゲーする「MADサバ」がMADすぎる

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合がございます

新着記事

新着記事

ピックアップ

連載・特集一覧

カテゴリ

その他

若ゲのいたり

カテゴリーピックアップ