いま読まれている記事

アーケード版『ドンキーコングJR.』がNintendo Switchで12月21日に配信開始。なぜマリオはドンキーコングを捕まえて待ち構えているの?

article-thumbnail-181219l

 ハムスターは、同社が運営する 『アーケードアーカイブス』 シリーズアーケード版『ドンキーコングJR.』を移植した『アーケードアーカイブス ドンキーコングJR.』をNintendo Switchで配信することを発表した。価格は税込み823円。

アーケード版『ドンキーコングJR.』がNintendo Switchで12月21日に配信開始。なぜマリオはドンキーコングを捕まえて待ち構えているの?_001

 『ドンキーコングJR.』は1982年に任天堂から発売されたアーケードゲーム。ゲームデザインは宮本茂氏が手がけている。その後、ファミコンにも移植されているので、アーケード版を触ったことがないが、ファミコン版を触ったことはあるという人は多いだろう。

 前回『ドンキーコング』での戦いにより檻に閉じ込められたれたドンキーコングを息子であるドンキーコングJRが救出に向う。『ドンキーコング』ではマリオがハシゴを登るゲームだったが、今作ではつるを駆使して途中の敵を避けつつ、頂上にある檻のキーをマリオからドンキーコングを助けよう。

 なぜドンキーコングの息子が主役で、マリオがゲーム上において敵役になっているか、不思議に思う人もいるかもしれない。その点に関しては、かつて任天堂で連載されていた「社長が訊く」シリーズや2003年の宮本茂氏へのインタビューにて語られている(出展12)。

 実はそこにはマックス・フライシャーが生み出した人気キャラクター「ポパイ」が関係している。当時、任天堂はポパイのライセンスを取得しており、ポパイのトランプや、ゲーム&ウオッチを販売していた。その延長線上で、宮本氏は「ポパイ」のゲームの構想を練ると、それがゲーム&ウオッチの生みの親である横井軍平氏の目に留まり、採用。ところが、結局はポパイの要素は入れないことになり、ポパイとライバルであるブルートの代わり生み出されたのがマリオとドンキーコングであった。こうして『ドンキーコング』は完成する。

 『ドンキーコング』を制作中に宮本氏はすでに、プレイヤーがドンキーコングになるゲームのアイディアを閃いていた。だが、ドンキーコングは巨大で、画面をスクロールさせるのも難しい。そこからドンキーコングJRというキャラクターが生み出されることになった。ただ宮本氏は、巨大なドンキーコングが上で待ち構えている画面上の効果を入れたかったので、ドンキーコングがマリオに幽閉されている設定に。

 前述の通り、もともと『ドンキーコング』はポパイのゲームとして当初は構想されていたので、宮本氏の頭の中にあったのも、憎み合って敵対しているというより、気持ちよい友好的なライバルであるポパイとブルートの関係性。こういう経緯もあって、宮本氏の中でマリオがドンキーコングJRを待ち構えている設定が生まれたようだ。

 今回、移植されるのはアーケード版の『ドンキーコングJR.』。ファミコン版で遊んだことのある人も、縦画面で新鮮に遊べるかもしれない。久々にプレイしてみてはいかがだろうか。

(c)1982 Nintendo
Arcade Archives Series Produced by HAMSTER Co.

文/福山幸司

関連記事:

ゲームファンが今遊びたい過去の名作とは?“現行ハードへの移植希望タイトル”アンケート集計結果をエムツーと分析してみた

「プレイステーション クラシック」内蔵ソフト全20本が発表。一般予約は11月3日から

著者
アーケード版『ドンキーコングJR.』がNintendo Switchで12月21日に配信開始。なぜマリオはドンキーコングを捕まえて待ち構えているの?_006
福山幸司
85年生まれ。大阪芸術大学映像学科で映画史を学ぶ。幼少期に『ドラゴンクエストV』に衝撃を受けて、ストーリーメディアとしてのゲームに興味を持つ。その後アドベンチャーゲームに熱中し、『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』がオールタイムベスト。最近ではアドベンチャーゲームの歴史を掘り下げること、映画論とビデオゲームを繋ぐことが使命なのでは、と思い始めてる今日この頃。
Twitter:@fukuyaman

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合がございます

新着記事

新着記事

ピックアップ

連載・特集一覧

カテゴリ

その他

若ゲのいたり

カテゴリーピックアップ