Steamで毎年恒例となる、その年のヒット作を発表する年間ベスト作品が発表された。
2018年までに発売されたすべてのゲームの売り上げ上位作品を選ぶ「売り上げ上位」、2018年にリリースされたゲームから月ごとに売り上げ上位のゲームを選ぶ「人気の新作」、VRゲームの人気作を選ぶ「売り上げトップのVRゲーム」、2018年に早期アクセスから卒業したタイトルの人気作「トップ早期アクセス卒業タイトル」、もっとも多くの人から遊ばれたゲーム「最多同時接続プレイヤー」の5つの視点からゲームが選出されている。
なお、これらはすべて2018年内での売り上げやデータとなっている。
「売り上げ上位」を見てみると、プラチナには『Farcry 5』や『Monster: Hunter World』、『Assassin’s Creed Odyssey』といった今年の話題作だけでなく『DOTA 2』や『Rocket League』、『PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS』など、2017年も売り上げ上位に輝いた作品が引き続きランクインしている。
また、2014年に発売された『The Elder Scrolls Online』が新たにプラチナにランクインしている。2017年に『The Elder Scrolls III: Morrowind』の舞台となった「Morrowind」、2018年には『The Elder Scrolls: Arena』で登場した「Summerset」が追加されるなど、ここ2年で往年のファンも興味をもつような大型アップデートが行われたタイトルだ。
2017年にシルバーだった『Path of Exile』はゴールドへと昇格している。12月8日に大型アップデートであるバージョン3.5「Betrayal」がリリースされている。2017年8月には日本のゲートウェイが新たに開設され、2018年11月にはキャラクタービルディングをサポートする「Path of Building」の開発者であるOpenarl氏を開発チームに雇い入れた。
『TES Online』と『Path of Exile』は長期サポートと大型アップデート、コミュニティに寄り添ったゲーム開発が実を結んだ結果の躍進と言えるだろう。
新作の年間ベストには140本以上のゲームがランクインしている。今年の総売上に基づいて算出されているので、早くリリースされたほうが若干有利となる。
特に登録作品が多いのが2月で、全部で22本が登録されている。その中でも『真・三國無双8』や『METAL GEAR SURVIVE』、『クロノ・トリガー』など日本のゲームが目立ち、全部で8本登録されている。
計算の仕様上もっとも不利になる12月には『Just Cause 4』や『ATLAS』といった話題作のほか、中国語のみでプレイできる『Gujian3』もランクインしている。売り上げのすべてが中国からというわけでは無いだろうが、中国からのユーザー数がSteamでここ数年で大きく伸びていることを示す証左と言えるかもしれない。
VRゲームの年間ベスト、プラチナに登録された12本の中で2018年発売のゲームは『Beat Saber』、『The Elder Scrolls V: Skyrim VR』、『VRカノジョ』の3作だ。
目立つのはBethesda Softworksのゲームだ。プラチナには『Fallout 4 VR』と『The Elder Scrolls V: Skyrim VR』が、ゴールドにも『DOOM VFR』が登録されており、AAAのVRゲームを牽引するデベロッパーであることがわかる。自社の人気作をVR向けに丁寧に調整し、「あの世界をVRで体験したい」というニーズしっかりと答えている。
また、4月に発売された『VRカノジョ』は、7月5日に公開された2018年上半期のSteamの売り上げランキングでは5月発売の『Beat Saber』と違い、ランキング外だった。もともとエロゲーで、5000円と比較的高価なゲームだが、今回のランクインはさまざまな発想を許容するサンドボックス的な懐の広いゲームプレイが認められた結果かもしれない。
『VRカノジョ』はプレイヤーが“ただのVRエロゲー”から“面白いことができるVRゲーム”にシフトさせていた――開発者×プレイヤーが示した新たな可能性とは
早期アクセス卒業ゲームの年間ベストで目を引くのは、やはり『Kenshi』だろう。12年にもわたる長い開発期間を乗り越え、12月6日に正式リリースとなった。非常にハードコアな1人用RPGではあるが、唯一無二のゲームプレイは多くの人の心を掴んだようだ。
また、オープンワールドサバイバルゲームの人気も継続的に高く、『Rust』、『The Forest』、『Subnautica』、『Conan Exiles』と多数のゲームがプラチナに登録されている。
もっともプレイされたマルチプレイゲームは、やはり売り上げとの関連性が見られる。『PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS』や『Tom Clancy’s Rainbow Six Siege』など、昨年から継続して人気を保つゲームだけでなく、『Path of Exile』や『Team Fortress 2』など、今年新たに10万人を超えたゲームも多い。
同時接続数が10万人を超えたゲームは昨年7本だったが、今年は10本となっている。
シングルプレイゲームに注目すると、『Assassin’s Creed Odyssey』と『Kingdom Come: Deliverance』が同時接続数5万人以上を記録している。どちらも話題作で、オープンワールドなRPG要素を持ったゲームだ。
2万5千人以下でも『FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION』、『Fallout 4』、『The Witcher 3: Wild Hunt』など、オープンワールドRPGという同様の要素を持ったゲームがランクインしている。
Steamでは2019年1月5日までウインターセールが行われており、今回ランクインしたゲームも多数セールされている。今年のゲームを振り返るランキングを見ながら、買い逃した作品をチェックしてみてはいかがだろうか。
文/古嶋誉幸