チェルノブイリをイメージしたマップの中で、参加したプレイヤー同士が「資源」を奪い合う。ルールを説明すると単純だが、『ISOTOPIUM: CHERNOBYL』はゲームプレイを興味深いものにする「ひねり」を加えている。
『ISOTOPIUM: CHERNOBYL』はチェルノブイリをイメージした210平方メートルのジオラマの中で、インターネット経由で接続されたラジコンを操って資源である同位体を集めるゲームだ。ラジコンに搭載されたカメラを使った一人称視点のゲームで、アローキーかWSADを使う一般的な戦車ゲームでは馴染み深い操作方法となっている。
集めた同位体は色によって3種類のレア度が設定されており、もっともレア度の低い赤の同位体は3つ集めると1電力に変換できる。レア度が上がるほど変換効率が上がる。この電力はそのままラジコンの稼働時間を表しており、1電力で1分プレイできる。
気になる応答速度だが、実際にプレイしてみた限り筆者の環境では遅延はほぼなかった。コンマ1秒を争うゲームでは無いとはいえ、操作は日本からの接続でもストレスのないものとなっている。
見どころは、もちろん精巧に作られたチェルノブイリのジオラマだ。正確にはプリピャチ市街をイメージしたマップとなっており、観覧車やスタジアムなど観光地としても有名なランドマークだけでなく、人類が入ることはできないチェルノブイリ原発内部をイメージした廃墟もジオラマになっている。
プリピャチに並び立つ高層集合住宅や薄汚れた廃墟の内部など、リアルなジオラマは一見の価値がある。マップに点在する資源に近づくとガイガーカウンターが反応してカリカリと音を立て、まるで本当にチェルノブイリの危険地帯に侵入したような気分にさせてくれる。
現在はマップ上に点在する同位体スポットをキャプチャーして資源を集めるだけだが、1月中にラジコン同士が戦闘を行えるシューティングシステムが実装予定となっている。
『ISOTOPIUM: CHERNOBYL』を開発するのはウクライナのデベロッパーRemote Gamesだ。遠隔操作ロボットを用いた「リモートリアリティ」という概念を形にしたのが本作となる。メインとなるチームは現在5人だが、リモートでヘルプに入ってくれる多くの支援者がいるという。
遠隔操作やストリーミングといったソフトウェア開発、ラジコンを作るハードウェア、そして競技場となるジオラマを製作する3つのラインを分担している。
前述のシューティングシステムの実装や新たな車両「クラッシャー」の導入など、2019年も拡張が続く『ISOTOPIUM: CHERNOBYL』。8月には火星をイメージした新しいジオラマも追加予定となっている。1時間で1100円はゲームとして見れば少し高いかもしれないが、リアルなジオラマの中をラジコンで走り回る楽しさは他に無いものだ。興味があればぜひプレイしてみてほしい。
ライター/古嶋誉幸