2019年3月13日、セガゲームスは、俳優・ミュージシャンとして活動するピエール瀧氏が麻薬取締法違反の疑いで逮捕されたことを受け、PS4向けタイトル『JUDGE EYES:死神の遺言』の販売自粛を行った。その結果、通販サイトなどで本作が高騰するといった傾向を見せている。
Amazon.co.jpでは、2019年3月13日23時22分ごろ、ゲームカテゴリの売れ筋ランキングで1位を獲得していた。事態が少し落ち着いた記事執筆時点でもゲームカテゴリの総合2位にランクイン、マーケットプレイス出品価格は新品が1万円近く、中古が7600円近くと、2018年12月13日に発売されたタイトルとしては高騰している様子が確認できる。
楽天、ゲオマート、メルカリといったサイトでも中古が定価(8290円・税別)近くかそれ以上の価格で販売されており、駿河屋では新品が14800円(税込)という倍近い価格になっている。また、過去の作品であるため『JUDGE EYES』と比較するとそれほど大きな変動ではないが、同じくピエール瀧氏が出演した『SIREN2』や、彼がゲームクリエイターとして関わった『グルーヴ地獄V』や『バイトヘル2000』も同様の動きを見せているようだ。
セガゲームス、『JUDGE EYES:死神の遺言』の販売自粛を発表。ピエール瀧氏の逮捕に関連して
販売が自粛される前の駆け込み需要が高騰の理由のひとつであることは間違いないだろう。本作はPlayStation StoreでもDL版の販売が停止されており、各公式サイトも閲覧できなくなっている。今後、ピエール瀧氏が担当していた作品が手に入らなくなる、あるいはオリジナルの作品とは異なる変更が加えられる可能性もあるわけで、需要が高まるのも不思議ではない。
セガゲームスはPS3向けタイトル『龍が如く4』のPS4向けリマスターを行う際に、「谷村正義」というキャラクターのモデルと担当声優を変更するという措置を取っている。これは谷村正義を演じた成宮寛貴氏が、2016年12月に報道された違法薬物の使用疑惑に関連し、芸能界を引退したためだ。本作は北米版となる『JUDGEMENT』が2019年6月25日に発売予定であるため、それに向けて同様の手法で作中に手が加えられる可能性は十分にありそうだ。
なお、本件に関する話であるかどうかは明言されていないが、龍が如くスタジオの齋藤大輔氏は、「いつか、必ず、復活させる」と本作の再販の意思を示すようなツイートを残している。
このほか、ウォルト・ディズニー・ジャパンからは、『アナと雪の女王』に登場するオラフの日本語版吹き替え声優をピエール瀧氏から交代するというニュースリリースが公開。ピエール瀧氏が所属するソニー・ミュージックレーベルズからもCD・映像商品の出荷停止・在庫回収・デジタル配信停止が発表された。このオラフは、スクウェア・エニックスが先日発売した『キングダムハーツIII』にも登場している。
ピエール瀧氏の出演する作品では、ゲームだけでなく映画なども公開や販売の自粛が続いており、「作品に罪はないのだから販売を自粛する必要はないのでは」といった声も一部で出ている。出演俳優が罪を犯した作品はどのように扱うべきなのか、今回の販売自粛に関連した騒動と議論はしばらく続きそうである。
ライター/渡邉卓也