『風のクロノア door to phantomile』のディレクター・プロデューサーを務めた吉沢秀雄氏が、『風のクロノア』シリーズの未公開資料をまとめた設定資料集「クロノアクロニクル資料集(仮)」を出版を目指し、バンダイナムコエンターテインメントに掛け合っていくことを明らかにした。
吉沢氏は2017年ごろからTwitter上で『風のクロノア』の開発裏話を「クロノアクロニクル」として発信していた。もともとはアニメ版『風のクロノア』のためのつなぎに始めたというが、アニメ企画が中止となったあとも継続され、2月23日に公開された第78回で最終回となった。
しかしその反響から、吉沢氏はバンダイナムコに残っている資料も合わせた設定資料集を制作することを思い立つ。吉沢氏の手元には氏の描いた絵コンテの資料が残っているのみだが、許諾が得られれば同社に残る資料も合わせたシリーズの軌跡をたどる資料集になるはずだ。21周年を迎えた『風のクロノア door to phantomile』だが、25周年までには形にしたいという。
そこでこれらを正式に「クロノアクロニクル資料集」としてまとめられないだろうかと思い立ちました。
— よしざわひでお (@yoshi_clonoa) March 16, 2019
クロノアも21周年を越えて、次なる目標は25周年!
そこまでにはクロノアの軌跡をちゃんとした形で残せないかと。
『風のクロノア door to phantomile』は1997年12月にPlayStationでリリースされたアクションゲームだ。基本的には2Dアクションだが、マップは3Dで構成されているため奥行きがあったり、マップ進行によってカメラワークがダイナミックに変化していく。敵を捕獲してほかの敵や仕掛けにぶつけたり、ジャンプに使うことができるアクションを主軸にゲームは進行する。
手軽で奥深いアクションと、夢を巡る冒険や架空言語ファントマイル語などの独特な世界観は多くのファンを魅了した。
そのイメージとは、立体的なマップの上をプレイヤーキャラが走って行くと、カメラがルートに沿って移動して行く映像でした。
— よしざわひでお (@yoshi_clonoa) August 5, 2017
「カメラが回り込むから画面上は常に2Dの感覚で遊べるのがいいんです」と一気に捲し立てると課長は「よくわかんないけど、それでいいから企画書書いて」と言いました。 pic.twitter.com/Y0hFc1seNs
PlayStation 2で『風のクロノア2 〜世界が望んだ忘れもの〜』やWiiのリメイク版『風のクロノア door to phantomile』がリリースされたほか、コンソール機だけでなく携帯機でも続編や番外編が多数リリースされている。
2016年にはアニメ版『風のクロノア』の企画も立ち上がり、長いあいだ沈黙を守っていた同シリーズが動きを見せたことにファンは色めき立ったが、2019年1月に計画が中止されたことが公式に発表された。
クロノアのアニメ企画中止についてのお知らせです
— ありがひとし🌇🦖 (@ariga_megamix) January 5, 2019
力及ばず、待っていてくれた方々にはごめんなさい。
企画が立ち上がり、企画が進行していた事は事実で
クロノアはそういう力を持ったキャラクターです。
また彼が新たな冒険ができますように…
応援してくださった皆さまに感謝いたします。 pic.twitter.com/8PXCSGDjVF
2017年から2年に渡り『風のクロノア』シリーズの制作秘話を発信してきた吉沢氏も、アニメ版制作中止は非常に残念に思っているようだ。ツイートによる「クロノアクロニクル」終了は残念だが、この企画が形になればそれ以上の膨大な資料が公になるだろう。ファンが今できることは、吉沢氏のツイートを拡散してどれほど多くのファンが発売を待ち望んでいるかを示すことだ。バンダイナムコエンターテインメントに吉沢氏やファンの思いが届くことを願うばかりだ。
ライター/古嶋誉幸