『Hyper Light Drifter』を生んだゲームクリエイターAlex Preston氏は、映像プロデューサーAdi Shankar氏と共に、同作のテレビアニメシリーズを制作していることを、Vox Media主催のSXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)イベント「The Deep End」にて明らかにした。Shankar氏は、Netflix配信のアニメ版『悪魔城ドラキュラ』や、現在制作中のアニメ版『デビルメイクライ』のプロデューサーとして知られる。
『Hyper Light Drifter』は、1991年のスーパーファミコン用ソフト『ゼルダの伝説 神々のトライフォース』や、1997年から続くハクスラの代表作『Diablo』シリーズに強く影響を受けた2DアクションRPG。Alex Preston氏がクラウドファンディングにて資金調達に成功し、2016年にPC/PlayStation 4/Xbox One向けに発売された。その後、2018年にはNintendo Switchにも移植されている。
8ビットおよび16ビット時代のゲーム作品を意識したピクセルベースのビジュアルが特徴で、ダイアログを一切使わずゲーム音楽とグラフィックのみでストーリーを伝えることに重点を置いている。また、ポストアポカリプスとファンタジーを融合した世界観は、スタジオジブリの『風の谷のナウシカ』から着想を得たとされている。
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業界メディアPolygonによると、テレビシリーズの制作は初期段階で、Preston氏とShankar氏は脚本家を求めて奔走中だという。もともと台詞のない作品を映像化するということで、『Hyper Light Drifter』の世界観と物語をいかに表現するかが制作におけるもっとも重要な課題となりそうだ。ただ、映像の描写は原作同様のピクセル風ではなく、一般的なアニメーションとして描く予定であると、Preston氏は認めている。
今回の映像化にあたってプロデューサーを務めるShankar氏は、確実に収益につながるAAA作品ばかりに飛びつくのではなく、Preston氏のような情熱的なクリエイターの作品を映像として伝えたいという想いが強かったと語っている。Preston氏は先天的な心臓の病を患っており、『Hyper Light Drifter』は彼の半生における苦難から生まれた物語といえる。その類まれな感性が紡いだ世界観にいま、新たな生命が吹き込まれようとしている。
ライター/Ritsuko Kawai