およそ2ヶ月前となる2月22日、米任天堂の社長兼最高執行責任者だったレジナルド・フィサメィ氏は突如、同社を4月15日に引退することを発表した。後任はセールス&マーケティング部門の現シニア・ヴァイス・プレジデントであるダグ・バウザー氏。“レジー”の愛称で米任天堂の顔役として活躍してきたフィサメィ氏の退任には多くの人々が敬意を示し、また海外における“クッパ”の名を持つバウザー氏には今後の活躍に期待の目が向けられた。
それから月日が経つのは早く、現地時間4月15日についにフィサメィ氏は退任。米任天堂の社長からただのレジーとなり、自身のTwitterアカウントを開設した。
Hi Twitter community. pic.twitter.com/1XUreHxM5W
— Reggie Fils-Aimé (@Reggie) April 15, 2019
フィサメィ氏は米任天堂に入社して約15年、社長の椅子に座って13年が経過した自身のオフィスを片付ける様子を投稿している。2004年にE3で「私はレジーです」と初登場したときにつけていたスタッフ証や、実際に被ることができるレジー型Miiヘッド。米任天堂の社長が代々受け継いでいるであろう『ゼルダの伝説』のマスターソードも台座へと返還している。マスターソードは力と知恵、そして勇気のために戦う”次の勇者”へと渡される。
フィサメィ氏のツイートはいずれも10万から30万リツイートに達しており、アメリカのファンやゲーム業界の人々からいかに敬愛されてきたかがわかる。フィサメィ氏はTwitetrコミュニティに「暖かい歓迎をありがとう」という言葉を祝辞を送った人々に投げかけているが、その中にはプロゲーマーやデベロッパー、Microsoftのフィルスペンサー氏やラリー・ハリーブ氏、さらには俳優も含まれている。
一方、新たなマスターソードの継承者となるダグ・バウザー氏は同じく4月15日、フィサメィ氏とともに写る写真を投稿。レジーとクッパが仲良く笑顔でソファに座る画像を投稿した。バウザー氏は社長就任の発表後、クッパの英語名と同じ名前ということでファンによるTwitter大喜利の対象となったが、この写真でも早速ふたりが抱えているホワイトボードでイジられている。実際のところ、ふたりがいったい何を書いているのか気になるところだ。
その後、米任天堂の社長へと就任が完了した現地時間17日にバウザー氏は、Twitterプロフィールにおける自身の役職を「President at Nintendo of America」と書き換えた。社長となってから最初に投稿したツイートには、貫禄たっぷりに社長の椅子に座るクッパJr.のぬいぐるみの写真。「米任天堂の社長の椅子にクッパが君臨する」というネタは誰もが考えていたと思われるが、誰でもない社長自身がそれを体現してファンを喜ばせた。
Twitterコミュニティならではの冗談にあふれているとはいえ、寄せられたツイートの多くはフィサメィ氏の退陣を惜しむ声と、新社長であるバウザー氏を応援する言葉だ。これほどファンから祝福され、Twiter上でジョークが飛び交いつつ完遂された愛らしい社長交代劇は、ゲーム業界以外を見渡してもめずらしいかもしれない。
ライター/古嶋誉幸